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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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2014/07/16

日本で分離されたネコモルビリウイルスの遺伝的多様性

論文タイトル
Genetic diversity of feline morbilliviruses isolated in Japan
論文タイトル(訳)
日本で分離されたネコモルビリウイルスの遺伝的多様性
DOI
10.1099/vir.0.065029-0
ジャーナル名
Journal of General Virology Society for General Microbiology
巻号
July 2014 vol. 95 no. Pt 7 1464-1468
著者名(敬称略)
坂口 翔一、宮沢 孝幸 他
所属
京都大学ウイルス研究所 細胞生物学研究部門 信号伝達学研究分野

抄訳

ネコモルビリウイルス(feline morbillivirus:FmoPV)感染症は、ネコの新興ウイルス感染症であり、尿細管間質性腎炎との関連が疑われている。FmoPVは中国で2012年に初めて報告されたが、他の国におけるウイルス分離の報告はなかった。我々は日本で初めてFmoPVの分離に成功し、その性状を調べたので報告する。日本国内の動物病院を受診したイエネコ13頭の尿をRT-PCR検査したところ、3頭が陽性と判定された。これらの陽性個体からFmoPVを3株分離した。FmoPVに感染したCRFK細胞では融合を伴うCPEが観察され、間接蛍光抗体法によりFmoPVのN蛋白質が検出された。また電子顕微鏡による観察では、多形性のウイルス粒子のエンベロープ上に明瞭な糖蛋白質のスパイクがみられた。HおよびL遺伝子の系統樹解析ではFmoPVの遺伝的多様性が見られたが、正の選択は受けていないことがわかった。

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2014/07/10

DAPK3は平滑筋細胞の増殖・遊走を刺激することで血管壁リモデリングを促進する

論文タイトル
Death-associated protein kinase 3 mediates vascular structural remodelling via stimulating smooth muscle cell proliferation and migration
論文タイトル(訳)
DAPK3は平滑筋細胞の増殖・遊走を刺激することで血管壁リモデリングを促進する
DOI
10.1042/CS20130591
ジャーナル名
Clinical Science Biochemical Society
巻号
Vol.127 No.8 539?548
著者名(敬称略)
臼井 達哉、山脇 英之 他
所属
北里大学 獣医学部 獣医学科 獣医薬理学

抄訳

Death-associated protein kinase 3 (DAPK3)は別名zipper-interacting kinase (ZIPK)としても知られるセリン・スレオニンキナーゼで、その主たる機能は細胞死や平滑筋収縮の調節であることが報告されている。加えて、我々のグループはこれまでにDAPK3の蛋白質発現が自然発症高血圧ラット(SHR)の血管組織で増加し、血管の炎症性反応を促進することで高血圧症の進展に関わることを報告してきた。本研究では、高血圧進展に関わる他の重要な病態プロセスである血管平滑筋の増殖・遊走に及ぼすDAPK3の影響をin vitro, ex vivo, in vivoにおいて検討した。その結果、DAPK3は血小板由来増殖因子PDGF-BBによるp38/HSP27シグナルの活性化を介して平滑筋細胞の増殖・遊走と新生血管内膜の形成を促進することを明らかにした。本研究結果からDAPK3は高血圧症治療に対する新たな分子標的となる可能性が示唆された。

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2014/06/30

日本で分離されたアシネトバクター属菌の流行型・非流行型の遺伝子型別とカルバペネム耐性遺伝子

論文タイトル
Distribution of carbapenem resistance determinants among epidemic and non-epidemic types of Acinetobacter species in Japan
論文タイトル(訳)
日本で分離されたアシネトバクター属菌の流行型・非流行型の遺伝子型別とカルバペネム耐性遺伝子
DOI
10.1099/jmm.0.069138-0
ジャーナル名
Journal of Medical Microbiology Society for General Microbiology
巻号
June 2014 vol.63 no. Pt 6 870-877
著者名(敬称略)
松井 真理 他
所属
国立感染症研究所 細菌第二部

