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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/01/27

心筋細胞非神経性アセチルコリン産生能が障害を受けると、ミトコンドリア機能障害が起こり、その膜上に局在するニコチン受容体を介したカルシウムハンドリング能も低下し、最終的には心不全を引き起こす New

論文タイトル
Impaired cardiac non-neuronal acetylcholine synthesis triggers mitochondrial dysfunction with the loss of nicotinic receptor-mediated calcium handling, causing the failing heart
論文タイトル(訳)
心筋細胞非神経性アセチルコリン産生能が障害を受けると、ミトコンドリア機能障害が起こり、その膜上に局在するニコチン受容体を介したカルシウムハンドリング能も低下し、最終的には心不全を引き起こす
DOI
10.1042/CS20257026
ジャーナル名
Clinical Science
巻号
Clin Sci (Lond) (2025) 139 (22): 1543–1570
著者名(敬称略)
曽野部 崇 柿沼 由彦 他
所属
学校法人日本医科大学 大学院医学研究科 生体統御科学分野
著者からのひと言
AChというと副交感神経系由来の神経伝達物質が想起されるが、実は心筋細胞自身ACh産生能を持つこと、そのAChは世界で初めて、Mit膜上にあるニコチン受容体を介してその情報を伝達し、Mitカルシウム取り込みを制御してMitそのものの機能保持をすること、そして最終的には心筋細胞質内カルシウムレベルの安定化に大きく寄与することが解明されたことは重要な発見である。

抄訳

我々を筆頭にこれまで、心筋細胞による非神経性アセチルコリン産生系(NNCCS)が心筋細胞の生理機能維持に必須であること、虚血耐性能・抗心肥大効果・抗交感神経亢進機能を有すること等が報告されてきた。しかしその機序、特にNNCCSの標的分子は不明であった。そこで心臓特異的ChATコンディショナルノックアウトマウスを解析し、不全心症状を伴う心機能低下、心臓ATP産生能低下、形態・膜電位異常を伴うミトコンドリア(Mit)異常が確認された。さらにその膜上に局在する7ニコチン受容体およびMItカルシウム輸送体両蛋白ともその発現レベルは低下し、心筋細胞でのMitカルシウムハンドリング機能は低下した。その結果全身性炎症応答の惹起や血液脳関門蛋白claudin-5発現低下によるうつ・ストレス応答亢進等中枢への影響も認められた。以上よりNNCCSの標的の一つはMitであり、そのカルシウムハンドリグを介した機能形態維持には、ニコチン受容体を介する心筋細胞内AChが不可欠であることが解明された。

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2026/01/23

メトホルミンは MEN1 関連膵および下垂体神経内分泌腫瘍を抑制する― マウスモデルおよび臨床データの解析― New

論文タイトル
Metformin Suppresses MEN1-Associated Pancreatic and Pituitary Neuroendocrine Tumors: Evidence from Mouse Models and Clinical Data
論文タイトル(訳)
メトホルミンは MEN1 関連膵および下垂体神経内分泌腫瘍を抑制する― マウスモデルおよび臨床データの解析―
DOI
10.1530/ERC-25-0518
ジャーナル名
Endocrine-Related Cancer
巻号
Accepted Manuscripts ERC-25-0518
著者名(敬称略)
中野 愛里 大木 理恵子 他
所属
国立がん研究センター研究所 基礎腫瘍学ユニット
著者からのひと言
私たちの研究グループは、ケトン食による食事介入(Cell Death & Disease, 2023)および本研究におけるメトホルミンを用いた薬理学的介入という二つの異なる手法を通じて、血糖およびインスリンシグナル制御が膵・下垂体神経内分泌腫瘍の発症・進展を規定する重要な因子であることを明らかにしました。これらの成果は、全身代謝制御を治療標的とする新たな神経内分泌腫瘍治療概念を提示するものです。

抄訳

膵神経内分泌腫瘍(PanNET)は膵がん全体の約1–2%を占める希少がんであり、その大半を占める非機能性PanNET(NF-PanNET)はホルモン症状を示さないため発見が遅れ、治療が困難である。多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)はMEN1遺伝子の生殖細胞系列変異により発症し、PanNETや下垂体神経内分泌腫瘍(PitNET)を高頻度に合併する。本研究では、NF-PanNETとPitNETの両方を発症するMen1f/f-RipCre+マウスを用い、糖尿病治療薬メトホルミンの長期投与効果を検討した。その結果、メトホルミンは血糖上昇を抑制し、インスリン分泌を正常化するとともに、PI3K/Akt/mTOR経路を抑制してPanNETおよびPitNETの発症を抑制した。さらに臨床解析において、メトホルミン使用歴のあるNF-PanNET患者は予後良好であった。以上より、メトホルミンによる血糖制御はNF-PanNETおよびMEN1関連神経内分泌腫瘍に対する有望な予防・治療戦略となり得る。

