本文へスキップします。

【全】メガメニュー
H1

国内研究者論文紹介

コンテンツ

ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

論文検索

(以下、条件を絞り込んで検索ができます。)

日本人論文紹介:検索
日本人論文紹介:一覧

2026/08/31

ネック領域と微小管の相互作用がキネシン-1の反時計回りの歩行を導く New

論文タイトル
Neck region-microtubule interactions direct counterclockwise stepping of kinesin-1
論文タイトル(訳)
ネック領域と微小管の相互作用がキネシン-1の反時計回りの歩行を導く
DOI
10.1016/j.bpj.2026.03.043
ジャーナル名
Biophysical Journal
巻号
Biophysical Journal, 2026; 125, 4357-4368
著者名(敬称略)
鄭 誠虎 飯野 亮太
所属
熊本大学大学院生命科学研究部創薬データサイエンス講座
著者からのひと言
キネシン-1が二つの頭部を交互に動かして歩く様子はよく知られていますが、その歩行を原子レベルで再現することは容易ではありません。本研究では、大規模な分子シミュレーションによって、これまで構造が十分に分かっていなかったネック領域の役割に迫りました。実験で観測されてきた特徴的な歩行方向を、分子間相互作用から説明できたことが本研究の大きなポイントです。

抄訳

細胞内では、キネシン-1と呼ばれる分子モーターが、微小管という「レール」の上を二つの頭部を交互に動かしながら進み、さまざまな物質を運んでいます。しかし、二つの頭部をつなぐ「ネック領域」が微小管上でどのような構造をとり、歩行にどのような役割を果たすのかは十分に分かっていませんでした。本研究では、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた全原子分子動力学シミュレーションにより、ネック領域が微小管の長軸に対してほぼ垂直に配置され、微小管表面の近くで弱く相互作用する構造を見いだしました。さらに歩行の初期過程をシミュレーションしたところ、後方の頭部が前方の頭部の右側を回り込む、反時計回りの運動が優先的に現れました。この運動はこれまでの実験結果とも一致しており、ネック領域と微小管表面との相互作用が、キネシン-1の歩行方向を制御する重要な要因であることが示されました。 

論文掲載ページへ

2026/08/31

UFSP2–ODR4複合体による脱UFM1化修飾の空間的・動的制御が神経細胞のプロテオスタシスを維持する New

論文タイトル
The UFSP2-ODR4 complex spatially confines and dynamically controls UFM1 deconjugation to safeguard neuronal proteostasis.
論文タイトル(訳)
UFSP2–ODR4複合体による脱UFM1化修飾の空間的・動的制御が神経細胞のプロテオスタシスを維持する
DOI
10.1016/j.molcel.2026.06.026
ジャーナル名
Molecular cell
巻号
Molecular Cell, 2026; 86, 3035-3049.e8
著者名(敬称略)
毛 高鑫 小松 雅明 他
所属
順天堂大学医学部生理学第二講座
著者からのひと言
本研究の重要な点は、UFM1化の「付加」だけでなく「除去」もER上で空間的に制御され、それがER-RQCの終結に必要であることを明らかにした点です。UFM1化酵素と脱UFM1化酵素のいずれが欠損しても神経発生異常を引き起こすことから、神経細胞の恒常性維持には、UFM1修飾の適切なバランスが重要であることが示されました。

抄訳

UFM1システムはユビキチン様タンパク質修飾系の一つであり、小胞体(ER)上で翻訳の品質を監視する小胞体関連リボソーム品質管理機構(ER-RQC)において重要な役割を担っている。これまでに、当研究室らは、UFM1 E3リガーゼ複合体による60Sリボソームタンパク質RPL26のUFM1化と、 UFM1化RPL26の認識がER-RQCの進行に重要であることを明らかにしてきた。本研究では、脱UFM1化酵素UFSP2がER膜タンパク質ODR4と安定な複合体を形成し、RPL26を脱UFM1化することでER-RQCの終結に機能することを明らかにした。また、ODR4はUFM1 E3リガーゼ複合体の構成因子であるUFBP1とも結合し、この結合がER-RQCの進行に必要であった。これらの結果から、UFM1化および脱UFM1化に関与する超複合体が、UFM1の付加、認識、除去という一連の過程をER膜上で協調的に制御することが示唆された。神経前駆細胞特異的に触媒活性欠損型UFSP2を発現するノックインマウスでは、UFM1化RPL26の蓄積、神経細胞死、小頭症および周産期致死が認められ、適切な脱UFM1化が神経発生に必須であることが示された。さらに、重篤な神経発達障害患者で同定された両アレル性UFC1変異はUFM1 E3リガーゼ複合体の中核因子UFL1との結合を増強し、患者由来神経細胞においてRPL26の過剰UFM1化を引き起こした。以上の結果から、RPL26の過剰なUFM1化が神経発生異常につながることが示唆され、ER膜上に局在する脱UFM1化機構が、ER-RQCの適切な終結と神経細胞のプロテオスタシス維持に必須であることが明らかになった。

