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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/10/21

シフト電流のショット雑音から読み解く量子フィッシャー情報と光子統計 New

論文タイトル
Quantum Fisher information and photon statistics from shift current shot noise.
論文タイトル(訳)
シフト電流のショット雑音から読み解く量子フィッシャー情報と光子統計
DOI
10.1073/pnas.2611254123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (41) e2611254123,
著者名(敬称略)
Evgenii Barts 永長 直人 他
所属
理化学研究所 基礎量子科学研究プログラムおよび創発物性科学研究センター
著者からのひと言
光検出器、特にテラヘルツ領域におけるそれは、自動運転を含む多くの応用が期待されていますが、将来は量子情報操作への展開が考えられます。本研究は量子としての光の性質が光検出器の電気信号としてどのように現れるかを理論的に明らかした仕事であり、その基礎学理を与える一歩であると考えています。

抄訳

光は一見なめらかに見えますが、微視的には「光子」と呼ばれる粒として振る舞い、その数にはゆらぎがあります。このゆらぎには、光の平均的な明るさだけではわからない、量子としての性質が隠れています。本研究では、その情報を電気信号として読み出す新しい方法を提案しました。利用するのは、反転中心を持たない結晶に光を当てると、電子の位置がわずかにずれることで生じる「シフト電流」です。この仕組みにより、光子数のゆらぎを、流れる電気量のゆらぎへと変換できます。つまり、電気信号の細かな変動を調べることで、光の隠れた性質を知ることができます。さらに、一定の条件のもとでは、この変動から、光を使ってどれほど精密な測定ができるかを示す量子フィッシャー情報量と呼ばれる量も得られます。電子を次々に増やして信号を強める仕組みなどを必要とせず、光と結晶の性質を直接利用する点が特徴です。光の量子的な性質を電気で読み取る新たな技術として、高感度な光検出や精密測定への応用が期待されます。

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2026/10/21

 皮膚常在性CXCR6陽性メモリーCD4陽性T細胞と樹状細胞が形成する血管周囲の細胞集積がアレルギー性皮膚炎の再発を引き起こす New

論文タイトル
Skin-resident CXCR6+ memory CD4+ T cells and dendritic cells form dermal perivascular hubs that drive relapse in allergic dermatitis
論文タイトル(訳)
 皮膚常在性CXCR6陽性メモリーCD4陽性T細胞と樹状細胞が形成する血管周囲の細胞集積がアレルギー性皮膚炎の再発を引き起こす
DOI
10.1016/j.immuni.2026.09.010
ジャーナル名
Immunity
巻号
Immunity, October 12, 2026
著者名(敬称略)
椛島 健治 他
所属
京都大学大学院医学研究科 皮膚科学
著者からのひと言
 本研究は、途中で何度も挫折しそうになる困難に直面しましたが、そのたびに筆頭著者の朝比奈良太君が粘り強く乗り越え、ようやく実を結んだものです。今回同定した分子機構は、アトピー性皮膚炎の再燃を防ぐ、すなわち対症療法にとどまらない、より根本的な治療法の開発につながる可能性を秘めています。さらに、この仕組みはアトピー性皮膚炎に限らず、他の慢性炎症性疾患にも共通する可能性があり、今後の幅広い疾患への応用を期待しています。

抄訳

 アトピー性皮膚炎は、治療によって症状が改善しても再発を繰り返すことが多い。その背景には、皮膚に長期間残存する組織常在性メモリーT細胞(TRM細胞)の関与が示唆されているが、その維持機構は十分に解明されていなかった。
本研究では、複数のアレルギー性皮膚炎モデルを用いて、CXCR6を発現するCD4陽性TRM細胞が、炎症の再発を迅速に誘導する病原性細胞集団であることを明らかにした。さらに、これらの細胞は皮膚の血管周囲でCD301b陽性樹状細胞(cDC2)と集積し、CXCL16–CXCR6を介した相互作用によって局所で維持されることを見いだした。このシグナルを阻害すると、病原性TRM細胞の増殖と維持が抑制された。
興味深いことに、ヒトのアトピー性皮膚炎においても、IL-13阻害薬による治療で症状が改善した後の皮膚に、同様の細胞集積が残存していた。
本研究は、アトピー性皮膚炎が再発する仕組みの一端を解明するとともに、CXCL16–CXCR6経路を標的とした再発予防につながる新たな治療戦略の可能性を示した。