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2026/01/23

変異の組み合わせを最適化した大腸菌を利用する、新手法に依るYarrowia lipolytica由来のシステインスルフィン酸脱炭酸酵素遺伝子の同定 New

論文タイトル
Identification of the Yarrowia lipolytica cysteine sulfinic acid decarboxylase gene using a newly developed method with optimized Escherichia coli combinations of mutant alleles
論文タイトル(訳)
変異の組み合わせを最適化した大腸菌を利用する、新手法に依るYarrowia lipolytica由来のシステインスルフィン酸脱炭酸酵素遺伝子の同定
DOI
10.1099/mic.0.001620
ジャーナル名
Microbiology
巻号
Microbiology Volume 171, Issue 11
著者名(敬称略)
西川 正信
所属
岡山県農林水産総合センター 生物科学研究所
著者からのひと言
養殖向け代替飼料の開発は食糧問題の解決に有望です。必須ながらも、大豆粕等に含まれないタウリンをいかに補うかは重要な課題の一つです。化学合成品の添加ではなく、特定の微生物を大豆粕等に混ぜるだけで、発酵が進み、必要量のタウリンを賄う事が出来たら良いな、という発想です。タウリン合成が著しい微生物は、その存在を含め、十分に検討されていません。本目的に供する微生物を探索・創生する研究開発の端緒になればと思います。

抄訳

海水魚の持続可能な養殖に向けて、大豆粕などを使った代替飼料が開発中である。補充を要する栄養素の一つ、タウリンは、化学合成品と比べて低コストで環境に優しい発酵生産物が好適かもしれない。タウリン発酵に供する微生物について、生合成経路の鍵となるシステインスルフィン酸脱炭酸酵素(CSAD)の研究は不可欠であろう。今般、合成生物学的に、タウリンの前駆体であるL-システイン酸の脱炭酸後の硫黄を同化する大腸菌の増殖を指標に、CSAD遺伝子の探索法を考案した。使用する大腸菌には、cysA(硫酸/チオ硫酸ABCトランスポーター)とssuD(FMNH2依存性アルカンスルホン酸モノオキシゲナーゼ)の両遺伝子、その他の遺伝子に多重欠損変異を導入した。本手法をYarrowia lipolytica由来のグルタミン酸脱炭酸酵素遺伝子に適用し、コードされる酵素がL-システイン酸やL-システインスルフィン酸をも脱炭酸することを示した。

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2026/01/23

ミジンコにおける幼若ホルモン誘導性遺伝子の流用による環境依存型性決定の進化 New

論文タイトル
Evolution of environmental sex determination via juvenile hormone–induced gene co-option in Daphnia
論文タイトル(訳)
ミジンコにおける幼若ホルモン誘導性遺伝子の流用による環境依存型性決定の進化
DOI
10.1073/pnas.2525480123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.3 e2525480123
著者名(敬称略)
高畑 佑伍 宮川 一志 他
所属
国立大学法人 宇都宮大学 バイオサイエンス教育研究センター 環境生理学研究室

抄訳

昆虫において幼若ホルモン(JH)は、変態や生殖だけでなく、カースト分化、形態形成、休眠など多岐にわたる作用を示す。こうした多様な機能が、祖先的なJHの役割からどのように進化してきたかは十分に解明されていない。淡水性甲殻類ミジンコでは、JHがオス産生を誘導することで環境依存型性決定を制御するが、その分子経路は不明であった。本研究では、概日時計遺伝子vrilleDpvri)がJHシグナルの直接標的であることを明らかにした。レポーター解析により、Dpvriは新たに獲得された9塩基のJH応答配列を介して受容体複合体(Met/SRC)により転写活性化される一方、コクヌストモドキvriには同様の配列が存在せずJH応答性も示さないことが分かった。さらに、CRISPR/Cas9により単一のJH応答配列を欠損させると、JH依存的なDpvri発現が低下し、オス誘導の閾値が上昇した。比較解析から、この配列はミジンコ目で保存される一方、アルテミアには存在しないことが判明し、その出現が環境依存型性決定の起源と一致する可能性が示唆された。これらの結果は、vriが新規JH応答配列の獲得を通じてJH経路に取り込まれたことを示し、節足動物におけるJH機能多様化の仕組みを説明するものである。

