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国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2025/08/25

Corynebacterium jeikeium complexにおいてヒトに感染症をきたす主要菌種であるCorynebacterium macclintockiaeのゲノム疫学と抗菌薬耐性

論文タイトル
Genomic epidemiology and antimicrobial resistance of Corynebacterium macclintockiae, the predominant species of human pathogens within the Corynebacterium jeikeium complex
論文タイトル(訳)
Corynebacterium jeikeium complexにおいてヒトに感染症をきたす主要菌種であるCorynebacterium macclintockiaeのゲノム疫学と抗菌薬耐性
DOI
10.1128/jcm.00500-25
ジャーナル名
Journal of Clinical Microbiology
巻号
Journal of Clinical Microbiology 2025 Aug 13;63(8):e0050025
著者名(敬称略)
原田 壮平 他
所属
東邦大学 医学部 微生物・感染症学講座
著者からのひと言
Corynebacterium属菌は一般的には病原性が低いと考えられていますが、C. jeikeiumは免疫不全者の感染症の起因微生物となり、多剤耐性を示すことが知られています。本研究では病院の検査室でC. jeikeiumと同定された臨床分離株のほとんどが、全ゲノム解析では2023年に報告された新種であるC. macclintockiaeと同定されました。公共データーベースを用いた解析からは本菌種が日本国外にも広く分布していることが示唆されましたが、疫学的背景や臨床的特徴については未解明な点が多く、今後の検討が待たれます。

抄訳

Corynebacterium jeikeiumのゲノム的特徴や治療法は未解明な点が多い。本研究では、まず単施設のC. jeikeium感染症6例(MALDI-TOF MSにより同定)の原因菌株の全ゲノム解析を行い、これらが全て遺伝学的にはCorynebacterium macclintockiaeと同定されることを確認した。さらに全国8施設から収集した血流感染症由来のC. jeikeium 33株についても全ゲノム解析を行ったところ、うち32株はC. macclintockiaeと同定された。C. macclintockiaeは多剤耐性を示したが、テイコプラニンを含めた抗MRSA薬の感受性は良好であり、全体の約60%を占めるtet(W)非保有株ではテトラサイクリン系にも感性を示した。世界各国から公共データーベースに登録されたC. jeikeiumおよび近縁菌(C. jeikeium complex)の27株の全ゲノム解析データを加えた解析でも、遺伝学的には約77%がC. macclintockiaeと同定された。

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2025/08/25

マウス鼻腔洗浄液の採集法:最大限の収量と最小限の血液混入を達成 

論文タイトル
Murine Nasal Lavage Fluid Collection without Blood Contamination
論文タイトル(訳)
マウス鼻腔洗浄液の採集法:最大限の収量と最小限の血液混入を達成
DOI
10.3791/68451-v
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments (JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (221), e68451
著者名(敬称略)
Ijaz Ahmad*(イジャーズ・エフマド)佐藤 文孝* 角田 郁生 他
所属
近畿大学医学部微生物学講座
著者からのひと言
鼻腔洗浄液(NLF)は、新型コロナウイルスを含む呼吸器ウイルス感染時に、ウイルスとIgAの定量に使用されます。ヒトNLF採取においては、血液混入は問題となりませんが、マウス・ラットでは血液混入を最小限にするために経気管支法が使用されてきましたが、NLF収量が低いことが問題です。そこで本論文では、NLFを大量に採取できる経咽頭法を改良することで、血液混入を最小限にし、かつ高いNLF収量が達成できる新手法を紹介しています。また、血液の混入をルミノール反応で高感度かつ安価に検出する手法も紹介しています。

抄訳

鼻腔洗浄液(nasal lavage fluid,NLF) には、鼻粘膜のIgA抗体やウイルス・細菌が含まれており、ワクチンや感染症の際に、粘膜免疫測定や病原体同定に使用される。マウスとラットからNLFを採取するルートとして、後鼻孔にカテーテルを挿入しNLFを鼻孔から回収する経咽頭法が、回収量が多いため有用であるが血液の混入が問題である。例として、IgA濃度はNLFより血液で高いため、NLF採取においては、血液の混入を避けることが必須となる。本論文では、経咽頭法を施行する際に、動物の口腔内に綿球を挿入し血液を吸収させることで、NLFへの血液混入を最小限にする新規のNLF採取法を紹介する。この新規NLF採取法が、従来の手法に比べ、血液混入が最小限であることを以下の二つの方法で明らかにした。1)法医学に頻用されるルミノール反応により、簡便かつ高感度でヘモグロビン濃度を測定。2)ELISA法によりIgA濃度を、NLFと血清で定量。

