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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/08/07

グアニル酸キナーゼ1は、イノシン三リン酸分解酵素が欠損した哺乳動物細胞のRNAにおいて、イノシンが蓄積する原因となる酵素である。

論文タイトル
Guanylate kinase 1 is an enzyme responsible for inosine accumulation in RNA of mammalian cells deficient in inosine triphosphatase
論文タイトル(訳)
グアニル酸キナーゼ1は、イノシン三リン酸分解酵素が欠損した哺乳動物細胞のRNAにおいて、イノシンが蓄積する原因となる酵素である。
DOI
10.1073/pnas.2606968123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (31) e2606968123
著者名(敬称略)
土本 大介 他
所属
九州大学 生体防御医学研究所 研究推進ユニット 先端研究開発室
著者からのひと言
 稀少な難病である発達性およびてんかん性脳症35の治療を目指して原因物質ITPの生体内生成経路の解明を試み、成功しました。治療標的となりそうなGUK1は、強く抑制されると別の疾患の原因となることが最近報告されたことからまだまだ治療法開発までは遠いようですが、今後も研究を続けて治療に結び付けたいと考えています。

抄訳

 イノシン三リン酸(ITP)分解酵素欠損は、発達性およびてんかん性脳症35 (DEE35)の原因となる。しかし原因物質ITPの生体内生成経路は不明であった。我々はITP分解酵素欠損培養細胞と組換えタンパク質を用いた研究により、グアニル酸キナーゼ1(GUK1)が細胞中に存在しているイノシン一リン酸を間違ってリン酸化し、生じたイノシン二リン酸が更にリン酸化されてITPが生成されることを明らかにした。続いてDEE35モデルマウスでGUK1を半分欠損させると寿命が延長し、大脳皮質におけるRNA中のイノシンが減少した。RNA中イノシンはRNA合成中にITPが取り込まれたと考えられる。本研究の結果は、ほ乳動物における主なITP生成経路がGUK1に依存したイノシン一リン酸からの二段階リン酸化であることを示している。

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2026/08/07

液-液相分離(LLPS)依存性および非依存性機構によるC型肝炎ウイルス感染細胞における脂肪滴関連リング構造の形成

論文タイトル
Assembly of lipid droplet-associated ring structures in hepatitis C virus-infected cells via liquid–liquid phase separation (LLPS) and non-LLPS mechanisms
論文タイトル(訳)
液-液相分離(LLPS)依存性および非依存性機構によるC型肝炎ウイルス感染細胞における脂肪滴関連リング構造の形成
DOI
10.1128/jvi.00780-26
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
J Virol 100:e00780-26
著者名(敬称略)
Mengyu Jiao、紺野 在、鈴木 哲朗 他
所属
浜松医科大学医学部 微生物学・免疫学講座

抄訳

 C型肝炎ウイルス(HCV)は感染性粒子形成の場として脂肪滴(lipid droplet: LD)を利用することが知られているが、粒子形成に関与する因子がLDへ集積する分子機構は十分解明されていなかった。本研究では、HCV感染後にウイルスカプシド(Core)タンパク質がLDへ局在した後、ストレス顆粒(stress granule: SG)の中核的な分子スイッチとして働くRNA結合因子G3BP1が時間差をもってLD周囲へ集積することを見いだした。液-液相分離(liquid–liquid phase separation: LLPS)阻害剤処理により、G3BP1およびG3BP1とともにストレス顆粒形成を担うTIA-1のLD局在は消失した一方、HCVタンパク質CoreおよびNS5Aの局在には影響を認めなかった。また、Core単独ではG3BP1をLDへ誘導できないが、HCV RNAとの共発現によりG3BP1がLD周囲へ集積することを明らかにした。
以上より、HCV感染細胞ではLD上のCoreに新生ウイルスRNAが加わることでLLPS依存的な生体分子凝縮体が形成され、G3BP1をはじめとするSG関連因子がLDへ集積する新たな機構を提唱する。本研究はHCV粒子形成およびゲノムパッケージング機構の理解を深め、新たな抗ウイルス戦略の基盤となる知見を提供する。