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2026/10/20

細胞の休止期から増殖期への移行はミトコンドリアDNAの非同期複製の動態を制御する New

論文タイトル
Quiescence to proliferation transition regulates asynchronous mitochondrial DNA replication dynamics
論文タイトル(訳)
細胞の休止期から増殖期への移行はミトコンドリアDNAの非同期複製の動態を制御する
DOI
10.1073/pnas.2602028123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (42) e2602028123
著者名(敬称略)
宮川 清、細谷 紀子
所属
東京大学大学院医学系研究科 疾患生命工学センター 放射線分子医学部門
著者からのひと言
 ミトコンドリアDNAでは、細胞核DNAとは異なり、リーディング鎖とラギング鎖の複製が同期しないことが知られていましたが、なぜ極めて単純な環状構造DNAにこの非同期複製が必要とされるかは長年不明でした。今回その1分子解析によって生物学的意義の一つが解明されたことによって、エネルギー代謝と細胞機能の関係について今後新しい展開が期待されます。

抄訳

一つのヒト細胞は数百から数千コピーのミトコンドリアDNAを有しますが、その一部のみが細胞周期に関係なく複製します。リーディング鎖とラギング鎖の非同期複製がミトコンドリアDNAの主な複製機構とされていますが、これまでは、細胞内で刻々と変化するDNA複製動態を観察することが難しかったために、その制御機構の解明は困難でした。本論文は、各鎖の複製開始部位と時間を鑑別するミトコンドリアDNA1分子解析法を用いることにより、細胞の休止期から増殖期への移行過程では、ミトコンドリアDNAの鎖特異的な複製頻度が動的に解離し、複製・転写に必要な分子の要求度が変化することを示しました。すなわち、この過程では、ミトコンドリアRNAポリメラーゼの複製開始における要求度が高まるとともに、DNA障害部位でDNA再プライミングを行うプライマーゼ-ポリメラーゼの要求度が低下します。このように、単鎖レベルで正確にミトコンドリアDNA複製頻度を定量化することで、休止期から増殖期への移行過程におけるミトコンドリアDNA複製機構の動的な性状が明らかになりました。

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2026/10/19

 高速原子間力顕微鏡で可視化された膜上におけるカドヘリン複合体のトランスおよびシス相互作用ダイナミクス New

論文タイトル
Trans- and cis-interaction dynamics of cadherin complexes on membranes visualized by high-speed atomic force microscopy
論文タイトル(訳)
 高速原子間力顕微鏡で可視化された膜上におけるカドヘリン複合体のトランスおよびシス相互作用ダイナミクス
DOI
10.1073/pnas.2620441123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (41) e2620441123
著者名(敬称略)
西口 茂孝 他
所属
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
モレキュラーバイオシステム研究部門
著者からのひと言
 細胞間接着タンパク質の機能は、隣り合う膜間の結合 (トランス結合) と同一膜上の結合 (シス結合) によって異なることが推察されていますが、これらの相互作用を識別して解析することは実現されていませんでした。本研究では、高速原子間力顕微鏡と人工膜システムを組み合わせることによって、膜タンパク質のトランス、シス結合を識別しながらリアルタイムで解析することを可能にしました。様々な膜タンパク質の相互作用解析に応用可能な成果です。

抄訳

 カドヘリンは、細胞同士を接着させ、動物のからだを形成・維持するために重要な細胞間接着タンパク質です。カドヘリンによる細胞間接着には、向かい合う細胞間のトランス相互作用と、同じ細胞膜上のシス相互作用による分子の集合が重要と考えられています。しかし、膜上でこれらの相互作用がどのように形成され、カドヘリンがどのように集合するのか、その動的な過程は十分にわかっていませんでした。本研究では、カドヘリンのトランス・シス相互作用を人工膜上に再構成し、高速原子間力顕微鏡を用いて直接観察しました。その結果、トランス結合したカドヘリンが向きや位置を変えながら動的に相互作用する様子や、シス相互作用を介した多様な相互作用パターンを捉えました。さらに、過去に報告された結晶構造とは異なる複合体構造も観察され、カドヘリンが膜上で複数の会合経路を介して動的かつ多様な構造を形成することが示唆されました。

