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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/08/07

共生進化大腸菌は本来の共生細菌よりすぐれた宿主カメムシへの感染定着能力を示すが、適応度への貢献では劣る New

論文タイトル
Symbiotic Escherichia coli strains can better colonize host stinkbugs and outcompete natural symbiotic bacteria, but confer less fitness benefit.
論文タイトル(訳)
共生進化大腸菌は本来の共生細菌よりすぐれた宿主カメムシへの感染定着能力を示すが、適応度への貢献では劣る
DOI
10.1128/mbio.00951-26
ジャーナル名
mBio
巻号
mBio 17:e00951-26
著者名(敬称略)
Wenjin Cai 森山 実 深津 武馬 他
所属
産業総合技術研究所 モレキュラーバイオシステム研究部門 バイオシステム多様性研究グループ
著者からのひと言
長い共進化の過程を共にしてきた昆虫と共生微生物の相互依存関係は極めて安定なものと考えていましたが、実験室で人為的に作出した共生進化大腸菌が、本来の共生細菌を定着能力で上回り、駆逐してしまったことは、私たちにとっても驚きの発見でした。

抄訳

多くの昆虫は体内に共生微生物を保有し、世代を超えて受け継ぎながら、緊密な相利共生関係を築いてきた。長い共生進化の過程においては、こうした共生微生物の置換が幾度となく起こり、多様な共生系を生み出す要因となっている。しかし、微生物置換の具体的な進化プロセスには依然として不明な点が多い。最近私たちは、Pantoea属の相利共生細菌を中腸共生器官に保有するチャバネアオカメムシにおいて、共生器官に定着可能な人工共生進化大腸菌の作出に成功した。この共生進化大腸菌と本来の共生細菌を競合感染させたところ、共生進化大腸菌は本来の共生細菌を上回る定着能力を示す一方で、宿主昆虫の適応度への貢献は劣ることが判明した。自然界において長期にわたり共進化してきた本来の共生細菌を上回る共生能力が、非共生細菌である大腸菌で実験室において短期間に進化したという驚くべき知見である。本研究成果は、宿主にとって不利益であっても高い定着能力を備えた「裏切り者 cheater」的な感染戦略をもつ細菌が、共生進化にどのような影響を与えるかについて、実験的に検証可能なモデル系を提示するものである。

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2026/08/07

高齢者における孤独感と安静時機能的脳結合との関連 New

論文タイトル
Loneliness and Resting-State Functional Brain Connectivity Among Older Adults: A Proportional Correlation
論文タイトル(訳)
高齢者における孤独感と安静時機能的脳結合との関連
DOI
10.1176/appi.neuropsych.20230167
ジャーナル名
The Journal of Neuropsychiatry and Clinical Neurosciences
巻号
Volume 37, Number 1
著者名(敬称略)
今井 鮎  松岡 照之 他
所属
京都府立医科大学大学院 医学研究科 精神機能病態学
著者からのひと言
本研究は、孤独感は認知症のリスク因子であるだけでなく、認知症前駆期の神経変性に伴う早期徴候である可能性も示唆している。両者の因果関係を明らかにするためには今後の縦断研究が期待される。

抄訳

孤独感は認知症のリスクを高めると報告されているが、その機序は十分には解明されていない。そこで、43名の高齢者(健忘型軽度認知障害13名、正常認知機能30名)を対象に孤独感と安静時機能的MRIによる機能的脳結合との関連を調べた。孤独感は改訂版UCLA孤独感尺度を用いて評価した。先行研究で孤独感との関連が報告されている両側の海馬、視床、前部島皮質、扁桃体、外側前頭前野、内側前頭前野、後部帯状回、前部帯状回をシード領域とし、CONN toolboxを用いたROI-to-ROI解析により全脳の関心領域との機能的結合を解析した。その結果、孤独感が強いほど、右海馬と左外側頭頂葉との機能的結合は強く、左扁桃体と左前頭弁蓋、および左扁桃体と右縁上回との機能的結合は弱かった。これらの結果から、孤独感は海馬、頭頂葉、前頭葉、扁桃体の機能異常と関連し、これらの脳領域はアルツハイマー病や軽度認知障害で異常が認められることから、孤独感は認知症に関連した脳機能変化と関連する可能性が示唆された。

