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国内研究者論文紹介

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ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

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2018/06/28

NCCNガイドラインおよび膵癌取扱い規約による膵癌切除可能性評価

論文タイトル
Modified National Comprehensive Cancer Network Criteria for Assessing Resectability of Pancreatic Ductal Adenocarcinoma
論文タイトル(訳)
NCCNガイドラインおよび膵癌取扱い規約による膵癌切除可能性評価
DOI
10.2214/AJR.17.18595
ジャーナル名
American Journal of Roentgenology American Roentgen Ray Society
巻号
AJR June 2018, Volume 210, Number 6 1252-1258
著者名(敬称略)
野田 佳史, 五島 聡 他
所属
岐阜大学 放射線科

抄訳

NCCNガイドラインに記載されている膵癌切除可能性分類に,膵癌取扱い規約の局所進展度因子評価を追加することで,術前CTでの切除可能性評価が向上するか否か検討した.
術前ダイナミック造影CTを撮像された86例の切除膵癌症例を対象に,NCCNガイドラインの切除可能性分類に記載されている脈管侵襲(NCCN score)および膵癌取扱い規約に記載されている局所進展度(JPS score)につき,それぞれ浸潤程度によってスコア化し,そのスコアを合算した(Combined score).R0切除症例とR1/R2切除症例の分離能をそれぞれのスコアで評価した.
Combined scoreを用いた上記分離能は感度 86.9%,特異度 68.0%,AUC 0.874であり,AUCはNCCN scoreと比較し,有意に高値であった(P = 0.0059).
NCCNガイドラインと膵癌取扱い規約の双方を用いた膵癌切除可能性評価は,それぞれ単独での評価と比較し,より正確な評価が可能であった.

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2018/06/26

脈絡膜厚及び中心性漿液性網脈絡膜症に関連する遺伝子CFH、VIPR2の同定

論文タイトル
CFH and VIPR2 as susceptibility loci in choroidal thickness and pachychoroid disease central serous chorioretinopathy
論文タイトル(訳)
脈絡膜厚及び中心性漿液性網脈絡膜症に関連する遺伝子CFH、VIPR2の同定
DOI
10.1073/pnas.1802212115
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
PNAS Vo.115 No.24 (6261-6266)
著者名(敬称略)
細田 祥勝, 山城 健児 他
所属
京都大学大学院医学研究室 眼科学教室

抄訳

 中心性漿液性網脈絡膜症(CSC)は脈絡膜の肥厚に伴う黄斑部の漿液性網膜剥離を来す疾患である。続発性に脈絡膜新生血管を発症して、滲出型加齢黄斑変性(AMD)と酷似した病態を呈することもあり、CSCとAMDには共通した発症機序が関与しているのではないかとも考えられてきた。
 今回我々は、6110人の日本人データを用いたゲノムワイド関連解析で、脈絡膜厚に関連する2つの遺伝子(CFH・VIPR2)を同定した。さらに、この2つの遺伝子がCSCの発症にも関わっていることが、701人の日本人CSC患者の追加データおよび韓国人2068人のデータを用いた解析で確認できた。
 また、脈絡膜が厚く、CSCを発症しやすい型のCFH遺伝子を持っているとAMDを発症しにくくなり、逆にAMDを発症しやすい型のCFH遺伝子を持っていると、脈絡膜は薄くなり、CSCを発症しにくくなることも判明した。
 今回の研究ではCSCの発症予防や新たな治療につながる結果が得られた。また、CFH遺伝子には2つの役割があり、脈絡膜の肥厚およびCSCの発症と、AMDの発症には異なった機序が関与している可能性が示された。

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2018/06/19

ヒメギス(キリギリス科、学名Metrioptera engelhardti)の腸管から単離された新種の乳酸菌Lactobacillus metriopterae の発見

論文タイトル
Lactobacillus metriopterae sp.nov.,a novel lactic acid bacterium isolated from the gut of grasshopper Metrioptera engelhardti
論文タイトル(訳)
ヒメギス(キリギリス科、学名Metrioptera engelhardti)の腸管から単離された新種の乳酸菌Lactobacillus metriopterae の発見
DOI
10.1099/ijsem.0.002694
ジャーナル名
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology Microbiology Society
巻号
Volume 68,Issue 5,1484-1489 May 2018
著者名(敬称略)
千葉 誠、川崎 信治 他
所属
東京農業大学 応用生物科学部 バイオサイエンス学科、東京農業大学 生命科学部 分子微生物学科 兼務