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2025/08/25

老化血管内皮細胞におけるSARS-CoV-2の取り込みと炎症反応は、BSG/VEGFR2経路によって調節される

論文タイトル
SARS-CoV-2 uptake and inflammatory response in senescent endothelial cells are regulated by the BSG/VEGFR2 pathway
論文タイトル(訳)
老化血管内皮細胞におけるSARS-CoV-2の取り込みと炎症反応は、BSG/VEGFR2経路によって調節される
DOI
10.1073/pnas.2502724122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.31
著者名(敬称略)
桜井優弥 樋田京子 他
所属
北海道大学大学院歯学研究院 口腔病態学分野 血管生物分子病理学教室
著者からのひと言
本研究は、長らく議論されてきた血管内皮細胞におけるSARS-CoV-2の感染機構を、老化の視点から明らかにした点に独自性があります。ACE2発現が乏しい内皮において、Basigin/VEGFR2経路を介したACE2非依存的なウイルス取り込みと炎症応答の促進を実証し、COVID-19重症化の分子基盤の一端を解明しました。これにより「なぜ高齢者が重症化するのか」という問いに応え、新たな治療標的の可能性を提示する成果となりました。

抄訳

本研究は、高齢者で重症化するCOVID-19において血管内皮細胞の老化が果たす役割を明らかにしたものである。従来、SARS-CoV-2の侵入受容体ACE2の血管内皮細胞における発現は極めて低いとされ、血管内皮細胞への感染には議論があった。本研究では、老化血管内皮細胞がACE2非依存的にウイルスを取り込み、NF-κB経路を介した炎症応答を強く誘導することを示した。特に、老化により上昇するBasigin(BSG)とVEGFR2シグナル活性化が、血管内皮細胞のエンドサイトーシス能を亢進させることでウイルス取り込みを促進する分子機構を解明した。さらに、ヒトCOVID-19剖検肺においても老化ECでBSG発現が高いことを確認した。これらの結果は、血管内皮細胞の老化がCOVID-19重症化の基盤である血管障害を惹起することを示すとともに、抗BSG抗体や抗VEGF療法などによる新たな治療戦略の可能性を示唆する。以上より、本研究は高齢者におけるCOVID-19重症化の分子基盤を明らかにし、血管老化を標的とした治療開発に重要な知見を提供する。

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2025/08/18

計算科学と実験手法を用いたヒト免疫グロブリンGの糖鎖に依存した構造動態変化の探査

論文タイトル
Exploring glycoform-dependent dynamic modulations in human immunoglobulin G via computational and experimental approaches
論文タイトル(訳)
計算科学と実験手法を用いたヒト免疫グロブリンGの糖鎖に依存した構造動態変化の探査
DOI
10.1073/pnas.2505473122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.32
著者名(敬称略)
谷中 冴子 加藤 晃一 他
所属
自然科学研究機構 生命創成探究センター
著者からのひと言
抗体は医薬品として広く使われており、そのはたらきを左右する糖鎖の役割が注目されています。本研究では、糖鎖の端に生じるわずかな変化が、まるで人体の“経絡”のように抗体分子の内部を伝わり、離れた部位の構造や結合性に影響を及ぼす様子を可視化しました。こうした遠隔的な制御機構の理解は、抗体医薬の設計に新たな視点をもたらします。

抄訳

ヒトIgG1抗体のFc領域に結合する糖鎖は、抗体の構造と機能に深く関与しています。本研究では、糖鎖構造の違い(ガラクトース付加とフコース除去)がFc領域の動的構造に与える影響を、安定同位体標識NMR分光法と分子動力学シミュレーションを組み合わせて解析しました。ガラクトースは糖鎖をCH2ドメインに固定する「錨」として、またドメインの動きを制限する「楔」として働き、Fc全体の柔軟性を低下させることで、Fcγ受容体(FcγR)や補体C1qとの結合を促進することが示されました。一方、フコースの除去はFcγRIIIaとの結合部位に局所的な動的構造変化をもたらします。これらの糖鎖修飾は異なる機構でありながら相乗的に抗体のエフェクター機能を高めることが明らかとなり、抗体医薬品の合理的設計に向けた重要な知見を提供します。

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2025/08/18

基質とは別の膜リン脂質PI(4,5)P2と細胞質内リンカーとの相互作用が電位依存性ホスファターゼVSPの電気化学カップリングを制御する

論文タイトル
Nonsubstrate PI(4,5)P2 interacts with the interdomain linker to control electrochemical coupling in voltage-sensing phosphatase (VSP)
論文タイトル(訳)
基質とは別の膜リン脂質PI(4,5)P2と細胞質内リンカーとの相互作用が電位依存性ホスファターゼVSPの電気化学カップリングを制御する
DOI
10.1073/pnas.2500651122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.31
著者名(敬称略)
水谷夏希 岡村 康司 他
所属
大阪大学大学院医学系研究科/生命機能研究科統合生理学教室
著者からのひと言
VSPは海産無脊椎動物のホヤのゲノム情報を契機に2005年に発見された分子で、精子における生理機能は明らかにされてきたものの、およそ1週間を要する精子の成熟過程を通して適切な強さの酵素機能をどのように持続させているのかは大きな謎のままでした。今回見つかったVSPの制御機構は長年解けなかった謎の答えであり、これによって精子の動態の理解が進むことや男性不妊の治療法開発に貢献できることが期待されます。