抄訳

アシネトバクター属菌(Acinetobacter spp.)の薬剤耐性化・院内感染事例の増加は、Acinetobacter baumannii流行型(epidemic ST-AB)と呼ばれる特定の遺伝型株の広がりと関連があると言われている。一方で、A. baumannii非流行型(non-epidemic ST-AB)に関する報告は少ない。我々は、日本の臨床分離アシネトバクター属菌87株をepidemic-ST AB(31株)、non-epidemic ST-AB(15株)、他のアシネトバクター属菌(non-baumannii Acinetobacter spp.;41株)の3群に分類し、カルバペネム耐性遺伝子と薬剤感受性を比較した。カルバペネム耐性遺伝子に関して、epidemic ST-ABはOXA-23型、OXA-51型β-ラクタマーゼ遺伝子を保有したのに対し、non-epidemic ST-ABとnon-baumannii Acinetobacter spp.は、OXA-58型β-ラクタマーゼ遺伝子、メタロ-β-ラクタマーゼ遺伝子を保有していた。解析したepidemic ST-ABのうち48%が多剤耐性であり、non-epidemic ST-ABやnon-baumannii Acinetobacter spp.に比べ多剤耐性株の割合は有意に高かった。特にepidemic ST-ABのフルオロキノロン耐性率は、極めて高かった。今回の結果から、カルバペネム耐性遺伝子や薬剤感受性において、non-epidemic ST-ABは、non-baumannii Acinetobacter spp.と同様の特徴を示し、同じ種であるepidemic ST-ABとは異なる特徴を持つことが明らかとなった。

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2014/06/16

ミズナラ(Quercus crispula)の樹皮から分離した新種 Paenibacillus shirakamiensis

論文タイトル
Paenibacillus shirakamiensis sp. nov., isolated from the trunk surface of a Japanese oak (Quercus crispula)
論文タイトル(訳)
ミズナラ(Quercus crispula)の樹皮から分離した新種 Paenibacillus shirakamiensis
DOI
10.1099/ijs.0.055772-0
ジャーナル名
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology  Society for General Microbiology
巻号
IJSEM May 2014 vol. 64 no. Pt 5 1763-1769
著者名(敬称略)
殿内 暁夫 他
所属
弘前大学 農学生命科学部 分子生命科学科

抄訳

日本の白神山地に生育するミズナラ(Quercus crispula)の樹皮から細菌株P-1Tを分離した。P-1T株はグラム染色陰性で、楕円形の内生胞子を形成する好気的な、わずかに好酸性の、幅0.8 µm長さ2–5 µmの桿状細菌で、周鞭毛によって運動した。P-1T株は種々の炭水化物を増殖基質として利用したが、増殖試験に用いた有機酸は利用しなかった。主要な細胞脂肪酸はanteiso-C15?:?0で、全細胞脂肪酸の64.2%を占めていた。主要な呼吸鎖キノンはメナキノン7 (MK-7)であった。P-1T株の細胞膜には極性脂質として、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、未同定アミノ脂質が4種、未同定リン脂質が1種、未同定極性脂質が2種含まれていた。P-1T株はPaenibacillus pini S22T (96.6?%), Paenibacillus chibensis JCM 9905T (96.1?%)およびPaenibacillus anaericanus MH21T (95.9?%)に高い16S rRNA遺伝子配列類似性を示した(カッコ内は類似度)。DNAのG+C含量は43.9 mol%であった。これらのデータはP-1T株がPaenibacillus属内の新規種を代表することを示しており、筆者らは本種の名称として新種Paenibacillus shirakamiensisを提案する。本種の基準株はP-1T (NBRC 109471T?=?DSM 26806T?=?KCTC 33126T?=?CIP 110571T)である。

