抄訳
Mycoplasma bovisは牛に乳房炎や呼吸器疾患を引き起こし、酪農業に大きな経済的損失をもたらす。従来の培養検査および薬剤感受性試験には約2週間を要するため、経験的な抗菌薬使用や耐性菌の出現を招くことから、迅速な検査法が求められている。本研究では、染色体上の薬剤耐性関連変異を検出し、M. bovisの薬剤感受性を6時間以内に推定できる、マルチプレックスPCRベースのナノポアシーケンシング法を開発した。日本の牛から2013–2016年および2023–2025年に分離された329株を用いて、7種類の抗菌薬に対する最小発育阻止濃度と遺伝子型との関連を解析した結果、特定の変異と薬剤感受性との明確な関連が認められた。さらに、近年の分離株では、マクロライド・テトラサイクリン耐性関連変異およびgyrA–parC二重変異が顕著に増加していた。本法は、低コストのフローセルを用いて最大24検体を同時解析でき、M. bovisの薬剤感受性の迅速な遺伝学的予測と耐性動向のサーベイランスに有用な手法となる。