抄訳
glucagon-like peptide-1 (GLP-1)は、食欲抑制作用およびインスリン分泌促進作用に加えて、食欲抑制など様々な作用を介して、血糖値と体重を低下させる。GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドやセマグルチドは、半減期を延長させるための26残基目リジン残基の脂肪酸修飾に、34番目リジン残基の置換操作を要する。一方で、トリプトファンはGLP-1ペプチドにおいて31残基目にのみ存在しており、脂肪酸結合の過程が比較的容易である。本研究ではトリプトファンにパルミチン酸(C16) を付加したGLP-1ペプチド2種類 [A (C16+miniPEG×1), B (C16+ miniPEG×3)]を合成し、in vitroとin vivoでのGLP-1受容体への影響を検討した。AとBはリラグルチド (L)と同等のcAMP産生能とインスリン分泌能を有した。マウスへのAとBとLの投与は、PBS (P)と比較してブドウ糖摂取後の血糖値低下とインスリン値上昇、消化管運動能の低下を認めた。AはLと同等の摂餌量低下を認めたが、PとB投与では認めなかった。LとAとBは、視床下部弓状核内c-FOS発現量増加、6週間投与後の体重減少を認めたが、Bの効果はLやAと比較して軽度であった。新規GLP-1ペプチドはLと同等の血糖低下と、胃排出抑制作用を有した。一方で付加したminiPEG数により食欲、体重への影響が異なることが示された。