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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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2026/05/12

ファージに由来する再構成可能なエフェクターが放線菌の収縮性ナノマシンに付随し、細菌間競争への応答を調節する New

論文タイトル
A phage-derived reconfigurable effector associated with an actinobacterial contractile nanomachine tailors bacterial responses to competition
論文タイトル(訳)
ファージに由来する再構成可能なエフェクターが放線菌の収縮性ナノマシンに付随し、細菌間競争への応答を調節する
DOI
10.1128/jb.00532-25
ジャーナル名
Journal of Bacteriology
巻号
Journal of Bacteriology Ahead of Print
著者名(敬称略)
永久保 利紀 他
所属
筑波大学 生命環境学群 生命地球科学研究群 生命環境系/高等研究院/MiCS
ライデン大学 客員研究員
著者からのひと言
この論文では、何らかのきっかけで細菌のゲノムに残された「ウイルスの残骸」がその細菌の役に立っていることを示しています。「ウイルスの残骸」はその機能を容易に改変可能なタンパク質のモジュール構造に落とし込み、細菌が外部から受ける選択圧への柔軟な対応を可能にすることで、自らを保持する細菌の繁栄に貢献しその存在を維持している可能性があります。その機能中枢が、ウイルスの感染機構に由来していると思われる点も注目されます。

抄訳

収縮性注入機構(CISs)は、ファージ尾部から派生したナノマシンであり、細菌を中心とした原核生物に広く分布している。CISsはエフェクターと呼ばれる特定のタンパク質を格納し、様々な生物学的プロセスを仲介するエフェクターを射出する。本研究では、ファージの感染機構の一部から派生した新規エフェクター群の発見について報告する。CISsが最も高度に保存されている細菌群である放線菌のモデル種Streptomyces lividansにおいて、細胞内CISの一種であるSLPのエフェクターSle1が同定された。Sle1はSLPに格納され、S. lividansの細胞膜関連プロテオーム画分の割合を増加させ、最終的に細菌間競争に対する本菌の適応を促す。Sle1ホモログは放線菌において広く分布している。以上の結果は、ファージの感染機構が細菌によって環境適応を補助する因子として取り込まれてきたことを示唆している。

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2026/05/12

LRBAは腎臓の遠位ネフロンにおいて水と塩の恒常性を維持するために複数の小胞輸送機構を制御する New

論文タイトル
LRBA organizes distinct vesicular trafficking systems in distal nephron segments for water and sodium conservation
論文タイトル(訳)
LRBAは腎臓の遠位ネフロンにおいて水と塩の恒常性を維持するために複数の小胞輸送機構を制御する
DOI
10.1073/pnas.2525505123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.18 e2525505123
著者名(敬称略)
長岡 可楠子 安藤 史顕 他
所属
東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 腎臓内科学分野
著者からのひと言
LRBA欠損症は、これまで主に「免疫の病気」と考えられてきましたが、本研究により、LRBAが腎臓にも発現し、水と塩の保持を担うことが明らかになりました。患者レジストリ解析とモデルマウスの解析を統合することで、腎臓の体液恒常性維持機構を新たに解明した点が本研究の特徴です。本成果は、LRBA欠損症に「尿濃縮障害」という新たな病態概念を加えるものであり、脱水症や電解質異常への早期治療介入の必要性を示しています。

抄訳

LRBA欠損症は、慢性的な下痢や繰り返す感染症を特徴とする先天性免疫異常症に分類される疾患として知られていますが、免疫系以外の表現型については十分に解明されていませんでした。本研究では、LRBA欠損症患者の国際共同レジストリ解析、LRBA欠損症モデルマウスの病態解析、腎臓膜タンパクの網羅的解析を組み合わせることで、LRBA欠損症において尿濃縮力障害、多尿、電解質異常が生じることを明らかにしました。その機序として、LRBAが腎臓集合管ではAQP2・AQP4水チャネルの小胞輸送を担い、さらに遠位尿細管ではSPAKキナーゼの小胞輸送を介して塩輸送体の活性制御を担うことを解明しました。LRBAは腎臓において水と塩を協調的に保持する役割を有し、尿中への喪失を防いでいました。LRBA欠損症患者の診療では、脱水症への注意が必要となる一方で、一部の変異では抗利尿薬デスモプレシンが多尿の治療へ有効となる可能性を示せており、遺伝子変異に応じた個別化医療への発展が期待されます。