抄訳

我々は植物(湿原や草原の花を中心として)と同調査域の昆虫に生息する嫌気性菌の微生物生態に関して研究を行っている。
これまでに尾瀬湿原の花から新種の嫌気性乳酸菌Lactobacillus ozensisとLactobacillus floricolaを単離・報告してきた。
長野県の野々海高原は人里離れた湿原で、貴重な生態系が存在することから、許可を得て経年的に調査を行っている。
野々海高原に生息する花や昆虫の微生物叢を調査する過程で、草食性(雑食)のヒメギスに由来する腸内細菌叢を解析した結果、未記載種の乳酸生成菌を単離した。
16S rRNA遺伝子解析の結果、既知細菌種との相同性が96%台と低く、かつ近縁種にはない形態的な特徴(黄色を呈するなど)や生化学的特徴を有していたことから、新種 Lactobacillus metriopteraeを提唱した。メタ16S rRNA遺伝子の解析結果から、本細菌はヒメギス腸管細菌叢の18~78%を占める最優占種であることが判明した。
今後、ヒメギス腸内における本新種の生理学的な役割の解明が期待される。

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2018/06/15

ダイアファナス関連フォルミンmDia1のらせん回転はコフィリン抵抗性のアクチン線維を生成する

論文タイトル
Helical rotation of the diaphanous-related formin mDia1 generates actinfilaments resistant to cofilin
論文タイトル(訳)
ダイアファナス関連フォルミンmDia1のらせん回転はコフィリン抵抗性のアクチン線維を生成する
DOI
10.1073/pnas.1803415115
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
PNAS Vo.115 No.22 (E5000-E5007)
著者名(敬称略)
水野 裕昭, 渡邊 直樹 他
所属
京都大学大学院生命科学研究科 分子動態生理学分野

抄訳

細胞内でいかに多様なアクチン線維構造が生み出され、異なる動態を示すかについては多くの謎が残されている。以前われわれが報告したように、フォルミンファミリーはアクチン線維端に結合したまま連続的に線維を伸長するとともに、線維の二重らせん構造に沿って回転する。今回、フォルミンファミリーの1つmDia1がそれ自身と線維の反対端が固定されるとアクチン線維のねじれを緩める力を発生し、アクチン脱重合因子コフィリンによる線維切断を抑制することを見出した。コフィリンはアクチン線維のねじれを30%増強することが知られている。培養細胞では、細胞構造につなぎとめられるタイプのmDia1の活性型変異体(ΔC63)を過剰発現すると、アクチン線維の寿命が延長し、コフィリンへの結合が減弱することが判明した。さらに電子顕微鏡を用い、mDia1が生むトルクがアクチン線維のらせんピッチ長を延長することを可視化することに成功した。本研究は、線維のねじれを介して遠距離にある分子の働きを変えるユニークなしくみを明らかにするとともに、多様なアクチン構造が細胞内で共存しながら作動するメカニズムの解明に向け、新たな枠組みを提供する。

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2018/06/13

心筋ミオシン結合タンパク質CとフォルミンFhod3との相互作用

論文タイトル
Interaction between cardiac myosin-binding protein C and formin Fhod3
論文タイトル(訳)
心筋ミオシン結合タンパク質CとフォルミンFhod3との相互作用
DOI
10.1073/pnas.1716498115
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
Vol.115 No.19
著者名(敬称略)
松山 翔、武谷 立 他
所属
宮崎大学 医学部 薬理学分野

抄訳

心筋ミオシン結合タンパク質C(cMyBP-C)の遺伝子変異は、家族性肥大性心筋症の主因のひとつである。cMyBP-Cは、心筋サルコメア内のC-ゾーンと呼ばれる領域に局在し、クロスブリッジ制御を介して心機能を調節すると考えられているが、そのメカニズムには不明な点が多い。今回我々は、新規のcMyBP-C結合タンパク質として、心筋サルコメアの形成・維持に必須のアクチン調節因子であるフォルミンFhod3を同定した。cMyBP-Cの心臓特異的なN末端Ig様ドメインが、Fhod3の心臓特異的なN末領域と直接相互作用していた。cMyBP-Cとの結合領域を欠いた非心筋型Fhod3バリアントはC-ゾーンに局在できないこと、逆に心筋型Fhod3バリアントがcMyBP-C欠損マウスのC-ゾーンに局在できないことから、本相互作用がFhod3のC-ゾーンへの局在を決定していると考えられた。cMyBP-C欠損マウスにおける心筋症様の表現型は、Fhod3の過剰発現によって増悪し、逆にFhod3タンパク質レベルの低下により部分的に改善されたことから、Fhod3が正しい部位に局在できないcMyBP-C-欠損の状態下ではFhod3が心機能に有害な作用を及ぼすことが示唆された。以上より、Fhod3はcMyBP-Cとの直接結合を介して心機能の制御に関わると考えられる。

