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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/09/29

Streptomyces属における二次代謝産物生合成遺伝子クラスターの発現を制御するラクトン骨格含有シグナル分子制御系の分布 New

論文タイトル
Distribution of lactone-signaling system for expression of secondary metabolite biosynthetic gene clusters in Streptomyces species
論文タイトル(訳)
Streptomyces属における二次代謝産物生合成遺伝子クラスターの発現を制御するラクトン骨格含有シグナル分子制御系の分布
DOI
10.1042/EBC20250059
ジャーナル名
Essays in Biochemistry
巻号
Essays Biochem 19 August 2026; 70 (2): 175–186
著者名(敬称略)
手島 愛子 荒川 賢治 他
所属
広島大学大学院統合生命科学研究科 
生物工学プログラム 微生物ケミカルバイオロジー研究室

抄訳

多くのStreptomyces属放線菌は、二次代謝産物生合成遺伝子クラスター(BGC)の発現を誘導するシグナル分子・受容体システムを有している。これまでに発見されたシグナル分子は、γ-ブチロラクトン、γ-ブテノライド、フランの3つのグループに分類され、アベノライド型を除くこれらの分子は、AfsAタンデムリピートドメインをもつ酵素によって生合成される。59個のafsAホモログ遺伝子についてゲノム上の配置を解析したところ、その86%(51/59)が、対応すると推定されるシグナル分子受容体遺伝子の近傍に位置していた。このことから、BGC発現に関与するシグナル分子・受容体システムは、遺伝子の位置関係から予測できる可能性が示された。一方、S. griseusではafsAと受容体遺伝子arpAが約3.91 Mb離れて存在するなど例外も認められた。シグナル分子と受容体の対応関係を明らかにすることは、シグナル分子による転写抑制解除を利用して休眠BGCを活性化する、新たなゲノムマイニング戦略につながると期待される。

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2026/09/28

DnaAによるロバストなssDNA結合を支える複製起点の自由度 New

論文タイトル
Origin flexibility governs robust ssDNA engagement by the DnaA initiator
論文タイトル(訳)
DnaAによるロバストなssDNA結合を支える複製起点の自由度
DOI
10.1073/pnas.2615469123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (38) e2615469123
著者名(敬称略)
清原菜々杜、尾崎 省吾 他
所属
九州大学 薬学研究院 分子生物薬学分野
著者からのひと言
この発見は、生命が進化の過程でゲノム配列を変化させながらもDNA複製という基本機能を維持してきたしくみを理解する上で重要な手がかりとなります。また、DnaAは細菌の増殖に必須のタンパク質であることから、その働きを標的とした新たな抗菌薬開発への応用も期待されます。

抄訳

DNA複製はすべての生物に必須の生命現象です。しかし、その開始点となるDNA配列は細菌の種類によって大きく異なります。それにもかかわらず、細菌は正確にDNA複製を開始し、自身のゲノムを次世代へ受け継いでいます。なぜDNA配列が変化しても複製開始という重要な機能が維持されるのかは、これまでよくわかっていませんでした。

九州大学大学院薬学研究院・分子生物薬学分野の尾崎省吾准教授、片山勉教授、大学院薬学府の清原菜々杜大学院生らの研究グループは、DNA複製開始タンパク質DnaAが、この問題を解く鍵となることを明らかにしました。細菌では、DnaAタンパク質が複製開始点に集まって開始複合体を形成し、DNAの一部がほどけて生じた1本鎖DNAに結合することでDNA複製が始まります。研究グループは、この1本鎖DNA結合のメカニズムを詳しく解析し、DnaAがDNA配列の違いや配置の変化を一定程度許容できる“遊び”、すなわち自由度を持つことを見出しました。DnaAは、離れた場所にある1本鎖DNAを開始複合体へと引き寄せながら結合できるだけでなく、多様な配列にも柔軟に対応できます。このようなDnaAによる柔軟なDNA認識機構によって、複製開始システムは進化に伴うDNA配列の変化を許容し、多様なDNA複製開始点から正確にDNA複製を開始できると考えられます。

