抄訳
シロアリは、木材の主成分であるセルロースを効率よく分解できる生き物です。その秘密を支えているのが、腸内にすむセルロース分解微生物です。本研究では、シロアリ腸内細菌がセルロースを分解しながら、細胞の外へ電子を放出して「電流」を生み出すという「細胞外電子移動」を行うことを発見しました。さらに、細菌自身が「電子メディエーター」を分泌し、それが細胞内で生じた電子を細胞の外へ運ぶ過程で重要な役割を果たすことを発見しました。また、生きたシロアリからそのまま取り出した腸内微生物群そのものでも、セルロース代謝と共役した電流生成が確認されました。これは、シロアリ腸内菌が木質バイオマスに蓄えられたエネルギーを電気として取り出す仕組みの一端を示すものです。将来的には、廃木材などの未利用バイオマスから電気や有用物質を生み出す、環境調和型バイオ技術への応用が期待されます。