抄訳
オステオポンチン(OPN)は、細胞の接着や運動の制御により、癌をはじめとする様々な疾患の増悪に関わる糖タンパク質である。OPN は5か所のO-結合型糖鎖付加部位に加え、40か所以上のリン酸化部位をもつ。これまでOPNの生物学的活性は、糖鎖やリン酸化により調節を受けると考えられてきたが、直接的な証拠は得られていない。それゆえ、OPNのO-結合型糖鎖修飾とリン酸化修飾、接着活性の3者の関係については不明である。
本研究では、部位特異的にO-結合型糖鎖をもつOPN変異体を用いて、それらの関係について詳細な検討をおこなった。その結果、1) OPNのO-結合型糖鎖が部位特異的に細胞接着活性およびリン酸化に影響を与えること、2)リン酸化レベルとO-結合型糖鎖の数、接着活性は必ずしも相関しないこと、が明らかとなった。これらの結果は、O-結合型糖鎖によるOPN機能およびリン酸化の新たな調節メカニズムを示唆するものである。