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2018/06/13

X染色体優性低リン血症性くる病とFGF23関連低リン血症性疾患: 新規治療への期待

論文タイトル
X-Linked Hypophosphatemia and FGF23-Related Hypophosphatemic Diseases: Prospect for New Treatment
論文タイトル(訳)
X染色体優性低リン血症性くる病とFGF23関連低リン血症性疾患: 新規治療への期待
DOI
10.1210/er.2017-00220
ジャーナル名
Endocrine Reviews Endocrine Society
巻号
Endocrine Reviews Vol.39 No.3 (274?291)
著者名(敬称略)
木下 祐加, 福本 誠二
所属
徳島大学 藤井節郎記念医科学センター

抄訳

リンは生体内で多様な作用を有しており、血中リン濃度は一定の範囲に維持されている。線維芽細胞増殖因子23(fibroblast growth factor 23: FGF23)は骨により産生されるリン調節ホルモンで、腎近位尿細管リン再吸収と、血中1,25-水酸化ビタミンD濃度の低下を介する腸管リン吸収の抑制により、血中リン濃度を低下させる。過剰なFGF23活性により、いくつかのFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症が惹起されることが明らかにされた。特に、phosphate-regulating endopeptidase homolog, X-linked (PHEX)遺伝子不活性型変異によるX染色体優性低リン血症性くる病(X-linked hypophosphatemic rickets: XLH)は、遺伝性低リン血症性くる病の中で最も頻度の高い疾患である。リン製剤と活性型ビタミンD製剤が、現状ではXLH等に対し使用されている。しかしこれらの治療には、有効性や有害事象の点で、限界があることが知られている。そこでFGF23の活性阻害が、XLH等に対する新たな治療法となるかどうかが検討されている。特に、FGF23活性を阻害するモノクローナル抗体は、FGF23関連低リン血症性疾患に対する新規治療として有望視されている。

追記
本論文執筆後の2018年に、抗FGF23抗体はEuropean Medicines Agency(EMA)、およびFood and Drug Administration(FDA)からXLHに対し認可された。

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2018/06/05

腸管出血性大腸菌の低分子RNA Esr41はLEEとべん毛遺伝子群の発現を逆向きに調節する。

論文タイトル
Small RNA Esr41 inversely regulates expression of LEE and flagellar genes in enterohaemorrhagic Escherichia coli
論文タイトル(訳)
腸管出血性大腸菌の低分子RNA Esr41はLEEとべん毛遺伝子群の発現を逆向きに調節する。
DOI
10.1099/mic.0.000652
ジャーナル名
Microbiology Microbiology Society
巻号
Microbiology Volume 164, Issue 5, May 2018 821-834
著者名(敬称略)
須藤 直樹、関根 靖彦 他
所属
立教大学 理学部 生命理学科 分子生物学研究室

抄訳

腸管出血性大腸菌(以下、EHEC)は溶血性尿毒素症候群などの重症例を伴う感染症を引き起こす、臨床上重要な病原性細菌である。EHECの多くは、宿主細胞への感染に直接に関与する3型分泌装置をコードするLEEと呼ばれる病原性遺伝子群をもつ。このLEEの発現が活性化するとき、べん毛をコードするべん毛遺伝子群の発現が抑制される。この遺伝子発現制御の意義は、宿主細胞への感染の際、宿主側の免疫系を活性化するべん毛の発現を抑制することで、免疫系の誘導を回避することにあると考えられる。本研究は、低分子RNAであるEsr41が、LEEの主要な転写活性化因子をコードするlerを転写後段階で抑制すること、lerの転写活性化因子をコードするpchの転写を間接的に抑制することでLEEの発現を抑制し、EHECの宿主細胞への接着性を低下させることを示した。さらに、Esr41がべん毛特異的シグマ因子をコードするfliAの転写を間接的に活性化させることで、べん毛遺伝子群の発現を上昇させることを示した。これらの結果は、LEEとべん毛遺伝子群間における逆相関の発現制御においてEsr41が重要な役割を担うことを示唆する。

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2018/05/23

オステオポンチンの細胞接着活性とリン酸化修飾における部位特異的O-結合型糖鎖修飾の生物学的役割

論文タイトル
Biological role of site-specific O-glycosylation in cell adhesion activity and phosphorylation of osteopontin
論文タイトル(訳)
オステオポンチンの細胞接着活性とリン酸化修飾における部位特異的O-結合型糖鎖修飾の生物学的役割
DOI
10.1042/BCJ20170205
ジャーナル名
Biochemical Journal Portland Press
巻号
Biochemical Journal Vol. 475 No. 9 (1583-1595)
著者名(敬称略)
大山 翠、苅谷 慶喜 他
所属
福島県立医科大学医学部生化学講座

