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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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2023/06/20

キチン添加土壌から分離されたメチオニン要求性のキチン分解新奇細菌Lysobacter auxotrophicusのビタミンB12要求性とゲノム解析

論文タイトル
Physiological and genomic analyses of cobalamin (vitamin B12)-auxotrophy of Lysobacter auxotrophicus sp. nov., a methionine-auxotrophic chitinolytic bacterium isolated from chitin-treated soil
論文タイトル(訳)
キチン添加土壌から分離されたメチオニン要求性のキチン分解新奇細菌Lysobacter auxotrophicusのビタミンB12要求性とゲノム解析
DOI
10.1099/ijsem.0.005899
ジャーナル名
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
巻号
Volume 73, Issue 5
著者名(敬称略)
齋藤明広、道羅英夫、浜田盛之、森内良太、小土橋陽平、森浩二
所属
静岡理工科大学 理工学部 物質生命科学科

抄訳

キチンは,真菌の細胞壁に含まれる直鎖状の多糖です。土壌にキチンを添加すると,真菌を病原とする植物病が低減されることが報告されてきました。キチン添加によって増加するキチン分解細菌が病害低減効果の一要因と考えられています。前報では、キチン添加土壌から分離したキチン細菌Lysobacter sp. 5-21aTがメチオニン (Met) 要求性を示すことを報じました(Iwasakiら2020)。本論文では,5-21aTがビタミンB12(VB12) 要求株であることを示すとともに、その遺伝的背景を探るために行ったゲノム解析の結果を報告しています。また、近縁株とのゲノム相同性の比較や,化学分類学的,表現型および系統学的データに基づいて,5-21aTがLyobacter属の新種であることを提唱し,Lyobacter auxotrophicus と命名しました。VB12要求性が5-21aTの近縁株にも共通した性質であること,VB12依存性Met合成酵素の遺伝子しか持たないために5-21aTのMet合成にはVB12が必要であると考えられること,また,5-21aTがVB12合成の上流 (コリン環合成) 経路の遺伝子を持っていないためにVB12de novo合成できないことがわかりました。 

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2023/06/20

血清中のMac-2結合タンパク質糖鎖異性体(M2BPGi)濃度は2型糖尿病の発症率と関連する

論文タイトル
Serum Mac-2 Binding Protein Glycosylation Isomer Concentrations Are Associated With Incidence of Type 2 Diabetes
論文タイトル(訳)
血清中のMac-2結合タンパク質糖鎖異性体(M2BPGi)濃度は2型糖尿病の発症率と関連する
DOI
10.1210/clinem/dgad011
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 108, Issue 7, July 2023, Pages e425–e433
著者名(敬称略)
東岡 真由, 二宮 利治 他
所属
九州大学大学院医学研究院 衛生・公衆衛生学分野

抄訳

血清Mac-2結合蛋白質糖鎖異性体(M2BPGi)濃度は、慢性肝障害や線維化の指標となることが知られている。本研究では、糖尿病を発症していない40~79歳の地域日本人住民2,143人を7年間追跡した成績を用いて、血清M2BPGi濃度と2型糖尿病発症との関連を検討した。追跡開始時の血清M2BPGi濃度の5分位値を用いて対象者を5群に分類した: Q1 ≦0.37、Q2 0.38-0.49、Q3 0.50-0.62、Q4 0.62-0.80、Q5 ≧0.81 (単位 cutoff index)。 解析にはCox比例ハザードモデルを用いた。追跡期間中、219名が2型糖尿病を発症した。2型糖尿病の年齢・性別調整後の累積発症率は、血清M2BPGi値の上昇とともに有意に増加した(p for trend < 0.01)。さらに、潜在的な交絡因子で調整しても有意な関係を認めた(p for trend = 0.04)。一方、血清高感度C反応性タンパク質やHOMA-IR(Homeostasis Model Assessment of Insulin Resistance)を追加で調整したところ有意な関連は消失した。
このように、わが国の地域住民において、血清M2BPGi濃度と糖尿病リスクは正の関連を有することが明らかとなった。炎症とインスリン抵抗性は、血清M2BPGi濃度が高い人の糖尿病リスク上昇に関与することが示唆された。

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2023/06/16

Fezf2は中枢性免疫寛容に必要な胸腺自己抗原発現を制御する

論文タイトル
Fezf2 Orchestrates a Thymic Program of Self-Antigen Expression for Immune Tolerance
論文タイトル(訳)
Fezf2は中枢性免疫寛容に必要な胸腺自己抗原発現を制御する
DOI
10.1016/j.cell.2015.10.013
ジャーナル名
Cell
巻号
Vol.163 No.4(p975-987)
著者名(敬称略)
高柳 広
所属
東京大学大学院医学系研究科