抄訳

古くから、全ての生物は電気信号(細胞膜の電位変化)を巧みに利用して複雑な生命現象を実現させていることが知られてきました。電位依存性ホスファターゼVSPはこの電気信号を膜リン脂質PI(4,5)P2の脱リン酸化酵素反応に変換するユニークな分子であり、マウスを用いた研究から精子の運動制御に重要な役割を果たしていることが報告されてきましたが、VSPの機能を適切に調節するメカニズムは未解明でした。本研究では、蛍光を発する人工アミノ酸の一種であるAnapを用いたvoltage clamp fluorometry実験と分子動力学シミュレーションを組み合わせ、PI(4,5)P2と細胞質内リンカーとの相互作用によってVSPの機能が制御されることを明らかにしました。さらに、VSPが脱リン酸化する「基質の」PI(4,5)P2の影響を排除できる変異体においても同様の相互作用が観察されたことから、「基質とは別の」PI(4,5)P2による機能制御メカニズムの存在が示されました。

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2025/08/12

宿主真菌集団における持続的RNAウイルスのプラスミド様動態

論文タイトル
Plasmid-like dynamics of persistent RNA viruses in the host fungal population
論文タイトル(訳)
宿主真菌集団における持続的RNAウイルスのプラスミド様動態
DOI
10.1128/jvi.00582-25
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
Journal of Virology Ahead of Print
著者名(敬称略)
千葉 悠斗 浦山 俊一 他
所属
国立大学法人 筑波大学 微生物サステイナビリティ研究センター[MiCS]
著者からのひと言
プラスミドのような生き方をしているRNAウイルスの話をすると、「それはRNAウイルスなの?」という質問をよく頂きます。この問いを持つと、「RNAウイルスって何だっけ?」という、それまで“当然”と思っていたものに意識が向きます。世界観の変質をお楽しみいただける論文です。

抄訳

ウイルスは感染を拡大させる侵略者としてのイメージが強いが、全てのウイルスがそのような戦略を取っているわけではない。本研究でモデルとして利用したRNAウイルスは、宿主微生物(糸状菌)と共存し続ける戦略を有している。つまり、宿主の細胞内で大人しく暮らしており、細胞を食い破って外に出てまた新しい細胞に感染することを止めた生き方をしている。このようなRNAウイルスが、どのようなメカニズムで長きにわたり宿主集団中で維持されてきたのか、本研究ではそのメカニズムに実験的に迫った。結果、以前から想定されていた通り、ウイルスの伝播・脱離+宿主の適応度変化の総和が重要であることが明らかとなった。面白いことに、このメカニズムはプラスミドが細菌集団内で維持されてきた機構と類似しており、そのRNAウイルスの存在意義を考えるうえで重要な知見になると期待される。

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2025/08/08

日本の農地土壌から分離したKitasatospora sp. CMC57とStreptomyces sp. CMC78の全ゲノム配列

論文タイトル
Whole-genome sequences of Kitasatospora sp. CMC57 and Streptomyces sp. CMC78 isolated from Japanese agricultural soil
論文タイトル(訳)
日本の農地土壌から分離したKitasatospora sp. CMC57とStreptomyces sp. CMC78の全ゲノム配列
DOI
10.1128/mra.00900-24
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiology Resource Announcements Ahead of Print
著者名(敬称略)
橋本 知義, 正田 岳志, 西澤 智康 他
所属
茨城大学農学部
片倉コープアグリ株式会社

抄訳

日本の農地(灰色低地土)から分離培養したキタサトスポラ(Kitasatospora)属放線菌CMC57株とストレプトマイセス(Streptomyces)属放線菌CMC78株の各ゲノムをロングリード用のOxford Nanopore Technologies(PromethION)とショートリード用のMGI Tech(DNBSEQ-G400)を用いてシーケンシングした。得られたショートリードとロングリードの遺伝情報を用いたハイブリッドアセンブリ法でほぼ完全なゲノム配列を決定し、それぞれのゲノム配列情報を報告した。 

 

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2025/08/07

サメ・エイ類は独自の性決定機構を備えた脊椎動物最古の性染色体を持つ

論文タイトル
Sharks and rays have the oldest vertebrate sex chromosome with unique sex determination mechanisms
論文タイトル(訳)
サメ・エイ類は独自の性決定機構を備えた脊椎動物最古の性染色体を持つ
DOI
10.1073/pnas.2513676122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.30
著者名(敬称略)
丹羽 大樹 工樂 樹洋 他
所属
国立遺伝学研究所分子生命史研究室
著者からのひと言
胚試料の組織学的観察に基づく性決定時期の見極めや、染色体構成に迫るエピゲノム情報解析、そしてY染色体の同定に繋がる細胞遺伝学的実験技術等を結集することにより、分子の研究が大きく遅れがちな軟骨魚類について、ゲノム配列の取得を超えて性決定のメカニズムの理解に近づくことができた。

