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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2020/09/11

もやもや病患者の白質におけるミエリン・軸索障害

論文タイトル
Myelin and Axonal Damage in Normal-Appearing White Matter in Patients with Moyamoya Disease
論文タイトル(訳)
もやもや病患者の白質におけるミエリン・軸索障害
DOI
10.3174/ajnr.A6708
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 41, No. 9 (1618-1624)
著者名(敬称略)
原 祥子 他
所属
東京医科歯科大学 脳神経機能外科

抄訳

【背景と目的】慢性虚血動物モデルではミエリン・軸索障害が存在することが知られているが、もやもや病患者でも存在するか明らかでない。
今回、もやもや病患者において、MRIによりミエリン・軸索障害の有無を評価し、認知機能障害との関連を検討した。
【対象と方法】18名の成人もやもや病患者(16−55歳)と18名の健常人(年齢性別合致)において、magnetization transfer saturation法(MTsat)と拡散MRI(NODDI)を撮影し、大脳各領域でのミエリン含有量・軸索含有量を評価した。もやもや病患者と健常人の各含有量を比較し、もやもや病患者においては各含有量と認知機能検査との相関を評価した。
【結果】もやもや病患者では健常人と比較し、ミエリン含有量がすべての白質領域で低下し、軸索含有量は両側中大脳動脈領域で低下していた(P<.05)。もやもや病患者における認知機能検査との相関は、ミエリン含有量とは認められず、軸索含有量とのみ認めた(右中大脳動脈領域・右大脳動脈領域でr=0.52-0.53; P<.03)。
【結論】もやもや病患者ではミエリン・軸索障害が存在し、認知機能との関連はミエリンより軸索のほうが強い可能性がある。

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2020/09/10

免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎のMRI所見

論文タイトル
MRI Findings of Immune Checkpoint Inhibitor–Induced Hypophysitis: Possible Association with Fibrosis
論文タイトル(訳)
免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎のMRI所見
DOI
10.3174/ajnr.A6692
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 41, No. 9 (1683-1689)
著者名(敬称略)
黒川 遼、五ノ井 渉 他
所属
東京大学医学部附属病院 放射線科

抄訳

下垂体炎は免疫チェックポイント阻害薬治療による合併症の一つであり、長期的なホルモン補充療法を要する下垂体機能低下症の原因となる。頻度が高く臨床的にも重要な合併症だが、MRIにおける特徴的な画像所見は知られていなかった。本研究では日米の2施設にて悪性黒色腫に対して免疫チェックポイント阻害薬治療を行い、下垂体炎を発症した20症例を後方視的に解析し、MRI所見の特徴やホルモン異常の有無を調べた。その結果、19/20例で下垂体前葉に特徴的な地図状の造影不良域が認められ、同部はT2強調像で主に低信号を示し、造影ダイナミックMRIの撮像された2例では漸増性の造影増強効果を呈した。内分泌学的には期間中に不可逆的であった甲状腺刺激ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンの分泌低下が半数以上の症例で認められた。MRIで認められた「T2強調像で低信号を示し漸増性に造影される」という特徴は線維化を示唆する所見であり、免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎の病態の解明や、その他の原因による下垂体炎・腫瘍との鑑別に有用であると考えられる。

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2020/01/31

Nigrosome 1の解剖学的な傾斜構造から考える描出能

論文タイトル
Visualization of Nigrosome 1 from the Viewpoint of Anatomic Structure
論文タイトル(訳)
Nigrosome 1の解剖学的な傾斜構造から考える描出能
DOI
10.3174/ajnr.A6338
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 41, No. 1 (86-91)
著者名(敬称略)
荒井 信行 他
所属
名古屋市立大学病院 診療技術部 放射線技術科

