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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/08/25

未培養細菌門WOR-3として知られていた新規細菌門Caldifarciminota門に属する通性嫌気性好熱性細菌の新属新種Caldifarcimen microaerophilum

論文タイトル
Caldifarcimen microaerophilum gen. nov., sp. nov., a facultatively anaerobic, thermophilic bacterium of a novel bacterial phylum, Caldifarciminota phyl. nov., formerly called candidate phylum WOR-3, description of Caldifarciminaceae fam. nov., Caldifarciminales ord. nov. and Caldifarciminia classis nov.
論文タイトル(訳)
未培養細菌門WOR-3として知られていた新規細菌門Caldifarciminota門に属する通性嫌気性好熱性細菌の新属新種Caldifarcimen microaerophilum
DOI
10.1099/ijsem.0.007229
ジャーナル名
International journal of systematic and evolutionary microbiology
巻号
International journal of systematic and evolutionary microbiology 76 7 (2026): n. pag.
著者名(敬称略)
森浩二、日高皓平、玉澤聡、細山哲、玉木秀幸、掛川武、花田智
所属
製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター
著者からのひと言
培養株としてsy37株を分離し、その性状や系統分類的位置を明らかにしたことで新しい細菌門を本論文で提案し、Caldifarciminota門は有効に公表された49番目の細菌門として承認されました。

抄訳

未培養細菌門WOR-3は、イエローストーン国立公園から得られた環境クローン配列として初めてその存在が認識され、世界各地の多様な環境から検出されてきました。しかし、これまでに培養株の報告が無く、その生理学的特徴などは全く解明されていませんでした。私たちは太平洋にある水曜海山の深海底熱水から未培養細菌門WOR-3に属する最初の培養株である偏性嫌気性好熱性グラム陰性細菌sy37株の分離に成功しました。sy37株は繊毛を持つ非運動性の長桿菌で、硫黄又は酸素を電子受容体として呼吸により増殖しました。sy37株の表現型の特徴と16S rRNA遺伝子及びゲノム配列を用いた系統解析の結果に基づき、sy37株を新属新種Caldifarcimen microaerophilumとして提案します。また、Caldifarcimen属を基準属として、未培養細菌門WOR-3をPseudomonadati界に属する新しい細菌門としてCaldifarciminota門を提案します。

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2026/08/25

魚類皮膚粘膜微生物叢は1日以内に環境微生物群集に類似する方向へ迅速かつ可逆的に変化する

論文タイトル
Rapid and reversible fish skin mucosal microbiota shift toward environmental microbial communities within a day.
論文タイトル(訳)
魚類皮膚粘膜微生物叢は1日以内に環境微生物群集に類似する方向へ迅速かつ可逆的に変化する
DOI
10.1128/spectrum.00522-26
ジャーナル名
Microbiology spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e00522-26
著者名(敬称略)
今村 千絵、古田 芳一、田中 秀典
所属
豊田中央研究所
著者からのひと言

抄訳

魚は常に環境水に暴露され、皮膚粘液菌叢は環境水菌叢から強い影響を受けているが、その変化の速さや程度は十分に明らかでない。本研究では、ヤリタナゴ(Tanakia lanceolata)を人工アクアポニックス環境と自然環境に近い池の間で繰り返し移動させ、皮膚菌叢の経時変化と再現性を解析した。16S rRNA遺伝子アンプリコン解析の結果、皮膚菌叢は移動後1日以内に急速に再構成され、移動前よりも移動先の環境水菌叢に類似した。この傾向は複数回の移動を含む2回の独立実験で一貫して認められた。また、環境ごとにコア皮膚菌叢は大きく異なり、移動に伴って増減または置換した。さらに、皮膚および環境水菌叢のα多様性は池で増加し、アクアポニックス環境で低下した。以上より、魚類皮膚菌叢が急速な環境変化に応答する高い生態学的可塑性を有することが示された。

