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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/08/24

進化実験とトランスクリプトーム解析から明らかになったペースオブライフシンドロームの表現型・分子基盤 New

論文タイトル
Integrating experimental evolution and transcriptomics reveals the phenotypic and molecular architecture of the pace-of-life syndrome
論文タイトル(訳)
進化実験とトランスクリプトーム解析から明らかになったペースオブライフシンドロームの表現型・分子基盤
DOI
10.1073/pnas.2610487123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (33) e2610487123
著者名(敬称略)
松村 健太郎 他
所属
東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 広域システム科学系
著者からのひと言
行動の進化が、寿命や繁殖、さらには遺伝子発現とどのように結びついているのかを、長期的な進化実験を通して調べました。小さな甲虫を用いた研究ですが、動物の行動と「生き方」の進化的なつながりを理解する一助になれば幸いです。

抄訳

動物では、活発に行動する個体ほど短命で、活動性の低い個体ほど長寿になるという「ペースオブライフシンドローム(POLS)」仮説が提唱されています。しかし、こうした行動と生活史形質の関連が進化的にどのように形成されるのかは十分に分かっていません。本研究では、コクヌストモドキを用いて、歩行運動活性に対する長期的な人為選抜によって確立した高活動系統と低活動系統を比較しました。その結果、高活動系統では低活動系統と比べて寿命が短い一方、孵化率が高いことが明らかになりました。さらにトランスクリプトーム解析により、高活動系統と低活動系統の間で発現量の異なる遺伝子を特定しました。これらの結果は、運動活性への選択に伴って、寿命や繁殖、遺伝子発現にも進化的変化が生じることを示しています。本研究は、POLSの進化的・分子的基盤を理解するための新たな知見を提供するものです。 

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2026/08/21

哺乳類ネクチン4オルソログはモルビリウイルスの受容体として広い許容性を示すが、イルカネクチン4は、その例外である New

論文タイトル
Broad permissiveness of mammalian nectin-4 orthologs for morbilliviruses: a notable exception in dolphin nectin-4.
論文タイトル(訳)
哺乳類ネクチン4オルソログはモルビリウイルスの受容体として広い許容性を示すが、イルカネクチン4は、その例外である
DOI
10.1099/jgv.0.002319
ジャーナル名
The Journal of general virology
巻号
Journal of General Virology 2026;107:002319
著者名(敬称略)
冨永 みづき 竹田 誠
所属
東京大学大学院医学系研究科・医学部・微生物学 微生物学教室
著者からのひと言

抄訳

モルビリウイルスには、麻疹ウイルスやイヌジステンパーウイルスなど、ヒトやさまざまな動物に感染するウイルスが含まれ、免疫細胞と上皮細胞に感染することを特徴とします。本研究では、モルビリウイルスが上皮細胞に感染する際に利用する「ネクチン4」という分子に注目し、動物種によるネクチン4の違いが、それぞれのウイルスがどの動物(ヒト、イルカ、コウモリ、イヌ、アザラシなど)に感染できるかに関係しているのかを調べました。その結果、いずれのモルビリウイルスも、多くの動物種のネクチン4を利用できる一方、イルカのネクチン4だけは、わずか1つのアミノ酸の違いによって、一部のウイルスに利用されにくいことが分かりました。これらの結果から、ネクチン4のわずかな違いも、モルビリウイルスがどの動物に感染できるかを決める要因の一つであることが明らかになりました。

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2026/08/20

飼育下チーター集団における猫コロナウイルスの縦断的検出と遺伝学的解析 New

論文タイトル
Longitudinal detection and genetic characterization of feline coronavirus in a captive cheetah population
論文タイトル(訳)
飼育下チーター集団における猫コロナウイルスの縦断的検出と遺伝学的解析
DOI
10.1099/jgv.0.002317
ジャーナル名
Journal of General Virology
巻号
Journal of General Virology 2026;107:002317
著者名(敬称略)
(筆頭著者)土岐 朋義 (連絡著者)高野 友美
所属
北里大学 獣医学部 獣医学科 獣医伝染病学研究室 
著者からのひと言
FIP)は猫コロナウイルスが引き起こす命に関わる病気です。チーターはFIPを特に発症しやすいとされてきました。私たちは動物園の協力を得て、同じチーターたちを3年半追い続けました。この間、群れへの出入りは一頭もありません。何度も検査を重ねると、同じ群れで暮らしていても、ウイルスとの付き合い方は一頭ごとにまるで違うことが分かってきました。FIPを発症しやすいとされるチーターでも、ウイルスを持つ多くの個体は発症せずに元気に暮らしています。この差はどこから生まれるのか?チーターを見続けることがその答えに近づく道だと考えています。