抄訳

黒質緻密部に存在するnigrosome1は,MRIにおいてパーキンソン病の進行例では描出されにくくなるが,健常者やパーキンソン病の軽度進行例においても本来描出されるべきnigrosome1が描出不良となったり左右非対称に描出されることがあり,鑑別が困難となることがある.今回われわれは静磁場方向に対する頭部の傾きと魔法角,さらに磁化率に着目し,nigrosome1の解剖学的な傾斜構造を考慮した描出不良の原因について初めてアプローチした.9点マルチエコーのスポイルド型3D-GRE法を使用し,魔法角の影響を調べるために静磁場方向に対して健常ボランティアの頭部を右傾斜,左傾斜,0°に設定し,傾斜角度と左右のnigrosome1の描出能の関係と磁化率の関係,さらに局所磁場の影響について調べた.頭部を右傾斜,左傾斜にした方が0°の時よりも有意にコントラストが上昇した.そして0°の時は魔法角の影響が顕著であり,これは磁化率強調像で裏付けられた.nigrosome1の解剖学的な傾斜構造は,磁気双極子相互作用による魔法角と干渉し,これによりnigrosome1は非対称の描出,もしくは描出不良となることがある.

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2019/11/18

もやもや病患者におけるベイズ推定法を用いた脳灌流MRIの脳血流量評価: 15OガスPETとSVD法との比較

論文タイトル
Bayesian Estimation of CBF Measured by DSC-MRI in Patients with Moyamoya Disease: Comparison with 15O-Gas PET and Singular Value Decomposition
論文タイトル(訳)
もやもや病患者におけるベイズ推定法を用いた脳灌流MRIの脳血流量評価: 15OガスPETとSVD法との比較
DOI
10.3174/ajnr.A6248
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 40, No. 11 (1894-1900)
著者名(敬称略)
原 祥子 他
所属
東京医科歯科大学 脳神経外科

抄訳

【目的と背景】Singular value decomposition (SVD)法による脳潅流MRI(DSC)解析では、もやもや病患者の脳血流量(CBF)は不正確になることが知られている。ベイズ推定法によるDSC解析(ベイズ法)は最近考案され、平均通過時間(MTT)や脳血液量(CBV)を従来のSVD法より正確に算出可能と報告されている。本研究の目的は、もやもや病患者におけるベイズ法のDSC-CBFを、gold standardである15Oガスを用いたPET、および従来のSVD法と比較し、その有用性を検討することである。
【対象と方法】60日以内にDSC-MRIと15OガスPETを施行した19名のもやもや病患者(女性10名、22-52歳)を後方視的に解析した。DSCを3つのSVD法(standardと2つの block-circulant)およびベイズ法で解析し、CBFマップを作製した。DSC-MRIのCBFマップとPETのCBFを比較し、定性的・定量的評価を行った。
【結果】定性的な視覚評価において、ベイズ法のCBFはPETのCBFの低下をよく反映し(感度62.5%, 特異度100%, 陽性的中率100%, 陰性的中率78.6%)、SVD法(2つのblock-circulant)より有意に優れていた(特異度以外P < .03)。定量的評価において、ベイズ法のCBFとPETのCBFの絶対値の相関は3つのSVD法と同程度で(ρ = 0.46, P < .001)、ベイズ法のCBFはPETのCBFを過大評価した(平均+47.28 mL/min/100 g)。しかし、小脳比の相関をみると、ベイズ法のCBFはPETのCBFをよく反映しており(ρ = 0.56, P < .001)、3つのSVD法より有意に優れていた (P < .02)。
【結語】もやもや病患者において、ベイズ法によるDSC-CBF解析は、従来のSVD法よりも定性的・定量的に優れていた。

 

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2019/07/19

未破裂脳動脈瘤塞栓術後の長期成績とフォローアップ期間についての検討

論文タイトル
Long-Term Results and Follow-Up Examinations after Endovascular Embolization for Unruptured Cerebral Aneurysms
論文タイトル(訳)
未破裂脳動脈瘤塞栓術後の長期成績とフォローアップ期間についての検討
DOI
10.3174/ajnr.A6101
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 40, No. 7 (1191-1196)
著者名(敬称略)
村上知義 中村 元 他
所属
大阪大学医学部 脳神経外科