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2026/10/19

 S-アデノシル-L-ホモシステインはYBT1 ABCトランスポーターを介して寿命を延長する適応応答(ホルミシス)を誘導する New

論文タイトル
S-adenosyl-L-homocysteine triggers an adaptive response that extends lifespan through the YBT1 ABC transporter
論文タイトル(訳)
 S-アデノシル-L-ホモシステインはYBT1 ABCトランスポーターを介して寿命を延長する適応応答(ホルミシス)を誘導する
DOI
10.1073/pnas.2621286123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (42) e2621286123
著者名(敬称略)
益村晃司 川嵜紗矢佳 水沼正樹 他
所属
広島大学大学院統合生命科学研究科 生物工学プログラム 健康長寿学研究室
著者からのひと言
「適度なストレスは体に良い」とされる仕組みが、世界で初めて解明されました。これまで、軽微なストレスが寿命を延ばす現象は知られていましたが、「どの程度なら健康に良く、どこからが悪影響か」という境界線は長年の謎でした。今回、細胞内の特定の酵素がその運命を握るスイッチであることや、ストレスが若返りシグナルを起動する仕組みを特定しました。

抄訳

 細胞やDNAに傷をつける「悪玉」とされてきた活性酸素(ROS)ですが、軽微なストレスはむしろ細胞の防御力を高めて寿命を延ばす「善玉(ホルミシス効果)」として機能します。しかし、「どの程度のストレスなら善玉になり、どこを超えると悪玉になるのか」という運命の境界線(閾値)は、世界の老化研究において長年の大きな謎でした。
本研究では、メチオニン代謝物であるS-アデノシル-L-ホモシステイン(SAH)の量を調節する「SAH加水分解酵素」の活性を適度に(部分的に)抑えることで、細胞内で一過性のマイルドなROS(善玉)が発生し、これが引き金となって寿命が延長することを世界で初めて定量的に明らかにしました。逆に、阻害が強すぎると悪玉ROSが溜まり短命になるという「二面性」の境界線を握るスイッチが、まさにこの酵素であることを突き止めました。
さらに、この長寿効果の下流で働く鍵因子として、液胞膜(リソソーム)に存在するABCトランスポーター「Ybt1」を特定しました。通常は排出ポンプと考えられているYbt1が、老化を促進する代謝物質・S-アデノシル-L-メチオニン(SAM)を液胞内へ空間的に「隔離」するという、これまで知られていなかった役割を担っていることを立証しました。これにより細胞内が疑似的な「メチオニン制限状態」となり、若返りシグナルであるAMPKの活性化やTORC1の抑制、オートファジーが引き起こされて寿命が延長します。
本研究の成果は、食事制限を伴わない健康寿命の延伸や、メチオニンに依存して増殖するがん細胞を標的とした新たな治療戦略の確立に大きく貢献するものと期待しています。

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2026/10/19

TCR–mTORC1シグナルはTETタンパク質の翻訳促進を介して制御性T細胞におけるFoxp3発現のエピジェネティックな安定化を促す New

論文タイトル
TCR–mTORC1 signaling promotes epigenetic stabilization of Foxp3 expression in regulatory T cells via TET protein translation
論文タイトル(訳)
TCR–mTORC1シグナルはTETタンパク質の翻訳促進を介して制御性T細胞におけるFoxp3発現のエピジェネティックな安定化を促す
DOI
10.1073/pnas.2612904123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻号
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 123 (40) e2612904123
著者名(敬称略)
筆頭著者:木下 誠秀.連絡著者:中島 啓、堀 昌平
所属
東京大学大学院薬学系研究科 免疫・微生物学教室
著者からのひと言
私たちの体の細胞は、周囲からさまざまな刺激を受け、異なる性質や機能を獲得します。しかし、こうした一過性の刺激が、どのように遺伝子の働きを長期にわたって変化させ、細胞の性質を安定的に維持するのか、その仕組みは十分に分かっていません。本研究では、制御性T細胞をモデルとして、細胞外からの刺激がDNA脱メチル化を促し、細胞の性質を安定化させる分子機構の一端を明らかにしました。この発見が、細胞分化と細胞記憶の仕組みの解明に貢献するとともに、免疫寛容の成立と維持の理解を深め、将来的には制御性T細胞を用いた細胞療法の開発にもつながることを期待しています。