 

 

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2026/08/07

高精度な古代人ゲノムが明らかにする日本列島の先史集団史とでんぷん食への適応進化

論文タイトル
High-coverage ancient genomes reveal divergent population histories and prehistoric starch-related genetic variation in Japan
論文タイトル(訳)
高精度な古代人ゲノムが明らかにする日本列島の先史集団史とでんぷん食への適応進化
DOI
10.1073/pnas.2606162123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (30) e2606162123
著者名(敬称略)
石谷 孔司 他
所属
金沢大学 サピエンス進化医学研究センター
著者からのひと言
本研究では、考古学・人類学・進化学の知見を高精度な古代人ゲノム解析によって結びつけ、日本列島における人々の移動、集団の変化、食への適応進化の可能性を総合的に議論しています。今回得られた縄文人と弥生人の高精度ゲノムは、祖先集団の起源や近隣集団との関係性、日本本土における先史時代の集団史にさまざまな知見をもたらしました。日本列島の古代人ゲノム研究における重要なマイルストーンになったと考えています。

抄訳

本研究では、群馬県・居家以岩陰遺跡から出土した縄文時代早期の人骨と、山口県・土井ヶ浜遺跡から出土した弥生時代中期の人骨から、従来の水準を大きく上回る高精度な全ゲノム配列が構築された。これにより、低被覆度データでは困難だった人口動態の推定や遺伝子コピー数の解析が可能となった。解析の結果、両者の祖先集団はいずれも最終氷期に集団サイズを減少させたが、その後、縄文人の祖先集団は比較的安定した規模を維持した一方、弥生人の祖先集団は大陸側で段階的に増加し、新石器時代以降の複数の大陸系集団との交流を経て形成された可能性が示された。また、両個体は唾液アミラーゼ遺伝子のコピー数が比較的高く、稲作が広く普及する以前の縄文時代にも、でんぷん質の植物資源利用と関連しうる遺伝的多様性が存在したことが示唆された。本研究によって先史時代の集団移動や生業の変化が日本列島の人々の遺伝的特徴をどのように形作ってきたのかが明らかになった。

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2026/08/06

カンピロバクターの相変異型安定化ライブラリーを用いた相変異遺伝子機能の包括的解析

論文タイトル
Genome-scale dissection of phase-variable gene function in Campylobacter jejuni using a stabilized phasotype library.
論文タイトル(訳)
カンピロバクターの相変異型安定化ライブラリーを用いた相変異遺伝子機能の包括的解析
DOI
10.1128/msphere.00064-26
ジャーナル名
mSphere
巻号
mSphere 11:e00064-26
著者名(敬称略)
山本 章治 他
所属
国立感染症研究所 細菌第一部
著者からのひと言
カンピロバクターが相変異を介して免疫や宿主環境に適応する仕組みを、再現性高く解析できる独自技術「PV-GenShift」を確立した。多様な相変異型を安定に維持し、宿主環境で選択される相変異型を捉えることで、これまで困難であった相変異と病原性・宿主適応の関係を体系的に解明できる。本技術は、病原性の理解を深めるとともに、感染予防・診断・治療につながる新たな標的探索を加速する。

抄訳

食中毒の主要起因菌であるカンピロバクターは、単純反復配列の伸縮によって表層構造関連遺伝子の発現をON/OFFに切り替える「相変異」を起こす。相変異は免疫回避や宿主環境への適応に関与すると考えられているが、多数の相変異遺伝子のON/OFF組合せ(相変異型)が病原性や宿主適応に及ぼす影響については解明されていない。本菌には18~36個の相変異遺伝子が存在し、その組合せは理論上218~236通りに及ぶ。そこで本研究では、相変異遺伝子の発現状態を固定した多様かつ安定な相変異型ライブラリーを構築し、その動態を網羅的に追跡できる独自技術「PV-GenShift」を確立した。本技術を用いた選択実験から、ヒト血清やマウス腸管では特定の相変異型が選択される一方、ニワトリでは個体ごとに異なる相変異型が優勢となることを明らかにした。これらの成果は、相変異が病原性や宿主適応に重要な役割を果たすことを示すとともに、ワクチンや診断・治療法の開発への貢献が期待される。