抄訳

猫コロナウイルス(FCoV)はイエネコのほか希少ネコ科動物であるチーターにも感染する。FCoVは時に致死性の猫伝染性腹膜炎(FIP)を引き起こすが、飼育下チーター集団での長期的な感染動態や遺伝的多様性については情報が乏しい。そこで国内の単一動物園で暮らす17頭のチーターを3.5年間追跡し、糞便中のFCoV RNAとウイルス遺伝子配列を調べた。FCoVは閉鎖集団内で複数年にわたって維持され、RNAの検出パターンには個体ごとに大きな幅があった。無症状個体とFIP発症個体から得た準完全長ゲノムは、どちらもI型FCoVに属した。N遺伝子とS遺伝子のターゲット解析では集団内に複数のハプロタイプが見つかり、個体内で優勢となる配列も時間とともに入れ替わった。配列多様性はS遺伝子内でも一様ではなく、S1/S2開裂部位領域が1058/1060領域を上回った。非侵襲的な糞便モニタリングと遺伝子解析を組み合わせれば、希少ネコ科動物でもFCoVの長期的な維持と配列変化を追うことが可能である。
 

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2026/08/19

LC-MS/MSを用いた血中および尿中ビタミンD代謝物濃度の関連

論文タイトル
Evaluation of correlations between serum and urinary vitamin D metabolites using LC-MS/MS.
論文タイトル(訳)
LC-MS/MSを用いた血中および尿中ビタミンD代謝物濃度の関連
DOI
10.1042/BSR20260223
ジャーナル名
Bioscience reports
巻号
Biosci Rep (2026) 46 (7): BSR20260223
著者名(敬称略)
筆頭著者:呉詩星、連絡著者:石嶺 南生
所属
信州大学医学部附属病院臨床検査部
著者からのひと言
血清のビタミンD代謝物比(VMR)が有用な指標になるという報告はすでにありましたが、尿でも同様のことが言えるという報告はこれまでなく、期待半分・手探り半分での検証でした。実際に尿中の代謝物が血清指標よりもPTHとの関連を強く示したときは、期待通りとはいえ驚きもありました。日々の検査業務の中で、患者さんの負担をどう減らせるかは常に意識してきたテーマで、尿という切り口には以前から関心がありました。一方で、なぜ尿中代謝物の方がPTHとの関連をより鋭敏に捉えるのか、そのメカニズムの解明は今後の課題の一つと捉えています。

抄訳

ビタミンDの充足状態を評価するには、通常、血清中の25-ヒドロキシビタミンD値の測定が用いられる。採血によらず尿検体だけで同様の評価が可能になれば、被験者の負担軽減に加え、より簡便な運用も期待できる。 本研究では、健康診断で得られた病院職員506名分の血清および尿検体を対象に、高感度な誘導体化試薬(DAP-PA)とLC-MS/MSを組み合わせた分析系を用いて、微量な尿中ビタミンD代謝物の精密な定量を行った。その結果、尿中の24,25-ジヒドロキシビタミンD3および23,25-ジヒドロキシビタミンD3は、血清25-ヒドロキシビタミンD値と強い正の相関を示した(ρ > 0.7)。この結果は、尿検査が血中のビタミンD状態を反映する指標となり得ることを示唆している。 さらに、骨代謝を調整する副甲状腺ホルモン(PTH)との関連を検討したところ、尿中の代謝物およびビタミンD代謝物比(VMR)は、従来指標である血清25-ヒドロキシビタミンDよりも強い負の相関を示した。この結果は、尿中代謝物がPTHとの関連をより鋭敏に捉えている可能性を示唆する。 以上より、尿中ビタミンD代謝物、特に24,25-ジヒドロキシビタミンD3、23,25-ジヒドロキシビタミンD3、およびVMRは、血清に代わる非侵襲的な指標となり得る可能性が示された。非侵襲的なビタミンD評価法の一つとして、今後の応用可能性が期待される。

