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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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日本人論文紹介:一覧

2026/04/08

アワノメイガ培養細胞において細胞増殖抑制活性を示すボルバキア遺伝子の同定 New

論文タイトル
Identification of two Wolbachia genes with cell proliferation-inhibitory activity in Ostrinia cultured cells
論文タイトル(訳)
アワノメイガ培養細胞において細胞増殖抑制活性を示すボルバキア遺伝子の同定
DOI
10.1128/mbio.00074-26
ジャーナル名
mBio
巻号
mBio Ahead of Print
著者名(敬称略)
勝間 進 他
所属
東京大学 大学院農学生命科学研究科 生産・環境生物学専攻 昆虫遺伝研究室
著者からのひと言
ボルバキアは蚊を介したウイルス等の媒介抑制などにおいて、応用上重要な細胞内共生細菌です。さらには、宿主の性や生殖を操作するという点で、基礎生物学的にも注目されています。一方、感染・移植技術や遺伝子操作法が確立していないことから、その遺伝子機能の解析はあまり進んでいません。本研究はアワノメイガとそれに感染するオス殺しボルバキアを対象に、培養細胞を利用した機能解析例を報告したものになります。ボルバキア研究の発展に貢献できれば幸いです。

抄訳

細胞内共生細菌であるボルバキアは、宿主の性決定や生殖のシステムを操作することで次世代への感染拡大を図っています。基礎生物学的にも応用上も重要な共生細菌ですが、ボルバキア遺伝子の機能解析については非常に遅れています。その理由としては、確立した移植方法がないこと、そして遺伝子操作法が存在しないことが挙げられます。本研究では、アワノメイガにおいてオス殺しを引き起こすボルバキア(wFur)とアワノメイガ由来の培養細胞を用いて、ボルバキア移植方法を構築しました。その結果、非感染細胞へのwFur移植が細胞毒性を伴う細胞増殖抑制を引き起こすことがわかりました。さらに、wFur遺伝子を非感染アワノメイガ培養細胞で発現させる発現スクリーニングによって、w52w75と名付けた細胞増殖抑制活性を示すボルバキア遺伝子を発見しました。これら2つの遺伝子はwFur感染におけるアワノメイガの細胞増殖抑制に関与している可能性が考えられます。

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2026/04/02

Dysgonomonas属の再分類およびシロアリ腸内から分離された新種Dysgonomonas reticulitermitisならびに新属・新種Viscerimonas tarda New

論文タイトル
Reclassification of the genus Dysgonomonas and description of Dysgonomonas reticulitermitis sp. nov. and Viscerimonas tarda gen. nov., sp. nov. from the gut of the subterranean termite Reticulitermes speratus
論文タイトル(訳)
Dysgonomonas属の再分類およびシロアリ腸内から分離された新種Dysgonomonas reticulitermitisならびに新属・新種Viscerimonas tarda
DOI
10.1099/ijsem.0.007031
ジャーナル名
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology
巻号
Volume 76, Issue 1
著者名(敬称略)
高橋 一樹 坂本 光央 他
所属
理化学研究所 バイオリソース研究センター(BRC)微生物材料開発室 (JCM)
著者からのひと言
腸内や環境中で注目されるDysgonomonas属の分類学的曖昧さに真正面から取り組み、ゲノム指標と生理学的特性を統合して再定義した点が本研究の大きな魅力である。属レベルの再編成に加え、新属・新種の提案により、本群の多様性と進化的関係に新たな視点を提供し、今後の機能解析や生態学研究の基盤を大きく前進させる重要な成果といえる。

抄訳

2000年に設立されたDysgonomonas属はBacteroidales目に属し、現在9種が知られるが、その分類基準は十分に整理されていない。本研究ではコアゲノム系統解析、平均アミノ酸同一性、保存タンパク質割合などのゲノム指標と生理学的特性に基づき再評価を行った。その結果、本属は少なくとも3つの属レベル系統群に分かれることが示され、Dysgonomonas(狭義)、新属Indolivaga、新属Pseudodysgonomonasを提案した。さらにシロアリ腸内から分離した2株について、1株はDysgonomonas属の新種、もう1株は新属・新種Viscerimonas tardaとして提案した。

