本文へスキップします。

H1

国内研究者論文紹介

コンテンツ

ユサコでは日本人の論文が掲載された海外学術雑誌に注目して、随時ご紹介しております。

論文検索

(以下、条件を絞り込んで検索ができます。)

日本人論文紹介:検索
日本人論文紹介:一覧

2017/01/23

シアル酸模倣ペプチドを修飾したダイヤモンド電極によるインフルエンザウイルスの高感度検出

論文タイトル
Highly sensitive detection of influenza virus by boron-doped diamond electrode terminated with sialic acid-mimic peptide
論文タイトル(訳)
シアル酸模倣ペプチドを修飾したダイヤモンド電極によるインフルエンザウイルスの高感度検出
DOI
10.1073/pnas.1603609113
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
PNAS Published online before print July 25, 2016
著者名(敬称略)
松原 輝彦、佐藤 智典 他
所属
慶應義塾大学理工学部バイオ分子化学研究室

抄訳

 インフルエンザの早期治療を開始して重症化を防ぐためには、感染初期における迅速な診断が必要です。しかし現在、臨床現場で使われている迅速診断キットは感度が低く、発症直後の少ないウイルス量でも利用できる高感度に検出するデバイスの開発が望まれています。
 ウイルスがヒトに感染するときに使われる糖鎖受容体は亜型に関係なく共通しています。本論文では、この受容体を機能的に模倣するペプチドをダイヤモンド電極に修飾したデバイスを開発し、季節性インフルエンザウイルスの検出に成功しました。ここで用いる電極はホウ素をドープしたダイヤモンド(boron-doped diamond, BDD)であり、生体分子の吸着が少ないなどの優れた特徴を有しています。電極デバイスの感度はとても高く、発症直後で採取される程度の少ないウイルス量(20 pfu程度:pfuはプラーク形成単位)を検出することが可能でした。
 今後、季節性ウイルスのみならず新型ウイルスの迅速診断や、携帯が可能な小型の電気化学デバイスでの実用化が期待できます。

論文掲載ページへ

2016/11/28

JRAB/MICAL-L2の1分子構造変化が制御する集団的細胞運動

論文タイトル
Conformational plasticity of JRAB/MICAL-L2 provides ”law and order” in collective cell migration
論文タイトル(訳)
JRAB/MICAL-L2の1分子構造変化が制御する集団的細胞運動
DOI
10.1091/mbc.E16-05-0332
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell American Society for Cell Biology
巻号
Mol.Biol.Cell October 15, 2016 vol.27 no.20 (3095-3108)
著者名(敬称略)
坂根 亜由子、佐々木 卓也 他
所属
徳島大学大学院医歯薬学研究部 医科学部門 生化学分野

抄訳

複数の細胞からなる細胞集団の運動(集団的細胞運動)は、胎生期の組織・器官形成の過程だけでなく、創傷治癒やがん転移などでも広く認められる。本研究では、低分子量Gタンパク質Rab13の標的タンパク質であるJRABというたった1分子の構造変化に着目して、生化学、細胞生物学、コンピュータサイエンス、バイオインフォマティクス、バイオメカニクスといった異分野領域の融合研究によって複雑・高次な集団的細胞運動の制御機構の解明を試みた。
まず、バイオインフォマティクスと生化学的実験を組み合わせた手法でJRABのRab13との結合による構造変化モデルを示した。さらに、JRABの野生型や構造変異体(open formとclosed form)を発現させた3種類の細胞集団の動きの異なった特徴をライブイメージング像の時空間ボリュームレンダリングによる解析で抽出・可視化に成功するとともに、オプティカルフローと主成分分析を組み合わせた画像の輝度変化に強い手法を開発し、従来法では困難だった細胞集団の動きの計算と膨大な情報の定量的な解析を実現した。また、開発したバイオメカニクスの手法を用いた解析では、closed form のJRABが細胞集団の先頭の一部で集団を引っ張るのに必要な力を生み出していることが明らかになった。
以上の研究成果により、構造を自由に変化できる野生型のJRABは、open formやclosed form変異体と比較して最も効率の良い細胞集団の動きを可能にすることを証明できた。