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2026/08/24

巨大ウイルスの系統を見直す:フルティヴォウイルスの発見により明らかになった、マモノウイルス科と新規マネスウイルス科を統合する新規の目の設定について

論文タイトル
Refining a giant virus lineage: a novel order unifying Mamonoviridae and "Manesviridae," unveiled by the discovery of furtivovirus.
論文タイトル(訳)
巨大ウイルスの系統を見直す:フルティヴォウイルスの発見により明らかになった、マモノウイルス科と新規マネスウイルス科を統合する新規の目の設定について
DOI
10.1128/jvi.02031-25
ジャーナル名
Journal of virology
巻号
J Virol 100:e02031-25
著者名(敬称略)
ぺ ジワン, 武村 政春
所属
東京理科大学 大学院理学研究科
著者からのひと言
日本で発見されたメドゥーサウイルスを含むこのウイルスのグループは、未だにその分類が明確ではありませんが、私たち真核生物の起源や進化と密接に関係していると考えられている、とても面白い巨大ウイルスです。その仲間で本論文の主役であるフルティヴォウイルスは鎌倉から、そして同じ仲間のウシクウイルスは茨城からそれぞれ見つかっています。日本産のこれら巨大ウイルスの進化史を見つめることで、私たち人間を含めた真核生物の起源にも迫れるのです!

抄訳

メドゥーサウイルスを含むマモノウイルス科と、クランデスティノウイルスを含む関連ウイルスは、これら二つのグループ間でゲノムサイズや宿主域に大きな隔たりがあり、進化的起源や分類は未確定のままでした。本研究では、単細胞真核微生物ヴェルムアメーバを宿主として、新たな巨大ウイルス・フルティヴォウイルスを分離し、解析しました。このウイルスはおよそ56万塩基対のゲノムをもち、最も近縁なクランデスティノウイルスと特徴を共有していました。興味深いことに、核膜の崩壊と核質内での新生ウイルス粒子のパッケージングを特徴とする、宿主の細胞核に強く依存した独自の複製戦略が明らかになりました。巨大ウイルス全体を見渡した分子系統解析および比較ゲノム解析の結果、フルティヴォウイルス、クランデスティノウイルス、ウシクウイルス、ウサルパティウイルスが明確な単系統群を形成することが示されたため、この未分類だったウイルスグループに対して「マネスウイルス科」という新科を提唱しました。この新科はマモノウイルス科の姉妹群として位置づけられ、ウイルス粒子サイズは類似しているもののゲノムサイズと宿主が異なるこれら二つの科間の進化的関係を明らかにしました。さらに我々は、これら二つの科を統合する新目の設立を提案しました。これらの結果から、この系統のウイルスの多様性がより拡大し、巨大ウイルス全体におけるマモノウイルス科・マネスウイルス科の進化史に、新たな知見をもたらすことが期待できます。

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2026/08/24

馬鼻疽の迅速診断を目的としたラテラルフローアッセイの開発

論文タイトル
Development of lateral flow assays for the rapid diagnosis of glanders in equids.
論文タイトル(訳)
馬鼻疽の迅速診断を目的としたラテラルフローアッセイの開発
DOI
10.1128/spectrum.00154-26
ジャーナル名
Microbiology spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e00154-26
著者名(敬称略)
新保 了, 木村 享史 他
所属
北海道大学大学院獣医学研究科比較病理学教室
著者からのひと言
本研究は、「結核と鼻疽の制圧プロジェクト」(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)2020~2025)の一環として実施されました。
https://www.amed.go.jp/program/list/20/01/001.html
https://www.jica.go.jp/oda/project/1900802/

抄訳

本研究では、鼻疽菌 Burkholderia mallei による人獣共通感染症「鼻疽」の迅速診断を目的として、抗体検出用ラテラルフローアッセイ(LFA)を3種類開発した。抗原には、間接ELISAで有用とされたHcp1、GroEL、全菌体抽出液(WCL)を用い、金コロイド標識組換えプロテインGで抗原結合抗体の発色を行った。モンゴルで収集した陽性31例・陰性51例のウマ血清で評価した結果、Hcp1-LFAは感度・特異度とも100%、WCL-LFAは感度100%、特異度98.0%を示した。GroEL-LFAは感度100%であったが特異度は90.2%と低かった。Hcp1およびWCL-LFAは無症状馬にも高感度で、日本由来の他疾患60例では交差反応を認めなかった。さらに、全LFAは37℃で16週間以上安定して機能した。以上より、Hcp1およびWCLを用いたLFAは、簡便・迅速・高精度で、資源の限られた流行地域における現場診断に有用であることが示された。

