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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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2025/03/07

Sagittal adjusting screwと骨折整復デバイスを用いた胸腰椎破裂骨折に対する最小侵襲治療

論文タイトル
Minimally Invasive Treatment for Thoracolumbar Burst Fracture Using Sagittal Alignment Screws and A Trauma Reduction Device
論文タイトル(訳)
Sagittal adjusting screwと骨折整復デバイスを用いた胸腰椎破裂骨折に対する最小侵襲治療
DOI
10.3791/66957
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (213), e66957
著者名(敬称略)
小川 穣示 岡野 市郎 他
所属
昭和大学医学部 整形外科学講座

抄訳

Sagittal adjusting screw(SAS)は、可動性のある鞍状のヘッドを持つmonoaxial screwであり、矢状面においてロッドの可動性を許容し、胸腰椎破裂骨折に用いられる。専用の整復デバイスを併用することで、伸展力によるligamentotaxisを利用した椎体高・脊柱管内突出骨片の整復および角度矯正が可能である。また、SASシステムは経皮的に使用可能な最小侵襲手技として用いることが可能であり、従来のシャンツスクリューや通常の多軸椎弓根スクリューと比較して、多くの点で優れている。本プロトコールでは、胸腰椎破裂骨折の治療におけるSASシステムについて各ステップを概説し、整復および固定術の手技について手術動画を用いて解説する。また、単一施設のSASシステムを使用した症例シリーズにおいて、術後の後弯角変化率および椎体高変化率について提示する。

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2025/02/14

力学刺激を操作するゼブラフィッシュ心臓管腔内への磁気ビーズの留置法:メカノトランスダクション機構による心臓弁形成の解明にむけて

論文タイトル
Magnetic Bead Grafting in the Zebrafish Cardiac Lumen for Controlled Force Amplification: Unraveling Mechanotransduction in Heart Valve Development
論文タイトル(訳)
力学刺激を操作するゼブラフィッシュ心臓管腔内への磁気ビーズの留置法:メカノトランスダクション機構による心臓弁形成の解明にむけて
DOI
10.3791/202562-v
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (215), e67604
著者名(敬称略)
Christina Vagena-Pantoula, 福井 一 他
所属
徳島大学先端酵素学研究所 生体力学シグナル分野
著者からのひと言
本手法は筆者らが2021年に報告した論文(Fukui et al., Science:374, 351-354)で開発した手技について詳しく説明したものになります。私たちはゼブラフィッシュ心臓管腔に力学刺激を入力しましたが、本手法は他の動物種、組織、細胞など、さまざまな研究に応用できる可能性をもちます。ご不明点・ご相談などありましたら、ホームページよりお問い合わせ頂ければと思います。

抄訳

心臓の管腔では血流や血圧、拍動による伸展収縮といった力学刺激が継続的に生じる。これらの力学刺激は心臓弁や肉柱といった心臓管腔の機能的構造形成に必須の役割を果たす。しかしながら、力学刺激がどのように生体応答機構を調節するのか、直接的な関係性を示す知見は乏しい。我々はゼブラフィッシュ胚の心臓管腔内部に磁気ビーズを生きたまま留置し、心臓管腔に異所性の力学刺激を与える新たな手法を開発した。本論文では、実際の手順を記述し、動画をふまえて紹介する。この手法を施すことで、磁気ビーズは拍動・血流に応じて心臓管腔表面に触れ、離れ、管腔内の力学環境が異所的に変化する。また管腔内の磁気ビーズは、磁力によって胚外部から人為的に操作できる。これらから、力学刺激とそれに直接的に応じる生体応答(メカノトランスダクション)機構の解析、さらには心臓弁を含む心臓管腔の組織形成機構の理解をすすめることができる。

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2025/01/14

マウスにおける動脈内薬剤投与のための総頸動脈の剥離と内頸動脈内注射

論文タイトル
Common Carotid Artery Isolation and Intracarotid Injection for Intraarterial Delivery in Mice
論文タイトル(訳)
マウスにおける動脈内薬剤投与のための総頸動脈の剥離と内頸動脈内注射
DOI
10.3791/201638-v
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (205), e66303
著者名(敬称略)
Daniel Ledbetter 清水 勇三郎 他
所属
順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経外科

