抄訳
CPR (Candidate Phyla Radiation) は主に未培養の系統からなる細菌群である。この細菌のリボソームRNA (rRNA)遺伝子には多くの挿入配列 (IS)が存在することが知られていたが、ゲノム科学や進化上の理解は未だ限られている。本研究では、CPR細菌におけるrRNA ISの特徴を系統的に明らかにするために、まず、生命情報科学的なアプローチを用いた。65のCPR細菌の系統にわたる数百のrRNA遺伝子配列を解析した結果、ISは16S rRNA遺伝子の48%、23S rRNA遺伝子の82%に存在することを明らかにした。これは通常の細菌 (CPR以外の細菌)におけるISの頻度と比べて極めて高いことになる。ここで、CPR細菌が持つ半数以上のISはグループIイントロン様の構造を示したが、特定の16S rRNA遺伝子のISはグループIIイントロン様の特徴を示した。さらに、一部のISは、LAGLIDADGホーミングエンドヌクレアーゼをコードしており、我々は生化学実験を介して、そのエンドヌクレアーゼ活性がISの挿入部位のDNA配列を切断することを確認した。