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2026/08/07

血管性浮腫様の舌腫脹を呈した頸椎症による舌下神経麻痺 New

論文タイトル
Hypoglossal nerve palsy secondary to cervical spondylosis mimicking angio-oedema
論文タイトル(訳)
 血管性浮腫様の舌腫脹を呈した頸椎症による舌下神経麻痺
DOI
10.1136/bcr-2025-267982
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports CP 2026;19:e267982
著者名(敬称略)
福井遼太  上田 剛士 他
所属
洛和会丸太町病院 救急・総合診療科
著者からのひと言
 片側性の舌腫脹では、舌癌などの腫瘍性病変をはじめとした局所病変が鑑別に挙がりますが、血管性浮腫や神経原性浮腫でも同様の所見を呈することがあります。本症例では、舌偏位やMRI所見に加え、環椎後頭関節周囲まで注意深く診察・画像評価することが診断につながりました。「舌の腫れ」という症候を局所病変だけでなく、神経学的・解剖学的な視点から捉えることの重要性を示す症例として、日常診療の一助となれば幸いです。

抄訳

 50歳代男性が、急性に発症した右側の舌腫脹、構音障害、嚥下障害を主訴に受診した。片側性の舌腫脹が目立ったことから当初は血管性浮腫が疑われたが、その後も右方への舌偏位が持続し、右舌下神経麻痺と診断した。画像を再検討すると、右舌下神経管出口部に骨棘を認め、環椎後頭関節の変形性変化、関節液貯留および周囲の骨髄浮腫を伴っており、頸椎症による舌下神経の圧迫が原因と考えられた。舌下神経麻痺では慢性期には舌萎縮を呈する一方、急性期には神経原性浮腫による舌腫脹が前景に立ち、舌偏位が目立たない場合がある。MRIで舌浮腫が正中を境に片側に限局する場合は、神経原性浮腫を示唆する手掛かりとなり得る。また、片側性舌腫脹では血管性浮腫のみならず舌下神経麻痺を鑑別に挙げ、その原因として腫瘍性病変や内頸動脈解離などを除外するとともに、頸椎症も考慮することが重要である。

 

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2026/08/07

 インフルエンザウイルス感染が引き起こす上気道常在細菌叢の病原性転化 New

論文タイトル
Influenza A virus infection induces initial proliferation of commensal Streptococcus pneumoniae in the larynx leading to dissemination into the lower respiratory tract
論文タイトル(訳)
インフルエンザウイルス感染が引き起こす上気道常在細菌叢の病原性転化
DOI
10.1128/jvi.00555-26
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
Journal of Virology Vol. 100, No. 7
著者名(敬称略)
加藤 広介 川口 敦史 他
所属
筑波大学医学医療系・分子ウイルス学研究室
著者からのひと言
 二次性細菌性肺炎はインフルエンザウイルス感染症による死亡例の多くを占める重要な合併症です。
その多くは、外環境からの病原性細菌による感染ではなく、体内常在菌の病原性転化(ディスバイオーシス)によるものです。
本研究で開発した動物モデルによって、詳細な分子機構を明らかにしていくことをめざしております。

抄訳

普段は病原性を示さず上気道に定着している常在菌が、インフルエンザウイルス感染をきっかけに病原性を発揮し、重篤な二次性細菌性肺炎を引き起こすことがあります。しかし、常在菌が上気道の「どこで」増殖を開始し、どのように下気道へ拡大するのかは明らかになっていませんでした。
本研究では、マウス上気道に定着できる肺炎球菌株を選定し、対数増殖期にのみ近赤外発光を示す組換え株を構築しました。これをマウスに定着させ、感染後の増殖動態をin vivoイメージングで解析しました。
その結果、菌増殖が顕著となる主要部位は鼻腔や肺ではなく、声帯周囲の喉頭であり、増殖能が活性して気管や肺へ拡大することが明らかになりました。
本研究は喉頭が常在菌の増殖が活性化する重要部位であることを示しています。今後、喉頭の微小環境変化を解明することで、二次性細菌性肺炎の早期予防や新たな局所介入法の開発につながると期待されます。