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2026/08/18

油脂酵母によるグリセロールからの細胞外多糖生産におけるアンモニウムイオン濃度依存性:生産細胞の可視化

論文タイトル
Ammonium ion concentration-dependent production of extracellular polysaccharides from glycerol by an oleaginous yeast: visualization of the producer cells.
論文タイトル(訳)
油脂酵母によるグリセロールからの細胞外多糖生産におけるアンモニウムイオン濃度依存性:生産細胞の可視化
DOI
10.1128/spectrum.00429-26
ジャーナル名
Microbiology spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e00429-26
著者名(敬称略)
竹川 そよか、ほか4名、 河井 重幸
所属
石川県立大学生物資源工学研究所環境生物工学研究室(河井研究室)
著者からのひと言
最初、棄てるべき培地上澄みの粘性に気づいたのが全てでした。

抄訳

油脂化学(オレオケミカル)産業の廃棄物由来粗グリセロールまたは精製グリセロールを原料として、油脂生産性酵母 Rhodotorula toruloides NBRC 8766 株がマンノース比率 90% 以上、分子量 10,000 k 以上の高分子細胞外多糖(EPS)を生産することを見出した。さらに本研究では、培地中のアンモニウムイオンNH4+濃度が EPS 生産を左右する鍵因子であり、NH4+濃度が 38 mM 以上となり培地が pH 2.0 以下に酸性化することが EPS 生産に必須であることを明示した。顕微鏡観察により、EPS 生産細胞は未成熟な脂質滴と毛羽状の EPS を纏った明瞭な2層構造の細胞壁を持つのに対し、非生産細胞は明瞭な脂肪滴と1層構造の細胞壁、豊富な細胞内多糖顆粒を有することが確認された。得られた知見はEPSや油脂の生産性向上に向けた生産メカニズムのさらなる解明の基盤となる。

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2026/08/18

荷電特性、疎水性および形状を考慮した膜ろ過における保守的なウイルス除去指標の選定

論文タイトル
Resilient performance indicator virus for membrane filtration considering surface charge, hydrophobicity, and morphology.
論文タイトル(訳)
荷電特性、疎水性および形状を考慮した膜ろ過における保守的なウイルス除去指標の選定
DOI
10.1128/aem.00035-26
ジャーナル名
Applied and environmental microbiology
巻号
Appl Environ Microbiol 92:e00035-26
著者名(敬称略)
安井 碧 他
所属
京都大学 大学院工学研究科 都市環境工学専攻
著者からのひと言

抄訳

実規模の浄水および下水処理プロセスにおけるウイルス除去能を評価するための指標として環境水や下水処理水中に高濃度で存在するウイルスが調査されてきた。しかし、水処理工程の除去能評価のための適切な指標については、現在も議論が続いている。 本研究は、表面電荷、疎水性および形状が膜ろ過時のウイルス除去に及ぼす影響を評価し、膜ろ過において除去されにくい保守的な指標ウイルス候補を特定することを目的とする。形状の異なる三種のウイルス(MS2、PMMoV、およびAiV)を選定し、ゼータ電位と接触角を測定した。これらの結果と膜ろ過試験の結果を比較することで膜ろ過による除去に表面電荷、疎水性および形状がもたらす影響を評価した。 膜ろ過試験において、棒状のPMMoVは3つのウイルスの中で中程度の疎水性であったにもかかわらず、最も高い除去率を示した。本研究の結果は、棒状ウイルスが膜ろ過で除去されやすいことを示しており、球状ウイルスの方が、より安全側に立った除去率評価ができる指標となる可能性を示唆している。

