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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/09/24

11β-HSD2は、母体ストレス下でPer1誘導を伴う胎仔のグルココルチコイド曝露を緩衝する New

論文タイトル
11β-HSD2 buffers fetal glucocorticoid exposure inducing Per1 expression under maternal stress.
論文タイトル(訳)
11β-HSD2は、母体ストレス下でPer1誘導を伴う胎仔のグルココルチコイド曝露を緩衝する
DOI
10.1093/pnasnexus/pgag286
ジャーナル名
PNAS nexus
巻号
PNAS Nexus, Volume 5, Issue 9, September 2026, pgag286
著者名(敬称略)
八木田和弘 他
所属
京都府立医科大学 大学院医学研究科 統合生理学
著者からのひと言

抄訳

概日時計は生体に約24時間周期の時間秩序を与え、動的恒常性を支える普遍的な細胞機能である。哺乳類では概日時計は器官形成期の完了後に発生する。我々はこれまで、概日時計の発生が細胞自律的にプログラムされ、鍵因子CLOCK/BMAL1が体節形成を司る分節時計に干渉することを見出し、初期発生における概日時計の抑制に生理的意義がある可能性を示してきた。本研究では、母体―胎児間コミュニケーションに着目し、概日時計の同調因子でもあるグルココルチコイド(GC)の胚への移行を制御する11β-HSD2の役割を解析した。野生型と11β-HSD2欠損胚を同一母体に移植したところ、通常状態では両者の羊水中GC濃度の差は小さかったが、母体ストレスによるGC上昇時には欠損胚でのみ顕著なGC移行を認めた。一方、分節時計や体節形成への明らかな影響は認めなかった。以上より、11β-HSD2は急激な母体GC曝露から胚を保護する防御機構として働き、これと細胞自律的な概日時計抑制が協調して、器官形成期の発生プログラムを外因性の時間シグナルから隔離している可能性が示唆された。

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2026/09/24

 日本の城崎温泉から分離されたThermus株の完全ゲノム配列 New

論文タイトル
Complete genome sequences of Thermus strains isolated from Kinosaki Hot Spring in Japan
論文タイトル(訳)
 日本の城崎温泉から分離されたThermus株の完全ゲノム配列
DOI
10.1128/mra.00315-26
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiol Resour Announc 15:e00315-26
著者名(敬称略)
大道 春輝 宮崎健太郎 他
所属
大阪大学 生物工学国際交流センター 分子微生物学研究室
著者からのひと言
Thermus 属は、高温環境に適応した好熱菌で、耐熱性DNAポリメラーゼの発見を通じてPCRの発展にも大きく貢献してきました。一方で、その多様性にはまだ分かっていない部分も多く残されています。今回、40~80℃という幅広い温度域で生育するユニークな Thermus 株を発見しました。 極限環境には、まだ見ぬ Thermus が存在しているかもしれません。こうした株を見つけ、そのゲノムを一つひとつ読み解くことが、Thermus の新たな特徴や可能性を見いだすことにつながると考えています。

抄訳

本研究では、兵庫県の城崎温泉から分離した高度好熱菌 Thermus 属5株について、完全ゲノム配列を決定しました。Oxford NanoporeによるロングリードとIlluminaによるショートリードを組み合わせたハイブリッドアセンブリを用いて解析した結果、T. thermophilus 2株、T. brockianus 1株、T. brevis 2株に分類されました。特に、T. brevis については、本研究が初の完全ゲノム配列の報告となります。また、T. thermophilus および T. brockianus では既知の Thermus 属メガプラスミドと相同性を示す大型環状DNAが確認された一方、T. brevis では認められず、関連遺伝子は染色体上に存在していました。本研究で得られたゲノム情報は、Thermus 属の多様性の理解を深め、今後の好熱菌研究を支える基盤となることが期待されます。