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2026/08/24

 成人成長ホルモン分泌不全症におけるソマトロピンからソマパシタンへの切り替えによる代謝及び筋肉への影響

論文タイトル
Metabolic and muscular effects of switching from somatropin to somapacitan in adults with growth hormone deficiency
論文タイトル(訳)
 成人成長ホルモン分泌不全症におけるソマトロピンからソマパシタンへの切り替えによる代謝及び筋肉への影響
DOI
10.1210/clinem/dgag153
ジャーナル名
The Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism
巻号
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 111, Issue 9, September 2026, Pages e2096–e2107
著者名(敬称略)
大井(葉)佑夏, 山本 雅昭 他
所属
神戸大学大学院医学系研究科内科学講座 糖尿病・内分泌・総合内科学分野
糖尿病・内分泌内科学部門
著者からのひと言
 ソマパシタンは、成人成長ホルモン分泌不全症に対して承認された週1回投与の成長ホルモン製剤である。本研究は、連日製剤からソマパシタンへの切り替え群と連日製剤継続群を、実臨床下で世界で初めて52週間前向きに比較した。両群で除脂肪量を含む代謝指標に大きな差はみられなかった一方、ソマパシタン群では握力および身体機能の改善が示され、週1回製剤の新たな臨床的意義が明らかとなった。

抄訳

 成人成長ホルモン分泌不全症57例を対象に、連日GH製剤から週1回ソマパシタンへ切り替えた群と連日投与を継続した群を52週間、前向き観察研究で比較した。主要評価項目であるDXAによる全身除脂肪量の変化には群間差を認めなかった(平均差−0.2 kg)。IGF-1 SDSの上昇は連日群で大きく、ソマパシタン群では脂肪量増加を認めた一方、HDLコレステロール、握力、Timed Up and Go Testが改善した。新たな安全性上の懸念はなく、週1回製剤は身体機能を改善する可能性が示されたが、長期的な代謝への影響は今後の検討を要する。

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2026/08/24

ホスファチジルセリン標的型キメラタンパク質によるエフェロサイトーシス経路のCD91限定化は抗腫瘍免疫応答を増強する

論文タイトル
Restricting efferocytosis pathway to CD91 via phosphatidylserine-targeting chimeric protein augments antitumor immune responses
論文タイトル(訳)
ホスファチジルセリン標的型キメラタンパク質によるエフェロサイトーシス経路のCD91限定化は抗腫瘍免疫応答を増強する
DOI
10.1016/j.ymthe.2026.05.013
ジャーナル名
Molecular Therapy
巻号
Molecular Therapy, 2026; 34, 4729-4742
著者名(敬称略)
溝手 雄 他
所属
大阪国際がんセンター 次世代がん医療開発研究センター先進探索研究領域 がん免疫療法開発部
著者からのひと言
 新規人工タンパク質であるPStRAPを用いると、細胞が生体内で処理されるときの目印であるホスファチジルセリンを利用して、がんに対する免疫反応を誘導することができました。PStRAPは理論上、従来の化学療法や放射線療法、免疫チェックポイント阻害剤などの細胞死を伴う治療法の効果を増強すると考えられます。今回の研究結果を基にした臨床試験を経て、PStRAPがこれまでにない革新的な免疫治療となることが期待されます。

