抄訳
本研究は、先天性リポイド副腎過形成症症例の性腺を免疫組織化学染色およびオイルレッドO染色など組織学的に解析し、成人期卵巣において有意にマクロファージが浸潤していることを初めて示したものである。1歳時の精巣では有意なマクロファージ数の増加は見られなかったが、22歳および40歳の卵巣では脂肪滴で泡沫化した莢膜細胞周辺の卵胞上皮と周囲にステロイド産生細胞のない間質にマクロファージの集族が認められた。さらに、莢膜細胞のみならず、卵巣間質に集族したマクロファージの細胞質にも脂肪滴が著明に蓄積していることが明らかにされた。この結果はsteroidogenic acute regulatory protein (StAR)ノックアウトマウスの新生仔の副腎皮質で得られた所見と合致する。先天性リポイド副腎過形成症の性腺や副腎皮質では、肥満の脂肪組織と同様にマクロファージ浸潤によるリモデリングが生じている可能性が示唆される。