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2026/03/31

ステント併用コイル塞栓術におけるLVISステントとNeuroform Atlasステントの有効性・安全性比較:未破裂内頸動脈瘤に対する傾向スコアマッチング解析

論文タイトル
Efficacy and Safety of Stent-Assisted Coiling with Low-Profile Visualized Intraluminal Support versus Neuroform Atlas for Unruptured Internal Carotid Aneurysms: A Propensity Score–Matched Analysis
論文タイトル(訳)
ステント併用コイル塞栓術におけるLVISステントとNeuroform Atlasステントの有効性・安全性比較:未破裂内頸動脈瘤に対する傾向スコアマッチング解析
DOI
10.3174/ajnr.A9034
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
March 2026, 47 (3) 671-677
著者名(敬称略)
長山 剛太 他
所属
東京慈恵会医科大学付属病院 脳神経外科

抄訳

ステント併用コイル塞栓術(SAC)は広頸の未破裂脳動脈瘤に広く用いられているが、異なるステント間の直接比較データは乏しい。本研究は、直径10mm未満の未破裂内頸動脈(ICA)動脈瘤を対象に、編み込み型のLVISステントとオープンセル型のNeuroform Atlasステントの安全性・有効性を比較検討した。 3施設において2017年から2023年の間にSACを施行した247名・287病変を対象に後方視的解析を行い、傾向スコアマッチングにより各群46例ずつを抽出した。術後1年時点での完全閉塞率(Raymond class I)は、**LVIS群52%に対してAtlas群24%**と、LVIS群が有意に高率であった(P=.007)。術直後の完全閉塞率および体積塞栓率(VER)もLVIS群で有意に優れていた。一方、虚血・出血性合併症、再開通率、再治療率は両群間で差を認めなかった。 以上より、10mm未満の未破裂ICA動脈瘤においてLVISステントは、周術期合併症を増加させることなく、Neuroform Atlasと比較して有意に高い完全閉塞率を達成することが示された。

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2026/03/30

カイコ感染モデルを用いたMycobacterium abscessusに対する抗菌薬併用効果のin vivo評価系の構築

論文タイトル
Establishment of an in vivo-based assay using a silkworm infection model for phenotypic evaluation of antimicrobial drug combinations against Mycobacterium abscessus
論文タイトル(訳)
カイコ感染モデルを用いたMycobacterium abscessusに対する抗菌薬併用効果のin vivo評価系の構築
DOI
10.1128/aac.01665-25
ジャーナル名
Antimicrobial Agents and Chemotherapy
巻号
Antimicrobial Agents and Chemotherapy Ahead of Print
著者名(敬称略)
八木 瑛穂 内田 龍児 他
所属
東北医科薬科大学 薬学部天然物化学教室
著者からのひと言
本研究では、カイコM. abscessus感染モデルを用いて、抗菌薬併用効果を生体レベルで定量的かつ網羅的に評価可能なin vivo評価系を確立しました。従来のin vitro評価では捉えきれなかった薬剤間相互作用を、用量依存的に可視化できる点が特徴です。さらに、in vivo評価指標であるFEDIを導入し、相乗・拮抗作用を定量的に判定可能としました。本手法は、抗菌薬併用療法の合理的設計に資する新たな評価基盤となることが期待されます。

抄訳

非結核性抗酸菌Mycobacterium abscessusは高度な薬剤耐性を示し、治療には多剤併用療法が不可欠であるが、併用効果の評価は主にin vitro系に依存している。本研究では、カイコ(Bombyx mori)感染モデルを用い、抗菌薬併用効果を生体レベルで定量的に評価可能なin vivo表現型評価系を構築した。本評価系では、複数用量の組み合わせを網羅的に検討することで、用量依存的な薬剤間相互作用を生存率に基づいて評価できる。さらに、in vivoにおける併用効果を定量化する指標としてfractional effective dose index(FEDI)を導入し、相乗・拮抗作用の判定を可能とした。クラリスロマイシン+アミカシンにおける拮抗作用およびイミペネム+セフォキシチンにおける相乗効果は、既報のin vitro結果と同様の傾向を示し、本評価系の有用性が示された。本手法は倫理的負担が少なく、哺乳類モデルでは困難な多数条件の系統的評価を可能とすることから、抗菌薬併用療法の最適化および前臨床段階における有用な評価基盤となることが期待される。

