抄訳
Sphingosine 1-phosphate (S1P)は、様々な細胞活動を5つの受容体(S1P1-S1P5)によって制御している。我々は以前、高脂肪食負荷を行ったS1P2欠損マウスにおいて、脂肪細胞肥大化、耐糖能障害が抑止されたこと、S1P2阻害薬JTE-013は脂肪細胞への分化を抑制し、S1P1/3阻害薬VPC23019はこれを促進したことを報告した。今回我々はS1P1作動薬SEW-2871の、肥満糖尿病を呈するob/obマウスへの影響を検討した。SEW-2871、JTE-013の経口投与は、体重、傍精巣脂肪重量、傍精巣脂肪/鼠径脂肪サイズを減少させ、耐糖能、脂肪組織の炎症を改善させ、傍精巣脂肪のTNFα、Cd11cのmRNAを減少させ、CD206、adiponectinのmRNAを増加させた。SEW-2781とVPC23019の同時投与により、SEW-2781の効果は打ち消された。この結果から内因性のS1PはS1P2の作用により肥満/糖尿病を引き起こすが、外因性のS1PはS1P1を介してそれを阻止すると考えられた。