本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2017/06/13

アンドロゲンが雌ラットのキスペプチンニューロン及び黄体形成ホルモン分泌に与える影響

論文タイトル
Effect of androgen on Kiss1 expression and luteinizing hormone release in female rats
論文タイトル(訳)
アンドロゲンが雌ラットのキスペプチンニューロン及び黄体形成ホルモン分泌に与える影響
DOI
10.1530/JOE-16-0568
ジャーナル名
Journal of Endocrinology Bioscientifica
巻号
J of Endocrinology Vol.233 No.3 (2017) 281-292
著者名(敬称略)
岩田 衣世、小澤 一史 他
所属
日本医科大学 大学院医学研究科 解剖学・神経生物学

抄訳

高アンドロゲン血症を示す女性では不妊など生殖機能に異常がみられる。本研究ではアンドロゲンが雌の生殖機能にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。
 長期アンドロゲン投与により卵胞発育を促す黄体形成ホルモン(LH)のパルス状分泌は抑制され、LHパルス分泌に関わる弓状核のキスペプチンニューロンの発現も抑制されていた。排卵を誘起するLHのサージ状分泌に関わっている前腹側室周囲核(AVPV)のキスペプチンニューロンの発現は、対照群と比べて差はなかったが、LHサージは抑制されていた。キスペプチンは性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)を介してLHを分泌するが、長期アンドロゲン投与ラットでは、GnRH投与によるLH分泌が低下していた。雌ラットにおいて弓状核のキスペプチンの多くはアンドロゲン受容体を発現していたが、AVPVのキスペプチンは、アンドロゲン受容体をほとんど発現していなかった。
 以上の結果から、雌において高アンドロゲン血症は、弓状核のキスペプチンニューロンの抑制と下垂体レベルで機能不全を起こし、その結果、卵胞発育と排卵機構が抑制され、月経不順や不妊を引き起こす可能性が示唆された。

論文掲載ページへ