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2026/05/11

スリランカにおけるネズミ媒介性レプトスピラ属菌の分子疫学:新規シーケンスタイプおよびこれまで認識されていなかった保菌動物の同定 New

論文タイトル
Molecular epidemiology of rodent-borne Leptospira spp. in Sri Lanka: identification of novel sequence types
and previously unrecognized reservoir animals
論文タイトル(訳)
スリランカにおけるネズミ媒介性レプトスピラ属菌の分子疫学:新規シーケンスタイプおよびこれまで認識されていなかった保菌動物の同定
DOI
10.1099/jmm.0.002133
ジャーナル名
Journal of Medical Microbiology
巻号
Volume 75, Issue 3
著者名(敬称略)
Nipun Rathnayake 小泉 信夫 他
所属
国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所 細菌第一部-第四室
著者からのひと言
本研究では、スリランカのネズミ類における病原性レプトスピラの遺伝的多様性を明らかにし、ヒト感染に関与する新たな保菌動物を同定した。さらに、これまで未報告であった新規シーケンスタイプも検出され、スリランカにおける多様なレプトスピラ感染環の存在が示された。本研究成果は、レプトスピラ症の感染源解明と制御対策の構築に貢献すると期待される。

抄訳

レプトスピラ症は,全世界で発生する人獣共通感染症であり、特に熱帯地域で流行がみられる。スリランカは本症の流行地域の一つであり、病原体(レプトスピラ属菌)、保菌動物、ならびに環境・職業要因が複雑に関与することで、公衆衛生上の問題となっている。
本研究では、ヒト患者由来レプトスピラとネズミ類が保有するレプトスピラとの遺伝学的関連性を明らかにするため、スリランカのKurunegala、Anuradhapura、Badullaの3地区に生息するネズミ類におけるレプトスピラの遺伝的多様性を調査した。
その結果、257検体中33検体(12.8%)から病原性レプトスピラDNAが検出され、陽性個体はBandicota bengalensisMus boodugaRattus rattus、およびVandeleuria sp.の4種であった。flaB遺伝子配列解析および多遺伝子座配列タイピング(MLST)により、検出されたレプトスピラ種はLeptospira borgpeterseniiL. interrogansL. kirschneri、およびL. licerasiaeであり、2つの新規シーケンスタイプ(ST389およびST392)を含む計5種類のシーケンスタイプが同定された。また、R. rattusがヒト感染に関与するL. interrogans ST49の、M. boodugaL. borgpetersenii ST144およびL. licerasiaeの保菌動物であることが示された。

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2026/05/11

原発性胆汁性胆管炎を伴う間質性肺炎に認めた樹枝状肺骨化症の1例 New

論文タイトル
Dendriform pulmonary ossification in fibrosing interstitial lung disease with primary biliary cholangitis
論文タイトル(訳)
原発性胆汁性胆管炎を伴う間質性肺炎に認めた樹枝状肺骨化症の1例
DOI
10.1136/bcr-2025-271743
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Volume 19, Issue 4
著者名(敬称略)
尾形 朋之 他
所属
茨城県厚生連 JAとりで総合医療センター 呼吸器内科
著者からのひと言
間質性肺疾患に伴う微細結節影では、肉芽腫性疾患のみならず樹枝状肺骨化症(DPO)も重要な鑑別となります。本症例は、骨条件CTでの再評価と経気管支鏡下クライオバイオプシーにより診断に至りました。背景因子として慢性微小誤嚥の関与も示唆され、DPOの病態理解にも示唆を与える症例です。

抄訳

Dendriform pulmonary ossification(DPO)は、肺内に樹枝状の骨形成を認める稀な病態であり、UIPパターンを呈する肺線維症との関連が知られている。今回、無症候性の原発性胆汁性胆管炎(PBC)を有する80歳代男性において、胸部CTで両側下葉の非特異的なすりガラス影と線維化に加え、胸膜下に微小結節の出現を認めたため、PBCに関連した肉芽腫性の間質性肺炎が疑われた。しかし、経気管支鏡下クライオバイオプシー(TBLC)では肉芽腫は認められず、UIPパターンの線維化とともに肺胞内の骨化が確認された。これを受けてCTを骨条件で再評価したところ、微小結節は高吸収の樹枝状構造として描出され、DPOに合致する所見であることが確認された。本報告は、間質性肺炎に付随するDPOの臨床的意義と、TBLCの有用性を示すものである。