抄訳

T細胞は胸腺において分化・成熟する。その過程では、抗原を認識するタンパク質であるT細胞抗原受容体がランダムに作られるため、自己抗原に反応するT細胞が必然的に生まれてしまう。そのような自己反応性のT細胞は胸腺内で除去される(負の選択)。本論文では、胸腺に発現し、自己反応性T細胞の選別に関わる自己抗原発現を制御する転写因子Fezf2を見いだした。Fezf2は、既知の転写制御因子Aireとは独立して自己抗原を誘導する。Fezf2を持たない遺伝子改変マウスを調べたところ、自己抗体の産生や自己の組織を破壊するといった自己免疫疾患様の症状が見られた。この結果は、Fezf2が中枢性免疫寛容に必須の分子であり、自己免疫疾患の発症を抑えていることを示している。Fezf2の発見は、高等生物の獲得免疫システムの基本原理の理解につながるだけでなく、自己免疫疾患の発症機序の解明や新たな治療法の確立に役立つと考えられる。 

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2023/06/08

遺伝的親子関係から予測されるスズメの社会的つがい関係における子育貢献の雌雄差

論文タイトル
Genetic Parent-Offspring Relationships Predict Sexual Differences in Contributions to Parental Care in the Eurasian Tree Sparrow
論文タイトル(訳)
遺伝的親子関係から予測されるスズメの社会的つがい関係における子育貢献の雌雄差
DOI
10.2326/osj.22.45
ジャーナル名
Ornithological Science
巻号
Ornithological Science Volume 22, Issue 1
著者名(敬称略)
坂本 春菜、高木 昌興、他
所属
北海道大学大学院理学研究院・多様性生物学講座

抄訳

 多くの鳥類は一夫一妻のつがいで繁殖します。それはヒナを育て上げるための餌運びの労働コストが非常に大きく、つがいで繁殖することが有利だからです。しかしつがいの巣には、つがい外のオスとの交尾に由来するヒナ(つがい外父性)やつがい外のメスの托卵によって産み込まれた卵に由来するヒナ(種内托卵)を含むことがあります。オスはできるだけ多くのヒナを残し、メスは生産性の高い子を残すための繁殖戦略の一側面です。一方で自らと血縁関係にはないヒナのために餌を運ぶことは、自身の生存率を下げ、またその後の繁殖に悪影響を与えます。そのため、つがいのオスとメスはヒナの血縁関係と労働の配分という複雑な駆け引きをします。このような背景から自らの巣内に血縁関係のないヒナが存在すると、巣の持ち主である親はヒナへの子育て投資を減少させると推察されます。しかしこのような研究に適した材料がなく、実証は困難な状況にありました。本研究では、一夫一妻で繁殖するスズメにおいて、つがいの巣内につがい外父性や種内托卵の双方を含むことを発見しました。さらに巣内に自らと血縁関係にないヒナが多くなると、子育ての労力を減少させることを実証しました。 

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2023/06/07

GLP-1は齧歯類において食事タンパク質の熱産生作用に関与する

論文タイトル
Glucagon-Like Peptide-1 is Involved in the Thermic Effects of Dietary Proteins in Male Rodents
論文タイトル(訳)
GLP-1は齧歯類において食事タンパク質の熱産生作用に関与する
DOI
10.1210/endocr/bqad068
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 164, Issue 6, June 2023, bqad068
著者名(敬称略)
落合 啓太, 比良 徹 他
所属
北海道大学 大学院農学研究院 基盤研究部門 生物機能化学分野 食品栄養学研究室

抄訳

タンパク質の摂取は、強力に体温を上昇、エネルギー消費を増大させるが、そのメカニズムは十分に解明されていない。Glucagon-like peptide-1(GLP-1)は食後に分泌される消化管ホルモンであり、タンパク質摂取はその分泌を強力に促進する。本研究では、食事タンパク質誘導性の熱産生作用におけるGLP-1の関与を、ラット及びマウスを用いて検討した。ラットの直腸温測定により、タンパク質の経口投与による熱産生作用が、炭水化物や脂質の作用よりも大きいことが観察された。また、5種類の食事タンパク質(カゼイン、ホエイ、米、卵、大豆)の中で、大豆タンパク質が最も直腸温を上昇させた。さらに、大豆タンパク質の熱産生作用は、GLP-1受容体アンタゴニスト処理およびGLP-1受容体欠損マウスでは完全に消失した。これらの結果は、ラット及びマウスにおける食事タンパク質誘導性の熱産生作用にGLP-1シグナルが必須であるという新たなメカニズム、ならびに消化管ホルモンGLP-1の新たな生理的役割を提唱するものである。

