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2023/04/24

進行性前立腺がんにおけるゲノムワイド関連研究:KYUCOG-1401-A試験

論文タイトル
Genome-wide association studies in advanced prostate cancer: KYUCOG-1401-A study
論文タイトル(訳)
進行性前立腺がんにおけるゲノムワイド関連研究:KYUCOG-1401-A試験
DOI
10.1530/ERC-23-0044
ジャーナル名
Endocrine-Related Cancer
巻号
Endocrine-Related Cancer ERC-23-0044
著者名(敬称略)
塩田 真己 他
所属
九州大学大学院医学研究院泌尿器科学分野

抄訳

進行前立腺癌の治療には、アンドロゲン除去療法(ADT)が広く用いられている。しかし、予後や有害事象は患者によって異なる。本研究は、ゲノムワイド関連研究(GWAS)を行い、ADTの予後や有害事象発生を予測する一塩基多型(SNP)を同定することを目的とした。KYUCOG-1401試験で進行性前立腺癌に対してADTを施行した日本人患者を開発コホートとした。検証コホートとして、ADTで治療された別の進行前立腺癌患者を組み入れた。開発コホートにおいて、1年後の画像上の無増悪生存期間および有害事象(糖尿病発症、関節痛、脂質異常症発症)と関連するSNPをGWASにより同定した。その後、検証コホートで遺伝子型の解析を行った。GWASに続いて行われた検証研究では、ADTにおける全生存期間と関連するSNPとして、PRR27のrs76237622とMTAPのrs117573572が同定された。これらのSNPを用いた予後予測モデルは、ADTにおける無増悪生存期間と全生存期間に対して優れた予測効果を示した。さらに、GWASにより、ADTにおける糖尿病発症、関節痛、脂質異常症発症に複数のSNPが関連していることが示された。本研究では、ADTにおける転帰と相関する新規の複数のSNPを同定した。今後、ADTを併用した各種治療における治療効果に関する研究が進めば、個別化医療の発展への貢献が期待される。

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