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2026/05/07

ケモカイン受容体CCR7におけるバイアスシグナル伝達の構造的知見 New

論文タイトル
Structural insights into biased signaling at chemokine receptor CCR7
論文タイトル(訳)
ケモカイン受容体CCR7におけるバイアスシグナル伝達の構造的知見
DOI
10.1073/pnas.2533975123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.18 e2533975123
著者名(敬称略)
田中 康太郎 堤 尚孝 他
所属
東京科学大学 総合研究院 細胞構造生理学研究室(CeSPL)
著者からのひと言
同一の受容体に結合するリガンドが、いかにして異なる細胞内反応を引き起こすのか。本研究は、この謎に対し、クライオ電子顕微鏡を用いた立体構造解析、計算機シミュレーション、薬理解析を組み合わせて迫ったものである。静的な構造だけでなく、受容体の動的な振る舞いまで捉えた本成果が、副作用を抑え必要な薬効だけを引き出す画期的な創薬へと繋がることを期待している。

抄訳

GPCRの一種であるケモカイン受容体CCR7は、免疫細胞の遊走を制御し、適応免疫応答やがんのリンパ節転移において重要な役割を担う。CCR7の内因性リガンドである2種類のケモカイン(CCL19およびCCL21)は、同一受容体に結合するにもかかわらず、細胞内のシグナル経路を異なるバランスで活性化する「バイアスシグナル伝達」を引き起こすが、その構造的メカニズムは未解明であった。
本研究では、各リガンドが結合したCCR7がGタンパク質を活性化する様子をクライオ電子顕微鏡により高分解能で可視化した。この構造を基に、計算機シミュレーションで受容体の動的な構造変化を解析し、薬理解析と組み合わせることで、リガンドの結合様式の差異が受容体に異なる構造変化を誘起し、シグナル分子を選択的に活性化する精緻な仕組みを解明した。本成果は、副作用を低減し目的の薬効のみを誘導する、次世代の免疫疾患治療薬や抗がん剤の開発基盤となることが期待される。

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2026/05/01

ベトナムにおけるブタ由来G4P[6]ロタウイルス株のヒトへの頻回な種間伝播に寄与する要因:分子疫学的解析からの知見

論文タイトル
Factors contributing to the frequent interspecies transmission of G4P[6] Rotavirus alphagastroenteritidis
strains from pigs to humans in Vietnam: molecular epidemiological insights
論文タイトル(訳)
ベトナムにおけるブタ由来G4P[6]ロタウイルス株のヒトへの頻回な種間 伝播に寄与する要因:分子疫学的解析からの知見
DOI
10.1099/mgen.0.001685
ジャーナル名
Microbial Genomics
巻号
Volume 12, Issue 4
著者名(敬称略)
金子 美穂 他
所属
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 感染分子解析学分野
著者からのひと言
ロタウイルスA(RVA)は、小児における重症胃腸炎の主要な原因の一つであり、動物由来株のヒトへの種間伝播が報告されている。本研究では、ヒトとブタの双方で検出されるP[6]遺伝子型VP4に着目した。P[6]のアミノ酸特性と宿主糖鎖との相互作用との関連を示した点は、ウイルスの宿主適応機構の理解に重要な示唆を与える。また、動物由来株が比較的高頻度でヒトへ種間伝播しているにもかかわらず、持続的なヒト-ヒト間伝播には至っていないことから、ヒト宿主への適応には追加的な遺伝的要因が必要である可能性が示された。本研究の成果は、動物由来ロタウイルスの進化およびヒト適応機構の理解を深めるとともに、感染対策やワクチン開発に向けた基盤的知見を提供する。