抄訳

【目的】脳動脈瘤に対するコイル塞栓術後の至適フォローアップ期間は明確ではない。今回我々は未破裂脳動脈瘤コイル塞栓術後の長期成績を調査し、再開通および再治療までの期間を検証した。
【方法】2006年4月から2011年3月に脳動脈瘤塞栓術を施行した148個の未破裂動脈瘤のうち、5年以上の経過観察が可能であった116個を対象とした。当院ではTOF-MRAを用いて塞栓術後の画像フォローを行っており、術翌日、3-6か月後、1年後、以後1年1回施行されている。
【結果】平均観察期間は7年で、術後2年以内に再開通した動脈瘤は19個(16.3%)あり、うち8個(6.8%)に対して再治療が行われた。術後2年以内に再開通しなかった瘤は、全例その後のフォロー期間中に再開通することはなかった。また、瘤の最大径が大きいものほど再開通率が高いことが明らかになった(P=0.019)。
【結論】未破裂脳動脈瘤の塞栓術後2年以内に再開通を認めなかった場合、術後7年間は再開通を認めなかった。本結果は、動脈瘤塞栓術後フォローアップ画像検査の頻度および期間を考慮するにあたり、参考となるかもしれない。

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2019/05/31

脳血管構造に応じた脳動脈瘤破裂率の違いは、脳動脈瘤の血行力学的環境の相違に依存している

論文タイトル
Differences in Cerebral Aneurysm Rupture Rate According to Arterial Anatomies Depend on the Hemodynamic Environment
論文タイトル(訳)
脳血管構造に応じた脳動脈瘤破裂率の違いは、脳動脈瘤の血行力学的環境の相違に依存している
DOI
10.3174/ajnr.A6030
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology American Society of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 40, No. 5 (834-839)
著者名(敬称略)
福田 俊一 他
所属
国立病院機構 京都医療センター 脳神経外科

抄訳

目的:脳動脈瘤はその大きさと発生部位に応じて破裂率が有意に異なるが、そのメカニズムは不明である。そこで、計算流体力学 (CFD) 解析を用いてこれらの脳血管構造関連破裂リスクが脳動脈瘤の血行力学的環境に依存しているかどうかを検討した。
方法:国立病院機構共同臨床研究CFD ABO Studyの461登録症例から84例(Acom瘤42例 MCA瘤42例)の3DCTAと頚動脈エコー結果を用いて拍動流によるCFD解析を行い、血行力学指標と既知の破裂予測因子(年齢 性別 高血圧 喫煙歴 部位 大きさ)との関連を多変量解析で検討した。
結果:瘤の大きさは、壁ずり応力の大きさや時間的な乱れを表す指標と有意な相関を認めた。部位の違いでは、ずり応力の大きさと有意な相関を認め、乱れの指標に関しては多方向性の乱れの指標NtransWSSのみと有意な相関を認めた。他の既知の破裂リスクでは有意な相関は見られなかった。すべての指標の中でNtransWSSが部位と大きさ双方に対し最も高いオッズ比を示した。新たに提案した血管構造指標AAIは、ずり応力の大きさ・乱れに対し強い相関を示した。
結論:脳動脈瘤の大きさや部位による破裂率の違いは、瘤の血行力学的環境の相違を反映している可能性が示唆された。部位と大きさでは破裂の血行力学的要因が異なっていると考えられる。

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2019/03/13

条件付き敵対的生成ネットワークをピクセル毎に適用することによるDeep LearningによるSynthetic FLAIR像の画質向上

論文タイトル
Improving the Quality of Synthetic FLAIR Images with Deep Learning Using a Conditional Generative Adversarial Network for Pixel-by-Pixel Image Translation
論文タイトル(訳)
条件付き敵対的生成ネットワークをピクセル毎に適用することによるDeep LearningによるSynthetic FLAIR像の画質向上
DOI
10.3174/ajnr.A5927
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology  American Society of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 40, No. 2 (224-230)
著者名(敬称略)
萩原 彰文
所属
順天堂大学 放射線診断学講座

