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ユサコニュース詳細

USACO News:詳細

2021/03/31:第324号 GetFTRの現状
 

GetFTRの現状

 雑誌論文は,サーチエンジンやデータベースサービスなどのディスカバリーツールでニーズにあったレコードを発見し,そのフルテキストを提供するサイトにアクセスする流れで閲覧されることが多い。意中のフルテキストへ辿り着く手順は,機関購読の有無,施設の内か外か,オープンアクセスやプレプリントが入手できるかなどに左右され,研究者にとって単純なフローになっているとは言えない。リンクリゾルバーはこのような状況を改善する代表的なツールとして多くの研究機関に導入されてきた。

 GetFTR(Get Full Text Research)はディスカバリーツールや学術プラットフォームから研究成果へのアクセスを簡素化することを目的に,2019年12月に米国化学会(ACS),Elsevier,Springer Nature,Taylor & Francisグループ・Wileyがスポンサーとなり始動した取り組みだ。

 GetFTRは,entitlement checkと呼ばれる,閲覧者が所属機関の購読契約やオープンアクセスなどで当該コンテンツに対する利用権をもっているかの確認をリアルタイムで行い,最新・最善のコンテンツへのダイレクトリンク(GetFTR smart link)を提供する。PDF,HTMLどちらのフルテキストにリンクするか,また,利用権がない場合も,プレプリントなどの代替コンテンツを提供するかを出版社が決めることができる仕様になっている。

 ディスカバリーツールと参加出版社間の通信はGetFTR APIが担う。ディスカバリーツールから文献DOIと閲覧者の所属機関の情報が送られる。参加出版社内ではその情報と典拠データが照合され利用権確認が行われる。閲覧可否はスマートリンクとともにディスカバリーツールに返戻されリンク部分に表示される。クリックする前に可否を知らせることで閲覧者が時間を浪費しないようにしている。実装作業はディスカバリーツールを提供するインテグレーターと参加出版社側のみが行い,利用機関による導入作業や費用は発生しない。

 現時点での出版社側の採用は,設立5社の他に,Karger,American Society of Civil Engineersが加わり,ディスカバリーツールとしては,Mendeley,Semantic Scholar,Dimensions,Figshare,ReadCube Papers,Researcher Appが実装を完了し,今後も拡大することが期待されている。
 オープンアクセスの状況をモニターするサービスのCHORUSは,従来,出版社サイトに最終刊行版(VoR),著者最終稿(AAM)が公開されているかを確認する監査プロセスを手作業と自動化の組み合わせで行っていたが,GetFTR APIを応用し自動化を実現した。

 2021年2月16日付のScholarly KitchenでGetFTRの中心人物であるACSのRalph YoungenとWileyのTodd Tolerがパイロット期間と位置付けられた2020年に得られた教訓と対応を共有している。

 その中で,図書館コミュニティーから有用なフィードバックが多く寄せられ,コラボレーションの重要性を認識したことが挙げられている。それに応えるべくアドバイザリーグループに図書館関係者を2名招聘した。また,GetFTRが図書館利用者に何をもたらすか明確に理解されていないことから,図書館員向けセミナーを継続的に実施することにした。

 技術仕様面では,閲覧者の所属機関の同定のためにIP認証を追加することにした。当初はIP認証よりもセキュアで技術的な優位性が高いSeamlessAccess.Orgによるフェデレーション認証のみの対応だった。そのためGetFTRがSeamlessAccess.Orgを推進する狙いをもっているものと受け取られていた。しかしながら,現状ではIPアドレスベースの認証は学術リソースにアクセスする上で,まだ重要な手段であり,しばらくは利用が継続すると予測されることから柔軟に対応することになった。具体的にはIP認証による利用権確認を先に行い,そこで利用機関が特定できなかった場合にフェデレーション認証するロジックをスマートリンクに含めるようにした。
 また,フルテキストコンテンツのリンク先にアグリゲーターを追加した。これもEBSCOなどのアグリゲーターが雑誌コンテンツの供給において重要な役割を果たしていることを反映した方針変更と考えられる。ただし,実現には技術的に困難がともない今後の課題になっている。

