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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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2021/04/07

ヒト胃からのヘリコバクター・スイスの培養に成功
-ピロリ菌だけでなく、ヘリコバクター・スイスもヒト胃における病原細菌であることを証明-

論文タイトル
Isolation and characterization of Helicobacter suis from human stomach
論文タイトル(訳)
ヒト胃からのヘリコバクター・スイスの培養に成功
-ピロリ菌だけでなく、ヘリコバクター・スイスもヒト胃における病原細菌であることを証明-
DOI
10.1073/pnas.2026337118
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
PNAS March 30, 2021 118 (13) e2026337118
著者名(敬称略)
林原絵美子、鈴木仁人、徳永健吾松井英則
所属
国立感染症研究所細菌第二部
国立感染症研究所薬剤耐性研究センター
杏林大学医学部総合医療学教室
北里大学・大村智記念研究所

抄訳

ヘリコバクター・スイスは豚を自然宿主とし、ヒト胃にも感染するが、ヒト胃からの分離培養の成功例はなく、その病原性には不明な点が多かった。本研究では胃マルトリンパ腫患者を含む複数の胃疾患患者からのヘリコバクター・スイスを人工培地で分離培養することに世界で初めて成功した。得られたヒト胃由来ヘリコバクター・スイスを用いたマウス感染実験により胃での病態発症を確認し、病態組織から菌の再分離にも成功したことから、コッホの原則に従い、ヘリコバクター・スイスがヒト胃における病原細菌であることが証明された。ヒト胃から分離されたヘリコバクター・スイス株のゲノムは豚由来株のゲノムに類似しており、豚に感染しているヘリコバクター・スイスがヒトにも病原性を有する人獣共通感染症の起因菌である可能性が強く示唆された。今後、ヘリコバクター・スイスの病態発症機構の解明や診断法の開発などが期待される。

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2021/04/06

自己免疫性肝疾患を合併したウイルス性肝疾患に対して二重濾過血漿交換療法で有効な早期ウイルス除去が奏功した症例

論文タイトル
Successful treatment of positive-sense RNA virus coinfection with autoimmune hepatitis using double filtration plasmapheresis
論文タイトル(訳)
自己免疫性肝疾患を合併したウイルス性肝疾患に対して二重濾過血漿交換療法で有効な早期ウイルス除去が奏功した症例
DOI
10.1136/bcr-2020-236984
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.14 Issue 3 (2021)
著者名(敬称略)
上村 博輝 寺井 崇二
所属
新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野

抄訳

C型肝炎ウイルス(HCV)の治癒率は現在95%を超えます。インターフェロンフリーの直接作用型抗ウイルス剤が利用できるようになったことは、過去数十年の臨床医学分野において革新的な進歩で2020年度には関係者がノーベル医学生理学賞を受賞されています。 一方,多臓器に影響を及す重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)を原因とするCoronavirus Disease 2019 (COVID-19)の治療戦略について有効性のあるものがまだ定まっていません。1本鎖プラスRNAウイルスはゲノム本体そのものがmRNAとして働き、ウイルス蛋白質を作り出します。細胞質内で自らが持つRNA依存性RNAポリメラーゼで複製し、SARS-CoV-2、日本脳炎ウイルス、デング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス等が含まれます。このためC型肝炎の治療で得られた症例の知見は貴重です。 二重濾過血漿交換療法Double filtration plasmapheresis (DFPP)は、血漿成分フィルターを用いて高分子量物質を選択的に除去する方法です。DFPPは2008年から2015年頃までC型慢性肝炎ウイルス(HCV)の治療に日本国内では保険承認された治療でした。2次膜に平均孔径30nmをもつDFPP を用いた自己免疫性肝炎合併のC型慢性肝炎(粒子径:55–65nm)の治療成功症例について、早期のウイルス除去が証明できたこと、また本方法がSARS-CoV-2 (粒子径:80–220nm)に効果を持ち、 COVID-19 重症例において、サイトカインストームにも有効な治療であったことが世界的に報告されていることを引用文献として概説、DFPPの機序についての図解を付記した症例報告です。

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2021/03/23

副腎における脂肪酸合成およびステロイド合成に対するChrebp遺伝子欠失の効果

論文タイトル
Effects of ChREBP deficiency on adrenal lipogenesis and steroidogenesis
論文タイトル(訳)
副腎における脂肪酸合成およびステロイド合成に対するChrebp遺伝子欠失の効果
DOI
10.1530/JOE-20-0442
ジャーナル名
Journal of Endocrinology
巻号
Journal of Endocrinology Volume 248 Issue 3 (317–324)
著者名(敬称略)
鷹尾 賢, 飯塚 勝美 他
所属
岐阜大学大学院医学系研究科 分子・構造学講座 内分泌代謝病態学分野