抄訳

Synthetic MRIは任意のコントラスト強調像を1回のスキャンのデータに基づいて作成する事ができる技術であるが、 Synthetic FLAIRは従来法FLAIRよりも画質が低く、臨床導入を妨げる要因となっていた。本研究は、Deep LearningによりSynthetic FLAIRの画質を向上させることを目的として行った。40人の多発性硬化症患者を従来法FLAIRとSynthetic MRIによってスキャンし、30人の訓練データと10人のテストデータに分けた。従来法FLAIRを教師データとして、Synthetic MRIの元画像からDeep Learningを用いてFLAIR画像を作成した(DL-FLAIR)。従来法FLAIRを真の画像として計算したエラーはDL-FLAIRにおいてSyntheitc FLAIRよりも減少していた。DL-FLAIRにおける病変の描出能は従来法FLAIRと同程度であった。また、DL-FLAIRにおいてSynthetic FLAIRに特有のアーチファクトであるgranular artifactとswelling artifactはDL-FLAIRにおいて減少した。Deep Learningを用いて、Synthetic FLAIRの画質を向上させることに成功したと考えられる。

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2019/02/07

320 列面検出器 CT を用いた Bone subtraction iodine画像による上咽頭癌の頭蓋底浸潤評価

論文タイトル
Bone Subtraction Iodine Imaging Using Area Detector CT for Evaluation of Skull Base Invasion by Nasopharyngeal Carcinoma
論文タイトル(訳)
320 列面検出器 CT を用いた Bone subtraction iodine画像による上咽頭癌の頭蓋底浸潤評価
DOI
10.3174/ajnr.A5906
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology  American Society of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 40, No. 1 (135-141)
著者名(敬称略)
檜山 貴志,久野 博文 他
所属
国立がん研究センター東病院 放射線診断科

抄訳

従来のCTはMRIに比べコントラスト分解能が低く、上咽頭癌の頭蓋底浸潤評価において骨内の造影効果を正確に評価することは困難であった。Bone subtraction iodine (BSI) 画像は、320 列面検出器 CT を用いて造影前後のCT 画像を正確に差分することにより,骨内のヨード造影剤を描出する手法である.本研究は,上咽頭癌頭蓋底浸潤の評価にBSI画像が有用かを検証した.連続した上咽頭癌患者44例を対象とし,320列面検出器CTを用いて,造影前後の volume scanを非剛体位置あわせを用いて差分し,BSI画像を作成した.2名の神経放射線科医により,頭蓋底6部位に対し,従来のCTのみ(CCT)の評価とCCTとBSIを組み合わせた(CT-BSI画像) 評価を比較し、MRI・CTの総合的評価を参照基準として診断能を算出した。26症例(84亜部位)で頭蓋底浸潤を認め、CT-BSI画像ではCCTよりも高い感度(92.9% vs 78.6%, P=.02),特異度(95.6% vs 86.1%, P=.01)を示し、ROC曲線によるAUCはCT-BSIで有意に大きかった(AUC = 0.98 vs 0.90, P<.001).BSI画像は骨組織内のヨード造影剤分布が正確に評価可能となり,CTによる頭蓋底浸潤の診断能向上に寄与する。この技術により造影MRIが撮像できない患者に対しても、正確な病期決定と放射線治療計画が可能となると考えられる.

