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2023/06/20

血清中のMac-2結合タンパク質糖鎖異性体(M2BPGi)濃度は2型糖尿病の発症率と関連する

論文タイトル
Serum Mac-2 Binding Protein Glycosylation Isomer Concentrations Are Associated With Incidence of Type 2 Diabetes
論文タイトル(訳)
血清中のMac-2結合タンパク質糖鎖異性体(M2BPGi)濃度は2型糖尿病の発症率と関連する
DOI
10.1210/clinem/dgad011
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 108, Issue 7, July 2023, Pages e425–e433
著者名(敬称略)
東岡 真由, 二宮 利治 他
所属
九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野

抄訳

血清Mac-2結合蛋白質糖鎖異性体(M2BPGi)濃度は、慢性肝障害や線維化の指標となることが知られている。本研究では、糖尿病を発症していない40~79歳の地域日本人住民2,143人を7年間追跡した成績を用いて、血清M2BPGi濃度と2型糖尿病発症との関連を検討した。追跡開始時の血清M2BPGi濃度の5分位値を用いて対象者を5群に分類した: Q1 ≦0.37、Q2 0.38-0.49、Q3 0.50-0.62、Q4 0.62-0.80、Q5 ≧0.81 (単位 cutoff index)。 解析にはCox比例ハザードモデルを用いた。追跡期間中、219名が2型糖尿病を発症した。2型糖尿病の年齢・性別調整後の累積発症率は、血清M2BPGi値の上昇とともに有意に増加した(p for trend < 0.01)。さらに、潜在的な交絡因子で調整しても有意な関係を認めた(p for trend = 0.04)。一方、血清高感度C反応性タンパク質やHOMA-IR(Homeostasis Model Assessment of Insulin Resistance)を追加で調整したところ有意な関連は消失した。
このように、わが国の地域住民において、血清M2BPGi濃度と糖尿病リスクは正の関連を有することが明らかとなった。炎症とインスリン抵抗性は、血清M2BPGi濃度が高い人の糖尿病リスク上昇に関与することが示唆された。

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