本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2015/08/10

Kcnq1遺伝子領域における父親由来の変異は、Cdkn1cのエピジェネティック修飾を介して膵β細胞量を減少させる

論文タイトル
Paternal allelic mutation at the Kcnq1 locus reduces pancreatc β-cell mass by epigenetic modification of Cdkn1c
論文タイトル(訳)
Kcnq1遺伝子領域における父親由来の変異は、Cdkn1cのエピジェネティック修飾を介して膵β細胞量を減少させる
DOI
10.1073/pnas.1422104112
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America National Academy of Sciences
巻号
PNAS 2015 112 (27) 8332-8337
著者名(敬称略)
浅原 俊一郎、木戸 良明 他
所属
神戸大学大学院保健学研究科 病態解析学領域 分析医科学分野

抄訳

日本人2型糖尿病患者を対象とした大規模ゲノム関連解析によって、KCNQ1遺伝子の一塩基多形が糖尿病発症の有意な危険因子であることが2008年に報告された。しかしながら、KCNQ1遺伝子が2型糖尿病を発症させるメカニズムに関してはこれまで明らかにされていなかった。筆者らは、KCNQ1遺伝子がインプリンティング遺伝子である点に注目した。マウスを用いた検討により、父親から引き継いだKcnq1遺伝子の変異は、インプリンティング制御に異常を起こすことによって、細胞周期抑制因子Cdkn1cの発現量を増加させることが明らかとなった。Cdkn1cは膵β細胞特異的に蓄積することによって、膵β細胞量を減少させ、2型糖尿病発症に至ると考えられた。今回の研究により、2型糖尿病原因遺伝子Kcnq1による糖尿病発症機序を解明し、またインプリンティング制御の異常が2型糖尿病発症につながることを初めて見出した。

論文掲載ページへ