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2023/06/02

ヤツメウナギ初期胚からの高純度なtotal RNA抽出法

論文タイトル
High-quality total RNA extraction from early-stage lamprey embryos
論文タイトル(訳)
ヤツメウナギ初期胚からの高純度なtotal RNA抽出法
DOI
10.2144/btn-2023-0004
ジャーナル名
BioTechniques
巻号
BioTechniques, Ahead of Print
著者名(敬称略)
菅原 文昭(筆頭、連絡著者)、Juan Pascual-Anaya
所属
兵庫医科大学生物学

抄訳

 高純度のtotal RNAの抽出は、近年のトランスクリプトーム解析においてバイアスのない結果を得るために不可欠な技術である。ヤツメウナギは現代に生き残る無顎類の一種であり、脊椎動物の進化発生学(EvoDevo)研究において重要な系統的位置を占める動物である。ヤツメウナギから人工受精によって胚を得ることは比較的容易だが、原腸陥入前の初期胚から不純物のないtotal RNAを抽出すことはこれまで困難であった。例えばAPGC法にイソプロパノール沈殿を組み合わせた従来の手法では多量のコンタミネーションが生じ、O.D.260/280の値が極めて低くなる。また、QIAGEN社のRNeasyなどシリカメンブレンフィルターを用いた抽出法では、RNAがフィルターに結合せず収量が大幅に低下する。今回我々は、抽出前の遠心分離操作の追加とイソプロパノール沈殿時の塩濃度の調整により、収量と純度の大幅な改善に成功したので、その手法を報告する。また、RNA抽出に伴う上記の問題は、孵化前後に徐々に解消されていくことも明らかになった。このことから、孵化に伴う胚の変化(卵膜の有無、卵黄の量)に関係する何らかの物質が初期胚のRNA抽出を妨げている可能性が示唆される。

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2023/06/02

骨芽細胞由来Sema3Aはアンドロゲン非依存的に骨恒常性を制御する

論文タイトル
Osteoblast Lineage Cell-derived Sema3A Regulates Bone Homeostasis Independently of Androgens
論文タイトル(訳)
骨芽細胞由来Sema3Aはアンドロゲン非依存的に骨恒常性を制御する
DOI
10.1210/endocr/bqac126
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 163, Issue 10, October 2022, bqac126
著者名(敬称略)
山下祐、林幹人、斎藤充、中島友紀
所属
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 分子情報伝達学

抄訳

 骨の動的な恒常性は、破壊と形成のバランスにより保たれ、常に骨を新しく作り替えている。セマフォリン3A(Sema3A)は、破骨細胞による骨吸収を減少させ、骨芽細胞による骨形成を増加させることで骨保護因子として機能する(Nature 2012)。さらに、女性ホルモンであるエストロゲンが、Sema3Aの発現を調整していることもヒトおよびマウスにて実証された(Cell Metab 2019)。しかしながら、男性ホルモンによる骨恒常性の分子機構は、いまだ詳しく解明されていなかった。
 本研究では、Sp7-Creを使用したSema3A欠損マウスは椎体の骨量が正常である一方、Bglap-Creを使用した骨芽細胞系統の細胞で特異的なSema3A欠損マウスでは長管骨と椎体の両方の骨量減少が見出された。さらに、アンドロゲン欠乏により誘導される男性骨粗鬆症は、骨芽細胞系譜特異的なSema3A欠損マウスでも同様に認められた。すなわち、骨芽細胞系譜の細胞が発現するSema3Aが、アンドロゲン非依存的に長管骨や椎骨の骨恒常性を制御していることが明らかになった(Endocrinology 2022)。

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2023/05/30

成人XLHにおいて従来療法が歯科合併症・異所性骨化に与える影響

論文タイトル
Effect of Conventional Treatment on Dental Complications and Ectopic Ossifications Among 30 Adults With XLH
論文タイトル(訳)
成人XLHにおいて従来療法が歯科合併症・異所性骨化に与える影響
DOI
10.1210/clinem/dgac732
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 108, Issue 6, June 2023, Pages 1405–1414
著者名(敬称略)
加藤 創生, 伊東 伸朗 他
所属
東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科

