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2016/02/19

Gtr1-Gtr2によるTORC1-Gtr1/Gtr2-Ego1/2/3複合体の局在調節

論文タイトル
Dynamic relocation of the TORC1?Gtr1/2?Ego1/2/3 complex is regulated by Gtr1 and Gtr2
論文タイトル(訳)
Gtr1-Gtr2によるTORC1-Gtr1/Gtr2-Ego1/2/3複合体の局在調節
DOI
10.1091/mbc.E15-07-0470
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell American Society of Cell Biology
巻号
Mol. Biol. Cell January 15, 2016 vol. 27 no. 2 382-396
著者名(敬称略)
吉良 新太郎, 野田 健司 他
所属
大阪大学 歯学研究科 口腔科学フロンティアセンター, 生命機能研究科(兼)

抄訳

TORC1プロテインキナーゼ複合体は、細胞増殖制御に中心的役割を果たす分子であり、真核生物に広く保存されています。TORC1の活性調節分子として低分子量Gタンパク質であるGtr1/Gtr2、またその足場タンパク質としてEgo複合体が知られています。本論文では、1. Ego複合体の新規サブユニットEgo2の同定 2.TORC1-Gtr1/Gtr2-Ego複合体は、Gtr1/Gtr2により局在が制御されていること、の2点を報告しています。出芽酵母において、これらの分子群は液胞膜及びそれに付随した輝点として観察されます。Gtr1GTP型のとき、これらの分子は液胞膜全体に局在し、それに付随する輝点は減少しました。一方Gtr1GDP型の時は、これらの分子は液胞に付随する輝点上への局在が増加しました。このことからGtr1GTP/GDPサイクルにより、これらの分子の局在が制御されることが明らかになりました。さらに、TORC1が液胞近傍の輝点上に局在するGtr1-GDP型発現時に、TORC1を人為的に液胞膜全体に局在化させる系を用いた時、TORC1の液胞膜全体への局在化はGtr2存在下で阻害されました。このことからGtr2TORC1の液胞近傍輝点局在を正に制御していると考えられました。Gtr1-GDP型発現時にTORC1は液胞近傍の輝点に局在化し、このときTORC1は不活性化するため、TORC1の液胞近傍への輝点局在がTORC1の不活性化に関与する可能性が示唆されます。

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