抄訳

性は多くの生物が持っていますが、それを決める仕組みは同じではありません。私たちヒトを含む脊椎動物は遺伝的要因や胚発生時の温度など環境要因に頼った多様な性決定の仕組みを持っていますが、それがどのように進化してきたのかは大きな謎の一つです。サメやエイを含む軟骨魚類は、脊椎動物の他の系統とは深く隔たれ独自の進化を遂げてきた仲間ですが、他の系統とは対照的に軟骨魚類の性を決める仕組みはほとんど調べられていませんでした。総合研究大学院大学 大学院生の丹羽大樹、国立遺伝学研究所 分子生命史研究室の工樂樹洋教授(理化学研究所生命機能科学研究センター 客員研究員)、徳島大学大学院社会産業理工学研究部の宇野好宣准教授、沖縄美ら島財団総合研究センターの中村將参与、東京大学大気海洋研究所の髙木亙助教、および複数の水族館から成る研究グループは、軟骨魚類のゲノム配列の比較により、サメ・エイ類のX染色体が共通の遺伝子セットを保持し、Y染色体が大半の遺伝子を失っていること、そして、それらの性染色体が約3億年もの長い間保持されてきた可能性が高いことを明らかにしました。X染色体には雌雄での本数の差を埋め合わせる遺伝子量補償の仕組みが働いておらず、それこそがサメ・エイ類の性の決定に重要である可能性が示されました。本研究は、サメ・エイ類では他の脊椎動物とは異なる仕組みで性が決まっていることを示すものであり、性の成り立ちについてのこれまでの研究に一石を投じる成果です。

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2025/08/07

意識障害で受診した両側視床梗塞

論文タイトル
Bilateral thalamic infarctions presenting with disturbance of consciousness
論文タイトル(訳)
意識障害で受診した両側視床梗塞
DOI
10.1136/bcr-2025-265295
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Volume 18, Issue 7
著者名(敬称略)
(筆頭)江副優彦 (連絡)多胡 雅毅 
所属
佐賀大学医学部附属病院 総合診療部

抄訳

認知症のない、高血圧と慢性腎臓病を有する80代男性が、急性の意識障害で受診した。患者に偏食とアルコール多飲の既往はなかった。来院時は、GCS E1V2M5、体温 35.5℃、神経学的所見に異常は認められなかった。血液検査でも意識障害の原因となるような所見はなかった。
頭部MRI検査のDWIで両側視床にわずかに高信号を認めたが、FLAIRでの信号変化はなく、ADCマップとT2強調画像では低信号だった。1か月後の頭部MRIでは、DWIでの信号変化は認めず、ADCマップ、T2強調画像、およびFLAIR画像で両側視床に高信号域を認め、両側視床梗塞と確定診断した。
脳梗塞は通常片側性であるが、視床は解剖学的な特徴から両側性に梗塞を起こしうる。その多くは、後大脳動脈のP1セグメントから分岐し、両方の傍正中視床を灌流するペルシュロン動脈に起因する。意識障害を呈する両側視床梗塞をみた場合、本疾患を鑑別に挙げ、早期診断と治療介入を考慮する必要がある。

 

 

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2025/08/05

植物の気孔を閉鎖させるイオンチャネルの機能解析

論文タイトル
Structure reveals a regulation mechanism of plant outward-rectifying K+ channel GORK by structural rearrangements in the CNBD–Ankyrin bridge
論文タイトル(訳)
植物の気孔を閉鎖させるイオンチャネルの機能解析
DOI
10.1073/pnas.2500070122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.30
著者名(敬称略)
山梨太郎 魚住信之 他
所属
東北大学大学院工学研究科バイオ工学専攻

抄訳

植物は,気孔の開閉を通じて水分の蒸散を調節し,乾燥や病原菌などの環境ストレスに応答して気孔は閉鎖します.この時,孔辺細胞の細胞膜に存在するGORKチャネル(K⁺チャネル)が活性化し,孔辺細胞内のK⁺濃度が低下します.本論文では,GORKのpre-open状態およびclosed状態の分子構造を決定し,電気生理測定と円二色性解析を用いて,細胞質側C末領域の「環状ヌクレオチド結合ドメイン直後のCNBD–Ankyrin bridge」がGORKの活性化および不活化状態の制御に関与していることを明らかにしました.さらに,CNBD–Ankyrin bridge 内のセリン残基の(脱)リン酸化によるC末構造領域の構造変化を介して,GORKのK⁺チャネル活性が制御されていることを示しました.