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2026/09/15

Sclerotinia sclerotiorumの菌核から分離されたSphingobacterium kitahiroshimenseの全ゲノム解析

論文タイトル
Complete genome sequence of Sphingobacterium kitahiroshimense strain Ss8-5,isolated from a sclerotium of Sclerotinia sclerotiorum
論文タイトル(訳)
Sclerotinia sclerotiorumの菌核から分離されたSphingobacterium kitahiroshimenseの全ゲノム解析
DOI
10.1128/mra.00846-26
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiol Resour Announc 15:e00846-26
著者名(敬称略)
岩渕 望
所属
横浜国立大学 大学院環境情報研究院
著者からのひと言
「菌核」は、メラニンを含む黒く厚い外壁を持つ、カビの頑丈な休眠カプセルです。今回報告したのは、その中から分離した細菌1株の全ゲノムという、一見地味な成果です。しかし解析を進めるうちに、Sphingobacterium属が菌核という特殊な環境に広く定着し、菌核を構成する多糖まで利用している可能性が見えてきました。たった一つのゲノム情報から、菌核における細菌の知られざる生存戦略が垣間見えてきています。

抄訳

植物病原糸状菌の中には「菌核」と呼ばれる休眠構造を形成し、土壌中で長期間生存するものがいます。しかし、この菌核内部に生息する細菌については、これまでほとんど注目されてきませんでした。本研究では、400種以上の植物に感染し、菌核病による深刻な農業被害をもたらすSclerotinia sclerotiorumの菌核から細菌の分離を試み、Ss8-5株を単離しました。さらに、全ゲノム解析の結果、1つの環状ゲノムが得られ、Ss8-5株はSphingobacterium kitahiroshimenseであると推定されました。この結果は、植物病原菌の休眠構造の中に、これまで知られていなかった細菌が共存している可能性を示すものです。今後は、得られたゲノム情報をもとに代謝機能や糸状菌との相互作用メカニズムを解析し、菌核内における生態的役割の解明を目指します。

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2026/09/14

日本で分離されたメトロニダゾール低感受性 Prevotella bivia GTC18476 の完全ゲノム配列解析

論文タイトル
Complete genome sequence of Prevotella bivia GTC18476: a clinical isolate with reduced susceptibility to metronidazole in Japan
論文タイトル(訳)
日本で分離されたメトロニダゾール低感受性 Prevotella bivia GTC18476 の完全ゲノム配列解析
DOI
10.1128/mra.00688-26
ジャーナル名
Microbiology Resource Announcements
巻号
Microbiol Resour Announc 15:e00688-26
著者名(敬称略)
林 将大 他
所属
岐阜大学 糖鎖生命コア研究所 糖鎖分子科学研究センター
著者からのひと言
当研究グループは、長野県で患者由来検体から分離された偏性嫌気性細菌 Prevotella bivia GTC18476 の完全ゲノム配列を解読しました。解析の結果、本株が2本の環状染色体と1本のプラスミドを有することを明らかにしました。また、メトロニダゾールに対する低感受性に関連する可能性のある薬剤耐性関連遺伝子 nimK を同定しました。本株のようなメトロニダゾール低感受性を示す P. bivia の分離報告は日本では限られており、本成果は、P. bivia のゲノム構造や薬剤耐性に関する理解を深め、嫌気性菌感染症の診断・治療および薬剤耐性監視に資する基盤情報となります。

抄訳

本研究では、長野県で患者検体から分離された偏性嫌気性菌 Prevotella bivia GTC18476 の完全ゲノム配列を決定した。Oxford Nanopore TechnologiesによるロングリードシーケンスとDNBSEQによるショートリードシーケンスを組み合わせたハイブリッドアセンブリにより、本株が2本の環状染色体(1.30 Mb、1.21 Mb)および1本のプラスミド(19 kb)から構成されることを明らかにした。ゲノム解析の結果、2,088個のコード配列、12個のrRNA遺伝子、50個のtRNA遺伝子を同定するとともに、メトロニダゾール低感受性に関連する可能性のある薬剤耐性遺伝子 nimK を検出した。本研究で得られた完全ゲノム情報は、P. bivia のゲノム構造および薬剤耐性機構の理解を深めるとともに、比較ゲノム解析や嫌気性菌の薬剤耐性監視に資する基盤データとなる。