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2026/08/06

Bacillus subtilis DB9011が産生するC17 Fengycin Bの腸管毒素原性大腸菌抑制における役割

論文タイトル
Role of C17 fengycin B from Bacillus subtilis DB9011 in enterotoxigenic Escherichia coli inhibition
論文タイトル(訳)
Bacillus subtilis DB9011が産生するC17 Fengycin Bの腸管毒素原性大腸菌抑制における役割
DOI
10.1128/aem.00276-26
ジャーナル名
Applied and Environmental Microbiology
巻号
Applied and Environmental Microbiology Vol. 92, No. 7
著者名(敬称略)
犬童 優樹、西山 啓太、北澤 春樹 他
所属
東北大学大学院農学研究科動物食品機能学分野
著者からのひと言
 薬剤耐性の拡大を背景に、養豚現場では抗菌薬に代わるETEC制御法の開発が求められています。本論文は、Bacillus subtilis DB9011の培養上清を、抗菌活性を指標として分画し、C17 Fengycin Bに富む画分がETECの増殖を濃度依存的に抑制すること、さらにコリスチンとの併用によりその抗菌効果が増強されることを示しました。プロバイオティクス候補株の抗菌機構を代謝産物レベルで明らかにし、子豚の離乳後下痢に対する新たな制御戦略の構築につながる知見を提供しました。

抄訳

 腸管毒素原性大腸菌(ETEC)は離乳後の子豚における下痢の主要な原因であり、薬剤耐性の拡大に伴い、抗菌薬に代わる防除法の開発が求められている。本研究では、Bacillus subtilis DB9011が産生する細胞外代謝産物のうち、抗ETEC活性に関与する物質を探索した。DB9011の培養上清は、ETECおよびSalmonella Typhimuriumなどの腸管病原細菌に対して強い増殖抑制作用を示した。培養上清を生物活性に基づいて分画し、液体クロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析に供した。その結果、増殖抑制画分に濃縮され、抑制活性を示さない基準株NBRC13719ᵀでは検出されない主要代謝産物として、C17 Fengycin Bが同定された。C17 Fengycin Bを含む画分はETECに対して濃度依存的な抗菌活性を示し、コリスチンとの併用で増殖抑制作用が増強された。一方、培養上清中の濃度に相当する条件では完全な増殖抑制には至らず、他の代謝産物の関与も示唆された。以上より、C17 Fengycin Bは、DB9011によるETECの増殖抑制に大きく寄与する主要な代謝産物であると考えられた。

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2026/08/06

SGLT2阻害薬が人の老化に及ぼす“思わぬ力”

論文タイトル
Dissecting out the unexpected effects of SGLT2 inhibitors on human aging.
論文タイトル(訳)
SGLT2阻害薬が人の老化に及ぼす“思わぬ力”
DOI
10.1210/clinem/dgag207
ジャーナル名
The Journal of clinical endocrinology and metabolism
巻号
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 111, Issue 8, August 2026, Pages 2154–2165
著者名(敬称略)
勝海 悟郎 南野 徹
所属
順天堂大学医学部内科学教室 循環器内科学講座
著者からのひと言

抄訳

SGLT2阻害薬は腎近位尿細管でのグルコース再吸収を抑制し、尿中排泄を促進することで血糖を低下させる糖尿病治療薬として開発された。だが、大規模試験により心血管・腎イベントを減少させることが示され、心不全や慢性腎臓病に対しても心腎保護効果を示すことが確立された。近年、本剤が潜在的に老化抑制に寄与する可能性が注目されている。カロリー制限やケトジェニック状態に類似した代謝適応を誘導し、炎症抑制、ミトコンドリア機能改善、細胞老化への耐性向上をもたらす。さらには前臨床試験において老化細胞負荷の減少やSASP調節作用、そして寿命延長や加齢関連機能低下の改善が報告されており、本剤のセノセラピーあるいはセノリティックとしての潜在性が期待されている。本レビューは、SGLT2阻害薬が心腎代謝疾患のみならず老化に作用しうる分子機序と生理的効果を考察し、抗老化薬・健康寿命延伸薬としての新たな展望を論じる。

