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2012/12/05

Rab27エフェクター・Slp2-aはMDCK II細胞においてシグナル分子podocalyxinのapical輸送とclaudin-2の発現調節を行う

論文タイトル
Rab27 effector Slp2-a transports the apical signaling molecule podocalyxin to the apical surface of MDCK II cells and regulates claudin-2 expression 
論文タイトル(訳)
Rab27エフェクター・Slp2-aはMDCK II細胞においてシグナル分子podocalyxinのapical輸送とclaudin-2の発現調節を行う
DOI
10.1091/mbc.E12-02-0104
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell American Society for Cell Biology
巻号
Mol. Biol. Cell August 15, 2012 vol. 23 no. 16 3229-3239
著者名(敬称略)
安田貴雄、福田 光則 他
所属
東北大学大学院 生命科学研究科 膜輸送機構解析分野

抄訳

上皮細胞は細胞間のバリアであるタイトジャンクションを仕切りに、頂端側(apical面)と側底側(basolateral面)という極性を持ち、それぞれに特異的な蛋白質や脂質を運ぶ極性輸送という仕組みを持つ。我々はこれまで、マウスの胃上皮細胞のapical面に特異的に局在する分子としてSlp2-a(synaptotagmin-like protein 2-a)を同定している。Slp2-aは膜輸送を制御する低分子量G蛋白質Rab27と結合することから、上皮細胞のapical面への極性輸送に関与することが示唆されていたが、その機能はこれまで明らかではなかった。本論文では、極性輸送のモデル細胞であるイヌの腎臓尿細管上皮細胞MDCK II細胞を用い、Slp2-aがRab27によって運ばれてきたシグナル分子podocalyxinを含む小胞をapical面に繋ぎ留め、podocalyxinのapical細胞膜への輸送を促進することを初めて明らかにした。さらに、apical面に輸送されたpodocalyxinは、その下流分子である細胞骨格関連蛋白質ezrinの活性調節およびMAPキナーゼカスケード(ERK1/2)の活性調節を行うことで、タイトジャンクションの構成因子claudin-2の発現調節に関与することを突き止めた。以上の結果から、Slp2-aを介した「apical面への極性輸送」と「細胞間相互作用」との間に新たな機能的関係が存在することが明らかになった。

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