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2026/01/22

Piezo1は赤血球と腎臓においてユビキチンリガーゼKelch-like 3を協調的に制御することでカリウム恒常性を司る New

論文タイトル
Piezo1 dictates K+ homeostasis through coordinated regulation of the ubiquitin ligase Kelch-like 3 in RBCs and the kidney
論文タイトル(訳)
Piezo1は赤血球と腎臓においてユビキチンリガーゼKelch-like 3を協調的に制御することでカリウム恒常性を司る
DOI
10.1073/pnas.2513222123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.3 e2513222123
著者名(敬称略)
石澤 健一、柴田 茂 他
所属
帝京大学医学部附属病院 腎臓内科
著者からのひと言
循環血液中のカリウムの大部分は赤血球の中に存在しており、対照的に血漿中のカリウム濃度は非常に低いレベルに保たれています。本研究では、赤血球と腎臓が連携して血漿中のカリウム濃度を制御するという、これまで見過ごされてきた臓器間シグナルの存在を明らかにしました。腎臓が他の組織の細胞内カリウムの変化を感知し、体外への排泄を調節する新しい仕組みを提示しています。高血圧や電解質異常の理解を一段深め、将来の治療戦略につながる知見として、幅広い分野の研究者に読んでいただきたい研究です。

抄訳

カリウム(K⁺)は心筋や神経系細胞などの機能制御に不可欠なミネラルであり、十分なカリウム摂取は日本人の国民病である高血圧を予防し、心血管疾患リスクを低減させる。その一方で、血液中カリウム濃度の異常(高カリウム血症・低カリウム血症)は重篤な不整脈の原因となり得るため、カリウムの調節機構を正しく理解することは、電解質異常の病態解明や予防・治療戦略の確立に直結する重要な課題である。
体内カリウムの大部分は肝臓や骨格筋、赤血球などの細胞内に貯蔵されているが、腎臓がどのようにこれらの臓器と連携し、血液中カリウム濃度を極めて狭い範囲で厳密に制御しているのかについては、十分に明らかとなっていない。本研究では、機械刺激センサーPiezo1がユビキチンリガーゼKLHL3の活性を制御することで、赤血球から細胞外へのカリウム輸送と腎臓におけるカリウム排泄とが機能的に連動していることを明らかにした。赤血球においては、Piezo1がKLHL3およびその基質であるWNK1を介して細胞内カリウム量を調節し、腎臓では同じ経路によって集合管におけるROMKチャネルを通じた尿中カリウム排泄が制御されると考えられる。本研究により、臓器間シグナルに基づく新たなカリウム調節機構が明らかとなり、カリウム代謝異常に対する新たな治療標的の可能性が示された。

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2026/01/22

FGF21–視床下部室傍核オキシトシン–腹側被蓋野ドーパミン系によるアルコール摂取の負のフィードバック制御 New

論文タイトル
Negative feedback regulation of alcohol ingestion through the FGF21-PVH oxytocin-VTA dopamine system
論文タイトル(訳)
FGF21–視床下部室傍核オキシトシン–腹側被蓋野ドーパミン系によるアルコール摂取の負のフィードバック制御
DOI
10.1073/pnas.2525172122
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.3 e2525172122
著者名(敬称略)
松居 翔 他
所属
京都大学大学院農学研究科 食品生物科学専攻 栄養化学分野
著者からのひと言
「ドーパミン=快楽物質」という定説を覆し、飲酒後に生じるドーパミン活性化が、過剰な飲酒を抑制する「充足」のブレーキとして機能することを世界で初めて解明しました。さらに、食品である希少糖D-alluloseがこの脳内回路を強力に活性化し、依存症行動を改善することを実証しました。本研究は、脳科学の常識を塗り替えるとともに、副作用のない「食による治療」への道を拓く画期的な成果です。