抄訳

ホスファチジルセリン(PS)は、アポトーシス細胞膜上に表出する代表的なeat-meシグナルであり、MFG-E8などの複数の分子によって認識されてエフェロサイトーシスを促進し、免疫寛容を誘導する。この機序を制御するため、MFG-E8由来のPS認識ドメインと、免疫刺激性貪食受容体として知られるCD91のリガンドであるRAPからなる新規キメラタンパク質PStRAPを設計した。PStRAPは、PSが露出したアポトーシス細胞を、本来の免疫抑制性経路ではなく、CD91を介した免疫刺激性経路によって貪食させる。PStRAP存在下では、アポトーシス細胞の貪食効率、および細胞傷害性T細胞への交差提示能が上昇し、強力な抗腫瘍獲得免疫応答が誘導された。さらに、脂質ナノ粒子に封入したPStRAP mRNAと抗がん剤を併用投与すると、PStRAPは抗がん剤単独の抗腫瘍効果を優位に増強した。これらの結果は、PStRAPがCD91を介したアポトーシス細胞の貪食を誘導し、効果的な抗腫瘍獲得免疫応答を始動させ得ることを示唆している。

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2026/08/24

微小重力下における球形嚢の選択的可塑性:遺伝子発現変化と宇宙飛行後の前庭機能障害

論文タイトル
Selective saccular plasticity under microgravity links peripheral transcriptomic remodeling to postflight vestibular dysfunction
論文タイトル(訳)
微小重力下における球形嚢の選択的可塑性:遺伝子発現変化と宇宙飛行後の前庭機能障害
DOI
10.1073/pnas.2605593123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (35) e2605593123
著者名(敬称略)
安部 力 他
所属
福井大学 学術研究院医学系部門 医学領域 形態機能医科学講座 生理学分野

抄訳

長期宇宙飛行から地球に帰還した宇宙飛行士では、ふらつきや歩行障害などの前庭機能低下がみられますが、そのメカニズムは十分に解明されていません。本研究では、国際宇宙ステーション(ISS)で35日間飼育したマウスの内耳から、重力を感知する球形嚢と卵形嚢を個別に採取し、遺伝子発現を網羅的に解析しました。その結果、球形嚢では神経伝達やシナプス機能に関連する多数の遺伝子が変化した一方、卵形嚢では大きな変化を認めませんでした。さらに、157~328日間ISSに滞在した宇宙飛行士を調べたところ、地球帰還直後には球形嚢機能が選択的に低下し、姿勢のふらつきも増加していました。また、微弱な前庭電気刺激により帰還後の姿勢バランスが改善しました。これらの結果は、球形嚢が重力環境の変化に応じて分子・機能の両面で適応する可能性を示しており、将来の長期宇宙飛行における重力再適応や前庭リハビリテーションへの応用が期待されます。

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2026/08/24

進化実験とトランスクリプトーム解析から明らかになったペースオブライフシンドロームの表現型・分子基盤

論文タイトル
Integrating experimental evolution and transcriptomics reveals the phenotypic and molecular architecture of the pace-of-life syndrome
論文タイトル(訳)
進化実験とトランスクリプトーム解析から明らかになったペースオブライフシンドロームの表現型・分子基盤
DOI
10.1073/pnas.2610487123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (33) e2610487123
著者名(敬称略)
松村 健太郎 他
所属
東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系
著者からのひと言
行動の進化が、寿命や繁殖、さらには遺伝子発現とどのように結びついているのかを、長期的な進化実験を通して調べました。小さな甲虫を用いた研究ですが、動物の行動と「生き方」の進化的なつながりを理解する一助になれば幸いです。

抄訳

動物では、活発に行動する個体ほど短命で、活動性の低い個体ほど長寿になるという「ペースオブライフシンドローム(POLS)」仮説が提唱されています。しかし、こうした行動と生活史形質の関連が進化的にどのように形成されるのかは十分に分かっていません。本研究では、コクヌストモドキを用いて、歩行運動活性に対する長期的な人為選抜によって確立した高活動系統と低活動系統を比較しました。その結果、高活動系統では低活動系統と比べて寿命が短い一方、孵化率が高いことが明らかになりました。さらにトランスクリプトーム解析により、高活動系統と低活動系統の間で発現量の異なる遺伝子を特定しました。これらの結果は、運動活性への選択に伴って、寿命や繁殖、遺伝子発現にも進化的変化が生じることを示しています。本研究は、POLSの進化的・分子的基盤を理解するための新たな知見を提供するものです。 