 

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2026/03/30

日本における硬膜動静脈瘻に対する血管内治療の13年間の変遷と発展:全国6470例から得られた知見

論文タイトル
Thirteen-Year Trends and Advancements of Endovascular Therapy for Dural Arteriovenous Fistulas in Japan: Insights from a Nationwide Study of 6470 Procedures
論文タイトル(訳)
日本における硬膜動静脈瘻に対する血管内治療の13年間の変遷と発展:全国6470例から得られた知見
DOI
10.3174/ajnr.A8840
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
November 2025, 46 (11) 2273-2278
著者名(敬称略)
村井 智 他
所属
川崎医科大学 脳神経外科
著者からのひと言
本論文は、全国6470件という大規模データを用いて、日本の硬膜動静脈瘻に対する血管内治療の進歩を明らかにした点が大きな特徴です。Onyx®などの導入により治療成績が向上した一方で、安全な普及には指導医の関与が重要であることも示しました。新しい技術の恩恵を最大限に活かすには、教育体制の充実も不可欠である伝える意義深い報告です。

抄訳

頭蓋内硬膜動静脈瘻は比較的まれな疾患であるが、静脈梗塞やくも膜下出血を引き起こすことがある。本研究では日本脳神経血管内治療学会の全国レジストリー (JR-NET)に登録された2007年から2019年の硬膜動静脈瘻に対する血管内治療6470例を解析し、治療方法や治療成績の変化を検証した。その結果、Onyx®などの析出型液体塞栓物質が導入されたことで、従来は直達手術が行われることの多かったテント部や前頭蓋窩の硬膜動静脈瘻に対する血管内治療の件数が約5倍に増加し、経動脈的塞栓術の完全閉塞率も有意に向上した。一方で、これらの新しい塞栓物質の使用は合併症リスクとも関連していたが、学会認定指導医による監督下で治療を行うことで、そのリスクが低減されることも示された。

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2026/03/30

シアノバクテリアの体内時計の周期は、試験管の中でも細胞の中でも、高い精度で安定している
 

論文タイトル
Intrinsic period stability of the cyanobacterial circadian oscillator across in vitro and in vivo conditions
論文タイトル(訳)
シアノバクテリアの体内時計の周期は、試験管の中でも細胞の中でも、高い精度で安定している
DOI
10.1073/pnas.2526714123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.12 e2526714123
著者名(敬称略)
三輪 久美子 他
所属
大阪大学 生命惑星進化学グループ
著者からのひと言
本研究は、約25年にわたり、故近藤特別教授の研究室でこつこつと積み重ねてきた成果です。実験で、シアノバクテリアの細胞内や試験管内のとてもきれいなリズムを見るたびに、1ミリメートルの500分の1程度しかない小さな微生物の中に、これほど正確な時計を生み出す仕組みがあるという事実に、いつも驚かされます。

抄訳

多くの生物は昼夜の環境変化に適応するため、約24時間周期の体内時計を備えています。体内時計は気温や光が変わっても周期がほとんど変わらず、高い精度で保たれることが知られています。シアノバクテリアの体内時計は試験管内で再現することができ、3つの時計タンパク質(KaiC、KaiA、KaiB)を試験管の中で混合すると、KaiCの活性が約24時間周期のリズムを示します。しかし、細胞内では遺伝子の働きも関わるため、時計の正確さを決めているのがタンパク質か細胞全体かは長年の課題でした。本研究では、細胞内と試験管内のリズムを比較し、時計の精度がKaiCという単一タンパク質の性質に備わっていることを明らかにしました。さらに、細胞内では周期がわずかに調整され、地球の昼夜のリズムに近づく可能性も示されました。これらの結果は、生物が正確に時間を刻む仕組みの理解を大きく前進させるものです。