抄訳

アジアの一部地域では、ブタ由来ロタウイルス(RVA)、特にG4P[6]株がヒトから比較的高頻度で検出されている。本研究では、ベトナム小児から検出されたG4P[6]株の起源と高頻度検出の要因を分子疫学的に解析した。2年間に収集したRVA陽性糞便1,252検体中28検体(2.2%)がG4P[6]株単独感染に起因し、23株の全ゲノム解析により、いずれもヒトRVAとのリアソートメントを伴わないブタ由来株と確認された。一部のG4P[6]株に全ゲノムが一致するクラスターが認められ、限定的なヒト-ヒト間伝播の可能性が示唆された一方、多くの株は遺伝的に異なっており、ブタからヒトへの複数回の独立した種間伝播が推測された。さらに系統解析から、本研究株を含むブタ様RVAのP[6]は典型的ヒトRVAのP[6]とは遺伝的に異なり、それぞれのP[6]株の検出頻度には地理的差異が認められた。加えて、アミノ酸配列解析によりブタ様P[6]に特徴的な残基が同定され、一部は既知のヒト細胞表面糖鎖への結合部位に対応していた。以上より、本事例は持続的なヒト-ヒト間伝播株の出現ではなく、頻回な種間伝播に起因すると考えられ、ブタ様P[6]のアミノ酸特性が種間伝播を促進し得る可能性が示された。

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2026/04/30

quickARSC: プロテオームの元素組成を解析するためのツールとWebページ

論文タイトル
quickARSC: standalone package and web interface for profiling elemental stoichiometry of proteomes
論文タイトル(訳)
quickARSC: プロテオームの元素組成を解析するためのツールとWebページ
DOI
10.1128/mra.00031-26
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiology Resource Announcements Ahead of Print
著者名(敬称略)
西野 聡 吉澤 晋 他
所属
東京大学 大気海洋研究所 海洋生態系科学部門(微生物)
著者からのひと言
詳細はGitHub Wikiをご確認ください。
https://github.com/stsnsn/quickARSC/wiki 

抄訳

本稿では、原核生物の塩基配列またはアミノ酸配列のFASTAファイルから元素組成指標(ARSC)を計算するコマンドラインツール quickARSC を紹介する。quickARSCでは、タンパク質またはプロテオームの窒素、炭素、硫黄組成指標を算出可能である。本ツールはgz圧縮済みファイルや並列計算に対応しており、パイプなどを用いてシームレスにUNIXコマンドと接続できる。
併せて、FASTAファイルをアップロードすることでこれらの指標を計算可能なWebページを公開した。このページではGenome Taxonomy Database r226.0に登録されている143,614種の代表原核生物プロテオームにおける事前計算済みデータも提供している。ユーザーはGUI操作のみでこれらの情報を検索・取得可能である。

 

 

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2026/04/21

Ptprd遺伝子マイクロエクソンの選択的スプライシングコードが行動発達の鍵をにぎる

論文タイトル
Alternative microexon splicing code for a four-amino acid peptide of PTPRD governs behavioral development
論文タイトル(訳)
Ptprd遺伝子マイクロエクソンの選択的スプライシングコードが行動発達の鍵をにぎる
DOI
10.1073/pnas.2515310123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.15 e2515310123
著者名(敬称略)
今井彩子 吉田知之 他
所属
富山大学学術研究部医学系分子神経科学講座

抄訳

マイクロエクソンは3~27ヌクレオチドから構成され、神経細胞で選択的に利用されることから神経系のタンパク質の機能を修飾する微小ゲノム素子として近年、注目されている。本研究ではシナプスの形成と再編を担う細胞接着タンパク質(シナプスオーガナイザー)をコードするPtprd遺伝子のもつ3つのマイクロエクソンの調節機構とその生理的な意義に注目した。これらのマイクロエクソンの選択的スプライシングは遺伝的なプログラムと環境依存的なプログラムに従って脳内で時空間的に調節されることがわかった。3つのマイクロエクソンのうちの1つは僅か4アミノ酸のペプチドをコードし、この遺伝的な選択的スプライシングプログラムを操作したマウスでは感覚、運動、情動、社会性など広範な行動に大きな異常が観察された。一方、環境依存的な選択的スプライシングプログラムを欠失したマウスはある種の学習と記憶ができなくなった。本研究からシナプスオーガナイザータンパク質内の僅か4アミノ酸のペプチドの使い方が行動の発達を大きく左右することが示された。今回の知見は、精神疾患や神経発達障害の発病機構の解明、さらには高度で複雑なヒトの脳機能や個性を作り出す仕組みの解明に繋がるものとして期待される。

