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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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2017/08/09

神経内分泌腫瘍に対する臨床試験においてPFSはOSのサロゲートエンドポイントとして妥当か

論文タイトル
Progression―free survival as a surrogate endpoint in advanced neuroendocrine neoplasms
論文タイトル(訳)
神経内分泌腫瘍に対する臨床試験においてPFSはOSのサロゲートエンドポイントとして妥当か
DOI
10.1530/ERC-17-0197
ジャーナル名
Endocrine-Related Cancer BioScientifica
巻号
Endocrine-Related Cancer Vol.24 No.9 (475-483)
著者名(敬称略)
今岡 大 他
所属
国立がん研究センター東病院肝胆膵内科

抄訳

悪性腫瘍を対象とした臨床試験におけるゴールドスタンダードは一般に全生存期間(OS)と考えられている。一方、神経内分泌腫瘍(NEN)を対象とした第III相試験においては、プライマリーエンドポイントとして無増悪生存期間(PFS)が用いられることが多いが、OSに対するPFSのサロゲートエンドポイントとしての妥当性は検証されたことがない。そこで、その妥当性を検証するためにシステマテックレビューが行われた。解析においてはデータベースを用いて電子的に文献が収集され、1996~2016年の間にNENを対象として行われた臨床試験を対象としたが、neuroendocrine carcinomaを含む試験は除外した。適格基準を満たす20試験が解析の対象となり、30の試験アームと2530人の患者が含まれた。試験アームごとの検討では、PFSはOSとの有意な相関を示したが(rs=0.587)、客観的奏効率は有意な相関を示さなかった。サブグループ解析では、ソマトスタチンアナログ製剤の併用が許容されないサブグループで高い相関が認められた。これらの結果より、NENを対象とした臨床試験において、PFSはOSと相関しており、サロゲートエンドポイントとして許容されるものと考えられた。

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2017/08/07

食事摂取はGIP/PSG17を介して受精に影響を与える

論文タイトル
Food Intake Affects SpermーEgg Fusion Through the GIP/PSG17 Axis in Mice
論文タイトル(訳)
食事摂取はGIP/PSG17を介して受精に影響を与える
DOI
10.1210/en.2016-1861
ジャーナル名
Endocrinology Endocrine Society
巻号
Endocrinology Vol.158 No.7 (2134-2144)
著者名(敬称略)
清水 辰徳、山田 祐一郎 他
所属
秋田大学大学院医学研究科 医学専攻 病態制御医学系 内分泌・代謝・老年内科学講座

抄訳

過食や飢餓状態はともに生殖能を低下させることが知られているが、食事と生殖能をつなぐ分子機構は明らかにされていなかった。我々は、食事と男性の生殖能の関係に着目し研究を進めた。本研究では、摂食により小腸上部から分泌される消化管ホルモンGastric inhibitory polypeptide (GIP)の受容体がマウス精子細胞に発現し、受精に必須とされる卵側の因子CD9に結合するPSG17の発現を正に制御すること、PSG17が精子頭部に発現し、GIPシグナルを遮断したマウスの精子が野生型マウスの精子と比較して有意に卵との受精能が低いことを報告する。また、摂食によってGIPの血中濃度は上昇し、精巣でのPsg17発現も増加するが、長期間高脂肪食を負荷すると精巣のGIP受容体発現量が著明に低下し、GIP抵抗性が生じることも明らかになった。これらの結果は、飢餓によるGIP血中濃度の低下や、過食によるGIP受容体の発現量低下によってもたらされるGIPシグナルの低下が受精能を低下させることを示唆する。また、精巣におけるGIP抵抗性は、肥満症・糖尿病における男性不妊の一因と考えられることから、GIP抵抗性の改善が、肥満症・糖尿病における男性不妊の新たな治療法となることが期待される。

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2017/07/24

活性イオウ分子種は、活性中心のシステイン残基のS-ポリスルフィド化を介してCa2+/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼIVを不活性化する

論文タイトル
Reactive sulfur species inactivate Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase IV via Sーpolysulfidation of its activeーsite cysteine residue
論文タイトル(訳)
活性イオウ分子種は、活性中心のシステイン残基のS-ポリスルフィド化を介してCa2+/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼIVを不活性化する
DOI
10.1042/BCJ20170092
ジャーナル名
Biochemical Journal Biochemical Society
巻号
Biochemical Journal Vol.474 No.15 (2547-2562)
著者名(敬称略)
髙田 剛、渡邊 泰男 他
所属
昭和薬科大学医療薬学系薬理学研究室

