抄訳
我々は南米原産の小型霊長類であるコモンマーモセットを対象として、覚醒状態で頭皮上に設置した電極から脳活動を非侵襲的に記録する手法を開発した。本手法は、非侵襲的であり動物に負担をかけず、麻酔することなく、覚醒状態の動物から長期的な脳活動の計測が可能であるという利点がある。この手法を用いて、音声処理脳内メカニズムを理解することを目的として、9頭のマーモセットから脳波を計測し、マーモセット特有の鳴き声を聴かせている間の事象関連電位と時間周波数マップを得た。その結果、脳活動の周波数特性とその変化が年齢によって変化することが明らかになった。本手法を用いれば、音声コミュニケーションが豊富なマーモセットのデータとヒトの頭皮上脳波データの直接比較が可能となり、言語や音声処理の進化的視点に立った研究に取り組むことが可能となる。動画では、動物のハンドリング、事前の馴致訓練、脳波計測実験の各プロトコールを紹介している。