論文掲載ページへ

2016/09/20

ネクチンスポット:ネクチン依存性の新規細胞間接着装置

論文タイトル
Nectin spot:a novel type of nectinーmediated cell adhesion apparatus
論文タイトル(訳)
ネクチンスポット:ネクチン依存性の新規細胞間接着装置
DOI
10.1042/BCJ20160235
ジャーナル名
Biochemical Journal Biochemical Society
巻号
Biochemical Journal Vol.473 No.18 (2691-2715)
著者名(敬称略)
水谷 清人,高井 義美
所属
神戸大学大学院医学研究科 生化学・分子生物学講座 シグナル統合学分野 病態シグナル学部門

抄訳

ネクチンは4つのメンバーからなるファミリーを構成するCa2+非依存性の細胞間接着分子で、様々な細胞間接着装置の形成を担っている。このような接着装置には少なくとも3種類存在することが分かっており、(1)アファディン依存性かつカドヘリン依存性、(2)アファディン依存性でカドヘリン非依存性、(3)アファディン非依存性かつカドヘリン非依存性のものに分けられる。ネクチンは、ネクチンやネクチン様分子(Necls)、他の免疫グロブリンスーパーファミリーに属する分子とトランスに相互作用する。さらに、ネクチンやNeclsは同一細胞膜上で膜受容体やインテグリンとシスに相互作用する。これらの相互作用を介して、ネクチンやNeclsは細胞の極性形成、運動、増殖、分化、生存などの細胞機能を制御している。また、ネクチン依存性の細胞間接着は遺伝性疾患、精神神経疾患、がんなどの病態と関与している。ネクチン依存性の細胞間接着のうち、アファディン依存性かつカドヘリン依存性の接着装置に関する研究が最も進められていたが、近年、アファディン非依存性かつカドヘリン非依存性の接着装置の存在が明らかになり、その形態学的特性や機能的特性が分かりつつある。本総説では、私どもがネクチンスポットと名付けたこの新規ネクチン依存性細胞間接着に関する最新の知見を紹介する。

論文掲載ページへ

2016/09/20

精嚢分泌タンパク質SVS3とSVS4は精子受精能獲得におけるSVS2の働きを促進する

論文タイトル
Seminal vesicle proteins SVS3 and SVS4 facilitate SVS2 effect on sperm capacitation
論文タイトル(訳)
精嚢分泌タンパク質SVS3とSVS4は精子受精能獲得におけるSVS2の働きを促進する
DOI
10.1530/REP-15-0551
ジャーナル名
Reproduction Bioscientifica
巻号
Reproduction Vol.152 No.4 (313-321)
著者名(敬称略)
荒木 直也,吉田 学 他
所属
東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所

抄訳

雄性性腺付属器官の1つである精嚢から分泌されるタンパク質SVSs(Seminal Vesicle Secretions)は、精漿の主要成分として交尾や受精において重要な機能を有している。マウスでは主要なSVSsとして7種類のタンパク質が知られ(SVS1~7)、そのうちSVS2が、子宮における精子の生存と受精能の調節に必須であることを報告してきた。本研究では、SVS2以外のSVSsの受精能獲得に対する影響を調べるために、SVS3とSVS4の作用を評価した。
まず、SVS4はSVS2と同様に単独で精子の受精能獲得を抑制した。SVS3は単独では受精能獲得を抑制しなかったが、SVS2と共処理することでSVS2単独よりも強い抑制作用を示した。一方、SVS3とSVS4は既に獲得した受精能を破棄させる作用は示さなかった。SVS2と同様に、SVS3とSVS4はどちらもガングリオシドGM1に対する結合性を有していた。さらに、SVS3はSVS2と高い親和性を持つことが明らかとなった。
以上より、in vivoにおける精子受精能の調節には、SVS2が中心となって働く他に、SVS3およびSVS4が補完的に働くと考えられる。