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2026/09/11

付着・侵入性大腸菌におけるrfaG依存的な細胞表層生合成は1型線毛の発現と腸管内定着を支える

論文タイトル
rfaG-dependent cell envelope biogenesis supports type 1 fimbrial expression and intestinal colonization in adherent-invasive Escherichia coli
論文タイトル(訳)
付着・侵入性大腸菌におけるrfaG依存的な細胞表層生合成は1型線毛の発現と腸管内定着を支える
DOI
10.1099/mic.0.001766
ジャーナル名
Microbiology
巻号
Microbiology 2026;172:001766
著者名(敬称略)
三木 剛志 他
所属
東北医科薬科大学 薬学部 微生物学教室
著者からのひと言
付着・侵入性大腸菌(AIEC)はクローン病との関連が注目されている腸内細菌です。本研究では、rfaGに依存した細胞表層生合成が1型線毛の発現を支え、AIECの腸管内定着に重要な役割を果たすことを明らかにしました。病原細菌が腸管環境に適応し、定着するための新たな分子基盤の理解につながる成果と考えています。

抄訳

付着・侵入性大腸菌(AIEC)は病原性共生菌であり、1型線毛を介した腸管上皮への付着・侵入は、その病原性発現に重要な役割を果たす。本研究では、LPS生合成に関わるRfaGをコードするrfaG遺伝子の欠失により、1型線毛の発現が著しく低下することを見いだした。この変化には、1型線毛発現のON/OFFを決定するfimSの相変異が関与していた。さらに、rfaG欠失株ではマウス腸管内への定着能も低下した。以上の結果から、rfaG依存的な細胞表層生合成が1型線毛の発現を制御し、AIECの腸管内定着を支えることが明らかになった。本研究は、細胞表層構造の形成と病原因子発現を結びつける新たな機構を示すものである。

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2026/09/11

核内ストレス体によるスプライシング制御を支える温度感知機構

論文タイトル
Thermo-sensing mechanisms of splicing control by nuclear stress bodies
論文タイトル(訳)
核内ストレス体によるスプライシング制御を支える温度感知機構
DOI
10.1016/j.molcel.2026.06.034
ジャーナル名
Molecular Cell
巻号
Molecular Cell, 2026; 86, 3449-3465.e8
著者名(敬称略)
上野剛志 廣瀬哲郎 他
所属
大阪大学大学院 生命機能研究科 RNA生体機能研究室
著者からのひと言
 「るつぼ機構」は数ある非膜オルガネラの作動機構の一つですが、その実体解明はほとんど進んでいません。本研究で明らかになったリン酸化による酵素の局在制御は、「るつぼ機構」の要となる機構で、さらにそれを制御する温度センサーの同定は、「るつぼ機構」の全貌理解に向けた大きな一歩です。

抄訳

核内ストレス体(nSB)は、熱ストレス時にHSATIII lncRNA上に形成される非膜オルガネラで、ストレスからの回復期にpre-mRNAスプライシングを制御している。この機構では、nSBがストレス時にスプライシング因子SRSFを集積し、回復期にSRSFキナーゼCLK1を局在させることで、基質と酵素が濃縮された「るつぼ」を形成し、SRSFのリン酸化反応を効率化している。本研究では、CLK1の温度依存的なnSB局在にSer341リン酸化が必要であり、PP1がストレス時にSer341を脱リン酸化し、回復期にRIOK2が再リン酸化することで、CLK1が回復期特異的にnSBへ局在できることを見出した。さらに、PP1阻害因子PPP1R2が温度センサーとして機能し、ストレス時にPP1から解離してPP1を活性化することを発見した。以上から、多層的な温度感知機構が回復期特異的な「るつぼ形成」を可能にし、温度依存的なスプライシング制御を実現することが示された。