抄訳

アルコール摂取により肝臓から分泌されるホルモン「FGF21」は、脳内の視床下部室傍核(PVH)のオキシトシン(OXT)神経に作用し、腹側被蓋野(VTA)へのOXT放出を促す。このOXTがVTAのドーパミン(DA)神経を持続的に活性化し、飲酒直後の快楽ではなく数時間後の「満たされた」という充足シグナルを生み、次の飲酒までの間隔を延ばすことで過剰摂取を防ぐ負のフィードバック機構として働く。アルコール依存症モデルマウスでは、このFGF21-PVHOXT-VTADA軸の反応性が低下し、飲酒抑制が十分に機能しないことが示された。一方、FGF21分泌を強力に誘導する希少糖D-alluloseを摂取させると、低下した回路が再活性化され、飲酒欲求や依存行動が顕著に抑制された。この効果は投与終了後も持続することから、D-alluloseがアルコール依存症の新たな予防・治療の選択肢となることが期待される。

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2026/01/21

細菌によるグリコサミノグリカンの代謝に関わる異性化酵素/還元酵素の遺伝子クラスターの分子進化と多様性

論文タイトル
Molecular evolution and diversity of isomerase–reductase clusters involved in the bacterial metabolism of glycosaminoglycans
論文タイトル(訳)
細菌によるグリコサミノグリカンの代謝に関わる異性化酵素/還元酵素の遺伝子クラスターの分子進化と多様性
DOI
10.1128/msphere.00817-25
ジャーナル名
mSphere
巻号
mSphere Ahead of Print
著者名(敬称略)
西村 優 橋本 渉 他
所属
京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻生物機能変換学分野
著者からのひと言
同一の活性を示すが配列同一性の低い二種類の酵素(KduI・DhuIとKduD・DhuD)の各アイソザイム遺伝子が細菌ゲノム上に並んで存在する遺伝子クラスターについて、配列同一性が低いにもかかわらず、なぜゲノム上にそれぞれ並ぶことができたのかに興味をもちました。さらに、kdudhuが混在したハイブリッド型の遺伝子クラスターの発見を契機に、網羅的な細菌ゲノムを解析し、これらのアイソザイム遺伝子クラスターの細菌における分布を調べることにより、その分子進化と多様性に関する新たな知見を得ることができました。

抄訳

グリコサミノグリカン(GAG)はウロン酸とアミノ糖からなる多糖であり、腸管などヒトの各組織に分布する。GAGを資化することにより定着・常在する細菌がいる。GAGの分解により生じる不飽和ウロン酸は遺伝子クラスターを構成する異性化酵素(KduIまたはDhuI)と還元酵素(KduDまたはDhuD)の逐次反応により代謝されるが、Kdu・Dhuの配列同一性はいずれの酵素間でも低い。本研究では、3,000種以上の細菌ゲノムを対象として、それらの分子系統を解析し、クラスターの多様性に関する以下の知見を得た。クラスター保有種の系統樹上での分布に大きな偏りは見られず、特にkduI-kduDクラスター保有種は広く分布する。一方、Bacteroidota門はkdudhuが混在したkduI-dhuDクラスターを有し、Bacillota門はdhuD-dhuIクラスターをもつ。ヒト腸内細菌叢ではkduI-dhuDおよびdhuD-dhuIクラスターの出現頻度が高いことから、これらのクラスターが腸内での生存に有利に働き、進化的に保存されていることが示唆される。

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2026/01/21

脳オルガノイドを用いたミトコンドリア病MELAS病態モデルの構築

論文タイトル
Modeling Mitochondrial Disease Using Brain Organoids: A Focus on Mitochondrial Encephalomyopathy, Lactic Acidosis, and Stroke-like Episodes
論文タイトル(訳)
脳オルガノイドを用いたミトコンドリア病MELAS病態モデルの構築
DOI
10.3791/69303-v
ジャーナル名
Journal of Visualized Experiments(JoVE)
巻号
J. Vis. Exp. (224), e69303
著者名(敬称略)
川野 史帆里 藤岡 正人 他
所属
北里大学医学部 分子遺伝学
著者からのひと言
本研究では、患者由来iPS細胞から作製した脳オルガノイドを用い、ミトコンドリア病MELASの病態を再現・解析する手法を確立しました。脳内で進行する神経機能障害を三次元的、二次元的に捉えることで、従来モデルでは困難であった病態理解を可能にしています。本成果は、MELASの病態解明を加速させ、次世代の創薬プラットフォームとして大きく貢献することが期待されます。