抄訳

制御性T細胞(Treg)は、病的な免疫応答を抑え、免疫寛容の維持に重要な役割を果たしています。その機能を安定して維持するには、マスター転写因子Foxp3の持続的な発現が不可欠であり、これにはFoxp3遺伝子の発現を制御するエンハンサー領域(TSDR)がT細胞受容体(TCR)刺激依存的にDNA脱メチル化を受けることが重要です。しかし、TCR刺激がどのような仕組みでDNA脱メチル化を誘導するのかは不明でした。本研究では、培養系で誘導したTregを用い、強く持続するTCRシグナルがmTORC1を活性化し、DNA脱メチル化を担うTET2とTET3の翻訳を促進することで、TSDRのDNA脱メチル化を促進し、Foxp3発現の安定化と免疫抑制機能の獲得につながることを明らかにしました。さらに、マウス生体内でもmTORC1がFoxp3のエピジェネティックな制御に関与することを示しました。本成果は、抗原受容体シグナルとエピジェネティックな遺伝子発現制御を結びつける新たな分子機構を明らかにし、安定したTregを用いた細胞療法の開発にもつながると期待されます。

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2026/10/19

ランダムPCR法とナノポア全ゲノムシーケンシングによる血液培養陽性化前の真菌血流感染症の検出 New

論文タイトル
Random PCR-based nanopore whole-genome sequencing enables pre-positivity detection of fungal bloodstream infections
論文タイトル(訳)
ランダムPCR法とナノポア全ゲノムシーケンシングによる血液培養陽性化前の真菌血流感染症の検出
DOI
10.1128/spectrum.00478-26
ジャーナル名
Microbiology Spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e00478-26
著者名(敬称略)
吉岡 育哲、内田 百岳、 高橋 弘喜 他
所属
千葉大学真菌医学研究センター 微生物資源分野 微生物創生プロジェクト
著者からのひと言
本研究で強調したい点は、従来の血液培養システムで陽性と判定される前の段階で、血液培養検体から原因真菌を直接同定できることである。宿主由来DNAの選択的除去とリアルタイムナノポアシーケンシング技術を組み合わせることで、約7時間で菌種レベルの同定が可能となった。本技術により、臨床現場で適切な抗真菌薬治療をより早期に開始できるようになり、生命を脅かす重篤な真菌血流感染症患者の予後改善に貢献することが期待される。

抄訳

真菌による血流感染症は致死率の高い重篤な感染症であり、患者の予後改善には原因真菌の迅速かつ正確な同定が重要である。しかし、従来の血液培養法では、原因真菌の検出・同定までに数日を要することが課題となっている。本研究では、ランダムPCR法とナノポアシーケンシング技術を組み合わせ、血液培養が陽性となる前の段階で原因真菌を検出・同定する新たな解析手法を開発した。本手法では、血液培養検体から宿主由来DNAを選択的に除去した後、真菌DNAを増幅し、リアルタイムで全ゲノムシーケンシング解析を行う。これにより、検体処理から約7時間で原因真菌を菌種レベルで同定することが可能となった。さらに、得られたゲノム情報は薬剤耐性関連変異の検出や菌株間の遺伝的関連性の解析にも活用できる。本技術は、真菌血流感染症の早期診断と適切な抗真菌薬治療の迅速な開始を可能にし、患者の予後改善に貢献することが期待される。

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2026/10/15

シロアリ腸内菌によるセルロース分解と共役した細胞外電子移動 New

論文タイトル
Cellulose-fueled extracellular electron transfer in termite gut microbes.
論文タイトル(訳)
シロアリ腸内菌によるセルロース分解と共役した細胞外電子移動
DOI
10.1128/aem.01272-26
ジャーナル名
Applied and environmental microbiology
巻号
Appl Environ Microbiol 92:e01272-26
著者名(敬称略)
Xiao Deng 他
所属
国立研究開発法人物質・材料研究機構 高分子・バイオ材料研究センター バイオ材料分野 電気化学ナノバイオグループ
著者からのひと言

抄訳

シロアリは、木材の主成分であるセルロースを効率よく分解できる生き物です。その秘密を支えているのが、腸内にすむセルロース分解微生物です。本研究では、シロアリ腸内細菌がセルロースを分解しながら、細胞の外へ電子を放出して「電流」を生み出すという「細胞外電子移動」を行うことを発見しました。さらに、細菌自身が「電子メディエーター」を分泌し、それが細胞内で生じた電子を細胞の外へ運ぶ過程で重要な役割を果たすことを発見しました。また、生きたシロアリからそのまま取り出した腸内微生物群そのものでも、セルロース代謝と共役した電流生成が確認されました。これは、シロアリ腸内菌が木質バイオマスに蓄えられたエネルギーを電気として取り出す仕組みの一端を示すものです。将来的には、廃木材などの未利用バイオマスから電気や有用物質を生み出す、環境調和型バイオ技術への応用が期待されます。