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2026/08/05

プロヒビチンを標的とする宿主指向型抗ウイルス戦略:Mel56によるインフルエンザAウイルスおよびSARS-CoV-2感染抑制とその作用機序

論文タイトル
Host-directed antiviral strategy targeting prohibitins: Mel56 suppresses influenza A virus and severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 via modulation of antioxidant pathways and mitochondrial function.
論文タイトル(訳)
プロヒビチンを標的とする宿主指向型抗ウイルス戦略:Mel56によるインフルエンザAウイルスおよびSARS-CoV-2感染抑制とその作用機序
DOI
10.1128/spectrum.03093-25
ジャーナル名
Microbiology spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e03093-25
著者名(敬称略)
筆頭著者および連絡著者:庄司 正樹
連絡著者:葛原 隆
所属
徳島文理大学 薬学部 生化学講座
著者からのひと言

抄訳

インフルエンザAウイルス(IAV)およびSARS-CoV-2に対する新たな宿主標的型抗ウイルス戦略として、プロヒビチン(PHB)結合性化合物Mel56の抗ウイルス活性を評価した。Mel56はIAV感染MDCK細胞およびA549細胞において細胞生存率を改善し、ウイルスタンパク質およびウイルス遺伝子の発現を有意に抑制した。さらに、Mel56はミトコンドリアATP産生および電子伝達を阻害してミトコンドリア機能を制御するとともに、NRF2を活性化して抗酸化応答関連遺伝子の発現を誘導することが明らかとなった。一方、ヒトiPS細胞由来肺オルガノイドにおいても抗SARS-CoV-2活性が認められたが、NRF2標的遺伝子の誘導は観察されなかった。以上より、Mel56はPHBを標的とする広域抗ウイルス化合物であり、新たな宿主標的型抗ウイルス薬開発の有望なシード候補として考えられる。

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2026/08/05

新規抗真菌化合物NPD2560はRho1を中心とするシグナルネットワークを攪乱し、細胞壁ストレス応答を誘導する

論文タイトル
The novel antifungal agent NPD2560 perturbs the Rho1-centered signaling network to induce a cell wall integrity response.
論文タイトル(訳)
新規抗真菌化合物NPD2560はRho1を中心とするシグナルネットワークを攪乱し、細胞壁ストレス応答を誘導する
DOI
10.1128/spectrum.03630-25
ジャーナル名
Microbiology spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e03630-25
著者名(敬称略)
劉 薇、大矢 禎一 他
所属
長岡技術科学大学 技術科学イノベーション系
著者からのひと言
抗真菌剤の作用機序を明らかにすることは、薬剤開発だけでなく、真菌細胞の仕組みを理解する上でも重要です。この研究では、出芽酵母の優れた遺伝学的解析系を活用し、新規化合物NPD2560がRho1を中心とする細胞壁制御ネットワークを攪乱することを明らかにしました。既存のグルカン合成阻害剤とは異なる作用を示す点にも注目していただければと思います。

抄訳

真菌感染症の増加や薬剤耐性の出現により、新しい作用機序をもつ抗真菌剤の開発が求められています。本研究では、クマリン誘導体NPD2560が、治療の難しい病原真菌Candida kruseiに対して殺菌作用を示すことを見いだしました。出芽酵母を用いた網羅的な化学遺伝学解析から、NPD2560の作用には、細胞壁形成を制御する低分子量GTPase Rho1を中心としたネットワークが重要であることが明らかになりました。NPD2560処理により細胞壁のβ-(1,6)-グルカンが減少し、細胞壁ストレス応答が活性化されるとともに、キチンの蓄積を含む代償的な細胞壁再構築が誘導されました。その作用は、β-(1,3)-グルカン合成を標的とする既存の抗真菌剤や、既知のβ-(1,6)-グルカン合成阻害剤とは異なっており、本化合物は真菌細胞壁の制御機構を解析する新たな化学プローブとして、また新規抗真菌剤開発の候補化合物として期待されます。

