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2018/06/05

腸管出血性大腸菌の低分子RNA Esr41はLEEとべん毛遺伝子群の発現を逆向きに調節する。

論文タイトル
Small RNA Esr41 inversely regulates expression of LEE and flagellar genes in enterohaemorrhagic Escherichia coli
論文タイトル(訳)
腸管出血性大腸菌の低分子RNA Esr41はLEEとべん毛遺伝子群の発現を逆向きに調節する。
DOI
10.1099/mic.0.000652
ジャーナル名
Microbiology Microbiology Society
巻号
Microbiology Volume 164, Issue 5, May 2018 821-834
著者名(敬称略)
須藤 直樹、関根 靖彦 他
所属
立教大学 理学部 生命理学科 分子生物学研究室

抄訳

腸管出血性大腸菌(以下、EHEC)は溶血性尿毒素症候群などの重症例を伴う感染症を引き起こす、臨床上重要な病原性細菌である。EHECの多くは、宿主細胞への感染に直接に関与する3型分泌装置をコードするLEEと呼ばれる病原性遺伝子群をもつ。このLEEの発現が活性化するとき、べん毛をコードするべん毛遺伝子群の発現が抑制される。この遺伝子発現制御の意義は、宿主細胞への感染の際、宿主側の免疫系を活性化するべん毛の発現を抑制することで、免疫系の誘導を回避することにあると考えられる。本研究は、低分子RNAであるEsr41が、LEEの主要な転写活性化因子をコードするlerを転写後段階で抑制すること、lerの転写活性化因子をコードするpchの転写を間接的に抑制することでLEEの発現を抑制し、EHECの宿主細胞への接着性を低下させることを示した。さらに、Esr41がべん毛特異的シグマ因子をコードするfliAの転写を間接的に活性化させることで、べん毛遺伝子群の発現を上昇させることを示した。これらの結果は、LEEとべん毛遺伝子群間における逆相関の発現制御においてEsr41が重要な役割を担うことを示唆する。

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