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2026/03/25

インドール酢酸アミノ酸結合体のN-グルコシル化は、イネにおけるオーキシン代謝と成長形質を調節する

論文タイトル
N-glucosylation of indole-3-acetyl amino acids modulates auxin metabolism and growth traits in Oryza sativa
論文タイトル(訳)
インドール酢酸アミノ酸結合体のN-グルコシル化は、イネにおけるオーキシン代謝と成長形質を調節する
DOI
10.1073/pnas.2527570123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.12 e2527570123
著者名(敬称略)
善治 杏菜, 秦 毅実彦, 瀬上 紹嗣, 榊原 均 他
所属
名古屋大学 大学院生命農学研究科 植物情報分子研究室
著者からのひと言
本研究では、オーキシン代謝にこれまで見落とされていた「分岐経路」を見出し、成長ホルモンの働きを支える新しい調節概念を提示しました。代謝中間体の行き先が環境応答や形質に影響することを示した点は、基礎科学として重要であると同時に、作物の適応性や肥料利用効率の改良にもつながる知見です。ホルモン代謝の再解釈を通じて、植物の成長制御の理解を一歩進めた成果と考えています。

抄訳

植物ホルモンであるオーキシン(インドール酢酸、IAA)は、根や穂の形成など作物の成長と収量を左右する重要な因子である。本研究では、イネにおいてIAAのアミノ酸結合体に糖を付加する酵素IAAspGTを同定し、オーキシン代謝に新たな分岐経路が存在することを明らかにした。IAAはアミノ酸結合後に酸化反応により不可逆的に不活性化されるが、本酵素はアミノ酸結合体を酸化される前にN-グルコシル化することで、再利用可能な安定な代謝プールへと変換する機能を持つ。さらに、この酵素活性には品種間差が存在し、高活性型対立遺伝子は低栄養条件下での根系発達や穂への同化産物配分に影響を与えることが示された。本成果は、オーキシン代謝の新たな制御機構を提示するとともに、環境適応性や肥料利用効率に優れた作物育種への応用可能性を示すものである。

 

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2026/03/24

未破裂脳動脈瘤に対する経橈骨動脈アプローチにおける8Frガイディングカテーテル誘導の実現可能性と安全性:シース併用法とシースレス法の傾向スコアマッチング比較

論文タイトル
Feasibility and Safety of 8F Guiding Catheter Navigation in Transradial Neurointervention for Unruptured Intracranial Aneurysms: A Propensity Score–Matched Comparison of Sheath-Based versus Sheathless Approaches
論文タイトル(訳)
未破裂脳動脈瘤に対する経橈骨動脈アプローチにおける8Frガイディングカテーテル誘導の実現可能性と安全性:シース併用法とシースレス法の傾向スコアマッチング比較
DOI
10.3174/ajnr.A8987
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
February 2026, 47 (2) 363-370
著者名(敬称略)
府賀 道康 他
所属
東京慈恵会医科大学付属病院 脳神経外科
著者からのひと言
経橈骨動脈アプローチでは、大口径デバイス使用時の安全性が常に課題となります。本研究は、未破裂脳動脈瘤治療における8Frガイディングカテーテル使用時に、8Frシース併用がシースレス法と比べて橈骨動脈閉塞や攣縮を抑えつつ、成功率や他の合併症を損なわない可能性を示しました。TRAの実践を一歩前進させる知見です。

抄訳

近年、脳血管内治療では、穿刺部合併症の少なさや患者負担の軽減から、経橈骨動脈アプローチ(TRA)が広く用いられている。一方、8Frのような大口径デバイス使用時には、橈骨動脈閉塞や攣縮などのアクセス部合併症が懸念されるため、挿入システム全体の外径を抑える目的でシースレス法が選択されることも多い。しかし、8Frシース併用法とシースレス法を直接比較した検討はこれまで限られていた。本研究では、未破裂脳動脈瘤に対して8Frガイディングカテーテルを用いてTRAで治療した症例を後方視的に解析し、8Frシース併用群とシースレス群を比較した。傾向スコアマッチ後の解析では、手技成功率に有意差を認めなかった一方、シース併用群では橈骨動脈閉塞および橈骨動脈攣縮の発生率が有意に低かった。アクセス部・非アクセス部合併症の増加も認めず、未破裂脳動脈瘤に対するTRAにおいて、8Frシース併用は実行可能かつ安全であり、適切な症例では有用な選択肢となる可能性が示された。