 パンデミックにより学術コンテンツをリモートアクセスで利用する機会が増え,機関IPレンジの内外からの利用に対応するGetFTRの有用性は高まっている。すでに参加出版社とインテグレーターも前述以外の申込があり今後も増加するだろう。リンクリゾルバーは利用機関がリンク先をコントロールするモデルであるのに対し,GetFTRは出版社がその機能を負う。2つの異なるアプローチは,当面,双方を補完しながら共存することが予想される。どちらも閲覧者の利用環境の向上と研究活動の効率化を最大の目的として開発されたものであり,その達成のためには利害関係者全体の協力が欠かせない。


<参考>
Get Full Text Research
https://www.getfulltextresearch.com/

ユサコニュース 第302号 オープンアクセスのモニター:CHORUS
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=5&dispmid=605#un01

ユサコニュース 第316号 コロナと学術資源のアクセス認証:SeamlessAccess.Org
https://www.usaco.co.jp/u_news/detail.html?itemid=1235&dispmid=605#un00

JoVE関連:経産省STEAMライブラリー「新型コロナde問いマンダラ」公開

 2021年3月1日,経済産業省は,「未来の教室」ポータルサイトに「STEAMライブラリーVer.1」※を公開しました。

 今回公開された「STEAMライブラリーVer.1」のひとつ,「新型コロナde問いマンダラ」(一般社団法人 知識流動システム研究所(KMS),岡山大学)で,研究・教育動画を提供するJoVEがコンテンツ開発に協力しました。

 「新型コロナde問いマンダラ」は新型コロナウイルス感染症に関する様々な「問い」に対して知識や理解を深めるヒントを,研究者から実務家まで各分野の専門家から集めた教材です。
 【「問い」に答える専門家など】一覧にJoVEが含まれており,1コマ目:ウイルス(動画:5-7),2コマ目:予防(動画:10-13)の中で,JoVEの教育ビデオ(Core Biology,Science Education Clinical SkillsセクションのCoronavirus / COVID-19 Proceduresコレクション)が利用されています。

STEAMライブラリー「新型コロナde問いマンダラ」のページ:
https://www.steam-library.go.jp/content/8

※「STEAM」(Science(科学),Technology(技術),Engineering(工学),Arts(人文社会・芸術・デザイン)and Mathematics(数学))は,「学際融合・探究・プロジェクト型」を特徴とする学習手法として世界共通の教育改革のキーワードです。

 学びのSTEAM化の実現のために,企業・研究機関が参画のもと始まったのがSTEAM ライブラリー事業で,STEAMライブラリーは,「知る」と「創る」の循環的な学びを実現するための教材コンテンツや指導案などが1カ所に集約されたプラットフォームです。
 コンテンツは小~高を対象とした主教材(動画等)と補助教材で構成されており,オンライン上で提供されています。
学校でも個人でも使えるデジタル教材で,無料で利用可能です。

経済産業省「STEAMライブラリーVer.1」公開のニュースリリース:
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210301001/20210301001.html

一般社団法人 知識流動システム研究所(KMS)のページ:
https://www.smips.jp/KMS/2021/03/01/learning-innovation-2020-kms-2/

CopyMonitor:代理店契約締結

 弊社はこのたび,著作物の類似度を判定するクラウドサービスCopyMonitorについて,CopyMonitor Inc.と代理店契約を締結しました。

 CopyMonitorはアップロードした文書ファイルをインターネット上のあらゆる情報や独自のデータベースと比較し,文書同士がどれだけ類似しているかを判定するソリューションです。レポートや論文の剽窃チェック,新規性の確認に用いることで,著作物や出版物の信頼性を高め,研究者や著者の知的財産を守るためのツールとして利用できます。

詳細は弊社までお問い合わせください。

<参考>
・CopyMonitor ホームページ
https://www.copymonitor.jp/

・弊社CopyMonitor 商品ページ
https://www.usaco.co.jp/product/detail.html?pdid=309

EndNote 20:パッケージ版発売とアップデート

●EndNote 20パッケージ版発売
文献管理・論文作成支援ソフト『EndNote』の最新版,バージョン20のパッケージ版を3月5日に発売しました。
インターフェースの刷新やPDFリーディング機能の改善が行われ,従来の便利な機能は継承しつつ,さらに使いやすくなったEndNote 20をぜひお試しください。