抄訳

活性イオウ分子種(RSS)は、生体内で産生され非常に高い抗酸化能を示し、生体内のレドックス恒常性を維持している。加えて、標的タンパク質の特定のシステイン残基を多イオウ化修飾(-S-(S)n-H: S-ポリスルフィド化)することでタンパク質機能を調節している。一方、Ca2+/カルモデュリン(CaM)依存性プロテインキナーゼIV(CaMKIV)は、Ca2+/CaM結合と上流のキナーゼによるリン酸化修飾によってその活性が制御されている。本論文では、核内に局在するCaMKIVのRSSによる部位特異的S-ポリスルフィド化修飾によって、下流の遺伝子転写活性が抑制されていることを見いだした。さらに、これらの現象が小胞体ストレス時に作動していることを示唆した。つまり、小胞体ストレス時の新規応答システムの1つとして、RSSを介した新規CaMKIV活性阻害による遺伝子転写活性抑制があるのかもしれない。

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2017/06/19

膀胱癌のイメージングバイオマーカーとしての拡散強調MRI

論文タイトル
DWI as an Imaging Biomarker for Bladder Cancer
論文タイトル(訳)
膀胱癌のイメージングバイオマーカーとしての拡散強調MRI
DOI
10.2214/AJR.17.17798
ジャーナル名
American Journal of Roentgenology American Roentgen Ray Society
巻号
AJR June 2017, Volume 208, Number 6, 1218-1228.
著者名(敬称略)
吉田 宗一郎 他
所属
東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 腎泌尿器外科学

抄訳

膀胱癌の診療において、腫瘍の存在診断のみならず、進達度診断、悪性度や治療効果判定等の質的診断が求められる。拡散強調MRI (DWI)は組織内の水分子の動きである拡散現象を利用した機能的画像法であり、近年、膀胱癌の評価における臨床利用が進んでいる。DWIにて膀胱癌は明瞭かつ均一な高信号を呈し、その一方で膀胱内の尿の信号は良好に抑制されため、DWIは膀胱癌の描出に優れている。DWI信号は腫瘍組織の特徴を反映し、その信号の定量的指標である見かけの拡散係数(ADC値)は組織学的悪性度や生物学的悪性度を反映するイメージングバイオマーカーとなる。膀胱癌の再発評価、化学放射線療法に対する感受性予測や治療効果判定等の臨床経過の評価におけるDWI信号やADC値の有用性が示されている。さらに、DWIBS法の使用により、一度に全身のDWIを撮影可能となっており、転移性膀胱癌の評価における有用性の確立に期待される。

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2017/06/13

アンドロゲンが雌ラットのキスペプチンニューロン及び黄体形成ホルモン分泌に与える影響

論文タイトル
Effect of androgen on Kiss1 expression and luteinizing hormone release in female rats
論文タイトル(訳)
アンドロゲンが雌ラットのキスペプチンニューロン及び黄体形成ホルモン分泌に与える影響
DOI
10.1530/JOE-16-0568
ジャーナル名
Journal of Endocrinology Bioscientifica
巻号
J of Endocrinology Vol.233 No.3 (2017) 281-292
著者名(敬称略)
岩田 衣世、小澤 一史 他
所属
日本医科大学 大学院医学研究科 解剖学・神経生物学

抄訳

高アンドロゲン血症を示す女性では不妊など生殖機能に異常がみられる。本研究ではアンドロゲンが雌の生殖機能にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目的とした。
 長期アンドロゲン投与により卵胞発育を促す黄体形成ホルモン(LH)のパルス状分泌は抑制され、LHパルス分泌に関わる弓状核のキスペプチンニューロンの発現も抑制されていた。排卵を誘起するLHのサージ状分泌に関わっている前腹側室周囲核(AVPV)のキスペプチンニューロンの発現は、対照群と比べて差はなかったが、LHサージは抑制されていた。キスペプチンは性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)を介してLHを分泌するが、長期アンドロゲン投与ラットでは、GnRH投与によるLH分泌が低下していた。雌ラットにおいて弓状核のキスペプチンの多くはアンドロゲン受容体を発現していたが、AVPVのキスペプチンは、アンドロゲン受容体をほとんど発現していなかった。
 以上の結果から、雌において高アンドロゲン血症は、弓状核のキスペプチンニューロンの抑制と下垂体レベルで機能不全を起こし、その結果、卵胞発育と排卵機構が抑制され、月経不順や不妊を引き起こす可能性が示唆された。

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2017/05/09

リンカ‐DNAとヒストンテールを介したヌクレオソーム間の相互作用が細胞核の硬さを制御する

論文タイトル
Nucleosome‐nucleosome interactions via histone tails and linker DNA regulate nuclear rigidity
論文タイトル(訳)
リンカ‐DNAとヒストンテールを介したヌクレオソーム間の相互作用が細胞核の硬さを制御する
DOI
10.1091/mbc.E16-11-0783
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell American Society of Cell Biology
巻号
42845
著者名(敬称略)
島本 勇太、前島 一博
所属
情報・システム研究機構 国立遺伝学研究所 定量メカノバイオロジー研究室、同研究所 生体高分子研究室