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2014/06/11

転写因子C/EBPβはSF-1と協調してプロゲステロン産生を転写レベルで調節する

論文タイトル
C/EBPβ (CCAAT/enhancer-binding protein β) mediates progesterone production through transcriptional regulation in co-operation with SF-1 (steroidogenic factor-1)
論文タイトル(訳)
転写因子C/EBPβはSF-1と協調してプロゲステロン産生を転写レベルで調節する
DOI
10.1042/BJ20131522
ジャーナル名
Biochemical Journal Biochemical Society
巻号
Biochemical Journal Vol.460 No.3 459?471
著者名(敬称略)
水谷 哲也 他
所属
福井大学 医学部 医学科 生命情報医科学講座 分子生体情報学領域

抄訳

転写因子SF-1は性腺や副腎のマスター因子として、その発生・分化およびステロイドホルモン産生に必須の因子である。本研究では、核内で形成するSF-1複合体構成因子を同定することでSF-1の作用機序の解明を試みた。免疫沈降とMALDI-TOF MS/MS解析よりSF-1複合体構成因子の同定を試みたところ、約20のSF-1複合体構成因子を同定した。その中から排卵・黄体化に必須な転写因子C/EBPβに着目し、プロゲステロン産生に対する影響を検討した。その結果、プロゲステロン産生に関連するSTAR、CYP11A1およびHSD3B2の遺伝子発現にC/EBPβが関与することが示された。さらにその転写調節メカニズムを検討したところ、すべての遺伝子上流域にSF-1とC/EBPβの結合領域が近接して存在し、SF-1とC/EBPβが協調することで転写調節していることが示された。以上の結果から、C/EBPβはSF-1と共に転写レベルでプロゲステロン産生を調節する重要な転写因子であることが示された。

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2014/04/16

術前放射線化学療法および食道切除術を施行した食道腺癌の局所再発率とサルベージ治療の予後に関する検討

論文タイトル
Locoregional Failure Rate After Preoperative Chemoradiation of Esophageal Adenocarcinoma and the Outcomes of Salvage Strategies
論文タイトル(訳)
術前放射線化学療法および食道切除術を施行した食道腺癌の局所再発率とサルベージ治療の予後に関する検討
DOI
10.1200/JCO.2013.51.7250
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology American Society of Clinical Oncology
巻号
JCO Dec 1, 2013:4306-4310; published online on October 21, 2013
著者名(敬称略)
須藤一起、Jaffer A. Ajani 他
所属
The University of Texas MD Anderson Cancer Center, Department of Gastrointestinal Medical Oncology

抄訳

食道腺癌に対する局所治療後サーベイランスの一番の目的は、治癒的治療の対象となりうる局所再発を発見することである。しかし、術前放射線化学療法および食道切除術後サーベイランスのベネフィットに関する研究報告はない。 対象及び方法;食道および胃食道接合部腺癌に対して、米国の標準治療である術前放射線化学療法および食道切除術を当院で施行した518人の患者を対象とした。治療後の局所再発頻度とタイミングを後ろ向きに検討した。また、局所再発後の治療成績に関しても検討した。 結果;遠隔転移なしの局所再発を認めた患者は27人(5%)であった。27人のうち89%は術後3年以内の再発であった。局所再発後の生存期間中央値は17ヶ月で、局所再発後2年以上生存した患者は10人(サーベイランスをうけた全518人の2%)であった。 結論;我々は多くの施設で行われているような治療後の定期的サーベイランスを行った。本研究はそのようなサーベイランス戦略に対して疑問を投げかけた。治療後の局所再発率が低いことは良い結果であったが、たとえ局所再発を発見してもその予後は不良であると判明した。本研究はエビデンスに基づいたサーベイランス戦略の構築に貢献できる。

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2014/04/16

シアノバクテリア概日時計蛋白質KaiCの自己リン酸化は、CIIドメインのATPase活性部位におけるADP-ATP交換反応によって促進される。

論文タイトル
Exchange of ADP with ATP in the CII ATPase domain promotes autophosphorylation of cyanobacterial clock protein KaiC
論文タイトル(訳)
シアノバクテリア概日時計蛋白質KaiCの自己リン酸化は、CIIドメインのATPase活性部位におけるADP-ATP交換反応によって促進される。
DOI
10.1073/pnas.1319353111
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
111 (12) 4455-4460; published ahead of print March 10, 2014
著者名(敬称略)
大川(西脇)妙子
所属
名古屋大学 大学院理学研究科 生命理学専攻