抄訳

ChREBPは肝における脂肪酸合成遺伝子の発現を調節する転写因子である。今回我々は副腎ChREBPの脂肪酸合成、ステロイド合成における役割を検討した。本研究では、マウス副腎においてChrebpが発現すること、Chrebp ホモ欠損マウス(Chrebp-/-)では脂肪酸合成低下の結果、細胞内脂肪滴の減少とともに副腎トリグリセリド含量が低下することを明らかにした。また、副腎では血液中から取り込んだコレステロールを利用して、コルチコステロンを合成する。Chrebp -/-では血中コレステロール濃度の低下が見られるため、副腎ステロイド合成・分泌能が低下すると考えた。しかし、コレステロール合成や取り込みを調節する転写因子Srebf2の発現増加により副腎コレステロール含量は不変であり、副腎コルチコステロン含量やコルチコステロン分泌能も不変であった。以上から、副腎ChREBPは脂肪酸合成を調節するものの、コルチコステロン合成・分泌能には影響しないことを明らかにした。

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2021/03/22

Luscan-Lumish症候群の機序として示唆された成長ホルモンシグナルの亢進

論文タイトル
A Case of Luscan-Lumish Syndrome: Possible Involvement of Enhanced GH Signaling
論文タイトル(訳)
Luscan-Lumish症候群の機序として示唆された成長ホルモンシグナルの亢進
DOI
10.1210/clinem/dgaa893
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Vol.106 Issue3 (718–723)
著者名(敬称略)
隅田 健太郎, 高橋 裕 他
所属
奈良県立医科大学 糖尿病・内分泌内科学講座

抄訳

ヒストンメチル基転移酵素のSET domain-containing protein 2SETD2)遺伝子変異によって、過成長症候群の一つであるLuscan-Lumish症候群(LLS)が引き起こされるが、その機序は不明である。今回、過成長症候群をきたし下垂体腫瘍を認めなかった20歳男性において全エクソーム解析を行ったところ、新規のSETD2 de novo変異(c.236T> A、p.L79H)を同定しLLSと診断した。患者由来の皮膚線維芽細胞では、ヒストンのメチル化は変化していない一方で、成長ホルモン(GH)シグナル分子であるSTAT5bリン酸化・転写活性の増強、IGF-1発現の増加とともに増殖能が亢進していた。これらの結果から、LLSの新たな発症機序としてGHシグナルの亢進が過成長の原因である可能性が示唆された。またLLSは下垂体腫瘍を認めない巨人症において鑑別診断として考慮すべきである。

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2021/03/22

12α水酸化一次胆汁酸は肝臓鉄濃度を低下させる

論文タイトル
Primary 12α-Hydroxylated Bile Acids Lower Hepatic Iron Concentration in Rats
論文タイトル(訳)
12α水酸化一次胆汁酸は肝臓鉄濃度を低下させる
DOI
10.1093/jn/nxaa366
ジャーナル名
Journal of Nutrition
巻号
Journal of Nutrition Vol.151 Issue3 (523–530)
著者名(敬称略)
堀 将太, 石塚 敏 他
所属
北海道大学大学院農学研究院食品栄養学研究室

抄訳

必須微量元素の1つである鉄はヘモグロビン等の生命活動に必須な代謝酵素の構成因子として重要であるが、生体内の鉄濃度を調節する内因性因子の情報は限られている。本研究では、肥満や糖尿病等の代謝異常性疾患で増加する12α水酸化胆汁酸(12OH)が鉄代謝に及ぼす影響についてラットを用いて調べた。肝臓で合成される一次胆汁酸、かつ12OHとして知られるコール酸を飼料に添加すると、摂取鉄量や鉄の吸収率とは無関係に肝臓鉄濃度が低下した。肝臓鉄代謝に関わる因子の解析では、12OH濃度の上昇に伴い鉄運搬タンパクであるリポカリン2(LCN2)が血中で増加した。すなわち、12OHはLCN2を介して肝臓鉄を細胞外に輸送することで肝臓における鉄濃度を低下させる可能性が示された。腸内細菌による二次胆汁酸生成を抗生物質で抑制した場合でも、12OHは血中リポカリン2濃度の上昇および肝臓鉄濃度の低下を誘導した。これらのことは、肝臓で合成される12OHが新規の肝臓鉄濃度調節因子である可能性を初めて示した。