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2026/08/21

哺乳類ネクチン4オルソログはモルビリウイルスの受容体として広い許容性を示すが、イルカネクチン4は、その例外である

論文タイトル
Broad permissiveness of mammalian nectin-4 orthologs for morbilliviruses: a notable exception in dolphin nectin-4.
論文タイトル(訳)
哺乳類ネクチン4オルソログはモルビリウイルスの受容体として広い許容性を示すが、イルカネクチン4は、その例外である
DOI
10.1099/jgv.0.002319
ジャーナル名
The Journal of general virology
巻号
Journal of General Virology 2026;107:002319
著者名(敬称略)
冨永 みづき 竹田 誠
所属
東京大学大学院医学系研究科・医学部・微生物学 微生物学教室
著者からのひと言

抄訳

モルビリウイルスには、麻疹ウイルスやイヌジステンパーウイルスなど、ヒトやさまざまな動物に感染するウイルスが含まれ、免疫細胞と上皮細胞に感染することを特徴とします。本研究では、モルビリウイルスが上皮細胞に感染する際に利用する「ネクチン4」という分子に注目し、動物種によるネクチン4の違いが、それぞれのウイルスがどの動物(ヒト、イルカ、コウモリ、イヌ、アザラシなど)に感染できるかに関係しているのかを調べました。その結果、いずれのモルビリウイルスも、多くの動物種のネクチン4を利用できる一方、イルカのネクチン4だけは、わずか1つのアミノ酸の違いによって、一部のウイルスに利用されにくいことが分かりました。これらの結果から、ネクチン4のわずかな違いも、モルビリウイルスがどの動物に感染できるかを決める要因の一つであることが明らかになりました。

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2026/08/20

飼育下チーター集団における猫コロナウイルスの縦断的検出と遺伝学的解析

論文タイトル
Longitudinal detection and genetic characterization of feline coronavirus in a captive cheetah population
論文タイトル(訳)
飼育下チーター集団における猫コロナウイルスの縦断的検出と遺伝学的解析
DOI
10.1099/jgv.0.002317
ジャーナル名
Journal of General Virology
巻号
Journal of General Virology 2026;107:002317
著者名(敬称略)
(筆頭著者)土岐 朋義 (連絡著者)高野 友美
所属
北里大学 獣医学部 獣医学科 獣医伝染病学研究室 
著者からのひと言
FIP)は猫コロナウイルスが引き起こす命に関わる病気です。チーターはFIPを特に発症しやすいとされてきました。私たちは動物園の協力を得て、同じチーターたちを3年半追い続けました。この間、群れへの出入りは一頭もありません。何度も検査を重ねると、同じ群れで暮らしていても、ウイルスとの付き合い方は一頭ごとにまるで違うことが分かってきました。FIPを発症しやすいとされるチーターでも、ウイルスを持つ多くの個体は発症せずに元気に暮らしています。この差はどこから生まれるのか?チーターを見続けることがその答えに近づく道だと考えています。

抄訳

猫コロナウイルス(FCoV)はイエネコのほか希少ネコ科動物であるチーターにも感染する。FCoVは時に致死性の猫伝染性腹膜炎(FIP)を引き起こすが、飼育下チーター集団での長期的な感染動態や遺伝的多様性については情報が乏しい。そこで国内の単一動物園で暮らす17頭のチーターを3.5年間追跡し、糞便中のFCoV RNAとウイルス遺伝子配列を調べた。FCoVは閉鎖集団内で複数年にわたって維持され、RNAの検出パターンには個体ごとに大きな幅があった。無症状個体とFIP発症個体から得た準完全長ゲノムは、どちらもI型FCoVに属した。N遺伝子とS遺伝子のターゲット解析では集団内に複数のハプロタイプが見つかり、個体内で優勢となる配列も時間とともに入れ替わった。配列多様性はS遺伝子内でも一様ではなく、S1/S2開裂部位領域が1058/1060領域を上回った。非侵襲的な糞便モニタリングと遺伝子解析を組み合わせれば、希少ネコ科動物でもFCoVの長期的な維持と配列変化を追うことが可能である。
 

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