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2025/07/31

楽観的な人たちは“同じように”思い描く:エピソード的未来思考における共有された神経表象

論文タイトル
Optimistic people are all alike: Shared neural representations supporting episodic future thinking among optimistic individuals
論文タイトル(訳)
楽観的な人たちは“同じように”思い描く:エピソード的未来思考における共有された神経表象
DOI
10.1073/pnas.2511101122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.30
著者名(敬称略)
柳澤邦昭 他
所属
神戸大学大学院人文学研究科

抄訳

楽観主義とは、未来に対して肯定的な期待を抱く傾向であり、心身の健康や社会的つながりにポジティブな影響を与える心理的資源とされている。本研究では、2つのfMRI実験を通じて、楽観性の高さが未来を思い描く際の脳の働きにどのように関与するかを検討した。参加者に、感情価の異なる未来の出来事を、自分自身または配偶者の身に起こることとして想像してもらい、その際の脳活動を計測した。その結果、楽観性の高い人同士は内側前頭前野(MPFC)において類似した神経活動パターンを示す一方で、楽観性の低い人はより多様なパターンを示すことが明らかになった。さらに、MPFCの活動パターンに着目した分析から、楽観的な人ほどポジティブとネガティブな出来事を明確に区別して想像する傾向が示唆された。これらの結果は、楽観性の心理的・社会的適応の背景に、共通した認知構造が存在する可能性を示しており、楽観性の神経基盤に関する新たな理解につながる知見である。

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2025/07/31

サイトカラシンDによるアクチン重合阻害と切断の分子機構:TIRF顕微鏡と結晶構造解析による解明

論文タイトル
Microscopic and structural observations of actin filament capping and severing by cytochalasin D
論文タイトル(訳)
サイトカラシンDによるアクチン重合阻害と切断の分子機構:TIRF顕微鏡と結晶構造解析による解明
DOI
10.1073/pnas.2502164122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.29
著者名(敬称略)
三谷隆大 藤原郁子 武田修一 他
所属
長岡技術科学大学 大学院工学研究科 物質生物系
著者からのひと言
長年の疑問だった「サイトカラシンDがどうやってアクチンの伸び縮みを止めているのか」を、世界で初めて分子レベルで明らかにできました。1本のアクチン線維をリアルタイムに観察し、原子分解能で構造変化を捉えられたのは非常に感慨深く、今後の薬剤開発や基礎研究に役立つことを期待しています。

抄訳

サイトカラシンDはアクチンフィラメント(線維)の重合を阻害する薬剤として広く使われていますが、その作用機構は分子レベルでは未解明でした。本研究では、TIRF顕微鏡、結晶構造解析、分子動力学シミュレーションを組み合わせて、サイトカラシンDの濃度に応じた3段階の作用を明らかにしました。低濃度では線維中の2本のプロトフィラメントの一方に結合する“ゆるい”キャップとして作用します。中濃度では2分子が強固に結合して線維端を安定化させ、高濃度では線維を切断します。1.7Å分解能で捉えた構造変化は、アクチン制御における適切な薬剤使用への指針となる知見を提供します。

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2025/07/31

日本の臨床分離NAGビブリオ株のゲノム解析事例

論文タイトル
Genomic insights into clinical non-O1/non-O139 Vibrio cholerae isolates in Japan
論文タイトル(訳)
日本の臨床分離NAGビブリオ株のゲノム解析事例
DOI
10.1128/spectrum.00175-25
ジャーナル名
Microbiology Spectrum
巻号
Microbiology Spectrum 2025 Jun 24:e0017525.
著者名(敬称略)
小林 洋平 鈴木 仁人 柴山 恵吾 柴田 伸一郎 他
所属
名古屋市衛生研究所微生物部
著者からのひと言
本研究では、日本国内で報告されたNAGビブリオ感染事例に対し、地方衛生研究所が主体となって起因株のゲノム解析を行い、感染源が複数存在する可能性を示唆するとともに、病原性関連遺伝子の特徴を明らかにしました。こうした事例について得られた知見を発信していくことは、公衆衛生の現場から社会への貢献につながる重要な取り組みです。

抄訳

Non-O1/O139型コレラ菌(NAGビブリオ)は、腸管感染症や敗血症などを引き起こす病原細菌であり、近年は地球温暖化などの影響によって環境中での増殖が促進され、感染拡大への懸念が高まっています。一方で、国内におけるNAGビブリオ感染症は感染症法に基づく病原体サーベイランスの対象外であり、臨床分離株の分子疫学情報は限られていました。本研究では、2020年に名古屋市で報告された3例のNAGビブリオ感染症に由来するコレラ菌株についてゲノム解析を行い、世界各地で過去に報告された臨床分離株との比較解析を実施しました。系統解析の結果、3株は遺伝的に多様であり、短期間に複数の汚染源から散発的に発生した可能性が示唆されました。さらに、細菌毒素、付着因子、III型およびVI型分泌機構関連遺伝子など病原性関連遺伝子の多様性などを明らかにしました。本研究は、日本におけるNAGビブリオ感染事例起因株の分子疫学的特徴を明らかにし、今後の感染症対策や監視体制の構築に資する重要な知見を提供するものです。