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2026/09/28

霊長類黄斑変性モデルにおけるゲノム編集網膜オルガノイドの長期機能的シナプス統合 New

論文タイトル
Long-term functional synaptic integration of genome-edited retinal organoids in a primate model of macular degeneration.
論文タイトル(訳)
霊長類黄斑変性モデルにおけるゲノム編集網膜オルガノイドの長期機能的シナプス統合
DOI
10.1016/j.ymthe.2026.06.037
ジャーナル名
Molecular therapy : the journal of the American Society of Gene Therapy
巻号
Molecular Therapy, 2026; 34, 5444-5461
著者名(敬称略)
尾崎 充崇 万代 道子 他
所属
神戸市立神戸アイセンター病院研究センター
著者からのひと言

抄訳

網膜変性疾患に対する再生医療として網膜オルガノイド(RO)移植が期待されるが、霊長類黄斑部で宿主双極細胞が移植視細胞と機能的シナプスを再形成できるかは不明であった。本研究では、ON双極細胞を欠失させたゲノム編集ヒトES細胞由来網膜オルガノイド(ISL1−/−)を、レーザー誘発黄斑部視細胞変性モデルのカニクイザルに移植した。免疫組織化学・微細構造解析・局所黄斑網膜電図(FMERG)により、宿主の桿体・錐体双極細胞がいずれも移植片へ樹状突起を伸長しシナプスを形成することを確認。移植部位でのFMERGは信号対雑音比が低く2000回加算平均を要するなど検出感度上の技術的困難があったが、複数時点での応答の再現性から、4眼中2眼でON双極細胞応答が最大21.6%有意に改善し、最長2年間安定して維持された。うち1眼ではOFF経路の接続性が移植13か月後に遅発性に向上した。これは霊長類黄斑における宿主-移植片間の長期機能的シナプス統合を詳細に示した初の報告であり、ISL1−/− ROが黄斑変性における中心視機能回復の有望な戦略であることを示唆する。

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2026/09/24

11β-HSD2は、母体ストレス下でPer1誘導を伴う胎仔のグルココルチコイド曝露を緩衝する New

論文タイトル
11β-HSD2 buffers fetal glucocorticoid exposure inducing Per1 expression under maternal stress.
論文タイトル(訳)
11β-HSD2は、母体ストレス下でPer1誘導を伴う胎仔のグルココルチコイド曝露を緩衝する
DOI
10.1093/pnasnexus/pgag286
ジャーナル名
PNAS nexus
巻号
PNAS Nexus, Volume 5, Issue 9, September 2026, pgag286
著者名(敬称略)
八木田和弘 他
所属
京都府立医科大学 大学院医学研究科 統合生理学
著者からのひと言

抄訳

概日時計は生体に約24時間周期の時間秩序を与え、動的恒常性を支える普遍的な細胞機能である。哺乳類では概日時計は器官形成期の完了後に発生する。我々はこれまで、概日時計の発生が細胞自律的にプログラムされ、鍵因子CLOCK/BMAL1が体節形成を司る分節時計に干渉することを見出し、初期発生における概日時計の抑制に生理的意義がある可能性を示してきた。本研究では、母体―胎児間コミュニケーションに着目し、概日時計の同調因子でもあるグルココルチコイド(GC)の胚への移行を制御する11β-HSD2の役割を解析した。野生型と11β-HSD2欠損胚を同一母体に移植したところ、通常状態では両者の羊水中GC濃度の差は小さかったが、母体ストレスによるGC上昇時には欠損胚でのみ顕著なGC移行を認めた。一方、分節時計や体節形成への明らかな影響は認めなかった。以上より、11β-HSD2は急激な母体GC曝露から胚を保護する防御機構として働き、これと細胞自律的な概日時計抑制が協調して、器官形成期の発生プログラムを外因性の時間シグナルから隔離している可能性が示唆された。