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2026/03/18

脳悪性リンパ腫の遺伝子異常を最新型の半導体PET画像で可視化

論文タイトル
Digital FDG-PET Detects MYD88 Mutation-Driven Glycolysis in Primary CNS Lymphoma
論文タイトル(訳)
脳悪性リンパ腫の遺伝子異常を最新型の半導体PET画像で可視化
DOI
10.3174/ajnr.A8935
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
January 2026, 47 (1) 117-125
著者名(敬称略)
佐々木麻結 立石 健祐 他
所属
横浜市立大学脳神経外科
著者からのひと言
本研究では、dFDG-PETにおけるFDG集積の亢進が、MYD88遺伝子変異に関連する明確な神経画像学的特徴として同定されました。この知見は、PCNSLにおける画像検査を用いた遺伝学的分類を支援するツールとして、dFDG-PETが有する潜在的な有用性を示唆するものであり、また今後の個別化治療戦略への応用が期待されるところです。

抄訳

中枢神経系原発リンパ腫(PCNSL)におけるFDG-PET所見と糖代謝関連遺伝子異常との関連は十分に解明されていない。本研究では、解糖系活性を促進する主要な遺伝子異常であるMYD88変異を、半導体PETにより非侵襲的に検出可能か検討した。PCNSL 54例(55病変)を対象に、SUVmaxおよび腫瘍対背景比(TBR)とMYD88変異との関連を解析した。その結果、半導体FDG-PETではMYD88変異例でSUVmaxおよびTBRが有意に高値を示し、TBRは高い診断能(AUC=0.913)を示した。多変量解析でも両指標は独立した予測因子であった。さらにトランスクリプトーム解析により、MYD88変異例で解糖系関連遺伝子の発現亢進が確認された。以上より、半導体FDG-PETはMYD88変異に伴う代謝亢進を反映する有用な非侵襲的診断法となり得る。

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2026/03/17

単細胞生物ソライロラッパムシにおける固着場所の幾何選好性

論文タイトル
Geometrical preference of anchoring sites in the unicellular organism Stentor coeruleus
論文タイトル(訳)
単細胞生物ソライロラッパムシにおける固着場所の幾何選好性
DOI
10.1073/pnas.2518816123
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences
巻号
Proceedings of the National Academy of Sciences Vol.123 No.9 e2518816123
著者名(敬称略)
越後谷駿 西上幸範 他
所属
北海道大学電子科学研究所知能数理研究分野
著者からのひと言
ラッパムシを含む単細胞性の真核生物「原生生物」は、下水浄化を行ったり赤潮や、マラリアなどの感染症を引き起こしたりと、様々なところで活躍しています。これらのマクロな現象は、どれも個々の原生生物の行動が組み合わさり現れています。原生生物の行動はまだまだ謎に満ちており、オモシロ行動がたくさん観察されます。それらの行動が生物や環境に与える役割を解き明かしていきたいと思います。

抄訳

我々のような「目」を持っていない単細胞生物でも実は周りの形の違いに応じて棲家を選んでいることが分かりました。そんな能力を持った単細胞生物の名は「ソライロラッパムシ」。体の大きさは1 mm程、肉眼では点にしか見えない生き物ですが、普段はラッパのような形で水の中を泳ぎ、自身の棲家を探しまわっています。どのような場所を棲家として好み、どうやって選んでいるのでしょうか。
ラッパムシが生きるミクロな水環境中にはたくさんの構造物がありふれています。そこで自然界のミクロな形の複雑さ模した観察容器を使ってソライロラッパムシの行動を観察しました。その結果、すみっこを棲家として好むことが分かりました。もちろん神経系や視覚情報は持っていませんが、体の形を変化させるシンプルな機構によって探索の空間解像度を切り替え、空間中のすみっこを見つけやすくする戦略をとっていることも行動観察と行動シミュレーションから明らかになりました。

 

 

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