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2026/08/18

子宮頸部前がん病変にみられる染色体整列異常ECACの分子機構とその意義

論文タイトル
High-risk HPV E6 induces an aneuploidy-prone chromosome congression defect through destabilization of CENP-E.
論文タイトル(訳)
子宮頸部前がん病変にみられる染色体整列異常ECACの分子機構とその意義
DOI
10.1128/jvi.00625-26
ジャーナル名
Journal of virology
巻号
J Virol 100:e00625-26
著者名(敬称略)
瀬下 奈々美(共同筆頭著者)、堀 花那子(共同筆頭著者)、野澤 竜介(連絡著者)
所属
公益財団法人がん研究会 がん研究所 実験病理部
著者からのひと言
高リスク型HPVは、E6やE7を介してp53やRBなどのがん抑制機構を破綻させることで発がんを促進することが知られています。本研究では、それに加えて、E6がCENP-Eを不安定化し、染色体整列異常ECACを引き起こすという新たな作用を明らかにしました。興味深いことに、この作用は複数の高リスク型HPVで認められる一方、HPV18ではほとんど認められませんでした。HPV遺伝子型による発がん過程の違いを理解する手がかりになる結果だと考えています。

抄訳

子宮頸がんの前がん病変である高リスク型ヒトパピローマウイルス(HPV)陽性の子宮頸部異形成では、ECAC (Ectopic Chromosome Around Centrosome)と呼ばれる特徴的な染色体整列異常が観察される。本研究では、高リスク型HPVがコードするE6タンパク質が、分裂期モータータンパク質CENP-Eを不安定化し、ECACを誘導することを明らかにした。さらにECACの誘導は複数の高リスク型HPV由来のE6に共通して観察され、E6を長期間発現した細胞では異数性細胞が蓄積した。これらの結果は、子宮頸部前がん病変におけるECACの分子基盤を明らかにするとともに、E6によるECACの持続的な誘導が発がん初期の染色体不安定性獲得に寄与する可能性を示す。

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2026/08/18

模擬土壌下での種固有のグルコース無機化作用:Bacillus subtilis および Streptomyces cinnamoneus の単独・共培養からの知見

論文タイトル
Species-specific glucose mineralization in artificial soil: insights from Bacillus subtilis and Streptomyces cinnamoneus mono- and co-cultures.
論文タイトル(訳)
模擬土壌下での種固有のグルコース無機化作用:Bacillus subtilis および Streptomyces cinnamoneus の単独・共培養からの知見
DOI
10.1128/spectrum.00605-26
ジャーナル名
Microbiology spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e00605-26
著者名(敬称略)
藤原 奏、濱本 亨 他
所属
東北大学 農学部 土壌立地学分野
著者からのひと言
土壌は非常に複雑な地球環境であり、生物多様性のホットスポットの一つです。本研究では、これまで困難であった個々の土壌微生物動態をモニタリングするため、自然環境を模倣した模擬土壌システムを構築しました。本アプローチが、個々の微生物レベルでの物質循環メカニズムを解明するための重要な基盤となることが期待されます。

抄訳

自然土壌は非常に複雑で不均一なため、個々の微生物がどれだけ炭素循環(CO2放出)に関与しているかを定量的に評価することは困難でした。本研究では、自然土壌を再現した「模擬土壌」を活用し、代表細菌であるB.subtilisS.cinnamoneusの単独・共培養を行い、グルコース分解に伴うCO2放出量を測定した。その結果、前者は迅速にグルコースを分解する一方、後者は緩やかに分解するという顕著な差を明らかにした。さらに、共培養下では、前者の割合が高まるほどCO2放出量が増加した。模擬土壌が個々の微生物の代謝や相互作用を解明する有効な手法であることを示す成果であり、将来的な土壌炭素循環モデルの開発に期待される。