抄訳

細胞は、収縮・遊走・接着などに伴って生体内でさまざまな力を発生し、また外から与えられた力に応答しながら上手く機能している。これらの力は細胞の核にも伝わり、核を歪め、内部に収納されたDNAの機能を阻害すると考えられている。
核に生じる変形は細胞死やがん化とも関連する重要な形質であるが、これまで核の硬さや弾性を直接計測することは難しく、従って核が力のストレスにいかに対抗するかのメカニズムはほとんど分かっていなかった。
本研究では、微小ガラスニードルを用いた物理計測とクロマチン生化学の解析手法を組み合わせることで、細胞核の硬さと弾性が核内のDNAによって生み出されていることを明らかにした。
さらにこの弾性が、ヌクレオソーム構造を取ったDNAが伸びたり切断されたりすることで弱くなることを発見した。
これまで、細胞核の硬さは核ラミナと呼ばれる核膜の裏打ち構造によって支えられているという考えが主流であった。
また、DNAは遺伝情報をコードするメモリデバイスであると考えられてきた。
本成果は、DNAが弾性バネとして機能することで核の硬さを制御するという、DNAの新たな役割を示唆するものである。

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2017/04/25

前立腺癌におけるNF-κBを介したプロテインキナーゼCによるTwist1の発現制御

論文タイトル
Protein kinase C regulates Twist1 expression via NF-κB in prostate cancer
論文タイトル(訳)
前立腺癌におけるNF-κBを介したプロテインキナーゼCによるTwist1の発現制御
DOI
10.1530/ERC-16-0384
ジャーナル名
Endocrine-Related Cancer Bioscientifica
巻号
Endocrine-Related Cancer Vol.24 No.4 (171-180)
著者名(敬称略)
塩田 真己、他
所属
九州大学大学院医学研究院泌尿器科分野

抄訳

前立腺癌において、去勢抵抗性前立腺癌への進展は致命的なステップとなる。我々は、プロテインキナーゼCの活性化によるTwist1とアンドロゲン受容体の誘導が去勢抵抗性獲得において重要な役割を果たしていることを示したが、その詳細な分子メカニズムは明らかでない。本研究では、NF-κBに焦点を当て、それらと関連するメカニズムを解明することを目指した。
その結果、プロテインキナーゼC阻害によりRelAの活性が低下し、NF-κB阻害によりTwist1とアンドロゲン受容体の発現が低下した。反対に、アンドロゲン受容体阻害によりプロテインキナーゼCとRelAが活性化され、転写レベルでTwist1とアンドロゲン受容体の発現が誘導された。さらに、NF-κB阻害により新規抗アンドロゲン剤であるエンザルタミドによるTwist1とアンドロゲン受容体の誘導が阻害され、去勢抵抗性およびエンザルタミド耐性細胞においてNF-κB活性が増強していることが確認された。
以上より、NF-κBがアンドロゲン受容体阻害によるPKCによるTwist1、アンドロゲン受容体の誘導を担っており、NF-κBは去勢抵抗性およびエンザルタミド耐性の促進において重要な役割を果たしていると考えられた。

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2017/04/18

視交叉上核における概日時計のPer1とBmal1リズムの乖離と行動リズム出力。

論文タイトル
Dissociation of Per1 and Bmal1 circadian rhythms in the suprachiasmatic nucleus in parallel with behavioral outputs
論文タイトル(訳)
視交叉上核における概日時計のPer1とBmal1リズムの乖離と行動リズム出力。
DOI
10.1073/pnas.1511513113
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America National Academy of Sciences
巻号
Published online before print April 17, 2017
著者名(敬称略)
小野 大輔
所属
名古屋大学環境医学研究所 神経系分野II

抄訳

 睡眠・覚醒をはじめ,ヒトの体の機能は約24時間周期のリズムを示す.このリズムは「概日リズム」と呼ばれ,複数の時計遺伝子の分子フィードバックループにより制御されていると考えられており,時計遺伝子Per1とBmal1発現はいずれも同一のリズム周期を示すと考えられてきた.
 しかしながら今回我々は光ファイバーを用い,自由行動下マウス脳内の概日時計中枢である「視交叉上核」のPer1と Bmal1の2つの遺伝子発現の長期計測を行い,光刺激によってリズム位相が変化する際に両遺伝子のリズムが乖離すること,また培養視交叉上核で両遺伝子が異なるリズム周期を示すことを発見した.さらにマウスの行動リズムにおける活動開始はPer1リズムと,休息開始はBmal1リズムと一致して変動することを明らかにし,Per1は生物時計を構成する夕時計(活動開始を制御),Bmal1は朝時計(休息開始を制御)の構成要素であることを示した.本研究は,自由行動中のマウス脳内の遺伝子計測と,発光・蛍光イメージングと電気活動計測を組み合わせた多機能同時計測システムの開発も行い,哺乳類の概日時計に関わる2つの時計遺伝子が独自の振動機構を持つことを明らかにした世界で初めての研究成果である.

