抄訳
ビタミンDの充足状態を評価するには、通常、血清中の25-ヒドロキシビタミンD値の測定が用いられる。採血によらず尿検体だけで同様の評価が可能になれば、被験者の負担軽減に加え、より簡便な運用も期待できる。
本研究では、健康診断で得られた病院職員506名分の血清および尿検体を対象に、高感度な誘導体化試薬(DAP-PA)とLC-MS/MSを組み合わせた分析系を用いて、微量な尿中ビタミンD代謝物の精密な定量を行った。その結果、尿中の24,25-ジヒドロキシビタミンD3および23,25-ジヒドロキシビタミンD3は、血清25-ヒドロキシビタミンD値と強い正の相関を示した(ρ > 0.7)。この結果は、尿検査が血中のビタミンD状態を反映する指標となり得ることを示唆している。
さらに、骨代謝を調整する副甲状腺ホルモン(PTH)との関連を検討したところ、尿中の代謝物およびビタミンD代謝物比(VMR)は、従来指標である血清25-ヒドロキシビタミンDよりも強い負の相関を示した。この結果は、尿中代謝物がPTHとの関連をより鋭敏に捉えている可能性を示唆する。
以上より、尿中ビタミンD代謝物、特に24,25-ジヒドロキシビタミンD3、23,25-ジヒドロキシビタミンD3、およびVMRは、血清に代わる非侵襲的な指標となり得る可能性が示された。非侵襲的なビタミンD評価法の一つとして、今後の応用可能性が期待される。