論文掲載ページへ

2026/08/28

肺上皮被覆液への移行性が異なる3種類のフルオロキノロン系抗菌薬:マウス肺感染モデルにおける感染部位特異的PK/PD解析 New

論文タイトル
Three fluoroquinolones with different epithelial lining fluid penetration in a murine lung infection model: an experimental site-specific PK/PD study.
論文タイトル(訳)
肺上皮被覆液への移行性が異なる3種類のフルオロキノロン系抗菌薬:マウス肺感染モデルにおける感染部位特異的PK/PD解析
DOI
10.1128/aac.00375-26
ジャーナル名
Antimicrobial agents and chemotherapy
巻号
Antimicrob Agents Chemother 70:e00375-26
著者名(敬称略)
細井 彩夏、五十嵐 裕貴 他
所属
慶応義塾大学 薬学部 薬効解析学講座
著者からのひと言
抗菌薬のPK/PD目標値は血漿中濃度をもとに設定されることが多いが、肺炎での作用部位は主にELFである。本研究は、ELF移行性の異なる3剤の比較により、血漿基準とELF基準の目標値の乖離がELF移行性に依存することを示した。ELF移行性の高い薬物では、血漿中濃度のみを指標とすると感染部位での曝露を過小評価しうる。抗菌薬の選択や投与設計に、感染部位の薬物曝露という視点を加える意義を示した研究である。

抄訳

本研究では、肺炎治療に用いられる3種類のフルオロキノロン系抗菌薬(レボフロキサシン、ガレノキサシン、ラスクフロキサシン)について、肺上皮被覆液(ELF)への移行性の違いがPK/PD解析に及ぼす影響を検討した。マウス肺炎球菌性肺炎モデルを用いて血漿およびELF中の薬物濃度を測定し、肺内の菌量変化との関係からPK/PD指標を評価した。その結果、すべての薬剤でAUC/MICが抗菌効果を最もよく反映したが、ELF移行性の違いにより、血漿基準とELF基準のPK/PD目標値には乖離が認められた。特にELF移行性が高いラスクフロキサシンではその乖離が顕著であった。さらに、ELF基準の目標値をヒトのELF/血漿曝露比を用いて換算すると、いずれの薬物も臨床で報告された目標値と概ね一致した。以上より、肺炎における抗菌薬の薬効評価には、ELFに基づくPK/PD目標値を考慮することが、抗菌効果の理解や投与設計の最適化に有用である可能性が示された。

論文掲載ページへ

2026/08/26

フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)の在来集団(日本)と侵入集団(オセアニア)における遺伝的特徴 New

論文タイトル
Genomic signatures of native (Japanese) and introduced (Oceanian) populations of the Asian longhorned tick Haemaphysalis longicornis
論文タイトル(訳)
フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)の在来集団(日本)と侵入集団(オセアニア)における遺伝的特徴
DOI
10.1093/pnasnexus/pgag232
ジャーナル名
PNAS nexus
巻号
PNAS Nexus, Volume 5, Issue 8, August 2026, pgag232
著者名(敬称略)
尾針 由真, 中尾 亮 他
所属
北海道大学大学院獣医学研究院
北海道大学人獣共通感染症国際共同研究所
著者からのひと言
当研究では、フタトゲチマダニにおける「単為生殖」という極めてユニークな生殖形態について、その発生メカニズムに関する仮説を導き出しました。現在は、この仮説の検証に向けて解析対象(採集地点・個体数)を拡大しており、世界中からのマダニ収集を進めております。