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2026/09/24

 日本の城崎温泉から分離されたThermus株の完全ゲノム配列 New

論文タイトル
Complete genome sequences of Thermus strains isolated from Kinosaki Hot Spring in Japan
論文タイトル(訳)
 日本の城崎温泉から分離されたThermus株の完全ゲノム配列
DOI
10.1128/mra.00315-26
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiol Resour Announc 15:e00315-26
著者名(敬称略)
大道 春輝 宮崎健太郎 他
所属
大阪大学 生物工学国際交流センター 分子微生物学研究室
著者からのひと言
Thermus 属は、高温環境に適応した好熱菌で、耐熱性DNAポリメラーゼの発見を通じてPCRの発展にも大きく貢献してきました。一方で、その多様性にはまだ分かっていない部分も多く残されています。今回、40~80℃という幅広い温度域で生育するユニークな Thermus 株を発見しました。 極限環境には、まだ見ぬ Thermus が存在しているかもしれません。こうした株を見つけ、そのゲノムを一つひとつ読み解くことが、Thermus の新たな特徴や可能性を見いだすことにつながると考えています。

抄訳

本研究では、兵庫県の城崎温泉から分離した高度好熱菌 Thermus 属5株について、完全ゲノム配列を決定しました。Oxford NanoporeによるロングリードとIlluminaによるショートリードを組み合わせたハイブリッドアセンブリを用いて解析した結果、T. thermophilus 2株、T. brockianus 1株、T. brevis 2株に分類されました。特に、T. brevis については、本研究が初の完全ゲノム配列の報告となります。また、T. thermophilus および T. brockianus では既知の Thermus 属メガプラスミドと相同性を示す大型環状DNAが確認された一方、T. brevis では認められず、関連遺伝子は染色体上に存在していました。本研究で得られたゲノム情報は、Thermus 属の多様性の理解を深め、今後の好熱菌研究を支える基盤となることが期待されます。

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2026/09/15

Sclerotinia sclerotiorumの菌核から分離されたSphingobacterium kitahiroshimenseの全ゲノム解析

論文タイトル
Complete genome sequence of Sphingobacterium kitahiroshimense strain Ss8-5,isolated from a sclerotium of Sclerotinia sclerotiorum
論文タイトル(訳)
Sclerotinia sclerotiorumの菌核から分離されたSphingobacterium kitahiroshimenseの全ゲノム解析
DOI
10.1128/mra.00846-26
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiol Resour Announc 15:e00846-26
著者名(敬称略)
岩渕 望
所属
横浜国立大学 大学院環境情報研究院
著者からのひと言
「菌核」は、メラニンを含む黒く厚い外壁を持つ、カビの頑丈な休眠カプセルです。今回報告したのは、その中から分離した細菌1株の全ゲノムという、一見地味な成果です。しかし解析を進めるうちに、Sphingobacterium属が菌核という特殊な環境に広く定着し、菌核を構成する多糖まで利用している可能性が見えてきました。たった一つのゲノム情報から、菌核における細菌の知られざる生存戦略が垣間見えてきています。

抄訳

植物病原糸状菌の中には「菌核」と呼ばれる休眠構造を形成し、土壌中で長期間生存するものがいます。しかし、この菌核内部に生息する細菌については、これまでほとんど注目されてきませんでした。本研究では、400種以上の植物に感染し、菌核病による深刻な農業被害をもたらすSclerotinia sclerotiorumの菌核から細菌の分離を試み、Ss8-5株を単離しました。さらに、全ゲノム解析の結果、1つの環状ゲノムが得られ、Ss8-5株はSphingobacterium kitahiroshimenseであると推定されました。この結果は、植物病原菌の休眠構造の中に、これまで知られていなかった細菌が共存している可能性を示すものです。今後は、得られたゲノム情報をもとに代謝機能や糸状菌との相互作用メカニズムを解析し、菌核内における生態的役割の解明を目指します。