 

 

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2026/08/07

グアニル酸キナーゼ1は、イノシン三リン酸分解酵素が欠損した哺乳動物細胞のRNAにおいて、イノシンが蓄積する原因となる酵素である。 New

論文タイトル
Guanylate kinase 1 is an enzyme responsible for inosine accumulation in RNA of mammalian cells deficient in inosine triphosphatase
論文タイトル(訳)
グアニル酸キナーゼ1は、イノシン三リン酸分解酵素が欠損した哺乳動物細胞のRNAにおいて、イノシンが蓄積する原因となる酵素である。
DOI
10.1073/pnas.2606968123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (31) e2606968123
著者名(敬称略)
土本 大介 他
所属
九州大学 生体防御医学研究所 研究推進ユニット 先端研究開発室
著者からのひと言
 稀少な難病である発達性およびてんかん性脳症35の治療を目指して原因物質ITPの生体内生成経路の解明を試み、成功しました。治療標的となりそうなGUK1は、強く抑制されると別の疾患の原因となることが最近報告されたことからまだまだ治療法開発までは遠いようですが、今後も研究を続けて治療に結び付けたいと考えています。

抄訳

 イノシン三リン酸(ITP)分解酵素欠損は、発達性およびてんかん性脳症35 (DEE35)の原因となる。しかし原因物質ITPの生体内生成経路は不明であった。我々はITP分解酵素欠損培養細胞と組換えタンパク質を用いた研究により、グアニル酸キナーゼ1(GUK1)が細胞中に存在しているイノシン一リン酸を間違ってリン酸化し、生じたイノシン二リン酸が更にリン酸化されてITPが生成されることを明らかにした。続いてDEE35モデルマウスでGUK1を半分欠損させると寿命が延長し、大脳皮質におけるRNA中のイノシンが減少した。RNA中イノシンはRNA合成中にITPが取り込まれたと考えられる。本研究の結果は、ほ乳動物における主なITP生成経路がGUK1に依存したイノシン一リン酸からの二段階リン酸化であることを示している。

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2026/08/07

液-液相分離(LLPS)依存性および非依存性機構によるC型肝炎ウイルス感染細胞における脂肪滴関連リング構造の形成 New

論文タイトル
Assembly of lipid droplet-associated ring structures in hepatitis C virus-infected cells via liquid–liquid phase separation (LLPS) and non-LLPS mechanisms
論文タイトル(訳)
液-液相分離(LLPS)依存性および非依存性機構によるC型肝炎ウイルス感染細胞における脂肪滴関連リング構造の形成
DOI
10.1128/jvi.00780-26
ジャーナル名
Journal of Virology
巻号
J Virol 100:e00780-26
著者名(敬称略)
Mengyu Jiao、紺野 在、鈴木 哲朗 他
所属
浜松医科大学医学部 微生物学・免疫学講座

抄訳

 C型肝炎ウイルス(HCV)は感染性粒子形成の場として脂肪滴(lipid droplet: LD)を利用することが知られているが、粒子形成に関与する因子がLDへ集積する分子機構は十分解明されていなかった。本研究では、HCV感染後にウイルスカプシド(Core)タンパク質がLDへ局在した後、ストレス顆粒(stress granule: SG)の中核的な分子スイッチとして働くRNA結合因子G3BP1が時間差をもってLD周囲へ集積することを見いだした。液-液相分離(liquid–liquid phase separation: LLPS)阻害剤処理により、G3BP1およびG3BP1とともにストレス顆粒形成を担うTIA-1のLD局在は消失した一方、HCVタンパク質CoreおよびNS5Aの局在には影響を認めなかった。また、Core単独ではG3BP1をLDへ誘導できないが、HCV RNAとの共発現によりG3BP1がLD周囲へ集積することを明らかにした。
以上より、HCV感染細胞ではLD上のCoreに新生ウイルスRNAが加わることでLLPS依存的な生体分子凝縮体が形成され、G3BP1をはじめとするSG関連因子がLDへ集積する新たな機構を提唱する。本研究はHCV粒子形成およびゲノムパッケージング機構の理解を深め、新たな抗ウイルス戦略の基盤となる知見を提供する。