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2026/08/04

腸炎ビブリオTsrAは核様体タンパク質H-NSの共調節因子としてⅢ型分泌装置2の発現を制御する

論文タイトル
TsrA modulates type III secretion system 2 expression as a co-regulator of H-NS in Vibrio parahaemolyticus.
論文タイトル(訳)
腸炎ビブリオTsrAは核様体タンパク質H-NSの共調節因子としてⅢ型分泌装置2の発現を制御する
DOI
10.1128/jb.00556-25
ジャーナル名
Journal of bacteriology
巻号
J Bacteriol 208:e00556-25
著者名(敬称略)
Tan Paramita Wibowo Sutanto, Andre Pratama, 松田 重輝 他
所属
大阪大学 微生物病研究所 細菌感染分野
著者からのひと言
本論文では、腸炎ビブリオの病原性遺伝子発現に関わる因子として、ビブリオ属細菌に保存されるTsrAというタンパク質に着目しました。TsrAが核様体タンパク質H-NSと相互作用することを初めて実験的に示し、ビブリオ属細菌ではこれまで知られていなかったH-NS共調節因子として機能することを明らかにしました。

抄訳

核様体タンパク質は細菌の病原性遺伝子発現制御に重要な役割を果たしている。代表的な核様体タンパク質であるH-NSは、しばしば共調節因子と協調して機能する。本研究では、ビブリオ属細菌に保存される小型タンパク質TsrAが、主要な食中毒原因細菌である腸炎ビブリオの病原因子であるⅢ型分泌装置2(T3SS2)の遺伝子発現を負に制御することを明らかにした。TsrAはC末端領域を介してH-NSと直接相互作用し、T3SS2遺伝子群のマスター転写因子であるVtrBの発現を転写レベルで抑制していた。さらに、TsrAのC末端領域の変異解析により、その調節活性に重要なアミノ酸残基を明らかにした。以上より、TsrAがH-NSの共調節因子として機能することを初めて明らかにするとともに、腸炎ビブリオにおける病原性遺伝子発現制御機構に関する新たな知見を提供した。

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2026/08/04

原子間力顕微鏡と弾性シェル理論による接着動物細胞の硬さと内部圧力の同時評価

論文タイトル
Simultaneous quantification of cell elasticity and internal pressure in adherent animal cells
論文タイトル(訳)
原子間力顕微鏡と弾性シェル理論による接着動物細胞の硬さと内部圧力の同時評価
DOI
10.1016/j.bpj.2026.06.009
ジャーナル名
Biophysical Journal
巻号
Biophysical Journal Volume 125, Issue 14 p3653-3662
著者名(敬称略)
Emi Kurnia Sari、釣 優香、細川 陽一郎 他
所属
奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究領域生体プロセス工学研究室
著者からのひと言
動物細胞のミクロな構造に、建築学のマクロな理論を適用し、細胞の力学を明らかにする奇抜な発想の論文です。

抄訳

本研究では、複数の動物細胞について、細胞の形状と力学応答を詳細に解析しました。その結果、動物細胞では、細胞膜とその内側を支える細胞骨格が一体となり、薄い殻(シェル)のように細胞全体を支える構造を形成していることを明らかにしました。この構造に、建築学において薄い屋根やタンクの力学解析に用いられるシェル理論を適用することで、これまで区別して評価することが難しかった「細胞膜とその裏打ち構造を合わせた表層部分の硬さ」と「細胞内部から細胞を押し広げる力(内部圧力)」を同時に評価することに成功しました。これにより、細胞の力学特性を単なる硬さとして捉えるだけでなく、その背景にある力学状態を考えることが可能になりました。今後、より多様な細胞種に本手法を適用することで、細胞骨格構造と力学特性との関係の解明が進むことが期待されます。

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