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2026/10/15

亜テルル酸耐性と糖発酵試験を用いた高病原性Klebsiella pneumoniaeの表現型スクリーニング New

論文タイトル
Phenotypic screening of hypervirulent Klebsiella pneumoniae using tellurite resistance and carbohydrate fermentation testing
論文タイトル(訳)
亜テルル酸耐性と糖発酵試験を用いた高病原性Klebsiella pneumoniaeの表現型スクリーニング
DOI
10.1128/spectrum.01838-26
ジャーナル名
Microbiology Spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e01838-26
著者名(敬称略)
大山 晃司 鈴木 匡弘 他
所属
藤田医科大学 医学部 微生物学講座
著者からのひと言
高病原性Klebsiella pneumoniaeを一般の臨床検査室で簡便に識別することは容易ではありません。従来、string testが簡便なスクリーニング法として用いられてきましたが、その判別性能には限界があります。本研究では、亜テルル酸耐性と糖発酵試験を組み合わせることで、高病原性K. pneumoniaeを簡便にスクリーニングできる可能性を示しました。

抄訳

高病原性Klebsiella pneumoniae(hvKp)は重篤な侵襲性感染症を引き起こすが、一般の臨床検査室で簡便にスクリーニングすることは難しい。本研究では、K. pneumoniae species complex 193株を対象に、亜テルル酸耐性と糖発酵試験を評価した。全ゲノム解析により、5つの病原性関連遺伝子のうち4つ以上を保有する株を高病原性株と定義した。高病原性株とter遺伝子の保有には強い関連があり、亜テルル酸添加培地での発育はter遺伝子の保有状況とよく一致した。亜テルル酸カリウムとアドニトールを添加したマッコンキー寒天培地を用いた高病原性株のスクリーニング法は、感度86.8%、特異度89.6%で、従来のstring test(感度73.5%、特異度72.0%)と比較して高い判別性能を示した。また、ST23の全株がズルシトール発酵陽性、L-ソルボース発酵陰性を示した。本法は、hvKpの簡便なスクリーニングに有用である可能性があり、糖発酵パターンは特定の高病原性関連系統の推定同定にも役立つと考えられた。

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2026/10/15

浴場環境に由来する近縁なLegionella pneumophila株間におけるゲノム構造の微細な差異に基づく多様性 New

論文タイトル
Fine-scale structural diversification among closely related Legionella pneumophila isolates from a bath-associated environmental reservoir.
論文タイトル(訳)
浴場環境に由来する近縁なLegionella pneumophila株間におけるゲノム構造の微細な差異に基づく多様性
DOI
10.1128/aem.01127-26
ジャーナル名
Applied and environmental microbiology
巻号
Appl Environ Microbiol 92:e01127-26
著者名(敬称略)
中嶋 直樹 他
所属
神奈川県衛生研究所 微生物部
著者からのひと言
本研究では、個々の検体から多数のコロニーを分離して解析することで、同一浴場環境中に存在するレジオネラ属菌のゲノム構造の多様性を明らかにしました。本研究が、レジオネラ属菌の環境中での多様化の理解や、感染源調査におけるゲノム解析手法の検討に役立てば幸いです。

抄訳

レジオネラ症の感染源調査では、コアゲノム一塩基変異(cgSNV)解析が分離株間の遺伝的近縁性の評価に用いられるが、近縁株間に存在するゲノム構造の違いを十分に捉えられない可能性がある。本研究では、レジオネラ症患者および関連する浴場施設の環境試料から分離されたLegionella pneumophila 138株を対象に、cgSNV解析と比較ゲノム構造解析を組み合わせ、近縁株間のゲノム多様性を調査した。cgSNV解析では全株間のSNV差が最大20であり、臨床由来株が遺伝的に均一な系統を形成する一方、環境由来株には多様な遺伝子型が認められた。さらに、代表48株のコンプリートゲノム配列を比較した結果、ゲノムシンテニーはほぼ保存されていたものの、挿入配列(IS)、特にIS256の挿入位置に顕著な多様性が認められた。同一のcgSNV遺伝子型を共有する株間でもIS挿入パターンが異なっており、ISに関連した構造的変異がコアゲノムSNVの蓄積とは独立して生じ得ることが示唆された。

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