抄訳

シアノバクテリアの概日リズムは、KaiA、KaiB、KaiCとATPによりin vitroで再構成でき、KaiCのリン酸化状態は約24時間周期で振動する。KaiCは2つのATPaseドメインCI、CIIから成り、CIIは自己リン酸化、自己脱リン酸化活性を併せ持つ。KaiCの脱リン酸化はリン酸化の逆反応を介して起こる。KaiC上のリン酸基はまずADPに転移しATPが合成される。次にATP加水分解により反応が終結する。このことからリン酸化リズムは、自己リン酸化の正、逆両反応の繰り返しにより生じると考えられる。本研究では、KaiAとKaiBはKaiC結合ヌクレオチドを制御することを明らかにした。KaiCは主にADP結合型として存在するが、KaiA はADPの放出とATPの取り込みを促進し、KaiCをATP結合型に変換する。KaiA、KaiB共存下では、KaiBは周期的にKaiAを阻害し、KaiCのヌクレオチド結合状態は概日リズムを示す。これらの結果は、KaiA、KaiBが正、逆両反応を基質供給のレベルで制御していることを示唆する。

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2014/04/02

ヘリコバクター・ピロリCagAと胃がん:ヒット&ラン発がんのパラダイム

論文タイトル
Helicobacter pylori CagA and Gastric Cancer: A Paradigm for Hit-and-Run Carcinogenesis
論文タイトル(訳)
ヘリコバクター・ピロリCagAと胃がん:ヒット&ラン発がんのパラダイム
DOI
10.1016/j.chom.2014.02.008
ジャーナル名
Cell Host and Microbe Cell Press
巻号
Volume 15, Issue 3, 306-316, 12 March 2014
著者名(敬称略)
畠山 昌則
所属
東京大学大学院医学系研究科・医学部 病因・病理学専攻 微生物学講座 微生物学分野

抄訳

胃がんは全世界がん死亡の第二位を占め、毎年約70万人がこの悪性腫瘍で命を落としている。一部の例外を除き、胃がん発症にはCagAタンパク質を産生するヘリコバクター・ピロリの胃内持続感染が必須の役割を担う。ピロリ菌CagAはホ乳動物に悪性腫瘍を引き起こすことが証明されている唯一の細菌タンパク質であり、菌が保有するミクロの注射針(IV型分泌機構)を介して胃上皮細胞内に直接注入される。胃上皮細胞内に侵入したCagAは異常な足場タンパク質として機能し、複数の細胞内シグナル伝達系を並行して障害する。CagAにより生成された異常シグナルは細胞がん化を直接促すと同時に、遺伝的不安定性を増大させる。一方、胃がん発症過程において本質的な役割を担うにも関わらず、一旦生成された胃がん細胞の形質維持にCagAはもはや不要となる。この事実は、ピロリ菌CagAがかかわる胃発がんプロセスがヒット&ラン機構で進行することを示している。胃がん発症の初期段階においてCagAが担う発がん活性は、CagAが同時に誘導する遺伝的不安定性を基盤にゲノム内に蓄積するゲノム・エピゲノム変異に漸次置き換えられ「がん前駆細胞」内に固定されていくと考えられる。

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2014/03/26

ヤギにおいて生殖制御中枢を促進する嗅覚分子の同定

論文タイトル
Identification of an Olfactory Signal Molecule that Activates the Central Regulator of Reproduction in Goats
論文タイトル(訳)
ヤギにおいて生殖制御中枢を促進する嗅覚分子の同定
DOI
10.1016/j.cub.2014.01.073
ジャーナル名
Current Biology Cell Press
巻号
Volume 24, Issue 6, 681-686, 27 February 2014
著者名(敬称略)
村田健、武内ゆかり 他
所属
東京大学大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻

抄訳

フェロモンは、「ある個体が放出し、同種の他個体が受容したときに特定の行動や生理的変化を誘起する物質」と定義され、嗅覚系を介した同種間のコミュニケーションに重要な役割を果たしている。哺乳類では、攻撃行動や性行動などを誘起する「行動を制御するフェロモン」は同定されており、その作用機構も明らかにされてきたが、雌の性成熟を早めたり発情を誘起するなどの効果をもつ「内分泌系を制御するフェロモン」に関しては不明な点が少なくなかった。本研究では、ヤギにおいて非繁殖期の雌が、雄の匂いを感じることで排卵と発情が誘起される「雄効果」に着目し、生殖制御中枢に促進的に作用するフェロモンとして、4-ethyloctanalという新奇の揮発性化合物を同定した。この化合物は、雄ヤギの頭部より放出される多くの物質の中から、雌ヤギにおける脳の生殖制御中枢活動をリアルタイムで観測できるバイオアッセイ法によって同定された。雌における生殖制御中枢活動の促進を明瞭に示すフェロモンの同定は、哺乳類では本成果が初めてであり、今後は本知見をもとに、フェロモンを用いた家畜の繁殖制御方法の開発などへの展開が期待される。

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2014/03/26

PDI ファミリータンパク質ERp46の新規ドメイン構造と機能的役割の解明

論文タイトル
Radically Different Thioredoxin Domain Arrangement of Radically Different Thioredoxin Domain Arrangement of ERp46, an Efficient Disulfide Bond Introducer of the Mammalian PDI Family
論文タイトル(訳)
PDI ファミリータンパク質ERp46の新規ドメイン構造と機能的役割の解明
DOI
10.1016/j.str.2013.12.013
ジャーナル名
Structure Cell Press
巻号
Volume 22, Issue 3, 431-443, 23 January 2014
著者名(敬称略)
小島理恵子、奥村正樹、稲葉謙次
所属
九州大学生体防御医学研究所・東北大学多元物質科学研究所

抄訳

哺乳動物細胞の小胞体には20種類以上のProtein Disulfide Isomerase (PDI)ファミリータンパク質が存在するが、個々の因子の生理的機能はほとんど解明されていない。2013年に我々は、新たに見つかったPDI酸化酵素Peroxiredoxin-4 (Prx4) がPDIファミリータンパク質の中でもERp46に対して特に高い酸化活性を有することを報告した (Sato et al., Sci. Rep. 2013)。本研究ではERp46の構造とPrx4とERp46を介した基質へのジスルフィド導入経路の分子機構を解明するに至った。ERp46は3つのチオレドキシンドメイン(Trx)から成るが、この内Trx1, Trx2のX線結晶構造をそれぞれ2.5Å,0.95Åの分解能で決定し、さらにTrx2とPrx4のC末端領域の複合体の結晶構造を0.92Åの分解能で決定することにより、ERp46-Prx4間の特異的な結合様式を明らかした。さらに、X線小角散乱法によりERp46の全長構造のモデリングを行った結果、ERp46は他のPDIファミリータンパク質にはみられない新規な「開いたV字構造」をとることが明らかになった。さらに系統的な生化学機能解析により、ERp46は開いたV字構造上で活性部位を溶媒に露出させ、アンフォールドした基質にランダムかつ迅速にジスルフィド結合を導入するのに対し、PDIはU字構造内部の疎水性ポケットにフォールディング中間体を取り込み、互いに向き合った活性部位が協調的にはたらくことで効率よくジスルフィド結合の組換えを行うことを提唱した。本研究により、ERp46が他のPDIファミリータンパク質では例にみない新規のドメイン構造をもち、タンパク質の酸化的フォールディングの初期過程においてジスルフィド結合導入に特化した機能を有することが明らかとなった。

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