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2023/09/06

2型糖尿病を有する慢性腎臓病患者への少量スピロノラクトン投与の有効性と安全性

論文タイトル
Efficacy and Safety of Low-dose Spironolactone for Chronic Kidney Disease in Type 2 Diabetes
論文タイトル(訳)
2型糖尿病を有する慢性腎臓病患者への少量スピロノラクトン投与の有効性と安全性
DOI
10.1210/clinem/dgad144
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 108, Issue 9, September 2023, Pages 2203–2210
著者名(敬称略)
大岩 亜子 他
所属
信州大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌代謝内科

抄訳

レニンアンジオテンシン系阻害薬へミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)のスピロノラクトンを追加投与すると、2型糖尿病を有する慢性腎臓病患者において、尿中アルブミン排泄量が減少することはこれまで多く報告されてきたが、高カリウム血症などの副作用のリスクが増加するため汎用されるには至っていない。今回私達は、スピロノラクトンの通常処方の最小量である25 mg/dayのさらに半量である12.5 mg/dayを24週間投与し、その効果と安全性を他施設非盲検ランダム化比較試験にて検討した。結果は、少量スピロノラクトン群では、コントロール群に比して尿中アルブミン排泄量は38%減少し(P=0.007, Wilcoxon rank-sum test とt-test)、血清カリウム値に関しては、24週の時点で 5.5 mEq/L以上になった参加者はいなかった。さらに、スピロノラクトン投与前の血清カリウム値が高い患者ほど、血清カリウム値の増加量は少なく(estimate, -0.37, analysis of covariance)、高カリウム血症のリスクは低いことが示された。MRAの中では最も古くから使用され、非常に安価であるスピロノラクトンを、「少量投与」という新たな視点で見直すべきだと考える。

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