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2025/07/28

子宮腺筋症における体細胞変異プロファイルと染色体異常

論文タイトル
Mutation profile and chromosomal abnormality in adenomyosis
論文タイトル(訳)
子宮腺筋症における体細胞変異プロファイルと染色体異常
DOI
10.1530/REP-25-0132
ジャーナル名
Reproduction
巻号
Reproduction Volume 170: Issue 2
著者名(敬称略)
須田 一暁 中岡 博史 他
所属
新潟大学医学部産科婦人科
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 医療情報解析学講座 データサイエンス分野
著者からのひと言
私たちの研究グループはヒト子宮内膜の基底層付近に網目状構造を呈する上皮組織が存在することを発見し、その形態から地下茎構造と名付けました。また、一見正常な子宮内膜組織において、がん関連遺伝子に体細胞変異を獲得した細胞が子宮内膜の三次元空間において増殖するメカニズムに地下茎構造が関与していることを明らかにしました。本研究で同一変異クローンに由来する子宮腺筋症病変が子宮の広範な領域に観察されることを示しました。この背景に、私たちが発見した地下茎構造が関与している可能性があります。研究をさらに進め、子宮腺筋症の発症機序解明につなげたいと考えています。

抄訳

レーザーマイクロダイセクションを用いた選択的組織採取と次世代シーケンシング技術を用いたゲノム解析によって、子宮腺筋症上皮において、KRAS、PIK3CA、ARID1A、FBXW7などのがん関連遺伝子の体細胞変異や一番染色体長腕のコピー数増加が高頻度に存在することが分かった。これらのゲノム異常が子宮腺筋症の発生および進展に関連すると考えられる。また、複数の腺筋症病変および正常子宮内膜の間で変異クローンの関係を精査した。同一症例の子宮腺筋症と正常子宮内膜上皮で体細胞変異の共有が認められたことから、子宮腺筋症は子宮内膜上皮を起源として発生することが分かった。同一変異クローンに由来する腺筋症病変が子宮の広範な領域に増殖しているケースも観察された。さらに、同一症例において複数の異なる変異クローンに由来する腺筋症病変が認められたことから、腺筋症はオリゴクローン性に増殖するユニークな特徴を有する疾患であることが分かった。

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2025/07/25

ニューロメジンU欠損によりラットのテストステロンの日内リズムが乱れ、輪まわし活動が減少する

論文タイトル
Neuromedin U Deficiency Disrupts Daily Testosterone Fluctuation and Reduces Wheel-Running Activity in Rats
論文タイトル(訳)
ニューロメジンU欠損によりラットのテストステロンの日内リズムが乱れ、輪まわし活動が減少する
DOI
10.1210/endocr/bqaf102
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 166, Issue 8, August 2025, bqaf102
著者名(敬称略)
大塚 舞 相澤 清香 他
所属
岡山大学大学院環境生命自然科学研究科(理学部生物学科)分子内分泌学研究室
著者からのひと言
本研究は、ペプチドホルモン「ニューロメジンU」がオスのテストステロン日内リズムと運動意欲を制御することを世界で初めて示しました。ホルモンとモチベーション行動の関係を解明する新しい知見であり、やる気や意欲の低下に関わる精神疾患研究にも新たな展望を与える成果です。

抄訳

本研究では、ニューロメジンU(NMU)の生理的役割を明らかにするため、NMUノックアウト(KO)ラットを解析した。オスのNMU KOラットでは、野生型(WT)と比較して回し車を走る「輪まわし活動」が有意に減少していた。一方で、飼育ケージ内での全体的な活動量には変化はなかった。WTラットのオスでは血中テストステロン濃度が日内で変動し、朝に高く夜に低下していたのに対し、NMU KOラットでは1日のピークがみられず、日内リズムが消失していた。NMU KOラットにテストステロンを慢性的に投与すると、輪まわし活動はWTと同程度に回復した。また、NMU KOラットでは下垂体における黄体形成ホルモンの発現や、LH産生細胞の大きさが低下していた。脳において、NMUは下垂体隆起部に高発現し、その受容体は第三脳室上衣細胞層のタニサイトに強く発現していた。以上より、NMUはテストステロンのリズム調節を介して、自発的な運動行動、モチベーション行動の制御に関与する新規機能が明らかになった。

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2025/07/24

中性子構造解析と時分割X線構造解析を用いてNudix加水分解酵素ヒトMTH1の基質結合および反応機構を詳細に解明した

論文タイトル
Neutron and time-resolved X-ray crystallography reveal the substrate recognition and catalytic mechanism of human Nudix hydrolase MTH1
論文タイトル(訳)
中性子構造解析と時分割X線構造解析を用いてNudix加水分解酵素ヒトMTH1の基質結合および反応機構を詳細に解明した
DOI
10.1073/pnas.2510085122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.122 No.29
著者名(敬称略)
平田 啓介、藤宮 佳菜、中村 照也 他
所属
熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)機能分子構造解析学講座
著者からのひと言
これまでに合成されてきたほとんどのMTH1阻害剤は、MTH1のAsp119とAsp120に結合するため、本研究で決定した高精度なMTH1構造を基にした新たな抗がん剤の創出につながることが期待されます。また、Nudixファミリーにおいては、金属イオンの関与する酵素反応機構が長年議論されていますが、今回の研究により、MTH1 は3 つの金属イオンが関与して反応を触媒することが明らかになりました。