抄訳

悪性脳腫瘍に対する経動脈的薬剤投与法の開発のため、マウスモデルを使用した頸動脈内注射法が行われてきた。従来法は、薬剤を総頸動脈(CCA)に穿刺注入したあとCCAを結紮するため、頸動脈注射は1回だけに制限されていた。本研究では、CCAを穿刺後に修復し、その後の再注射を可能にする方法を開発した。注射の際には、外頸動脈に縫合糸を巻き付けた後に針をCCAに挿入し注入することで、治療薬は内頸動脈に送達される。CCA内注射の後に注射部位を縫合修復することで、CCA内の血流を回復させ、一部のマウスモデルで観察される脳虚血の合併症を回避することができる。また、頸動脈内注射による骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(BM-hMSCs)の投与の実験で、注射部位修復の有無による頭蓋内腫瘍への投与効果を比較した。BM-hMSCsの投与は、いずれの方法でも有意な差は認めなかった。その結果、CCAの注射部位を修復することで、同じ動脈から繰り返し注射を行うことが可能となり、注入物質の分布や到達に影響を及ぼさないことが示された。これにより、柔軟性のあるモデルが提供され、ヒトにおける頸動脈内注射をより正確に再現することが可能となった。

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2024/12/13

全自動システムによるリコンビナントタンパク質の迅速糖鎖品質評価

論文タイトル
Rapid Glyco-Qualitative Assessment of Recombinant Proteins Using a Fully Automated System
論文タイトル(訳)
全自動システムによるリコンビナントタンパク質の迅速糖鎖品質評価
DOI
10.3791/66571
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments (JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (208), e66571
著者名(敬称略)
布施谷 清香 久野 敦 他
所属
産業技術総合研究所 細胞分子工学研究部門 分子細胞マルチオミクス研究グループ
著者からのひと言
従来、糖鎖分析は多くの時間と手間を要し、基本的に手作業で行われていました。しかし、新しいシステムの導入により、全自動での分析が可能となり、糖鎖の構造や修飾を効率的に識別し、短時間でタンパク質の質的特徴を評価できるようになりました。このシステムは、組換えタンパク質の製造過程における品質管理の向上や、製造プロセスの最適化に大きく貢献することが期待されます。

抄訳

タンパク質のグリコシル化は、重要な翻訳後修飾であり、バイオ医薬品を含む組換えタンパク質の安定性、有効性、免疫原性に影響を与える。糖鎖構造は、生産細胞の種類、培養条件、精製方法によって異なる大きな不均一性を示すため、組換えタンパク質の糖鎖構造のモニタリングと評価は非常に重要である。加えて、産業界で適応させるためには、自動化されたハイスループットな手段が必要である。そこで、「bead array in a single tip (BIST)」技術のコンセプトを活用して世界初の全自動レクチンベースの糖鎖プロファイリングシステムを開発した。本システムでは、糖鎖を認識するレクチン固定化ビーズをそれぞれ1,000個単位で調製・保存することができ、様々な目的に合わせてチップを作製、カスタマイズ可能である。システムの汎用性を高めるため、N型糖鎖やO型糖鎖を認識する15種類のレクチンを選択し、内包したチップを「標準GlycoBISTチップ」と名付けた。本システムの信頼性は再現性試験や長期保存試験を通じて確認され、さらにサンプルのラベリングプロセスを最適化し、全体の処理時間を30分短縮した。また、データの視認性向上のために、レクチン結合シグナルは機器モニターにドットコードとして表示される。このユーザーフレンドリーで迅速な糖鎖分析装置は、糖質科学に馴染みのない研究者による分析を容易にし、実用的な有用性を広げることが期待される。

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2024/12/09

覚醒コモンマーモセットにおける同種他個体の鳴き声を聴いている間の頭皮上脳波計測

論文タイトル
Electroencephalography Measurements in Awake Marmosets Listening to Conspecific Vocalizations
論文タイトル(訳)
覚醒コモンマーモセットにおける同種他個体の鳴き声を聴いている間の頭皮上脳波計測
DOI
10.3791/66869
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments (JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (209), e66869
著者名(敬称略)
鴻池 菜保 中村 克樹 他
所属
京都大学ヒト行動進化研究センター 高次脳機能分野/認知神経機構学分科 京都大学白眉センター
著者からのひと言
サルの頭皮上から脳波を計測して、主に聴覚情報処理にかかわる神経メカニズムを明らかにする一連の研究を開発者の新潟大学脳研究所の伊藤浩介先生とともに実施してきました。今回は、実際の計測手法を動画形式で示すことにより、興味をもった方に実際に試していただけるように工夫しました。是非、ご覧ください!