 

 

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2026/08/07

高精度な古代人ゲノムが明らかにする日本列島の先史集団史とでんぷん食への適応進化 New

論文タイトル
High-coverage ancient genomes reveal divergent population histories and prehistoric starch-related genetic variation in Japan
論文タイトル(訳)
高精度な古代人ゲノムが明らかにする日本列島の先史集団史とでんぷん食への適応進化
DOI
10.1073/pnas.2606162123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (30) e2606162123
著者名(敬称略)
石谷 孔司 他
所属
金沢大学 サピエンス進化医学研究センター
著者からのひと言
本研究では、考古学・人類学・進化学の知見を高精度な古代人ゲノム解析によって結びつけ、日本列島における人々の移動、集団の変化、食への適応進化の可能性を総合的に議論しています。今回得られた縄文人と弥生人の高精度ゲノムは、祖先集団の起源や近隣集団との関係性、日本本土における先史時代の集団史にさまざまな知見をもたらしました。日本列島の古代人ゲノム研究における重要なマイルストーンになったと考えています。

抄訳

本研究では、群馬県・居家以岩陰遺跡から出土した縄文時代早期の人骨と、山口県・土井ヶ浜遺跡から出土した弥生時代中期の人骨から、従来の水準を大きく上回る高精度な全ゲノム配列が構築された。これにより、低被覆度データでは困難だった人口動態の推定や遺伝子コピー数の解析が可能となった。解析の結果、両者の祖先集団はいずれも最終氷期に集団サイズを減少させたが、その後、縄文人の祖先集団は比較的安定した規模を維持した一方、弥生人の祖先集団は大陸側で段階的に増加し、新石器時代以降の複数の大陸系集団との交流を経て形成された可能性が示された。また、両個体は唾液アミラーゼ遺伝子のコピー数が比較的高く、稲作が広く普及する以前の縄文時代にも、でんぷん質の植物資源利用と関連しうる遺伝的多様性が存在したことが示唆された。本研究によって先史時代の集団移動や生業の変化が日本列島の人々の遺伝的特徴をどのように形作ってきたのかが明らかになった。

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2026/08/06

カンピロバクターの相変異型安定化ライブラリーを用いた相変異遺伝子機能の包括的解析 New

論文タイトル
Genome-scale dissection of phase-variable gene function in Campylobacter jejuni using a stabilized phasotype library.
論文タイトル(訳)
カンピロバクターの相変異型安定化ライブラリーを用いた相変異遺伝子機能の包括的解析
DOI
10.1128/msphere.00064-26
ジャーナル名
mSphere
巻号
mSphere 11:e00064-26
著者名(敬称略)
山本 章治 他
所属
国立感染症研究所 細菌第一部
著者からのひと言
カンピロバクターが相変異を介して免疫や宿主環境に適応する仕組みを、再現性高く追跡できるようにした。宿主ごとに選ばれる相変異型を捉えることで、病原性の理解を深め、感染対策の新たな標的探索を加速する。

抄訳

食中毒の主要起因菌カンピロバクターは、単純反復配列の変化を介して、表層構造に関わる遺伝子の発現をランダムにON/OFFへ切り替える「相変異」により、免疫回避や宿主環境への適応を行う。こうした適応は、複数の相変異遺伝子のON/OFF組合せ(相変異型)に左右されるが、相変異は確率的に起こるため、機能解析は困難だった。本研究では、多数の相変異遺伝子のON/OFF状態を固定して多様な相変異型からなるライブラリーを構築し、選択圧に応じて優勢となる相変異型の変化を安定的かつ体系的に解析できる技術「PV-GenShift」を確立した。ヒト血清、マウス腸管、ニワトリ腸管での選択実験により、血清抵抗性やマウス定着には、莢膜多糖の修飾に関わる遺伝子を含む特定の相変異型が有利に働くことを示した。一方、ニワトリでは個体ごとに異なる相変異型がみられた。本技術は、相変異型と適応力の関係を解明し、ワクチン、診断・治療法の開発に貢献すると期待される。