抄訳

フタトゲチマダニは人や動物に寄生して病原体を媒介します。原産地である東アジアからオセアニアや北米にも侵入・定着しており、その分布拡大には雌のみで繁殖可能な単為生殖が関与すると考えられていますが、その発生機序は明らかになっていません。本研究では、日本とオセアニアで野外採集した個体と繁殖様式が確定されている実験室維持株から、ミトコンドリア全ゲノムとゲノムワイド一塩基多型を取得し、分子系統解析や集団遺伝学的解析を実施しました。その結果、ミトコンドリア系統樹では二つの系統群が認められましたが、雄は両群に含まれ、系統群と繁殖様式の関係はありませんでした。また、日本集団では明瞭な地域的遺伝構造がみられませんでしたが、オセアニア集団は日本集団とは異なる遺伝的特徴を示しました。さらに、二系統群間で遺伝子流動が検出されました。以上の結果は、単為生殖が単一起源ではなく、複数回独立に成立した可能性を示唆しています。

論文掲載ページへ

2026/08/26

Stenotrophomonas maltophilia菌血症における死亡リスク因子の検討: 日本の急性期病院での22年間の後方視的研究 New

論文タイトル
Risk factors for mortality in Stenotrophomonas maltophilia bacteraemia: a 22-year retrospective study in a Japanese acute care hospital.
論文タイトル(訳)
Stenotrophomonas maltophilia菌血症における死亡リスク因子の検討: 日本の急性期病院での22年間の後方視的研究
DOI
10.1099/acmi.0.001194.v3
ジャーナル名
Access microbiology
巻号
Access Microbiology 2026;8:001194.v3
著者名(敬称略)
田沼 道也 他
所属
NTT東日本関東病院 薬剤部
著者からのひと言
Stenotrophomonas maltophiliaに関する国内での知見は依然として限られています。本研究の結果が、S. maltophilia感染症の予後改善や効果的な感染対策の推進に貢献することを期待します。

抄訳

Stenotrophomonas maltophiliaは、院内感染の原因菌として知られるグラム陰性菌であり、高い死亡率との関連が報告されている。しかし、その死亡リスク因子については見解が一致していない。そこで本研究では、22年間にわたるS. maltophilia菌血症の43例を対象に死亡リスク因子について後方視的に解析した。その結果、死亡率は44.2%であった。単変量解析では、Sequential Organ Failure Assessment (SOFA) スコア、中心静脈カテーテル (CVC) 留置、中心静脈栄養、および糖尿病が死亡と有意に関連していた。多変量解析では、SOFAスコアおよびCVC留置が独立した死亡リスク因子であることが示唆された。一方、適切な抗菌薬治療は全体の死亡率低下とは有意な関連を示さなかった。さらに、CVC留置患者においては、カテーテル抜去が生存率の改善と有意に関連していた。以上より、S. maltophilia菌血症においてSOFAスコアおよびCVC留置は死亡率と関連する重要な因子であることが示された。また、抗菌薬治療の有用性は疾患重症度によって異なる可能性が示唆された。

論文掲載ページへ

2026/08/25

天然変性タンパク質の自己組織化様式と、アミノ酸配列に符号化された局所構造バイアスとの相関関係 New

論文タイトル
Sequence-encoded conformational biases correlate with self-assembly modes of intrinsically disordered proteins.
論文タイトル(訳)
天然変性タンパク質の自己組織化様式と、アミノ酸配列に符号化された局所構造バイアスとの相関関係
DOI
10.1093/pnasnexus/pgag189
ジャーナル名
PNAS nexus
巻号
PNAS Nexus, Volume 5, Issue 7, July 2026, pgag189
著者名(敬称略)
小林 凌河 関山 直孝 他
所属
京都大学 理学研究科
著者からのひと言
一般的なタンパク質との対比から、IDPはしばしば構造のないタンパク質と言われます。しかし、アミロイド線維化や相分離といった秩序立った自己組織化は、本当にそんなランダムな分子から生じるのでしょうか?本研究はこうした素朴な疑問に始まり、「IDPには構造がないのではなく、そのアミノ酸配列には自己組織化を方向付ける局所構造バイアスが書き込まれている」という新たなIDP観の提示に繋がりました。IDPの物性理解に新しい視点を提供できれば幸いです。

抄訳

天然変性タンパク質(IDP)は、相分離による凝縮体形成やアミロイド線維化などの自己組織化を介して様々な生理機能や疾患に関わります。しかし、IDPがどちらの自己組織化様式をとるのかを方向付ける仕組みは十分解明されていませんでした。そこで本研究では、アミノ酸配列に符号化された「5残基単位の構造選好性(局所構造バイアス)」が自己組織化を規定すると仮説を立てました。このバイアスを定量化した「5残基スコア」を開発し、強バイアス領域の配置のみが異なる人工IDP群「lag-series IDPs」を設計しました。その自己組織化特性を検証した結果、強バイアス領域は伸長したβシート様構造をとりやすく、この領域がアミノ酸配列上で密に配置された場合には凝縮体からアミロイド線維への転移が促進され、分散配置された場合には線維化が抑制されることが判明しました。本研究は局所構造バイアスがIDPの自己組織化様式を規定することを示唆しており、IDP物性の構造学的理解に寄与する成果です。