抄訳

我々は南米原産の小型霊長類であるコモンマーモセットを対象として、覚醒状態で頭皮上に設置した電極から脳活動を非侵襲的に記録する手法を開発した。本手法は、非侵襲的であり動物に負担をかけず、麻酔することなく、覚醒状態の動物から長期的な脳活動の計測が可能であるという利点がある。この手法を用いて、音声処理脳内メカニズムを理解することを目的として、9頭のマーモセットから脳波を計測し、マーモセット特有の鳴き声を聴かせている間の事象関連電位と時間周波数マップを得た。その結果、脳活動の周波数特性とその変化が年齢によって変化することが明らかになった。本手法を用いれば、音声コミュニケーションが豊富なマーモセットのデータとヒトの頭皮上脳波データの直接比較が可能となり、言語や音声処理の進化的視点に立った研究に取り組むことが可能となる。動画では、動物のハンドリング、事前の馴致訓練、脳波計測実験の各プロトコールを紹介している。

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2023/07/10

免疫細胞の浸潤研究に適した血液脳関門構成内皮細胞の分化誘導

論文タイトル
Differentiation of Human Induced Pluripotent Stem Cells to Brain Microvascular Endothelial Cell-Like Cells with a Mature Immune Phenotype
論文タイトル(訳)
免疫細胞の浸潤研究に適した血液脳関門構成内皮細胞の分化誘導
DOI
10.3791/65134
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (195), e65134
著者名(敬称略)
松尾欣哉 西原秀昭 他
所属
山口大学大学院医学系研究科臨床神経学講座
山口大学医学部 神経・筋難病治療学講座

抄訳

血液脳関門 (blood-brain barrier:BBB) の破綻は種々の神経疾患でみられる病理所見だが,患者由来BBB検体の入手が困難であることが研究の障壁であった.我々はヒト人工多能性幹細胞 (human induced pluripotent stem cell:hiPSC)から脳微小血管内皮細胞様細胞を誘導する手法を開発し,患者由来BBBモデルを用いた研究を可能にした.まずWnt/β-cateninシグナルを活性化しhiPSCを内皮前駆細胞に分化させ,磁気ビーズを用いた細胞選別でCD31陽性細胞を採取した.一定の割合で含まれる平滑筋様細胞を複数回の継代によって分離し,BBBの特性をもった純粋な内皮細胞を得た.本モデルは,ヒト初代培養細胞同等のバリア機能を有し,既存のhiPSC 由来 in vitro BBB モデルと比べ,形態および発現遺伝子が高純度な内皮細胞の性質を有することと,適切な接着分子が発現している利点があり,BBBと免疫細胞との相互作用の研究に有効なモデルである.

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2023/07/07

ラット間における腹部異所性心移植の手術手技の改良と新規大動脈弁逆流モデルの開発

論文タイトル
Modified Heterotopic Abdominal Heart Transplantation and a Novel Aortic Regurgitation Model in Rats
論文タイトル(訳)
ラット間における腹部異所性心移植の手術手技の改良と新規大動脈弁逆流モデルの開発
DOI
10.3791/64813
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (196), e64813
著者名(敬称略)
辻 重人 嶋田 正吾 他
所属
東京大学医学部附属病院 心臓外科

抄訳

50年以上前からマウスやラット間における腹部異所性心移植が報告されており、様々な改良がなされてきた。今回我々は、移植手技において心筋保護を強化する改良を行うことで、移植心の機能を維持し、初学者でも高い成功率を達成できる手術手技を確立した。①心臓摘出前にドナーの腹部大動脈を切開・瀉血してドナー心の負荷軽減を図ること、②心筋保護液をドナー心の冠動脈に注入すること、③吻合操作中にドナー心の持続的な局所冷却を行うこと、の3点が手技のポイントである。
加えて、右頚動脈からカテーテルを挿入し、エコーガイド下で大動脈弁を穿刺する従来の大動脈弁逆流モデルとは異なる、腹部異所性心移植を用いた新たな大動脈弁逆流モデルを開発した。ドナー心摘出後に腕頭動脈からガイドワイヤーを挿入し、大動脈弁を穿刺して大動脈弁逆流を作成した上でレシピエントへ移植する方法である。既存のモデルと比較して穿刺手技が容易であり、また大動脈弁逆流を作成したドナー心はレシピエントの循環に直接影響しないため、既存のモデルと比較してより重度な大動脈弁逆流モデルが作成可能と考えている。

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2023/01/05

こどもの社会形成を促すプレーパークの各斜面を活かした4つの仮設置式のウォータースライダー

論文タイトル
Four Temporary Waterslide Designs Adapted to Different Slope Conditions to Encourage Child Socialization in Playgrounds
論文タイトル(訳)
こどもの社会形成を促すプレーパークの各斜面を活かした4つの仮設置式のウォータースライダー
DOI
10.3791/64235
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (190), e64235
著者名(敬称略)
Zhudi Hua 小柴 満美子 他
所属
山口大学工学部附属ものづくり創成センター

