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国内研究者論文紹介

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2006/01/26

Oct3/4とCdx2の相互作用が栄養外胚葉の分化運命を決定する

論文タイトル
Interaction between Oct3/4 and Cdx2 Determines Trophectoderm Differentiation
論文タイトル(訳)
Oct3/4とCdx2の相互作用が栄養外胚葉の分化運命を決定する
DOI
10.1016/j.cell.2005.08.040
ジャーナル名
Cell Cell Press
巻号
Cell, Vol 123, 917-929, 2 December 2005
著者名(敬称略)
丹羽仁史 他
所属
理化学研究所 発生・再生科学総合研究所

抄訳

栄養外胚葉は、哺乳類発生過程で最初に分化し、将来胎盤を形成する細胞系譜 であるが、これまでこの過程を規定する分子機構は不明であった。胚性幹細胞 は、転写因子Oct3/4の発現抑制によって栄養外胚葉へと分化することが示され ていたが、我々は、同様の分化が別の転写因子Cdx2の強制発現によっても引き 起こされることを見いだした。Cdx2の機能は栄養外胚葉への分化には必要でな いが、栄養外胚葉幹細胞の自己複製には必須であった。初期胚では、8細胞期 までは全ての割球でCdx2とOct3/4が共発現しているが、これらは抑制性複合体 を形成し、お互いに抑制し合うことによって、最終的に栄養外胚葉ではCdx2、 内部細胞塊ではOct3/4という排他的発現が確立されることが示唆された。この ような細胞運命を決定する転写因子の直接の相互作用により分化運命が決定さ れる機構が、哺乳類の最初の分化を規定していると考えられる。

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2006/01/12

超高分解能X線構造化学で明らかになった[NiFe] ヒドロゲナーゼの活性化機構: Ready型からUnready型への変換

論文タイトル
Activation Process of [NiFe] Hydrogenase Elucidated by High-Resolution X-Ray Analyses: Conversion of the Ready to the Unready State
論文タイトル(訳)
超高分解能X線構造化学で明らかになった[NiFe] ヒドロゲナーゼの活性化機構: Ready型からUnready型への変換
DOI
10.1016/j.str.2005.07.018
ジャーナル名
Structure Cell Press
巻号
Structure, Vol 13, 1635-1642, November 2005
著者名(敬称略)
樋口芳樹1 緒方英明2 廣田俊3 他
所属
1 兵庫県立大学大学院生命理学研究科
2 マックスプランク研究所
3 京都薬科大学大学院薬学研究科

抄訳

ヒドロゲナーゼは水素分子の合成・分解を触媒する酵素である. この分子の機能は,将来,水素をエネルギーとして利用する時,いろいろな形で応用できる可能性を秘めている.[NiFe]ヒドロゲナーゼの酸化型(不活性型)には「Ni-A」と呼ばれるUnready型と「Ni-B」と呼ばれるReady型がある.我々は,Na2SとO2を使って,Ni-B型の酵素を100%Ni-A型に変換させる方法の開発に成功し,両者のNi-Fe活性部位の構造の違いを超高分解能X線解析法で明らかにした.Ni-B型はNiとFeの間に単原子のブリッジ配位子があり,Ni-A型はそれが2原子分子であった.Ni-A型のブリッジ配位子の構造とCOで活性阻害したCO結合型の構造の比較から,「不活性−Unready型」と「CO阻害型」の共通の特徴を見出した.これらの知見は,生物酵素のモデル化合物を合成するときに役立つと期待できる.

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