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2026/04/15

メダカにおける3種のコレシストキニン受容体は、生殖、消化、脂質代謝および成長をそれぞれ制御する

論文タイトル
Three cholecystokinin receptors differentially regulate reproduction, digestion, lipid metabolism, and growth in medaka
論文タイトル(訳)
メダカにおける3種のコレシストキニン受容体は、生殖、消化、脂質代謝および成長をそれぞれ制御する
DOI
10.1530/JOE-25-0353
ジャーナル名
Journal of Endocrinology
巻号
Accepted Manuscripts JOE-25-0353
著者名(敬称略)
村下 幸司 他
所属
福井県立大学 海洋生物資源学部 先端増養殖科学科
著者からのひと言
本研究は、メダカをモデルとして3種のコレシストキニン(Cck)受容体が、生殖、消化、脂質代謝および成長をそれぞれ異なって制御することを明らかにした。特に、Cck受容体が脂質代謝や体成長の調節に関与することを示した初めての報告であり、Cckの生理機能を従来の枠組みから拡張するものとなる。

抄訳

コレシストキニン(Cck)は、消化、摂食および生殖の制御に関与する多機能ペプチドホルモンである。本研究では、メダカ(Oryzias latipes)において3種のCck受容体遺伝子(cck1r、cck2ra、cck2rb)が欠損したノックアウト系統を作製し、それぞれの生理機能を解析した。cck1r欠損魚では消化酵素分泌の低下と成長遅延が認められ、消化制御および初期成長における重要性が示された。cck2ra欠損魚では軽微な生殖能の低下と脂質蓄積の増加が観察された。一方、cck2rb欠損魚では雌の不稔、顕著な脂質蓄積および成熟期以降の成長促進が認められた。さらに網羅的遺伝子発現解析により、脂質代謝および成長制御における各受容体の機能特異性が支持された。

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2026/04/14

Comamonas testosteroni TA441株のステロイド分解においてBCD環のベータ酸化開始に必須な酵素9,17-dioxo-1,2,3,4,10,19-hexanorandrostan-5-oic acid (9,17-DOHNA) のC9-hydrogenase、および7α-dehydrataseの同定

論文タイトル
Identification of the C9-hydrogenase for 9,17-dioxo-1,2,3,4,10,19-hexanorandrostan-5-oic acid (9,17-DOHNA) and the 7α-dehydratase essential for initiating β-oxidation of the B-, C-, and D-rings in steroid degradation by Comamonas testosteroni TA441
論文タイトル(訳)
Comamonas testosteroni TA441株のステロイド分解においてBCD環のベータ酸化開始に必須な酵素9,17-dioxo-1,2,3,4,10,19-hexanorandrostan-5-oic acid (9,17-DOHNA) のC9-hydrogenase、および7α-dehydrataseの同定
DOI
10.1128/aem.02331-25
ジャーナル名
Applied and Environmental Microbiology
巻号
Applied and Environmental Microbiology Ahead of Print
著者名(敬称略)
堀之内 正枝
所属
理化学研究所Kim表面界面科学研究室
著者からのひと言
細菌による好気的ステロイド分解の分解経路および関連遺伝子の大半は長らく不明であり、TA441株を用いた一連の研究で初めてステロイド骨格の分解がほぼ明らかになったものの、細菌がこの分解系を持つメリット、この分解系の環境中での役割についてはまだ不明である。その解明にはより広範囲の分解細菌の解析が必要だが、遺伝的に遠い細菌では酵素のアミノ酸配列の相同性も低くなる。立体構造での検索が可能になれば、新たな一面が見えてくるかもしれない。

抄訳

Comamonas testosteroni TA441株は、ステロイド骨格の分解経路が最も詳細に解明されている、好気的ステロイド分解細菌のモデル株である。TA441株と同様の分解経路は、他のプロテオバクテリアや結核菌などの放線菌を含む幅広い属の細菌に存在する。本研究では新たにCD環開裂に必須なhydrogenase(ScdB)およびdehydratase(ScdH)を同定した。AlphaFoldによるモデリングでは、TA441株のステロイド分解に関わるhydrogenaseのうち5種がScdBと類似構造をとる事が示され、ScdHは、BCD環の分解に関与するScdYおよびScdNと同様のホモヘキサマー構造を形成すると予測された。同様に他の酵素も解析した結果、TA441のC12βdehydrataseが、アミノ酸配列のidentityが約28%しかないClostridium scindensの胆汁酸7α dehydratase BaiEと強い構造的類似性を示すことが明らかになった。

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