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2026/09/14

日本で分離されたメトロニダゾール低感受性 Prevotella bivia GTC18476 の完全ゲノム配列解析

論文タイトル
Complete genome sequence of Prevotella bivia GTC18476: a clinical isolate with reduced susceptibility to metronidazole in Japan
論文タイトル(訳)
日本で分離されたメトロニダゾール低感受性 Prevotella bivia GTC18476 の完全ゲノム配列解析
DOI
10.1128/mra.00688-26
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiol Resour Announc 15:e00688-26
著者名(敬称略)
林 将大 他
所属
岐阜大学 糖鎖生命コア研究所 糖鎖分子科学研究センター
著者からのひと言
当研究グループは、長野県で患者由来検体から分離された偏性嫌気性細菌 Prevotella bivia GTC18476 の完全ゲノム配列を解読しました。解析の結果、本株が2本の環状染色体と1本のプラスミドを有することを明らかにしました。また、メトロニダゾールに対する低感受性に関連する可能性のある薬剤耐性関連遺伝子 nimK を同定しました。本株のようなメトロニダゾール低感受性を示す P. bivia の分離報告は日本では限られており、本成果は、P. bivia のゲノム構造や薬剤耐性に関する理解を深め、嫌気性菌感染症の診断・治療および薬剤耐性監視に資する基盤情報となります。

抄訳

本研究では、長野県で患者検体から分離された偏性嫌気性菌 Prevotella bivia GTC18476 の完全ゲノム配列を決定した。Oxford Nanopore TechnologiesによるロングリードシーケンスとDNBSEQによるショートリードシーケンスを組み合わせたハイブリッドアセンブリにより、本株が2本の環状染色体(1.30 Mb、1.21 Mb)および1本のプラスミド(19 kb)から構成されることを明らかにした。ゲノム解析の結果、2,088個のコード配列、12個のrRNA遺伝子、50個のtRNA遺伝子を同定するとともに、メトロニダゾール低感受性に関連する可能性のある薬剤耐性遺伝子 nimK を検出した。本研究で得られた完全ゲノム情報は、P. bivia のゲノム構造および薬剤耐性機構の理解を深めるとともに、比較ゲノム解析や嫌気性菌の薬剤耐性監視に資する基盤データとなる。

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2026/09/11

付着・侵入性大腸菌におけるrfaG依存的な細胞表層生合成は1型線毛の発現と腸管内定着を支える

論文タイトル
rfaG-dependent cell envelope biogenesis supports type 1 fimbrial expression and intestinal colonization in adherent-invasive Escherichia coli
論文タイトル(訳)
付着・侵入性大腸菌におけるrfaG依存的な細胞表層生合成は1型線毛の発現と腸管内定着を支える
DOI
10.1099/mic.0.001766
ジャーナル名
Microbiology
巻号
Microbiology 2026;172:001766
著者名(敬称略)
三木 剛志 他
所属
東北医科薬科大学 薬学部 微生物学教室
著者からのひと言
付着・侵入性大腸菌(AIEC)はクローン病との関連が注目されている腸内細菌です。本研究では、rfaGに依存した細胞表層生合成が1型線毛の発現を支え、AIECの腸管内定着に重要な役割を果たすことを明らかにしました。病原細菌が腸管環境に適応し、定着するための新たな分子基盤の理解につながる成果と考えています。

抄訳

付着・侵入性大腸菌(AIEC)は病原性共生菌であり、1型線毛を介した腸管上皮への付着・侵入は、その病原性発現に重要な役割を果たす。本研究では、LPS生合成に関わるRfaGをコードするrfaG遺伝子の欠失により、1型線毛の発現が著しく低下することを見いだした。この変化には、1型線毛発現のON/OFFを決定するfimSの相変異が関与していた。さらに、rfaG欠失株ではマウス腸管内への定着能も低下した。以上の結果から、rfaG依存的な細胞表層生合成が1型線毛の発現を制御し、AIECの腸管内定着を支えることが明らかになった。本研究は、細胞表層構造の形成と病原因子発現を結びつける新たな機構を示すものである。