抄訳

X連鎖性低リン血症性くる病 (X-linked hypophosphatemic rickets:XLH)では従来治療が成人期の歯科合併症を予防することが報告されているが、その予防効果が前歯や臼歯などの歯種によって異なるかどうかは不明である。また、異所性骨化に対する従来治療の予防効果に関する報告も少ない。今回我々は、成人XLH30例のパノラマX線画像、脊椎CT、股関節・膝関節X線画像の結果を後方視的に解析し、5歳未満から治療を開始した早期従来療法開始群(早期群)と5歳以降に治療を開始した後期従来療法開始群(後期群)の2群に分けて歯科合併症・異所性骨化重症度を比較した。後期群では、早期群と比較して健全歯数が有意に少なく、齲歯全体の重症度の指標であるDMF指数が有意に高かった。その一方で、前歯と臼歯の歯科合併症の重症度、脊柱靭帯骨化や股関節・膝関節周囲骨棘の重症度・頻度は、両群間で有意差はなかった。本検討によって、早期に治療を開始することにより、骨石灰化障害と同様、歯科合併症も予防が可能であることが示唆された。一方で、腱付着部症は骨や歯と異なり早期に治療を開始しても予防が不可能であった。従って、異所性骨化は低リン血症やFGF23高値が直接影響し惹起されているのではない可能性が高い。

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2023/05/26

褐色脂肪組織発生の経時的マルチオミクスアトラス

論文タイトル
A Multiomics Atlas of Brown Adipose Tissue Development Over Time
論文タイトル(訳)
褐色脂肪組織発生の経時的マルチオミクスアトラス
DOI
10.1210/endocr/bqad064
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology, Volume 164, Issue 6, June 2023, bqad064
著者名(敬称略)
熊谷 雄太郎 他
所属
産業技術総合研究所 細胞分子工学研究部門

抄訳

褐色脂肪組織(BAT)は、栄養摂取、カロリー制限、運動、環境温度などの生理的変化に対して、エネルギーを消費して熱を発生させることで恒常的なエネルギー収支を調節しており、肥満や代謝疾患にとって重要な器官となっている。我々は、マウスBATの発生過程を時系列的に把握するため、胚から成体まで、トランスクリプトームとメタボロームによる統合的な特徴づけを行った。その結果、BATに特異的な2つの発生上の不連続な変化があることを明らかにした。また、転写因子の結合部位を調べ、発生の時間経過に重要な転写因子を発見した。また、他の臓器発生におけるトランスクリプトームおよびメタボロームデータと比較した結果、BATに特異的なトランスクリプトームおよびメタボロームのパターンを発見した。これらの結果は、マウスBATの発生の概要を示すとともに、BATの発生および機能制御に関する示唆を与える。

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2023/05/18

ESR1遺伝子イントロン6の微細欠失は停留精巣と尿道下裂の発症感受性因子である

論文タイトル
Microdeletion at ESR1 Intron 6 (DEL_6_75504) Is a Susceptibility Factor for Cryptorchidism and Hypospadias
論文タイトル(訳)
ESR1遺伝子イントロン6の微細欠失は停留精巣と尿道下裂の発症感受性因子である
DOI
10.1210/clinem/dgad187
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism
巻号
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 108, Issue 10, October 2023, Pages 2550–2560
著者名(敬称略)
増永 陽平, 緒方 勤 他
所属
浜松医科大学 医学部

抄訳

エストロゲン受容体α遺伝子ESR1のイントロン6に存在する2,244 bp微細欠失(∆ESR1)が停留精巣 (CO) や尿道下裂 (HS) の遺伝的感受性因子であることを明らかとした。これは、(1) 日本人とイタリア人のハプロタイプ解析により、同一の34 kb以上の連鎖不平衡 (LD)ブロックと4つのハプロタイプ、AGATCハプロタイプとCO・HSの強固な相関が見出されたこと、(2) 全ゲノム解析により、日本人とイタリア人のAGATCハプロタイプから、マイクロホモロジーに介在される同一の∆ESR1が同定されたこと、(3) ∆ESR1が停留精巣・尿道下裂と強い連鎖を示したこと、(4) ∆ESR1あるいはこの領域上の唯一の機能因子であるCTCF-BSをホモで欠失させた乳がん由来細胞が野生型乳がん由来細胞よりESR1を多く発現し、エストロゲン様物質添加後のdown-regulationをほとんど示さなかったことに基づく。以上の成績は、∆ESR1がESR1発現量増加を招くことでCO・HSの感受性因子として作用することを示すものである。また、∆ESR1がAGATCハプロタイプと絶対連鎖不平衡を示したことから、∆ESR1は、進化の初期には極めて稀であったマイナーアレルの組み合わせから成るAGATCハプロタイプを持つ創始者に形成され、ESR1発現量増加に伴う適応度向上を介して世界中に広がってきたきたと推測される。

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