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2026/08/06

Bacillus subtilis DB9011が産生するC17 Fengycin Bの腸管毒素原性大腸菌抑制における役割 New

論文タイトル
Role of C17 fengycin B from Bacillus subtilis DB9011 in enterotoxigenic Escherichia coli inhibition
論文タイトル(訳)
Bacillus subtilis DB9011が産生するC17 Fengycin Bの腸管毒素原性大腸菌抑制における役割
DOI
10.1128/aem.00276-26
ジャーナル名
Applied and Environmental Microbiology
巻号
Applied and Environmental Microbiology Vol. 92, No. 7
著者名(敬称略)
犬童 優樹、西山 啓太、北澤 春樹 他
所属
東北大学大学院農学研究科動物食品機能学分野
著者からのひと言
 薬剤耐性の拡大を背景に、養豚現場では抗菌薬に代わるETEC制御法の開発が求められています。本論文は、Bacillus subtilis DB9011の培養上清を、抗菌活性を指標として分画し、C17 Fengycin Bに富む画分がETECの増殖を濃度依存的に抑制すること、さらにコリスチンとの併用によりその抗菌効果が増強されることを示しました。プロバイオティクス候補株の抗菌機構を代謝産物レベルで明らかにし、子豚の離乳後下痢に対する新たな制御戦略の構築につながる知見を提供しました。

抄訳

 腸管毒素原性大腸菌(ETEC)は離乳後の子豚における下痢の主要な原因であり、薬剤耐性の拡大に伴い、抗菌薬に代わる防除法の開発が求められている。本研究では、Bacillus subtilis DB9011が産生する細胞外代謝産物のうち、抗ETEC活性に関与する物質を探索した。DB9011の培養上清は、ETECおよびSalmonella Typhimuriumなどの腸管病原細菌に対して強い増殖抑制作用を示した。培養上清を生物活性に基づいて分画し、液体クロマトグラフィー四重極飛行時間型質量分析に供した。その結果、増殖抑制画分に濃縮され、抑制活性を示さない基準株NBRC13719ᵀでは検出されない主要代謝産物として、C17 Fengycin Bが同定された。C17 Fengycin Bを含む画分はETECに対して濃度依存的な抗菌活性を示し、コリスチンとの併用で増殖抑制作用が増強された。一方、培養上清中の濃度に相当する条件では完全な増殖抑制には至らず、他の代謝産物の関与も示唆された。以上より、C17 Fengycin Bは、DB9011によるETECの増殖抑制に大きく寄与する主要な代謝産物であると考えられた。

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2026/08/06

SGLT2阻害薬が人の老化に及ぼす“思わぬ力” New

論文タイトル
Dissecting out the unexpected effects of SGLT2 inhibitors on human aging.
論文タイトル(訳)
SGLT2阻害薬が人の老化に及ぼす“思わぬ力”
DOI
10.1210/clinem/dgag207
ジャーナル名
The Journal of clinical endocrinology and metabolism
巻号
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 111, Issue 8, August 2026, Pages 2154–2165
著者名(敬称略)
勝海 悟郎 南野 徹
所属
順天堂大学医学部内科学教室 循環器内科学講座
著者からのひと言

抄訳

SGLT2阻害薬は腎近位尿細管でのグルコース再吸収を抑制し、尿中排泄を促進することで血糖を低下させる糖尿病治療薬として開発された。だが、大規模試験により心血管・腎イベントを減少させることが示され、心不全や慢性腎臓病に対しても心腎保護効果を示すことが確立された。近年、本剤が潜在的に老化抑制に寄与する可能性が注目されている。カロリー制限やケトジェニック状態に類似した代謝適応を誘導し、炎症抑制、ミトコンドリア機能改善、細胞老化への耐性向上をもたらす。さらには前臨床試験において老化細胞負荷の減少やSASP調節作用、そして寿命延長や加齢関連機能低下の改善が報告されており、本剤のセノセラピーあるいはセノリティックとしての潜在性が期待されている。本レビューは、SGLT2阻害薬が心腎代謝疾患のみならず老化に作用しうる分子機序と生理的効果を考察し、抗老化薬・健康寿命延伸薬としての新たな展望を論じる。

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