<EndNote 20の新機能>
■新しいインターフェース
ユーザーテスターの95%に好まれたより直感的なインターフェースで,文献管理と論文原稿の準備にかかる時間をさらに節約できます。

■PDFリーディング機能の改善
フルサイズで表示されるPDFや直感的に洗練されたツールバーにより,フルテキストの読み込みや注釈の追加がより簡単になります。

■文献情報の編集機能改善
文献情報の中でもっとも重要な部分を一目で判断でき,フォーマット済みの文献情報をすばやくコピーできます。

■検索機能の改善
ライブラリ内にあるかオンラインデータベースにあるかを問わず,文献情報をより簡単に検索できます。

■重複文献除去機能の改善
ライブラリに同じ文献情報が複数個収録されているときの検知機能が強化され,DOIやPMCIDでも重複文献か判定できるようになります。
特にシステマティックレビューなどの大規模なプロジェクトを行っているとき,重複した文献をより素早く取り除けるようになります。

・EndNote 20デジタルカタログ
https://my.ebook5.net/usaco/endnote20/

・EndNote 20ウェブサイト
https://www.usaco.co.jp/endnote/

●EndNote 20.0.1アップデートのお知らせ
EndNote 20 の無償アップデートプログラム 20.0.1 が3月17日にリリースされ、複数の不具合が修正されました。
・アップデートの詳細とダウンロード手順はこちら
https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=195

Writefull:無料ウェビナー

 Wrifefullは国内での販売開始にあたり、関係者によるウェビナーを日本向けに開催します。

▼ 日程・お申込み要領(以下のリンクからご登録ください)
4月13日(火)17:00 - 18:00 
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_28hP_nqwQxSzVJ7wLXHF3w
4月27日(火)17:00 - 18:00 
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_7XQE4Yz_TmWAr1_losuj7g
5月12日(水)17:00 - 18:00 
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_rgyxzQIJQTaM2EEv30gjww

▼ 内容と形式
Writefull概要、実演、質疑応答。Zoomによる無料ウェビナー

▼ スピーカー
Igor Osipov, PhD (Digital Science社副社長)
Juan Castro, PhD/Alberto Villar, PhD(Writefull創業者)
Hilde van Zeeland, PhD/Melodie Garnier, PhD(Writefull 応用言語学担当)

▼ 言語
英語(質疑応答は通訳付き)

皆様のご参加をお待ちしています。

【お問い合わせ先】
ユサコ株式会社 事業開発部
E-mail: marketing@usaco.co.jp

Third Iron:LibKey機能拡張

 学術図書館向け電子ジャーナル閲覧支援システムを提供するThird Iron社の「LibKey」がアップデートされました。「LibKey」は,機関の内外から,PCのみならずタブレットやスマホからのフルテキストアクセスを円滑にするサービスです。

今回のアップデート内容は下記のとおりです。

・LibKey Nomad
1) Google Scholar Auto-Affiliation
「LibKey Nomad」にGoogle ScholarによるAuto-Affiliation機能が追加されました。
LibKey Nomadのブラウザエクステンション機能をインストールしていれば,利用者がGoogle Scholar設定メニューの「図書館リンク」で所属機関のリンクリゾルバーを選択しなくとも図書館リンクを表示できるようになりました。
2) グループポリシー設定への対応(Chrome・Firefox)
以前より機関が管理するコンピューター全体に対しMicrosoftグループポリシーを使いLibKey Nomad Chrome版を導入することができました。本アップデートによりFirefox版も可能になりました。

・LibKey Discovery
Primo, SummonにおいてLibKey Discoveryの機能が強化されました。
今回のアップデートにより,HTML形式で提供される論文を閲覧しようとした場合”Download PDF”ではなく”Read Article”のリンクが表示されるようになります。これによりどの形式のデータが開くのかボタンをクリックする前に分かるようになりました。
このアップデートは自動で行われ,ご利用機関での作業は必要ありません。