論文掲載ページへ

2016/09/15

日常生活の光曝露と肥満リスク:平城京コホートスタディ縦断分析

論文タイトル
Ambient Light Exposure and Changes in Obesity Parameters: A Longitudinal Study of the HEIJO-KYO Cohort
論文タイトル(訳)
日常生活の光曝露と肥満リスク:平城京コホートスタディ縦断分析
DOI
10.1210/jc.2015-4123
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Endocrine Society
巻号
JCEM Vol.101 No.9 (2016) pp.3539?3547
著者名(敬称略)
大林 賢史 他
所属
奈良県立医科大学 地域健康医学講座

抄訳

先行疫学研究で夜間光曝露と肥満の関連が示唆されているが、これまでの結果は横断分析に限られていた。本研究の目的は日常生活の光曝露とその後の肥満指標の変化の関連を縦断的に明らかにすることである。対象者は平城京コホートスタディのベースライン調査参加者1110人(平均年齢71.9歳)と追跡調査参加者766人(追跡期間中央値 21ヵ月)である。ベースライン調査で日常生活の光曝露を客観的に2日間持続測定し、ベースライン時と追跡時の腹囲身長比(WHtR)および体格指数(BMI)を計測した。年齢や性別、カロリー摂取量、身体活動量、睡眠覚醒指標などの潜在的交絡因子を調整した多変量混合線形回帰分析モデルで、就寝前4時間から夜間就寝中の光曝露量が多いことが、その後のWHtRの増加と有意に関連していた。また起床後4時間で500ルクス以上の光曝露時間が長いこと、夜間就寝中に3ルクス未満の時間が長いことが、その後のWHtRの減少と有意に関連していた。これらの結果はBMIを肥満指標とした場合でもほぼ同様であった。夜間就寝中の光曝露量が多い群(平均照度3ルクス以上)では、少ない群(3ルクス未満)に比べて、その後10年間でWHtRが10.2%、BMIが10.0%増加すると推定された。本研究の結果から、就寝前4時間から夜間就寝中の光曝露量は多いほど、起床後4時間の光曝露量が少ないほど、WHtRやBMIなどの肥満指標が増加することが明らかになった。肥満予防に最適な光環境を検討するために今後の介入研究が必要である。

論文掲載ページへ

2016/08/12

先天性リポイド副腎過形成症における性腺へのマクロファージの浸潤

論文タイトル
Gonadal macrophage infiltration in congenital lipoid adrenal hyperplasia
論文タイトル(訳)
先天性リポイド副腎過形成症における性腺へのマクロファージの浸潤
DOI
10.1530/EJE-16-0194
ジャーナル名
European Journal of Endocrinology BioScientifica
巻号
Eur J Endocrinol Vol.175 No.2 (127-132)
著者名(敬称略)
石井 智弘 他
所属
慶應義塾大学医学部小児科学教室

抄訳

本研究は、先天性リポイド副腎過形成症症例の性腺を免疫組織化学染色およびオイルレッドO染色など組織学的に解析し、成人期卵巣において有意にマクロファージが浸潤していることを初めて示したものである。1歳時の精巣では有意なマクロファージ数の増加は見られなかったが、22歳および40歳の卵巣では脂肪滴で泡沫化した莢膜細胞周辺の卵胞上皮と周囲にステロイド産生細胞のない間質にマクロファージの集族が認められた。さらに、莢膜細胞のみならず、卵巣間質に集族したマクロファージの細胞質にも脂肪滴が著明に蓄積していることが明らかにされた。この結果はsteroidogenic acute regulatory protein (StAR)ノックアウトマウスの新生仔の副腎皮質で得られた所見と合致する。先天性リポイド副腎過形成症の性腺や副腎皮質では、肥満の脂肪組織と同様にマクロファージ浸潤によるリモデリングが生じている可能性が示唆される。

論文掲載ページへ

2016/07/20

家族性偽性副甲状腺機能低下症1bを招くGNAS領域の複雑染色体再構成

論文タイトル
Complex Genomic Rearrangement Within the GNAS Region Associated With Familial Pseudohypoparathyroidism Type 1b
論文タイトル(訳)
家族性偽性副甲状腺機能低下症1bを招くGNAS領域の複雑染色体再構成
DOI
10.1210/jc.2016-1725
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Endocrine Society
巻号
JCEM Vol.101 No.7 (2016) pp.2623?2627
著者名(敬称略)
中村 明枝、深見 真紀 他
所属
国立成育医療研究センター 分子内分泌研究部