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2026/09/11

小型GAD67プロモーターを用いた抑制性ニューロン標的AAV遺伝子治療によるてんかん発作抑制

論文タイトル
A compact GAD67 promoter enables inhibitory neuron-targeted AAV gene therapy for seizure suppression
論文タイトル(訳)
小型GAD67プロモーターを用いた抑制性ニューロン標的AAV遺伝子治療によるてんかん発作抑制
DOI
10.1016/j.ymthe.2026.06.007
ジャーナル名
Molecular Therapy
巻号
Molecular Therapy, 2026; 34, 5510-5526
著者名(敬称略)
深井悠貴 平井宏和 他
所属
群馬大学未来先端研究機構 ウイルスベクター開発研究センター
著者からのひと言
薬剤抵抗性てんかんでは、新たな作用機序に基づく治療法の開発が求められています。本研究では、抑制性ニューロンで特異的に働く超小型プロモーターcmGAD67とGABA合成酵素であるGAD65を組み合わせ、神経回路の興奮・抑制バランスを遺伝子治療によって是正する新たなアプローチです。cmGAD67搭載AAVは、てんかんのみならず、興奮・抑制バランスの異常を伴うさまざまな神経疾患への応用も期待されます。

抄訳

てんかんでは、神経回路における興奮と抑制のバランスが崩れ、過剰な神経活動が生じる。本研究では、抑制性ニューロンに選択的に遺伝子を発現させる410塩基対の小型GAD67プロモーター「cmGAD67」を開発した。cmGAD67は、AAVベクターへの搭載に適した小ささでありながら、強い転写活性と高い抑制性ニューロン特異性を示し、特にパルブアルブミン陽性介在ニューロンに効率よく遺伝子を発現させた。さらに、cmGAD67を用いてGABA合成酵素GAD65を発現するAAVベクターをマウスに投与したところ、脳内GABA量が増加し、複数のてんかんモデルマウスにおいて異常脳活動やてんかん発作が抑制され、不安様行動や生存率も改善した。本成果は、薬剤抵抗性てんかんに対する新たな遺伝子治療法の開発につながることが期待される。

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2026/09/10

 N型糖鎖のBisecting GlcNAcはシナプス成熟を制御する

論文タイトル
Bisecting GlcNAc in N-glycan regulates synaptic maturation
論文タイトル(訳)
 N型糖鎖のBisecting GlcNAcはシナプス成熟を制御する
DOI
10.1042/BCJ20260379
ジャーナル名
Biochemical Journal
巻号
Biochem J 7 October 2026; 483 (10): 1877–1890
著者名(敬称略)
橋本 雄太 木塚 康彦 他
所属
東海国立大学機構 岐阜大学 糖鎖生命コア研究所 (iGCORE) 糖鎖分子科学研究センター
著者からのひと言
 脳における糖鎖の機能はまだまだわかっていないことが多いです。本論文で、糖鎖の脳における機能が一つ明らかにできました。次の課題は、Bisecting GlcNAcという糖鎖の部分構造が、どうやってタンパク質の相互作用や局在を制御するのか、その詳細なメカニズムを明らかにすることです。それによって、糖鎖の本質的な機能の解明に貢献したいです。

抄訳

 タンパク質の最も豊富な翻訳後修飾の一つであるN型糖鎖は多様な構造を持つ。N型糖鎖の部分構造であるBisecting GlcNAcは、脳、特にニューロンに豊富に存在する。これまで、Bisecting GlcNAcの増加とアルツハイマー病態との関連は明らかにされてきたが、生理的条件の脳での本糖鎖の機能は不明であった。これを明らかにするため、本論文ではBisecting GlcNAc合成酵素MGAT3の欠損マウスを用い、ニューロンの形態や活動を評価した。その結果、MGAT3欠損ニューロンは野生型マウスのニューロンより突起が短く、さらにシナプス後部を形成するスパインが未成熟な形態をしていた。また、MGAT3欠損マウス脳では、痛み刺激後の神経活動の低下も認められた。さらに本マウスでは、興奮性シナプスの形成や活動に不可欠なグルタミン酸受容体の細胞内分布およびその調節に関わるTARP分子との相互作用の異常が認められた。これらのことから、Bisecting GlcNAcは生理的な脳におけるシナプスの成熟に関わることが明らかになった。

