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2023/08/17

Stenotrophomonas属のblaL1-like遺伝子多様性:公開ゲノムデータに基づく洞察

論文タイトル
Diversity of bla L1-like genes in Stenotrophomonas species: insights from genome analysis of publicly available genome sequences
論文タイトル(訳)
Stenotrophomonas属のblaL1-like遺伝子多様性:公開ゲノムデータに基づく洞察
DOI
10.1128/aac.00673-23
ジャーナル名
Antimicrobial Agents and Chemotherapy
巻号
Antimicrobial Agents and Chemotherapy 16 August 2023 e00673-23
著者名(敬称略)
山田 景土 他
所属
東邦大学 医学部微生物・感染症学講座

抄訳

 Stenotrophomonas属は土壌など環境に広く分布するグラム陰性桿菌であり、Stenotrophomonas maltophiliaは同属の代表的な菌種である。S. maltophiliaは種得意的なメタロβラクタマーゼ(L1)を産生し、多くのβラクタム系抗菌薬に耐性を示す。このL1をコードする遺伝子(blaL1)は同一種の中でも、配列多様性を示すとされていた。この研究では、この多様性を示す理由を探る為、公開データベースで利用可能なゲノム配列を用いて分子系統解析を行った。その結果、これまで、S. maltophiliaと考えらていた菌種が、多くの未登録の類縁菌種からなる"S. maltophilia complex"であることが確認された。blaL1の多様性は、この種の多様性に関連している事が明らかになり、加えて、blaL1はゲノム配列よりも塩基配列の相同性が低い事が明らかになった。以上より、blaL1の多様性は種の多様性およびblaL1の進化速度に起因している可能性が示された。

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