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2017/04/17

複数のpostlabeling delayによるarterial spin-labeling MRI (ASL)を用いたもやもや病患者の無侵襲な脳血流・循環遅延評価:15O gas PET, DSC-MRIとの比較

論文タイトル
Noninvasive Evaluation of CBF and Perfusion Delay of Moyamoya Disease Using Arterial Spin-Labeling MRI with Multiple Postlabeling Delays:Comparison with 15O-Gas PET and DSC-MRI
論文タイトル(訳)
複数のpostlabeling delayによるarterial spin-labeling MRI (ASL)を用いたもやもや病患者の無侵襲な脳血流・循環遅延評価:15O gas PET, DSC-MRIとの比較
DOI
https://doi.org/10.3174/ajnr.A5068
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology  American Society of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 38, No. 4 (696-702)
著者名(敬称略)
原 祥子、田中 洋次
所属
東京医科歯科大学 脳神経外科

抄訳

 Arterial spin-labeling MRI (ASL) は造影剤を必要とせず被曝もない無侵襲な脳血流評価法であるが,脳血流定量値が循環遅延やpostlabeling delay(PLD)に影響をうけることも報告されている。
 我々はASLを2つのPLDで撮影し,ASL-CBFとgold standardである15O-gas PET の脳血流定量値(cerebral blood flow: CBF)および循環遅延の程度(DSCのTmaxなど)との関係を検討した。
 18名のもやもや病患者の大脳半球10領域の定量値を検討したところ,ASL-CBF(PLD=1525ms)はCBFと有意な相関を示し(r=0.63; p=0.01),循環遅延の強い領域(Tmax>6.0sなど)ではCBFを過小評価する傾向があった。
 一方でASL-CBF(PLD=2525ms)は血流遅延の程度によらずCBFを過大評価する傾向にあった。 このPLDの異なる2つのASL-CBFの比は,血流遅延の程度と有意な相関を示した(PLD=2525ms/PLD=1525msのASL-CBF比 vs. Tmax: rho=0.71; p<0.0001)。
   以上より,ASLのCBF定量性は血流遅延・PLDに影響されるものの,それを理解した上で使用すれば,無侵襲に脳血流と循環遅延の情報を得られる有用な検査である可能性が示唆された。

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2014/03/19

下垂体腺腫の腫瘍性状の予測:3T-MRIを使用した造影FIESTA法による評価

論文タイトル
Tumor Consistency of Pituitary Macroadenomas: Predictive Analysis on the Basis of Imaging Features with Contrast-Enhanced 3D FIESTA at 3T
論文タイトル(訳)
下垂体腺腫の腫瘍性状の予測:3T-MRIを使用した造影FIESTA法による評価
DOI
10.3174/ajnr.A3667
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology  American Society of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 35, No. 2 (297-303)
著者名(敬称略)
山本 淳考 他
所属
産業医科大学 医学部 脳神経外科

抄訳

手術の際に視野が限られる下垂体腺腫の外科的治療において、その腫瘍性状(硬さ)を術前に予測することが重要である。本研究では、腫瘍性状予測の観点から、造影FIESTA法の有用性について検討を行った。29症例の下垂体腺腫の患者に対して通常の頭部MRシーケンスに加えて造影FIESTA法を使用し術前に全例撮影を施行。2名の放射線科医が、造影FIESTA、造影T1強調画像およびT2強調画像について評価を行った。また、手術所見から、脳神経外科医が下垂体腺腫の性状について2群(やわらかい、硬い)に分類した。最後に、MR画像所見と下垂体腺腫の硬さ、コラーゲン含有量および術後の残存腫瘍サイズとの関係について統計学的解析を行った。下垂体腺腫のMR画像所見として、比較的均一な信号を呈する場合 (solid type) と、腫瘍内部に複数の点状の高信号を含む場合 (mosaic type) の2群に分類された。この分類において、造影FIESTA法は、他のシーケンスと比較し、有意に腫瘍性状との相関を認めた。Mosaic typeと比較し、solid typeでは、腫瘍が硬く、コラーゲン含有量が多く、術後残存腫瘍が大きい傾向にあった。下垂体腺腫において、造影FIESTA法は、コラーゲン含有量を反映した腫瘍性状(硬さ)に関する付加情報を術前に提供できる可能性が示唆された。

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