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2021/03/15

重症肺炎カニクイザルモデルを用いたH7N9高病原性鳥インフルエンザウイルスに対するキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬とノイラミニダーゼ阻害薬の有効性評価

論文タイトル
Efficacy of a Cap-Dependent Endonuclease Inhibitor and Neuraminidase Inhibitors against H7N9 Highly Pathogenic Avian Influenza Virus Causing Severe Viral Pneumonia in Cynomolgus Macaques
論文タイトル(訳)
重症肺炎カニクイザルモデルを用いたH7N9高病原性鳥インフルエンザウイルスに対するキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬とノイラミニダーゼ阻害薬の有効性評価
DOI
10.1128/AAC.01825-20
ジャーナル名
Antimicrobial Agents and Chemotherapy
巻号
Antimicrobial Agents and Chemotherapy March 2021; volume 65,issue 3
著者名(敬称略)
鈴木 紗織、伊藤 靖 他
所属
滋賀医科大学病理学講座疾患制御病態学部門

抄訳

H7N9高病原性鳥インフルエンザウイルスが日本の空港検疫で押収されたカモ肉より分離された。このウイルス株のカニクイザルにおける病原性と抗ウイルス薬の有効性を解析した。このウイルス株をカニクイザルに感染させると発熱と高度の肺炎がみられ、またウイルスが気道で複製し、カニクイザルにおいて病原性を示すことが判明した。感染させたサルでは、サイトカイン反応が起きた。さらに血液中には免疫チェックポイント分子PD-1、TIGITを発現するTリンパ球が増加し、ウイルス排除反応を抑制する可能性が示唆された。このウイルス株を感染させたサルにキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬バロキサビルを投与すると、気道のウイルス量は薬剤を投与しないサルより低く、バロキサビルは有効であった。バロキサビルを投与されたサルではPD-1、TIGIT陽性Tリンパ球の割合は治療されないサルより低く、ウイルス排除反応の抑制が軽度であることが推測された。

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2021/03/10

アフリカツメガエルにおいてDNAの量は細胞核のサイズ制御に影響を与える

論文タイトル
DNA content contributes to nuclear size control in Xenopus laevis
論文タイトル(訳)
アフリカツメガエルにおいてDNAの量は細胞核のサイズ制御に影響を与える
DOI
10.1091/mbc.E20-02-0113
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell
巻号
Molecular Biology of the Cell Volume 31, Issue 24(2631-2747)
著者名(敬称略)
平城 裕子, 原 裕貴 他
所属
山口大学 理学部 生物・化学科 進化細胞生物学研究室

抄訳

 真核生物の細胞は、生物進化や細胞周期により生じるDNA量の変化に適応するために、DNA機能の場である細胞核(以降「核」とする)のサイズを調節する。しかし、「DNAの量」により核のサイズを制御する仕組み理解されていなかった。そこで我々は、アフリカツメガエル卵抽出液の無細胞再構成系を利用し、実験的に核内DNAやクロマチンの物理特性を操作することで、DNAが核サイズ制御に与える影響を評価した。まずDNA複製の薬剤阻害、ならびに異なるゲノムサイズを有する異生物種のゲノムDNAを核の材料として用いることで、核再構成時のDNA量を実験的に変化させた。その結果、核のサイズ増大速度と最大サイズがDNA量依存的に変化する特徴を発見した。さらに、核内クロマチンの凝縮度や核膜とクロマチンの相互作用の強度を操作すると、核のサイズ増大速度が変化することを見出した。以上の結果より、DNA配列そのものやコードする遺伝子とは無関係に、ゲノムの量やクロマチンの凝縮度などの核内DNAの物理特性依存的に核サイズを制御する新規モデルを提案する。

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2021/03/08

IFT-A複合体とIFT-B複合体の協同による繊毛内逆行性タンパク質輸送とGタンパク質共役受容体の繊毛内移行の調節

論文タイトル
Cooperation of the IFT-A complex with the IFT-B complex is required for ciliary retrograde protein trafficking and GPCR import
論文タイトル(訳)
IFT-A複合体とIFT-B複合体の協同による繊毛内逆行性タンパク質輸送とGタンパク質共役受容体の繊毛内移行の調節
DOI
10.1091/mbc.E20-08-0556
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell
巻号
Molecular Biology of the Cell Volume 32, Issue 1(45-56)
著者名(敬称略)
古林 拓也, 加藤 洋平, 中山 和久 他
所属
京都大学大学院薬学研究科生体情報制御学分野