Quertle: Qinsight™アップデート

 このたびQuertle社は,AIベースのドキュメント検索プラットフォーム「Qinsight™」のアップデートを実施しました。

1. 新たな視覚分析機能 “Network Graph”を追加
従来のConcept Connectionsの新しい表示オプションとして,“Network Graph”が追加されました。Concept Connectionsを実行後,プルダウンメニューからNetwork Graphを選択することで,検索結果に含まれる概念同士の繋がりの強さをネットワークで表現した画像で視覚的に提示します。

2. ユーザーインタフェースのレスポンシブ対応
ユーザーインタフェースをより適切に,利用する端末に合わせて表示するよう変更しました。ブラウザのウインドウサイズに合わせて検索画面を表示するだけでなく,タブレットやスマートフォンでも画面のサイズに合わせ,より見やすく表示します。

3. 無料アクセスのアイコンを追加
一部の出版社サイトで無料アクセス可能な文献に新しいアイコンが表示されるようになりました。

4. Key Concepts の絞り込み候補を即座に表示
同一セッション内において,Key Conceptsの情報をシステム上に一時的に保存するよう変更しました。これにより,同じ検索語で再検索を実行した場合,即座にKey Concepts の絞り込み候補を表示するよう改善されました。

5. Wordフォーマットでの出力機能を追加
検索結果をWordフォーマットで出力できるようになりました。出力ファイルにはRelevant Statements(ハイライトを含む),または抄録を含むかどうかのオプションを選択できます。

詳細は弊社までお問い合わせください。

弊社Qinsight™ホームページ
https://www.usaco.co.jp/product/detail.html?pdid=305

BioOne:収録誌追加とタイトル変更

 生物(生命)科学,生態学,環境科学系の電子ジャーナルを提供するBioOneより,収録誌の追加と,一部収録誌のタイトル変更のお知らせです。

 2021年1月より,Michigan State University Pressが出版するAquatic Ecosystem Health & ManagementがBioOne Completeに加わりました。2019年から現在までのすべての号が閲覧でき,XML形式での入手も可能です。

 また,2つの学会誌がタイトルの変更を発表しました。American Society of Ichthyologists and Herpetologistsが刊行するCopeiaは,2021年からIchthyology and Herpetologyとなります。American Ornithological Societyが刊行するThe AukはOrnithologyへ,The CondorはOrnithological Applicationsへ変更されます。

 BioOne Completeの製品詳細については,弊社商品ページにて日本語版プレゼン資料と製品説明ビデオ(英語)を公開しております。下記URLよりご覧ください。

・BioOne News (Volume 15, Issue 1, March 2021)
http://bioonepublishing.org/BioOneNews/Vol%2015/Vol.15.1.html

・弊社 BioOne Complete 商品ページ
https://www.usaco.co.jp/product/detail.html?pdid=212

BMJ Newsletter March 2021 edition

 BMJ Publishing Group からのニュースレター 2021年3月号の内容を抜粋しご紹介します。

・コロナウイルス関連情報の特設ページを,医療従事者や研究者への支援として,無料で開放しています。

BMJ’s Coronavirus (covid-19) Hub
https://www.bmj.com/coronavirus

・臨床意思決定支援ツール「BMJ Best Practice」の機能「Comorbidities」のトピックス数が50に増えました。Comorbiditiesは,急性症状の診療時に,考慮すべき併存症の情報を提供する機能です。 全世界で500名以上のユーザーにアンケートしたところ,回答者の92%以上がComorbiditiesのガイダンスを高く評価しました。Comorbiditiesを紹介したオンライン・フォーラムの動画が公開されています。

 Comorbiditiesの紹介動画(英語)
https://vimeo.com/475900759/4f95a5eb67 

・世界最大の症例報告コレクション「BMJ Case Reports」 の掲載症例数が,22,000というマイルストーンに達しました。BMJ Case Reportsは, 医療従事者の教育リソースとなるほか,若手研究者の医学出版をサポートします。購読機関に所属する研究者は,収録の症例を閲覧可能なだけではなく,投稿費用なしに症例を投稿することができます。

 BMJ Case Reports
https://casereports.bmj.com

・BMJニュースレター 2021年3月号
https://www.usaco.co.jp/Portals/0/images/product/BMJ/What's_New_at_BMJ_(March_2021).pdf

・弊社BMJ Publishing Group商品ページ
https://www.usaco.co.jp/product/detail.html?pdid=154

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