本文へスキップします。
ごあいさつ
会社概要
会社沿革
アクセス
個人情報保護方針
事業紹介
こんな所にユサコ
うさこの履歴書
商品一覧を見る
新卒採用
キャリア採用
先輩社員からの メッセージ
数字でみるユサコ
採用応募フォーム
ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。
(以下、条件を絞り込んで検索ができます。)
2025/04/21
アルファバキュロウイルスは、宿主となるチョウ目昆虫の核内に大量の封入体を形成する。この封入体の主構成成分はウイルスの遺伝子産物であるポリヘドリン(POLH)であり、polh遺伝子の高発現のシステムを用いたベクターとしてバキュロウイルスベクター(BEVS)が開発された。polhの高発現には転写開始点と翻訳開始点の間のバースト配列が重要であることが判明している。本研究では、このバースト配列内に存在するA-rich領域に特定の変異を入れることでpolhのmRNA量が増大し、BEVSにおける発現量も増加することがわかった。バースト配列は現在汎用されているBEVSで共通している配列であるため、本発見は応用上すぐに適用できる発見であると言える。
論文掲載ページへ
細胞内におけるタンパク質の局在性を制御するメカニズムは微生物学において重要なトピックの一つである。そのうち、生体膜の曲面形状(曲率)が細胞内においてタンパク質の局在を決める空間的な手がかりとなることが示されている。このような特定の曲率をもった生体膜と相互作用する「曲率認識タンパク質」は、細胞分裂や膜で囲まれたオルガネラ様構造の形成に関与している。本総説では、人工的に形状制御した生体膜と精製タンパク質を用いた曲率認識能のin vitro評価や生細胞を用いた評価法についての最近の研究を紹介する。しかし、これらの曲率認識能の評価は労力がかかることから、同定された曲率認識タンパク質の数は限られている。そこで、曲率認識能に基づく網羅的な探索法についても紹介する。加えて、既に細菌において明らかになっている曲率認識タンパク質とその分析法について整理するとともに、本研究領域の今後の展望について議論した。
2025/04/18
セルロースナノファイバー(CNF)の断面寸法は、産業上の主原料である針葉樹に限らず、草本類の麻や、木本と草本の中間的な分類とされる綿であっても、ほぼ同一の2~3nmであり、CNF1本(植物組織学上のミクロフィブリル、または天然セルロースの結晶子)は、セルロース分子鎖18本で構成されるモデルが合致することを明らかにしました。これまでのセルロース結晶学では、樹木と麻・綿のCNFは、断面寸法が明瞭に異なり、別種の生合成機構が想定されてきました。この従来の理解は、これまでCNFを単離(孤立分散)させる技術がなく、複数の結晶子が合一したCNF凝集体を評価していたことに由来します。本成果により、高等植物であれば、木本と草本に差はなく、同様の機構で生合成していることが新たに想定されます。また、産業上も、樹木だけでなく、麻やエリアンサス、農業廃棄物等からも、均質なCNFを生産できることを本成果は示しています。
Mycobacterium abscessus complex(MABC)による呼吸器感染症患者は増加傾向にある。マクロライド系薬剤に対する感受性が異なるため、MABC 3亜種の識別が臨床上重要とされている。本研究では、Bruker社製MALDI Biotyper Siriusシステムを用いた脂質プロファイリングを行いMABC亜種識別の有効性を評価した。全ゲノム解析済みの149株に対して、陰イオンモードによる質量分析を実施した。得られたデータに対して、Bruker社が提供するClinProToolsソフトウェアや、代表的な機械学習手法を用いて亜種分類モデルを構築した。本モデルによる分類と、ゲノムデータによる分類との一致率は56%、機械学習による分類精度も50%程度にとどまり、亜種間の正確な識別には至らなかった。したがって、脂質プロファイリング単独ではMABC亜種の識別は現状では困難であり、DNAクロマトグラフィーやGenotype NTM-DRなど、より正確な代替法の導入が臨床現場には必要である。
セラミドの中でもアシルセラミドと結合型セラミドは皮膚バリア形成に重要である。しかし、これらのセラミド産生に関与する遺伝子のノックアウト(KO)マウスは新生児致死であるため、成体マウスにおけるKOの影響は不明であった。本研究では、脂肪酸伸長酵素遺伝子Elovl1のタモキシフェン誘導性コンディショナルKOマウスを作成した。タモキシフェン投与後、アシルセラミド濃度は5日目から減少し始め、10日目には脂質ラメラ形成障害と表皮肥厚が観察された。15日目には結合型セラミドが減少し、経皮水分蒸散量が増加した。その他のセラミド量の変化や脂肪酸部位の短鎖化も観察されたが、それらの時間経過はセラミドの種類によって異なっていた。本研究では、アシルセラミドとタンパク質結合型セラミドが成体の皮膚バリア維持に重要であることを明らかにすると共に、遺伝子発現、表皮形態、セラミド組成の変化など、皮膚バリア機能の低下に対する代償機構を見出した。