抄訳

 繊毛内タンパク質輸送装置(IFT装置)は、繊毛タンパク質の順行輸送と逆行輸送に加えて、繊毛ゲートを越えるタンパク質の繊毛内への移行および繊毛外への排出も仲介している。IFT装置は、IFT-A複合体とIFT-B複合体という2つのマルチサブユニット複合体から成るが、この2つの複合体がどのように協同して繊毛内タンパク質輸送を仲介しているのかについてはほとんどわかっていない。本研究では、IFT-A複合体のIFT144–IFT122とIFT-B複合体のIFT88–IFT52が、複合体同士の相互作用を媒介していることを発見した。IFT88ノックアウト(KO)細胞にIFT-A複合体との相互作用が減弱したIFT88(Δα)変異体を発現させると、IFT88-KO細胞で見られた繊毛形成不全が部分的に回復した。しかし、IFT88(Δα)発現細胞では、IFT-A複合体の繊毛内への侵入障害、IFT-Bタンパク質の繊毛先端への異常蓄積、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の繊毛内移行障害が見られた。さらに、繊毛先端部に過剰に蓄積したIFTタンパク質は細胞外小胞として放出されていた。これらの表現型はIFT144-KO細胞の表現型に類似していた。以上の観察結果から、IFT-A複合体はIFT-B複合体と協同することによって、繊毛先端からの逆行輸送だけでなく、GPCRの繊毛内移行も仲介していることが明らかになった。

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2021/03/08

小腸の絨毛構造は上皮細胞を均一に脱落させる

論文タイトル
Intestinal villus structure contributes to even shedding of epithelial cells
論文タイトル(訳)
小腸の絨毛構造は上皮細胞を均一に脱落させる
DOI
10.1016/j.bpj.2021.01.003
ジャーナル名
Biophysical Journal
巻号
Biophysical Journal Vol.120 Issue 4 (February 16, 2021)
著者名(敬称略)
甲斐 悠斗
所属
九州大学大学院医学研究院 系統解剖学分野

抄訳

小腸粘膜には、絨毛と呼ばれる上皮細胞に覆われた無数の突起が存在し、それぞれの絨毛は陰窩と呼ばれるくぼみで囲まれている。 腸上皮細胞の代謝回転(ターンオーバー)では、陰窩内で増殖した細胞が陰窩から絨毛へと移動し、絨毛を登り、最終的に絨毛の 頂点から腸管内腔に脱落する。本研究では、絨毛がターンオーバーに与える影響を理論的に検討し、絨毛がターンオーバーを厳密 に制御していることを提案した。絨毛の指のような形状は、細胞が増殖する陰窩から細胞が脱落する絨毛頂点を遠ざけることにより、 細胞が早期に脱落したり、上皮内に長期間滞在したりしないようにしていることを確率モデルやシミュレーションによって示した。 この結果は、脱落する細胞齢をおよそ一定に維持することにより、絨毛が小腸の恒常性維持に寄与していることを示唆している。

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2021/03/04

敗血症性DIC患者に対する低用量IgGの有用性の研究

論文タイトル
Study of usefulness of low-dose IgG for patients with septic disseminated intravascular coagulation
論文タイトル(訳)
敗血症性DIC患者に対する低用量IgGの有用性の研究
DOI
10.2217/bmm-2020-0204
ジャーナル名
Biomarkers in Medicine
巻号
Biomarkers in Medicine Vol.14, No.13 (2020)
著者名(敬称略)
高橋 学 他
所属
岩手医科大学 救急・災害・総合医学講座 岩手県高度救命救急センター

抄訳

背景:敗血症患者を対象とした大規模な多施設ランダム化比較試験では、静脈内免疫グロブリンG(IVIG)による予後の改善効果は証明されていません。ただし、敗血症性播種性血管内凝固症候群(DIC)の場合の有効性は十分に研究されていません。 結果/方法論:敗血症性DIC患者80例の重症度スコアと28日生存率に対するIVIGの効果を後方視的に評価しました。感染関連マーカー、凝固関連マーカー、重症度スコア、および28日生存率の変化を、IVIG治療群と未治療群の間で比較しました。 考察/結論:IVIG治療は、28日死亡率は低下させたものの、有意差は認めませんでした。しかし臓器不全評価スコアとDICスコアを有意に減少させ、血小板数を有意に増加させました。

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