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2026/08/17

日本の乳牛における薬剤耐性Mycoplasma bovisの迅速検出・サーベイランスに向けたマルチプレックスPCRベースのナノポアシーケンシングの応用

論文タイトル
Application of multiplex PCR-based nanopore sequencing for rapid detection and surveillance of antimicrobial-resistant Mycoplasma bovis in Japanese dairy cattle
論文タイトル(訳)
日本の乳牛における薬剤耐性Mycoplasma bovisの迅速検出・サーベイランスに向けたマルチプレックスPCRベースのナノポアシーケンシングの応用
DOI
10.1128/spectrum.01242-26
ジャーナル名
Microbiology Spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e01242-26
著者名(敬称略)
臼井 優 他
所属
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類 衛生・環境学分野 食品衛生学ユニット
著者からのひと言
牛の臨床現場で問題となっている薬剤耐性Mycoplasma bovisについて、解決の糸口となる研究となっています。
今後、この方法が普及して、牛由来Mycoplasma bovisの実態が解明されていくことが期待されます。

抄訳

Mycoplasma bovisは牛に乳房炎や呼吸器疾患を引き起こし、酪農業に大きな経済的損失をもたらす。従来の培養検査および薬剤感受性試験には約2週間を要するため、経験的な抗菌薬使用や耐性菌の出現を招くことから、迅速な検査法が求められている。本研究では、染色体上の薬剤耐性関連変異を検出し、M. bovisの薬剤感受性を6時間以内に推定できる、マルチプレックスPCRベースのナノポアシーケンシング法を開発した。日本の牛から2013–2016年および2023–2025年に分離された329株を用いて、7種類の抗菌薬に対する最小発育阻止濃度と遺伝子型との関連を解析した結果、特定の変異と薬剤感受性との明確な関連が認められた。さらに、近年の分離株では、マクロライド・テトラサイクリン耐性関連変異およびgyrA–parC二重変異が顕著に増加していた。本法は、低コストのフローセルを用いて最大24検体を同時解析でき、M. bovisの薬剤感受性の迅速な遺伝学的予測と耐性動向のサーベイランスに有用な手法となる。
 

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2026/08/17

ヒトiPS由来三次元心組織を用いたHFpEFモデルの開発とSGLT2阻害薬による治療機序の解明

論文タイトル
Human iPSC-derived engineered heart tissue model of diastolic dysfunction in heart failure with preserved ejection fraction
論文タイトル(訳)
ヒトiPS由来三次元心組織を用いたHFpEFモデルの開発とSGLT2阻害薬による治療機序の解明
DOI
10.1016/j.stem.2026.06.007
ジャーナル名
Cell Stem Cell
巻号
Cell Stem Cell, 2026; 33, 1339-1353.e7
著者名(敬称略)
谷 英典 遠山 周吾 他
所属
藤田医科大学東京 先端医療研究センター
著者からのひと言
ヒトiPS由来心筋細胞は開発当初から疾患モデルや創薬応用への期待が高かったものの多くの課題がありました。我々の研究室ではより良いモデル作成のために様々な課題を乗り越え、こうしたモデルを今回報告することができました。本研究で確立されたヒト由来HFpEFモデルは、病態解明や加齢研究への応用だけでなく、新規治療薬の開発や薬効評価、さらには患者ごとの個別化医療にも役立つ研究基盤として今後のさらなる研究の発展が期待されます。

抄訳

心臓の収縮機能が保たれているにもかかわらず拡張機能が低下する心不全、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)は、高齢化で患者数が増加の一途を辿る中、有効な治療法がほとんど確立されていない。本研究では、ヒトiPS細胞から作製した心筋細胞、心外膜細胞、血管内皮細胞などを組み合わせた三次元心筋組織を用いて、培養組織に高脂肪酸と一酸化窒素の産生を阻害するNOS阻害薬を加えることで、心臓の収縮機能は保たれたまま、拡張機能だけが低下するHFpEF特有の病態を再現した。このモデルでは、BNPの上昇、線維化、カルシウム動態異常、ミトコンドリア障害など、HFpEF患者にみられる特徴が認められた。さらに、このモデルに複数の心不全治療薬を投与した結果、SGLT2阻害薬がこの病態を改善することを見出し、作用機序として、血管内皮細胞におけるeNOS-NO-cGMP-PKGシグナルの回復や、細胞内のNa⁺やCa²⁺過負荷を軽減することで、炎症や心筋障害の改善に寄与することが示唆された。
 

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