抄訳

MELASは、ミトコンドリアDNA変異(特にm.3243A>G)によって引き起こされる代表的なミトコンドリア病である。本研究ではMELASの病態生理を解明するため、患者由来iPS細胞から脳オルガノイドを作製した。患者脳オルガノイドは、m.3243A>G変異のヘテロプラスミー率に依存して、大きさや形態、神経誘導効率に明確な差異を示した。さらに、オルガノイドから解離したニューロンをハイスループットな薬剤スクリーニングに適した二次元培養系へと展開したところ、神経ネットワーク形成においてもヘテロプラスミー依存的な顕著な違いが認められた。 これらの結果は、患者由来iPS細胞を用いたオルガノイドモデルが、MELASの発症機構の解明および創薬研究に有用なプラットフォームであることを示している。

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2026/01/19

ドロップレット培養法により水生植物ヨシの根圏から分離されたDongia属細菌のドラフトゲノム配列

論文タイトル
Draft genome sequence of Dongia sp. strain agr-C8, isolated from the rhizosphere of Phragmites australis using a droplet-based cultivation method
論文タイトル(訳)
ドロップレット培養法により水生植物ヨシの根圏から分離されたDongia属細菌のドラフトゲノム配列
DOI
10.1128/mra.01011-25
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiology Resource Announcements Ahead of Print
著者名(敬称略)
岩下 智貴 玉木 秀幸 他
所属
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 バイオものづくり研究センター 生物資源情報基盤研究チーム

抄訳

本報告は、水生植物ヨシ(Phragmites australis)の根圏から、微小液滴であるwater-in-oil dropletを用いたドロップレット培養法により分離された Dongia 属細菌 agr-C8 株のドラフトゲノム配列を提示する。霞ヶ浦に生息するヨシの根圏試料からドロップレット培養法により単離された菌株について、DNBSEQ-T7 (MGI Tech)を用いて全ゲノムシーケンスを行い、SPAdesによりアセンブルを実施した。その結果、ゲノムサイズは約559万bp、G+C含量は66.0%と同定され、3個のrRNA遺伝子と53個のtRNA遺伝子を保有することが予測された。また、本菌株の16S rRNA遺伝子配列は、最近縁種である Dongia mobilis との相同性が95.63%と低いことから、新規系統である可能性が示唆された。さらに、本菌株は硫黄代謝に関連する複数の遺伝子を保有しており、硫黄含有汚染物質等の分解への関与が期待される。

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2026/01/15

Atrial cardiomyopathyの関与が考えられた脳主観動脈閉塞の症例報告

論文タイトル
Atrial cardiomyopathy as a potential embolic source in large vessel occlusion
論文タイトル(訳)
Atrial cardiomyopathyの関与が考えられた脳主観動脈閉塞の症例報告
DOI
10.1136/bcr-2025-269207
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Volume 19, Issue 1
著者名(敬称略)
森山 拓也 岡﨑 周平 他
所属
独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 脳神経内科
著者からのひと言
心房心筋症は概念として注目される一方で、診断基準や定義はまだ発展途上です。心房細動が確認できなくても、背景に“隠れた心房心筋症”が潜んでおり、脳塞栓症の原因となることがあります。脳梗塞における塞栓源検索では、心房細動の有無のみにこだわらず、心房心筋症の存在も念頭に置いて評価することが重要だと思います。ただし、心房心筋症に対する適切な抗血栓療法はまだ確立しておらず、今後の臨床研究の進展が待たれます。

抄訳

原因不明の塞栓性脳梗塞では、心房細動(AF)が確認できなくても、心房の線維化や機能障害を背景とする心房心筋症(atrial cardiomyopathy)が血栓形成・塞栓の原因となることがある。本症例は高齢男性の主幹動脈閉塞で、機械的血栓回収療法により再開通を得たが、植込み型心電図計では発症前の3年間にAFを認めず、脳梗塞後の入院中に一度だけ発作性AFを記録したのみであった。生前検査では明確な塞栓源を同定できなかったが、頻回な上室性期外収縮、PTFV1高値、BNPの軽度上昇など心房負荷を示す所見がみられ、さらに回収血栓で得られた血栓病理所見も心原性を示唆していた。剖検では左房の広範な線維化と軽微なアミロイド沈着を認め、心房心筋症の存在が病理学的に裏付けられた。AFが明確でない症例でも心房心筋症によって塞栓症を生じることを、臨床経過と病理所見の両面から支持する症例であった。

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