抄訳
褐色脂肪組織(BAT)は、栄養摂取、カロリー制限、運動、環境温度などの生理的変化に対して、エネルギーを消費して熱を発生させることで恒常的なエネルギー収支を調節しており、肥満や代謝疾患にとって重要な器官となっている。我々は、マウスBATの発生過程を時系列的に把握するため、胚から成体まで、トランスクリプトームとメタボロームによる統合的な特徴づけを行った。その結果、BATに特異的な2つの発生上の不連続な変化があることを明らかにした。また、転写因子の結合部位を調べ、発生の時間経過に重要な転写因子を発見した。また、他の臓器発生におけるトランスクリプトームおよびメタボロームデータと比較した結果、BATに特異的なトランスクリプトームおよびメタボロームのパターンを発見した。これらの結果は、マウスBATの発生の概要を示すとともに、BATの発生および機能制御に関する示唆を与える。