抄訳

ヒトMTH1は、活性酸素種によって生じた酸化ヌクレオチドを広い基質特異性により加水分解して除去する酵素であり、抗がん剤の標的としても注目されている。これまでの研究から、MTH1の基質・阻害剤の結合には、基質結合ポケット内のアミノ酸残基のプロトン(水素原子)の付加や脱離、すなわちプロトン化/脱プロトン化状態が重要であると示唆されていたが、水素原子を直接観察することの難しさから、その状態を実験的に証明するには至っていなかった。本研究では、水素原子の位置を高感度で検出可能な中性子構造解析を用いることでMTH1の基質結合ポケット内の水素原子を可視化し、Asp119とAsp120のプロトン化状態の変化が広範な基質・阻害剤結合を可能にしていることを実験的に初めて実証した。さらに、時分割X線構造解析によりMTH1の加水分解反応過程を動的に観察し、MTH1が属する大規模な加水分解酵素群であるNudixファミリーに共通すると考えられる反応機構を提案した。

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2025/07/23

グルココルチコイド療法を新規に開始する患者における、ロモソズマブ、デノスマブ、リセドロネートの治療効果の比較

論文タイトル
Comparison of Efficacy of Romosozumab With Denosumab and Risedronate in Patients Newly Initiating Glucocorticoid Therapy
論文タイトル(訳)
グルココルチコイド療法を新規に開始する患者における、ロモソズマブ、デノスマブ、リセドロネートの治療効果の比較
DOI
10.1210/clinem/dgae810
ジャーナル名
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Volume 110, Issue 8, e2778-e2786
著者名(敬称略)
川添 麻衣, 南木 敏宏 他
所属
東邦大学 医学部 内科学講座膠原病学分野(大森)
著者からのひと言
これまでに我々は、グルココルチコイド開始後早期にWntシグナル抑制因子であるsclerostinが増加することを報告し、ROMOがGIOPに有効であると期待していました。本研究では、GIOP におけるROMOの有効性を、既存治療薬2剤とのランダム化比較試験で明らかにしました。本研究結果は、ROMOが今後のGIOPに対する治療選択肢の一つとなるエビデンスになると考えています。

抄訳

近年、骨形成および骨吸収におけるWntシグナルの関与が解明され、Wntシグナルの抑制因子であるsclerostinに対する抗体製剤(ロモソズマブ; ROMO)が上市されたが、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)に対する有効性は明らかではない。そこで、プレドニゾロン(PSL)換算15mg/日以上を新規に開始する膠原病患者を対象とし、骨粗鬆症治療薬をROMO、デノスマブ(DMAb)、リセドロネート(BP)に無作為に割り付け、有効性を比較した(ROMO群11例、DMAb群14例、BP群14例)。平均年齢はいずれも70歳台で、男女比や一日PSL投与量は3群に有意差はなかった。主要評価項目である12ヵ月後の腰椎骨密度のベースラインからの変化率(中央値)はROMO群で最大であった(ROMO群、DMAb群、BP群:8.6%、3.3%、−0.4%)。骨形成マーカーの低下はROMO群で最も小さく、ROMOがグルココルチコイドによる骨形成抑制に対し保護的に作用する可能性が示唆された。新規骨折の累計発生頻度はROMO群で低い傾向であった。これらの結果から、GIOPにおいてもROMOは有効であることが示された。

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2025/07/22

膀胱感染の重要因子である尿路病原性大腸菌イノシン-5’一リン酸デヒドロゲナーゼGuaBの役割

論文タイトル
Role of GuaB, the inosine-5′-monophosphate dehydrogenase of uropathogenic Escherichia coli pathogenicity: a key factor for bladder infection
論文タイトル(訳)
膀胱感染の重要因子である尿路病原性大腸菌イノシン-5’一リン酸デヒドロゲナーゼGuaBの役割
DOI
10.1128/spectrum.00221-25
ジャーナル名
Microbiology Spectrum
巻号
Microbiology Spectrum Ahead of Print
著者名(敬称略)
下川 瑞起、平川 秀忠 他
所属
国立大学法人群馬大学 医学部医学科
著者からのひと言
尿路感染症(UTI)は、私たちにとって身近な感染症であり、全世界で年間1億人以上が罹患している。UTIの主な原因菌である尿路病原性大腸菌(UPEC)は、再発しやすく、抗菌薬の繰り返し使用によって2000年以降、薬剤耐性菌の増加が急速に進んでいます。そのため、UPECに対する新たな治療法の開発が求められています。本研究では、UPECの新たな病原因子「GuaB」を同定しました。既存の抗菌薬とは異なる作用機序を持つ新規治療標的として、薬剤耐性菌への対策に期待されます。