抄訳

こどもが多様な自然・屋外で仲間とコミュニケーションしながら将来、多様な課題を乗り越える複雑な学びを遊びを介して育む。しかし、現代は都市化が進み、自然環境や屋外での仲間どうしの交流ができなくなっている。その解決を目指した都市部の街区公園や小学校庭が有す斜面や階段を活かして、斜面がなければ簡易な斜面をつくり、こどもからおとなまでの市民が一体となって用意し片づける簡易仮設置式のウォータースライダーのデザイン・作成法を4つの事例を伴い紹介する。1-2時間の開催中、多数のこどもたちがひっきりなしに遊び、分け隔てのないダイバーシティなふれあいが生まれ、社会相互作用が育まれた。行動定量分析を伴い、こども全員がよく連携して高速で次々と滑るパターンなどが生まれたことが、認められた。こどもの小さなリスク体験は大事な学びであり、成人社会で進むリスク回避で抑制してしまったこどもの自主的課題発見と協働し克服する術を学ぶ補完が、こどもたちによってこれらの動画に表現された。

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2022/12/16

げっ歯類を対象とした空間ナビゲーション試験の再現性を高めるための再構成可能な迷路システムの活用法

論文タイトル
Utilizing a Reconfigurable Maze System to Enhance the Reproducibility of Spatial Navigation Tests in Rodents
論文タイトル(訳)
げっ歯類を対象とした空間ナビゲーション試験の再現性を高めるための再構成可能な迷路システムの活用法
DOI
10.3791/64754
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (190), e64754
著者名(敬称略)
澤谷 郁哉、髙橋 晋 他
所属
同志社大学大学院脳科学研究科システム神経科学分野認知行動神経機構部門

抄訳

げっ歯類の空間ナビゲーション能力や行動表現型を調べるために、様々な形状の迷路が用いられてきた。ところが、各迷路試験には異なる構成の個別の迷路装置が必要であるため、単一の環境下で様々な迷路試験を実施することや、それらの迷路形状の再現性を確保することは困難であった。再構成可能迷路は、この制限を解決するために開発された迷路システムで、様々な形状の迷路を迅速かつ柔軟に構成し、再現性の高い実験を単一の物理環境で実施できる。この迷路システムは連結した走路で構成され、給餌箱、トレッドミル、可動式壁、遮断センサーを備えている。本稿では、再構成可能迷路がT字型、十字型、W字型、8の字型などの既存の迷路を再現できることを示す。また、本稿で紹介する迷路試験プロトコルは、標準化された部品を段階的に追加することで、動物が学習する段階に合わせ迷路を拡張できる柔軟性を説明している。再構成可能迷路は、げっ歯類の空間ナビゲーション行動を系統的かつ精確に評価できる環境を提供する。

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2022/09/05

遺伝子改変マウス作製を高度化するための、胚性幹細胞を用いたCRISPR/Cas9による高効率遺伝子ターゲティング法

論文タイトル
CRISPR/Cas9-Mediated Highly Efficient Gene Targeting in Embryonic Stem Cells for Developing Gene-Manipulated Mouse Models
論文タイトル(訳)
遺伝子改変マウス作製を高度化するための、胚性幹細胞を用いたCRISPR/Cas9による高効率遺伝子ターゲティング法
DOI
10.3791/64385
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (186), e64385
著者名(敬称略)
小沢 学 他
所属
東京大学医科学研究所 システム疾患モデル研究センター 生殖システム研究分野

抄訳

CRISPR/Cas9システムの登場により、受精卵を用いたゲノム編集による遺伝子改変マウスの開発が可能になった。しかしながら、受精卵ゲノム編集では、小さなインデル変異の導入によるフレームシフト型遺伝子ノックアウトマウスの作製効率は高いものの、長鎖DNAノックイン(KI)の作製効率は依然として十分であるとは言えない。これに対し、胚性幹細胞(ES細胞)を用いた遺伝子ターゲティングとキメラマウス樹立による遺伝子改変マウス作製法は、in vitroでハイスループットのターゲティングが行えること、また複数遺伝子座の同時改変がきるなど数多くのメリットが存在する。加えて、BALB/c系統といったin vitroでの受精卵の取り扱いが困難なマウスも、ES細胞を用いたターゲティングには利用可能である。本プロトコルでは、CRISPR/Cas9によるゲノム編集を応用した、ES細胞の長鎖DNA KIの最適化方法と、その後のキメラマウス作製による遺伝子操作モデルマウスの作製法について詳細に説明する。

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