論文掲載ページへ

2026/08/25

未培養細菌門WOR-3として知られていた新規細菌門Caldifarciminota門に属する通性嫌気性好熱性細菌の新属新種Caldifarcimen microaerophilum New

論文タイトル
Caldifarcimen microaerophilum gen. nov., sp. nov., a facultatively anaerobic, thermophilic bacterium of a novel bacterial phylum, Caldifarciminota phyl. nov., formerly called candidate phylum WOR-3, description of Caldifarciminaceae fam. nov., Caldifarciminales ord. nov. and Caldifarciminia classis nov.
論文タイトル(訳)
未培養細菌門WOR-3として知られていた新規細菌門Caldifarciminota門に属する通性嫌気性好熱性細菌の新属新種Caldifarcimen microaerophilum
DOI
10.1099/ijsem.0.007229
ジャーナル名
International journal of systematic and evolutionary microbiology
巻号
International journal of systematic and evolutionary microbiology 76 7 (2026): n. pag.
著者名(敬称略)
森浩二、日高皓平、玉澤聡、細山哲、玉木秀幸、掛川武、花田智
所属
製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター
著者からのひと言
培養株としてsy37株を分離し、その性状や系統分類的位置を明らかにしたことで新しい細菌門を本論文で提案し、Caldifarciminota門は有効に公表された49番目の細菌門として承認されました。

抄訳

未培養細菌門WOR-3は、イエローストーン国立公園から得られた環境クローン配列として初めてその存在が認識され、世界各地の多様な環境から検出されてきました。しかし、これまでに培養株の報告が無く、その生理学的特徴などは全く解明されていませんでした。私たちは太平洋にある水曜海山の深海底熱水から未培養細菌門WOR-3に属する最初の培養株である偏性嫌気性好熱性グラム陰性細菌sy37株の分離に成功しました。sy37株は繊毛を持つ非運動性の長桿菌で、硫黄又は酸素を電子受容体として呼吸により増殖しました。sy37株の表現型の特徴と16S rRNA遺伝子及びゲノム配列を用いた系統解析の結果に基づき、sy37株を新属新種Caldifarcimen microaerophilumとして提案します。また、Caldifarcimen属を基準属として、未培養細菌門WOR-3をPseudomonadati界に属する新しい細菌門としてCaldifarciminota門を提案します。

論文掲載ページへ

2026/08/25

魚類皮膚粘膜微生物叢は1日以内に環境微生物群集に類似する方向へ迅速かつ可逆的に変化する New

論文タイトル
Rapid and reversible fish skin mucosal microbiota shift toward environmental microbial communities within a day.
論文タイトル(訳)
魚類皮膚粘膜微生物叢は1日以内に環境微生物群集に類似する方向へ迅速かつ可逆的に変化する
DOI
10.1128/spectrum.00522-26
ジャーナル名
Microbiology spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e00522-26
著者名(敬称略)
今村 千絵、古田 芳一、田中 秀典
所属
豊田中央研究所
著者からのひと言

抄訳

魚は常に環境水に暴露され、皮膚粘液菌叢は環境水菌叢から強い影響を受けているが、その変化の速さや程度は十分に明らかでない。本研究では、ヤリタナゴ(Tanakia lanceolata)を人工アクアポニックス環境と自然環境に近い池の間で繰り返し移動させ、皮膚菌叢の経時変化と再現性を解析した。16S rRNA遺伝子アンプリコン解析の結果、皮膚菌叢は移動後1日以内に急速に再構成され、移動前よりも移動先の環境水菌叢に類似した。この傾向は複数回の移動を含む2回の独立実験で一貫して認められた。また、環境ごとにコア皮膚菌叢は大きく異なり、移動に伴って増減または置換した。さらに、皮膚および環境水菌叢のα多様性は池で増加し、アクアポニックス環境で低下した。以上より、魚類皮膚菌叢が急速な環境変化に応答する高い生態学的可塑性を有することが示された。