抄訳

本研究は、尿路感染症(UTI)の主要な原因菌である尿路病原性大腸菌(UPEC)の膀胱感染における新規病原因子の探索を目的とした。近年、様々な抗菌薬に対する耐性菌が増加しており、本菌に対する治療法の改善が求められている。本研究では、UTIマウスモデルを用いて感染時に有意に発現する蛋白質をプロテオーム解析により同定を行った。その結果、グアニル酸合成に関与するGuaB(イノシン-5′一リン酸デヒドロゲナーゼ)が膀胱感染に重要であることを発見した。GuaB欠損株は尿中での増殖と膀胱定着能が著しく低下し、尿の主要成分である尿素によってGuaB発現が促進することも明らかにした。以上の結果は、GuaBがUPEC感染の新たな治療標的となりうる可能性を示唆しており、UPEC病原性のさらなる理解と治療薬開発に貢献するものである。

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2025/07/18

D-アラニン合成系と外因性アラニンは黄色ブドウ球菌の薬剤感受性に影響する

論文タイトル
D-alanine synthesis and exogenous alanine affect the antimicrobial susceptibility of Staphylococcus aureus
論文タイトル(訳)
D-アラニン合成系と外因性アラニンは黄色ブドウ球菌の薬剤感受性に影響する
DOI
10.1128/aac.01936-24
ジャーナル名
Antimicrobial Agents and Chemotherapy
巻号
Antimicrobial Agents and Chemotherapy Vol. 69, No. 7
著者名(敬称略)
鈴木 優仁, 松尾 美樹, 坂口 剛正 他
所属
広島大学大学院医系科学研究科細菌学研究室
著者からのひと言
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は現状もっとも拡散している薬剤耐性菌であり、臨床で高頻度に使用されるβラクタム系抗菌剤への耐性を獲得している点から、厄介な存在として知られています。本研究では、MRSAに対してアラニンの供給を制限すると各種抗菌剤への感受性が高まるということを発見しました。この知見から、アラニンの供給阻害と既存の抗菌剤との併用などによる新規治療戦略に応用できる可能性があります。

抄訳

グラム陽性菌において、D-アラニンは、細胞壁ペプチドグリカンの架橋形成やタイコ酸の修飾に不可欠である。その合成はアラニンラセマーゼ(Alr)およびD-アミノ酸トランスアミナーゼ(Dat)に依存し、D/L-アラニンの取り込みはトランスポーターCycAにより行われる。本研究では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のalrdatcycA遺伝子を不活化した変異株を用いて感受性を評価した。その結果、特にalr欠損株およびcycA欠損株においてβ-ラクタム系、アミノグリコシド系、ダプトマイシンなど複数の抗菌薬に対する感受性が上昇し、菌体表層の陰性電荷が増加していた。さらに、アラニンを除去した培地では、MRSA株のβ-ラクタム系抗菌薬への感受性が著しく高まった。これらの結果は、D-アラニンの欠乏がペプチドグリカンの低架橋化および表層電荷の変化を引き起こし、抗菌薬感受性を上昇させることを示唆している。

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2025/07/17

発達中および成熟したシロイヌナズナ種子における胚乳細胞層の顕微鏡解析のための無傷組織の調整法

論文タイトル
Preparation of Intact Tissue for Microscopic Analysis of the Endosperm Cell Layer in Developing and Mature Arabidopsis Seeds
論文タイトル(訳)
発達中および成熟したシロイヌナズナ種子における胚乳細胞層の顕微鏡解析のための無傷組織の調整法
DOI
10.3791/68217-v
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (219), e68217
著者名(敬称略)
瀬田 京介 吉本 光希 他
所属
明治大学 農学部生命科学科 環境応答生物学研究室
著者からのひと言
これまで困難とされてきたシロイヌナズナ種子の胚乳細胞層の高解像度ライブイメージングに成功しました。種子の発芽メカニズムを理解するには、胚だけでなく、胚乳細胞層の生理機能にも注目することが重要です。本論文で報告した手法により、種子発芽制御の理解が一層深まると考えられます。本手法は、種子発芽研究における基礎的な科学技術の一つとして広く普及することが期待されます。さらに将来的には、本手法が種子発芽促進技術の開発に貢献し、飢餓のない持続可能な社会の実現に寄与することが期待されます。

抄訳

モデル植物シロイヌナズナの種子において、胚と種皮の間に位置する胚乳細胞層は、種子の成熟や発芽の制御に重要な役割を担っています。その生理機能を分子・細胞レベルで理解するには、顕微鏡による高解像度観察が不可欠です。しかし、胚乳細胞層は種皮の内側に存在し、種子自体も非常に小さいため、組織や細胞を傷つけることなく観察可能な状態で調製するのは困難でした。本論文では、発達中および成熟種子における胚乳細胞層を顕微鏡で観察するためのサンプル調整法を詳述しています。この手法では、固定や切片作製を必要とせず、標準的な実験器具(注射針、精密ピンセット、実体顕微鏡など)を用いるだけで、生きた胚乳細胞を多数観察することが可能です。本手法により、胚乳細胞層の細胞および分子レベルでの研究が一層進展し、その新たな機能の解明に寄与することが期待されます。

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