抄訳

 オステオポンチン(OPN)は、細胞の接着や運動の制御により、癌をはじめとする様々な疾患の増悪に関わる糖タンパク質である。OPN は5か所のO-結合型糖鎖付加部位に加え、40か所以上のリン酸化部位をもつ。これまでOPNの生物学的活性は、糖鎖やリン酸化により調節を受けると考えられてきたが、直接的な証拠は得られていない。それゆえ、OPNのO-結合型糖鎖修飾とリン酸化修飾、接着活性の3者の関係については不明である。
 本研究では、部位特異的にO-結合型糖鎖をもつOPN変異体を用いて、それらの関係について詳細な検討をおこなった。その結果、1) OPNのO-結合型糖鎖が部位特異的に細胞接着活性およびリン酸化に影響を与えること、2)リン酸化レベルとO-結合型糖鎖の数、接着活性は必ずしも相関しないこと、が明らかとなった。これらの結果は、O-結合型糖鎖によるOPN機能およびリン酸化の新たな調節メカニズムを示唆するものである。

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2018/05/18

ウシ胚盤胞期胚栄養外胚葉の発生におけるTEAD4とCCN2の相互制御

論文タイトル
Reciprocal regulation of TEAD4 and CCN2 for the trophectoderm development of the bovine blastocyst
論文タイトル(訳)
ウシ胚盤胞期胚栄養外胚葉の発生におけるTEAD4とCCN2の相互制御
DOI
10.1530/REP-18-0043
ジャーナル名
Reproduction Bioscientifica
巻号
Reproduction Vol.155 No.6 (563-571)
著者名(敬称略)
秋沢 宏紀, 川原 学 他
所属
北海道大学大学院農学研究院 生物資源科学専攻 家畜生産生物学講座

抄訳

哺乳類胚では胚盤胞期胚において最初の分化として二つの細胞集団、すなわち内部細胞塊 (ICM)と栄養外胚葉 (TE)への特徴づけが行われる。げっ歯類モデルでは、胚割球をTEに導く制御因子としてTEA domain transcription factor 4 (TEAD4)が重要な役割を果たすことが広く知られている。しかし、ウシ胚ではTEAD4の役割は不明である。本研究ではまず、ウシ胚盤胞期胚におけるTEAD4発現はmRNAとタンパク質の両方のレベルでICMと比べてTEで高いという部位優勢な発現様式を確かめた。そして、TEAD4遺伝子発現抑制 (knockdown: KD)により、TE分化関連遺伝子、CDX2GATA2CCN2の発現レベルが対照区と比較し有意に低下することを見出した。次いで、下方制御された遺伝子の中で最も大きく発現を低下させていたCCN2に着目し、ウシ胚においてCCN2 KDを試したところ、CDX2GATA2TEAD4の発現レベルが対照区と比べ有意に低下した。さらに、CCN2 KD胚では対照区と比べ、ICMに対するTEの細胞数比が減少していた。以上より、CCN2がTEAD4の制御を受けること、ならびに、これら二因子の相互的な制御が、胚盤胞期胚の適切な遺伝子発現の制御を介してTE細胞分化に重要な役割を果たすことが明らかになった。

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2018/05/16

生体試料中薬物濃度分析法における一般的な変更に対するフルバリデ-ション及びパーシャルバリデーションへの科学的リスクベースドアプローチの提案

論文タイトル
Proposal for risk-based scientific approach on full and partial validation for general changes in bioanalytical method
論文タイトル(訳)
生体試料中薬物濃度分析法における一般的な変更に対するフルバリデ-ション及びパーシャルバリデーションへの科学的リスクベースドアプローチの提案
DOI
10.4155/bio-2017-0226
ジャーナル名
Bioanalysis Future Science Group
巻号
Bioanalysis: Ahead of Print, Published Online: 10 Apr 2018
著者名(敬称略)
望月あゆみ、家木克典、上森 浩、永尾 明美、中井 恵子、中山 聡、難波 英太郎
所属
(望月)大塚製薬株式会社 新薬開発本部 クリニカルマネジメント部 臨床薬理室

抄訳

FDA,EMA及びMHLWが発出している生体試料中薬物濃度分析法のバリデーションに関するガイドライン/ガイダンスには,フルバリデーションの評価項目は詳しく記載されているが,パーシャルバリデーションの詳細は殆ど記載されていない。そのような中で,著者らはJapan Bioanalysis Forum(JBF)の活動の一環として,2012年から2014年にかけて製薬企業やCROに在席するメンバーで構成された3つのディスカッショングループを結成し,日本におけるLC-MS/MSを用いた低分子の生体試料中薬物濃度分析で考え得るパーシャルバリデーション項目に焦点を当てて議論を行った。この論文では,各種分析法の部分変更に対するフルバリデーション又はパーシャルバリデーションの必要評価項目について,著者らの経験およびJBFシンポジウムの参加者と行った意見交換を基に導き出した見解並びに推奨内容を紹介する。なお,本論文はJBFの総意を代弁するものではなく,執筆段階の著者の意見である。

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