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2026/09/11

核内ストレス体によるスプライシング制御を支える温度感知機構

論文タイトル
Thermo-sensing mechanisms of splicing control by nuclear stress bodies
論文タイトル(訳)
核内ストレス体によるスプライシング制御を支える温度感知機構
DOI
10.1016/j.molcel.2026.06.034
ジャーナル名
Molecular Cell
巻号
Molecular Cell, 2026; 86, 3449-3465.e8
著者名(敬称略)
上野剛志 廣瀬哲郎 他
所属
大阪大学大学院 生命機能研究科 RNA生体機能研究室
著者からのひと言
 「るつぼ機構」は数ある非膜オルガネラの作動機構の一つですが、その実体解明はほとんど進んでいません。本研究で明らかになったリン酸化による酵素の局在制御は、「るつぼ機構」の要となる機構で、さらにそれを制御する温度センサーの同定は、「るつぼ機構」の全貌理解に向けた大きな一歩です。

抄訳

核内ストレス体(nSB)は、熱ストレス時にHSATIII lncRNA上に形成される非膜オルガネラで、ストレスからの回復期にpre-mRNAスプライシングを制御している。この機構では、nSBがストレス時にスプライシング因子SRSFを集積し、回復期にSRSFキナーゼCLK1を局在させることで、基質と酵素が濃縮された「るつぼ」を形成し、SRSFのリン酸化反応を効率化している。本研究では、CLK1の温度依存的なnSB局在にSer341リン酸化が必要であり、PP1がストレス時にSer341を脱リン酸化し、回復期にRIOK2が再リン酸化することで、CLK1が回復期特異的にnSBへ局在できることを見出した。さらに、PP1阻害因子PPP1R2が温度センサーとして機能し、ストレス時にPP1から解離してPP1を活性化することを発見した。以上から、多層的な温度感知機構が回復期特異的な「るつぼ形成」を可能にし、温度依存的なスプライシング制御を実現することが示された。

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2026/09/11

小型GAD67プロモーターを用いた抑制性ニューロン標的AAV遺伝子治療によるてんかん発作抑制

論文タイトル
A compact GAD67 promoter enables inhibitory neuron-targeted AAV gene therapy for seizure suppression
論文タイトル(訳)
小型GAD67プロモーターを用いた抑制性ニューロン標的AAV遺伝子治療によるてんかん発作抑制
DOI
10.1016/j.ymthe.2026.06.007
ジャーナル名
Molecular Therapy
巻号
Molecular Therapy, 2026; 34, 5510-5526
著者名(敬称略)
深井悠貴 平井宏和 他
所属
群馬大学未来先端研究機構 ウイルスベクター開発研究センター
著者からのひと言
薬剤抵抗性てんかんでは、新たな作用機序に基づく治療法の開発が求められています。本研究では、抑制性ニューロンで特異的に働く超小型プロモーターcmGAD67とGABA合成酵素であるGAD65を組み合わせ、神経回路の興奮・抑制バランスを遺伝子治療によって是正する新たなアプローチです。cmGAD67搭載AAVは、てんかんのみならず、興奮・抑制バランスの異常を伴うさまざまな神経疾患への応用も期待されます。

抄訳

てんかんでは、神経回路における興奮と抑制のバランスが崩れ、過剰な神経活動が生じる。本研究では、抑制性ニューロンに選択的に遺伝子を発現させる410塩基対の小型GAD67プロモーター「cmGAD67」を開発した。cmGAD67は、AAVベクターへの搭載に適した小ささでありながら、強い転写活性と高い抑制性ニューロン特異性を示し、特にパルブアルブミン陽性介在ニューロンに効率よく遺伝子を発現させた。さらに、cmGAD67を用いてGABA合成酵素GAD65を発現するAAVベクターをマウスに投与したところ、脳内GABA量が増加し、複数のてんかんモデルマウスにおいて異常脳活動やてんかん発作が抑制され、不安様行動や生存率も改善した。本成果は、薬剤抵抗性てんかんに対する新たな遺伝子治療法の開発につながることが期待される。

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