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2026/09/09

ファビピラビル注射製剤の薬物動態:健康な東アジア人を対象とした第Ⅰ相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験

論文タイトル
Pharmacokinetics of injectable favipiravir: phase I, randomized, double-blind, placebo-controlled study in healthy East Asian subjects.
論文タイトル(訳)
ファビピラビル注射製剤の薬物動態:健康な東アジア人を対象とした第Ⅰ相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験
DOI
10.1128/aac.00463-26
ジャーナル名
Antimicrobial agents and chemotherapy
巻号
Antimicrob Agents Chemother 70:e00463-26
著者名(敬称略)
三鴨 廣繁, 桜井 努 他
所属
富士フイルム富山化学株式会社 開発本部
著者からのひと言
ファビピラビルは、錠剤として新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症及び重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス感染症に適応を有しています。しかし、SFTSウイルス感染症の重症例などでは、錠剤の投与が困難な場合があります。そこで、そのような患者への投与を目的とした静注用製剤を開発しました。本論文は、本製剤投与時の薬物動態を詳細に検討し、錠剤投与時と比較考察した初めての報告です。

抄訳

ファビピラビル注射製剤の薬物動態と安全性・忍容性を評価するため、健康な東アジアの男性を対象に第Ⅰ相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。単回投与試験(50例)では300~2,400 mgを60分間で点滴静注し、反復投与試験(24例)では初日1,800 mg、以後10日間800 mgを各1日2回投与した。単回投与では用量依存的な血漿中濃度の上昇と非線形性を認め、反復静注では2日目以降のトラフ濃度が約85 μg/mLに維持された。体重補正後の推定血漿中濃度は同用量の経口投与より約20%高く、6日目から経口投与へ切り替えても濃度は維持された。血中尿酸値上昇、爪の変色、一過性の視覚障害を認めたが、重篤な有害事象はなかった。本研究は経口投与が困難な患者に対する注射製剤の臨床開発を支持する。ただし、対象は少数の健康成人男性に限られ、患者での有効性・安全性は今後の検証を要する。

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2026/09/09

代謝系から読み解く古代酵素の進化史

論文タイトル
The history of enzyme evolution embedded in metabolism.
論文タイトル(訳)
代謝系から読み解く古代酵素の進化史
DOI
10.1073/pnas.2609531123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
PNAS 2026 Vol. 123 No. 33 e2609531123
著者名(敬称略)
Tatsuya Corlett, Harrison B. Smith, Liam Longo 他
所属
東京科学大学 地球生命研究所
著者からのひと言

抄訳

古代タンパク質の進化史を紐解く上で、系統解析は主要な手法の一つである。しかし、LUCA(最終共通祖先)は、すでに複雑なタンパク質や代謝系を備えていたと考えられており、系統解析によって到達可能な推論の地平に位置するため、LUCA以前の酵素がどのように進化したのかは明らかではない。本研究では、相互依存する代謝物、補因子、酵素から構成される代謝ネットワークを用いて、酵素と代謝の共進化が取り得た経路をモデル化した。ネットワーク拡張法に「酵素フォールドの有無」を新たな制約として導入することで、酵素フォールドが出現した相対的な順序と、それによって新たに可能となった代謝反応を段階的に再構築した。これにより、現生生物に保存されている代謝ネットワークの構造から酵素フォールドの進化史を読み解く新たな枠組みを提示する。これは、多様な知見を統合し、タンパク質進化の統一的かつ自己整合的な歴史を構築するための重要な一歩となる。

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