2025/04/15
トマト葉かび病は、世界的にトマト生産に深刻な経済的損失をもたらしている。育種によって、Cf抵抗性遺伝子を持つ品種が開発されてきたが、葉かび病菌は新たな系統(レース)へと進化することで、これらの抵抗性品種を打破した。さらに、複数の化学殺菌剤に対する耐性を獲得していることから、持続可能な新たな防除法が求められている。葉かび病菌に寄生する菌寄生菌H. pulvinataは、生物防除剤として期待される。寄生性メカニズムの解明を目的に本研究では、菌寄生菌が産出する抗菌性セスキテルペンdeoxyphomenoneを解析した。我々は、菌寄生菌とAspergillus属の両方でdeoxyphomenone生合成遺伝子クラスター(DPH)を同定し、比較ゲノム解析によって菌寄生菌はDPH遺伝子クラスターをAspergillus属の祖先種から水平伝播によって獲得したことを明らかにした。またAspergillus属では内因性の胞子形成制御因子として機能していたdeoxyphomenone が、菌寄生菌では寄生性に有利な外因性の抗菌性物質として利用するように適用進化したと考えられた。以上のことから、菌寄生は、菌類における水平伝播を促進するメカニズムの一つである可能性が示唆された。
クロカタゾウムシという昆虫の細胞内に共生する細菌Nardonellaのゲノム決定に関する報告です。ゲノムサイズは226,287 bpと極小であり、既報のNardonellaゲノムと高い相同性を示しました。Nardonellaはクロカタゾウムシにチロシンを供給することで、その硬い外骨格の形成を助けることが知られており、今回のゲノム解読の結果においてもチロシン合成系遺伝子が高度に保存されていることが分かりました。
アカパンカビをモデルに、糸状菌の抗ウイルス応答におけるRNA編集の役割を調査した。その結果、ゲノム上で隣接するA-to-I RNA編集酵素「old」とジンクフィンガー転写因子「zao」が、ウイルス感染応答を制御することを発見した。特にOLD酵素は、zao mRNA上の未成熟終止コドン(PSC)を標的に、タンパク質合成を中断するはずのシグナルをトリプトファンをコードするよう編集する。このPSC編集によって機能的な全長型ZAOタンパク質が合成され、その量が抗ウイルス応答の強弱を切り替える「分子スイッチ」として機能する。通常、このスイッチは適切に制御されて無症状感染を維持するが、主要な抗ウイルス防御機構であるRNAi(RNA干渉)経路が欠損すると、このシステムが過剰に活性化し、植物の過敏感反応にも似た重篤な症状(免疫暴走)を引き起こす。この「old-zao」遺伝子モジュールは、他の主要な糸状菌でも進化的に保存されていることが示唆された。
ミカンキジラミという昆虫の細胞内に共生する細菌Carsonellaのゲノム決定に関する報告です。ゲノムサイズは173,958 bpと極小であり、既報のゲノムと高い相同性を示しました。ミカンキジラミはカンキツグリーニング病(huanglongbing)という植物の重要病害の病原体を媒介するベクターとして知られており、Carsonellaはミカンキジラミにアミノ酸等を供給することでその生育をサポートしていると考えられています。
ドコサヘキサエン酸 (DHA) は健康成分として知られる炭素数22の多価不飽和脂肪酸 (PUFA) であり、その生合成にはDHA合成酵素が関与します。真核微細藻類や原核海洋細菌由来のDHA合成酵素中には炭素鎖を2つずつ反復して伸長するケト合成酵素 (KS) ドメインが2つ (KSAとKSB/C) 含まれています。本研究では、2つのKSドメインの基質特異性を、組換え酵素とほぼ全ての中間体を用いたin vitro実験で解析しました。その結果、KSAは炭素数6、12、18の中間体を、KSBは炭素数8、14、20の中間体を特異的に認識すること、また、炭素数2、4、10の中間体は両ドメインによって認識されて鎖伸長反応が起こることを明らかにしました。これらの結果は、2つのKSドメインが中間体基質のチオエステル近傍の構造によって巧妙に使い分けられていることを示唆します。本研究は、DHA合成酵素の基質選択メカニズムを詳細に解明した初の包括的解析であり、PUFA合成の分子機構の理解を深めるとともに、DHAの効率的な生産技術の開発に貢献する可能性があります。