論文掲載ページへ

2026/08/24

巨大ウイルスの系統を見直す:フルティヴォウイルスの発見により明らかになった、マモノウイルス科と新規マネスウイルス科を統合する新規の目の設定について

論文タイトル
Refining a giant virus lineage: a novel order unifying Mamonoviridae and "Manesviridae," unveiled by the discovery of furtivovirus.
論文タイトル(訳)
巨大ウイルスの系統を見直す:フルティヴォウイルスの発見により明らかになった、マモノウイルス科と新規マネスウイルス科を統合する新規の目の設定について
DOI
10.1128/jvi.02031-25
ジャーナル名
Journal of virology
巻号
J Virol 100:e02031-25
著者名(敬称略)
ぺ ジワン, 武村 政春
所属
東京理科大学 大学院理学研究科
著者からのひと言
日本で発見されたメドゥーサウイルスを含むこのウイルスのグループは、未だにその分類が明確ではありませんが、私たち真核生物の起源や進化と密接に関係していると考えられている、とても面白い巨大ウイルスです。その仲間で本論文の主役であるフルティヴォウイルスは鎌倉から、そして同じ仲間のウシクウイルスは茨城からそれぞれ見つかっています。日本産のこれら巨大ウイルスの進化史を見つめることで、私たち人間を含めた真核生物の起源にも迫れるのです!

抄訳

メドゥーサウイルスを含むマモノウイルス科と、クランデスティノウイルスを含む関連ウイルスは、これら二つのグループ間でゲノムサイズや宿主域に大きな隔たりがあり、進化的起源や分類は未確定のままでした。本研究では、単細胞真核微生物ヴェルムアメーバを宿主として、新たな巨大ウイルス・フルティヴォウイルスを分離し、解析しました。このウイルスはおよそ56万塩基対のゲノムをもち、最も近縁なクランデスティノウイルスと特徴を共有していました。興味深いことに、核膜の崩壊と核質内での新生ウイルス粒子のパッケージングを特徴とする、宿主の細胞核に強く依存した独自の複製戦略が明らかになりました。巨大ウイルス全体を見渡した分子系統解析および比較ゲノム解析の結果、フルティヴォウイルス、クランデスティノウイルス、ウシクウイルス、ウサルパティウイルスが明確な単系統群を形成することが示されたため、この未分類だったウイルスグループに対して「マネスウイルス科」という新科を提唱しました。この新科はマモノウイルス科の姉妹群として位置づけられ、ウイルス粒子サイズは類似しているもののゲノムサイズと宿主が異なるこれら二つの科間の進化的関係を明らかにしました。さらに我々は、これら二つの科を統合する新目の設立を提案しました。これらの結果から、この系統のウイルスの多様性がより拡大し、巨大ウイルス全体におけるマモノウイルス科・マネスウイルス科の進化史に、新たな知見をもたらすことが期待できます。

論文掲載ページへ

2026/08/24

馬鼻疽の迅速診断を目的としたラテラルフローアッセイの開発

論文タイトル
Development of lateral flow assays for the rapid diagnosis of glanders in equids.
論文タイトル(訳)
馬鼻疽の迅速診断を目的としたラテラルフローアッセイの開発
DOI
10.1128/spectrum.00154-26
ジャーナル名
Microbiology spectrum
巻号
Microbiol Spectr 14:e00154-26
著者名(敬称略)
新保 了, 木村 享史 他
所属
北海道大学大学院獣医学研究科比較病理学教室
著者からのひと言
本研究は、「結核と鼻疽の制圧プロジェクト」(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)2020~2025)の一環として実施されました。
https://www.amed.go.jp/program/list/20/01/001.html
https://www.jica.go.jp/oda/project/1900802/

抄訳

本研究では、鼻疽菌 Burkholderia mallei による人獣共通感染症「鼻疽」の迅速診断を目的として、抗体検出用ラテラルフローアッセイ(LFA)を3種類開発した。抗原には、間接ELISAで有用とされたHcp1、GroEL、全菌体抽出液(WCL)を用い、金コロイド標識組換えプロテインGで抗原結合抗体の発色を行った。モンゴルで収集した陽性31例・陰性51例のウマ血清で評価した結果、Hcp1-LFAは感度・特異度とも100%、WCL-LFAは感度100%、特異度98.0%を示した。GroEL-LFAは感度100%であったが特異度は90.2%と低かった。Hcp1およびWCL-LFAは無症状馬にも高感度で、日本由来の他疾患60例では交差反応を認めなかった。さらに、全LFAは37℃で16週間以上安定して機能した。以上より、Hcp1およびWCLを用いたLFAは、簡便・迅速・高精度で、資源の限られた流行地域における現場診断に有用であることが示された。

論文掲載ページへ