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2017/04/17

複数のpostlabeling delayによるarterial spin-labeling MRI (ASL)を用いたもやもや病患者の無侵襲な脳血流・循環遅延評価:15O gas PET, DSC-MRIとの比較

論文タイトル
Noninvasive Evaluation of CBF and Perfusion Delay of Moyamoya Disease Using Arterial Spin-Labeling MRI with Multiple Postlabeling Delays:Comparison with 15O-Gas PET and DSC-MRI
論文タイトル(訳)
複数のpostlabeling delayによるarterial spin-labeling MRI (ASL)を用いたもやもや病患者の無侵襲な脳血流・循環遅延評価:15O gas PET, DSC-MRIとの比較
DOI
https://doi.org/10.3174/ajnr.A5068
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology  American Society of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 38, No. 4 (696-702)
著者名(敬称略)
原 祥子、田中 洋次
所属
東京医科歯科大学 脳神経外科

抄訳

 Arterial spin-labeling MRI (ASL) は造影剤を必要とせず被曝もない無侵襲な脳血流評価法であるが,脳血流定量値が循環遅延やpostlabeling delay(PLD)に影響をうけることも報告されている。
 我々はASLを2つのPLDで撮影し,ASL-CBFとgold standardである15O-gas PET の脳血流定量値(cerebral blood flow: CBF)および循環遅延の程度(DSCのTmaxなど)との関係を検討した。
 18名のもやもや病患者の大脳半球10領域の定量値を検討したところ,ASL-CBF(PLD=1525ms)はCBFと有意な相関を示し(r=0.63; p=0.01),循環遅延の強い領域(Tmax>6.0sなど)ではCBFを過小評価する傾向があった。
 一方でASL-CBF(PLD=2525ms)は血流遅延の程度によらずCBFを過大評価する傾向にあった。 このPLDの異なる2つのASL-CBFの比は,血流遅延の程度と有意な相関を示した(PLD=2525ms/PLD=1525msのASL-CBF比 vs. Tmax: rho=0.71; p<0.0001)。
   以上より,ASLのCBF定量性は血流遅延・PLDに影響されるものの,それを理解した上で使用すれば,無侵襲に脳血流と循環遅延の情報を得られる有用な検査である可能性が示唆された。

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2017/04/10

日本におけるヒトiPS細胞を用いた動物性集合胚研究に対する一般市民の態度

論文タイトル
Public attitudes in Japan towards human?animal chimeric embryo research using human induced pluripotent stem cells
論文タイトル(訳)
日本におけるヒトiPS細胞を用いた動物性集合胚研究に対する一般市民の態度
DOI
10.2217/rme-2016-0171
ジャーナル名
Regenerative Medicine Future Science Group
巻号
Ahead of Print Posted online on March 2, 2017
著者名(敬称略)
澤井 努 他
所属
京都大学iPS細胞研究所・上廣倫理研究部門

抄訳

 現在日本では、移植用臓器の作製に関する基礎研究のために、動物の胚にヒト細胞を注入し、「動物性集合胚」を作製することが認められている。しかし、当該胚をある一定期間を越えて発生させたり、動物の子宮に戻したりすることは認められていない。
このような中で我々は、2016年2月~4月の間に、動物性集合胚を用いた研究に関する質問紙調査を実施し、一般市民520名と京都大学iPS細胞研究所の研究者105名から回答を得た。本調査の特徴は、当該研究を三つの段階(1.動物の胚へのヒトiPS細胞の注入、2.人の臓器を持つ動物の作製、3.臓器を必要とする人への移植)に分け、さらに各段階の研究目的を示した上で、どの段階までであれば受け入れられるのかを尋ねた点にある。
本調査の結果、動物性集合胚の作製に関しては、80%以上の一般市民が、また90%以上の研究者が認められると回答し、現在、国内では認められていない人の臓器を持つ動物個体の作製に関しても、60%以上の一般市民が、また80%以上の研究者が認められると回答した。
本調査では、多くの一般市民、研究者が、現在日本で認められている以上の研究を認めるということが明らかになったが、この結果から直ちに当該研究を推進すべきだという主張につながるわけではない。質問紙の自由記載では、一般市民や研究者のいずれからも、期待だけではなく懸念も示された。
今後、当該研究が社会に広く受容されていくためには、一般市民および研究者の懸念を特定し、それを取り除くことが求められる。また、研究の情報発信のあり方として、研究の手順とともに、研究目的を具体的に説明することも大事になってくるであろう。

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