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USACO News:詳細

2014/09/30:第254号 PDAによる選書の比較事例
 

PDAによる選書の比較事例

 利用者の要求をもとに収書するPDA(Patron-Driven Acquisition)が学術図書館で実践されるようになり久しいが,従来の図書館員によるコレクションデベロップメントと比べ発注される資料にどのような違いがあるのだろうか。

 ネブラスカ大学リンカーン校が実施したILLリクエストによる冊子体書籍の購入プログラムの2003年6月から5年間分のデータを分析した報告がDavid C. Tyler氏らによりCollege and Research Libraries誌に掲載された。

 同大学では調査期間の5年間に69,941冊の書籍を購入し,$3,499,262.12支払った。そのうち図書館員による発注は全体の41.3%にあたる28,915冊,金額では$1,486,053.98(42.5%)であった。一方,ILL PDAによる購入は1,451冊(2.1%),$83,617.55(2.4%)だった。
 分析は調査チームが立てた4つの仮説を検証する方法で行われた。その一つは「図書館が収集しないLC分類の書籍をPDAの利用者が大量に購入したり,予算を使いすぎたりしないか」という懸念だった。この問いに対し,PDA利用者によってのみ購入されたLC分野の資料を調査したところ,その内訳は5年間を通じて図書5冊,計$330.98であり,全購入件数に占める割合では点数の0.00007%,購入金額の0.00009%とごくわずかであることが分かった。
 もう一つの「図書館が収集している重要なLC分類の書籍をPDAの利用者が購入しなかったり,予算を使わなかったりしないか」という仮説に対しては,図書館員のみが購入しPDA利用者が購入しなかった76のLC分類を調査した。その結果,70%近くが図書館でほとんど収集されない分野のもの,28%があまり収集されない分野のものであり,PDA利用者による特に重要な分野の資料の購入漏れはなかったことが示された。
 調査チームは,この他の仮説の検証結果と合わせ,図書館員とPDAの購入内容がその件数・金額共に強い相関性を示しており,PDAによる大きな購入内容の偏りは見られなかったと結論づけている。

 その他の知見として,すべての資料の購入を利用者の手に委ね,それについて何の制限も言及も行わなくて良いと考える図書館はほとんどなく,多くのPDAに関する文献においても,それを図書館の主要な蔵書収集方法にすべきと主張した著者はごくわずかであったと報告している。現在大部分のPDA導入機関は図書予算のわずか1~5パーセントのみをPDAに充当しているようであり,このことが選書の一般的な様相の転換を示しているとは言えないとしている。

 近年PDAは電子書籍の購入モデルとして取り上げられることが多い。電子書籍の場合は累積利用回数をトリガーとしたりレンタル利用と組み合わせたりするなどの新たな選書プロセスが生み出されている。今回の報告は冊子書籍のPDA購入であり,電子書籍のPDAとは事情が違う可能性があることを考慮したい。

・College & Research Library
Don't Fear the Reader: Librarian versus Interlibrary Loan Patron-Driven Acquisition of Print Books at an Academic Library by Relative Collecting Level and by Library of Congress Classes and Subclasses
http://crl.acrl.org/content/75/5/684.abstract

参考文献
・カレントアウェアネス-R 大学図書館におけるILLリクエストによる資料購入(PDA)と図書館員の選書の差異の分析(文献紹介)Posted 2014年9月4日 http://current.ndl.go.jp/node/26950

この『PDAによる選書の比較事例』は,以下の著作物を改変して利用しています。
"Don't Fear the Reader: Librarian versus Interlibrary Loan Patron-Driven Acquisition of Print Books at an Academic Library by Relative Collecting Level and by Library of Congress Classes and Subclasses" by David C. Tyler, Joyce C. Melvin, MaryLou Epp, and Anita M. Kreps available at http://crl.acrl.org/content/75/5/684.full.pdf+html under a Creative Commons Attribution 3.0 Full terms at http://creativecommons.org/licenses/by-nc/3.0

2015年:外国雑誌価格動向(その2)

 先月号に引続きや主要出版者別の価格動向(外貨ベース)を報告します。タイトル選定,予算計画の参考資料としてご利用ください。

◇ACP (American College of Physicians)…4%
◇American Diabetes Association…価格据え置き
◇American Meteorological Society…6%
◇American Public Health Association…3%
◇American Society for Microbiology(※1)…6%
◇American Society of Agronomy…価格据え置き
◇American Society of Civil Engineers…8%
◇American Thoracic Society…3%
◇Annual Reviews…5%
◇Journal of Immunology…3%
◇Society for Neuroscience…5%
◇Maney Publishing 【GBP】…6%
◇Royal Society of Chemistry 【GBP】…5%
◇Sage Publications, Inc.…6%
◇Thieme Publishing Group 【EUR】…6%

