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2009/11/10

EDAR の多型はシャベル型切歯の遺伝的決定因子のひとつである

論文タイトル
A Common Variation in EDAR Is a Genetic Determinant of Shovel-Shaped Incisors
論文タイトル(訳)
EDAR の多型はシャベル型切歯の遺伝的決定因子のひとつである
DOI
10.1016/j.ajhg.2009.09.006
ジャーナル名
American Journal of Human Genetics Cell Press
巻号
2009|Vol. 85|Issue 4|528-535
著者名(敬称略)
木村亮介、他
所属
琉球大学亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構

抄訳

Ectodysplasin A receptor (EDAR )は、歯、毛髪、汗腺など外胚葉由来器官の発生に関わる遺伝子であり、近年、非同義多型であるEDAR T1540C(V370A)が毛髪の太さと関連することが示された。また、1540Cの分布は、モンゴロイド特有の形態形質であるシャベル型切歯の分布ともよく一致する。本研究では、東京および先島諸島(宮古島および石垣島)における202人を対象に、シャベル型切歯を中心とした歯形態とEDAR 遺伝子型との関連を、調整した歯列模型およびDNA試料を用いて解析した。その結果、個体の1540Cアリルの保有数は、シャベル型のグレードと非常に強く相関していることが観察された(7.7×10−10)。また、歯全体の大きさや近遠心径の大きさとも有意な正の相関が見られた。したがって、このアジア人特異的な非同義多型は、歯や毛髪といった複数の可視的形質と関連することが示されたことになり、その他にも関連する形質が存在するかもしれない。この多型には東アジアにおいて自然選択が働いてきたことが示唆されているが、選択圧および選択の対象となった形質に関しては未だ謎である。

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