(※1) Antimicrobial Agents and Chemotherapy, Journal of Virologyの冊子体が2015年より廃止
USD以外の通貨での取扱となる出版機関は、機関名の右に【通貨】を表示しました。

【ご注意】 タイトルを複数提供する出版機関については価格変動率の平均値となります。目安としてご参照ください。
また、各種コンソーシアム提案における価格変動率は本資料と異なる場合がございます。提案書もしくは取扱代理店へのご確認をお願いいたします。

American Psychiatric Publishing:プラットフォーム変更のお知らせ

 American Psychiatric Publishingは,10月29日からプラットフォームをAtyponに移行することを発表しました。対象はAPPから発行されている全ジャーナルと電子ブックとなります。

・認証方法の再設定は不要です 特定のIPアドレスへのみアクセスを許可する設定がproxyサーバにされている場合,psychiatryonline.orgのIPアドレスが対象になるように設定する必要があります(IPアドレスは下記出版者のサイトにあります)。
・利用統計は2012年9月以降のデータが移行されます それ以前の利用統計については,移行する10月28日までに現在のプラットフォームであるSilverchairで取得する必要があります。それ以降は取得できないのでご注意ください。
・ジャーナルやテキストブックへのメインページのURLは変わりませんが,ジャーナルの特定の巻号や論文へのURLは変更になります。
・OpenURLに準拠しているため,リンクリゾルバーへの影響はありません
 ・プラットフォームの移行後,お客様がアップロードした機関のロゴやリンクリゾルバーのボタン用の画像を再アップロードする必要があります
 ・新たなプラットフォームの説明書等は10月29日前に用意されます。

*本文中の日付は全てアメリカ現地時間となります。

・プラットフォーム移行の詳細について(出版者のサイト)
http://www.appi.org/InstitutionalSubscriptions/Pages/POLUpgrade.aspx

・弊社American Psychiatric Publishing各タイトルホームページ
The American Journal of Psychiatry
http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_424.html
PsychiatryOnline
http://www.usaco.co.jp/itemview/template44_1_242.html

EndNote X7.2 アップデートプログラム リリースのご案内

  EndNote X7に対する最新アップデートプログラム,EndNote X7.2が日本時間9月30日深夜に,開発元のトムソン・ロイター社からリリースされる予定です。リリース後にEndNote X7を起動するとアップデートが利用可能である通知が出現し,そこからインストールを進めます。主な強化点は下記の通りです。

・EndNote X7.2の主な強化点
1. ライブラリ共有機能の追加
最大15名(自分を含めて)までのEndNote X7.2ユーザーを共有相手に設定し,EndNoteのライブラリデータを共有することができるようになります。添付ファイルの閲覧や編集・削除など,共有相手は全データへのフルアクセスが可能となります。

2. EndNoteオンラインのデータ容量が無制限に
EndNote X7から取得したEndNoteオンラインアカウントは添付ファイルの容量が5GBまでに制限されていましたが,今回のアップデートで容量の制限がなくなります。追加料金は発生しません。

※本アップデートはEndNote X7をご利用の方は無償でご利用いただけます。EndNote X6以前のユーザー様は,この機会にEndNote X7へのアップグレード(有償)をご検討いただけると幸いです。

EndNote X7のご購入方法は下記ページをご参照ください。
http://www.usaco.co.jp/products/isi_rs/how.html

※本記事でご紹介した機能は,開発中の情報で,リリース時に仕様が変更される可能性があります。予めご了承ください。

・弊社EndNoteホームページ
http://www.usaco.co.jp/products/isi_rs/endnote.html 

AAAS:新規ご購読者向け特別割引キャンペーンのお知らせ

  AAAS(米国科学振興協会)は,Science Translational Medicine 創刊5周年,および Science Signalingが 高い5年インパクトファクター(7.12)を獲得したことを祝して,新規購読に対する割引キャンペーンを以下の通り実施しています。

【割引率】  ・非営利団体・企業:通常価格より5%オフ  
【購入期限】  2014年10月末まで

※詳細については,弊社までお問い合わせください。  
・Scienceホームページ  http://www.sciencemag.org/

展示・セミナーのご案内
日時 展示・セミナー名 会場
10月6日(日)

日本医学英語教育学会主催 医学論文セミナー

慶應義塾大学医学部
11月25日(火)~11月27日(木)

第37回日本分子生物学会

パシフィコ横浜
11月29日(土)~11月30日(日)

第62回日本図書館情報学会研究大会

梅花女子大学

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