抄訳

家族性偽性副甲状腺機能低下症(PHP)1bは、GNAS 領域のメチル化異常に起因する内分泌疾患である。2015年、PHP症例においてGNAS領域の重複を示唆する所見が報告されたが、ゲノム構造は決定されていない。
我々は、家族性PHP1b症例においてGNAS領域のゲノム再構成を同定し、全ゲノムシークエンス解析によってその構造と成立機序を解明した。PHP1bと診断された発端者、母、母方叔父のゲノムDNAを用いたメチル化解析で、GNAS A/B、NESP55の低メチル化、ASXLASの高メチル化を同定した。ゲノム再構成はNESP55ASXLASを包含するタンデムTriplicationおよびGNAS A/Bを包含するタンデムDuplicationで、GNAS翻訳領域のコピー数変化はなかった。母方祖母も同一のゲノム再構成を有したが、GNAS A/Bのメチル化は正常であった。本症例では、GNAS A/Bに対するシス因子のDNAメチル化制御機構の破綻によってGNAS発現調節異常が生じると推測される。ゲノム再構成は母由来アレルに存在する時にGNAS A/Bの低メチル化を招くが、母方祖母ではゲノム再構成が父由来であったためGNAS A/Bのメチル化は維持されたと推測される。以上の成績は、ヒト遺伝病の新たな発症機序を示唆するものである。

論文掲載ページへ

2016/06/27

エストロゲンは骨格筋と筋幹細胞の機能維持に重要である

論文タイトル
Estrogens maintain skeletal muscle and satellite cell functions
論文タイトル(訳)
エストロゲンは骨格筋と筋幹細胞の機能維持に重要である
DOI
10.1530/JOE-15-0476
ジャーナル名
Journal of Endocrinology BioScientifica
巻号
J of Endocrinology Vol.229 No.6 (2016) 267-275
著者名(敬称略)
北島 百合子、小野 悠介
所属
長崎大学原爆後障害医療研究所 幹細胞生物学研究分野(原研幹細胞)

抄訳

エストロゲンは,全身を通して組織や臓器に広く作用し,生体恒常性を維持している。そのため,エストロゲン分泌を減少させる過酷なダイエットによるエネルギー不足や閉経による卵巣機能低下は,骨粗鬆症を含む様々な病態の引き金となる。骨格筋はエストロゲン受容体を発現するが,骨格筋の機能維持におけるエストロゲンの役割は詳しくわかっていない。我々は,若齢雌性マウスの卵巣を摘出し,長期のエストロゲン欠乏状態が骨格筋に与える影響を検証した。その結果,エストロゲン欠乏により,筋力低下,筋萎縮,筋線維型の速筋化が観察された。さらに,骨格筋の修復・再生に欠かせない筋幹細胞を調べたところ,エストロゲン欠乏により,その数に変化は認められなかったものの,増殖・分化・自己複製などの幹細胞としての機能が著しく低下していた。薬剤により筋損傷を誘導したところ,エストロゲン欠乏マウスは不完全な筋再生を呈した。以上の結果から,エストロゲンは,骨格筋のみならず筋幹細胞にも作用し,筋力維持や筋再生に重要な役割を果たしていることが明らかになった。本研究は,女性特有の骨格筋の機能維持メカニズムの存在を示す所見である。

論文掲載ページへ

2016/06/20

到達運動の学習を推進する運動野からもたらされる誤差の信号

論文タイトル
Error Signals in Motor Cortices Drive Adaptation in Reaching
論文タイトル(訳)
到達運動の学習を推進する運動野からもたらされる誤差の信号
DOI
10.1016/j.neuron.2016.04.029
ジャーナル名
Neuron Cell Press
巻号
Neuron Volume 90, Issue 5, p1114?1126, 1 June 2016
著者名(敬称略)
井上 雅仁 北澤 茂 他
所属
大阪大学 大学院 生命機能研究科 ダイナミックブレインネットワーク研究室

抄訳

目標に手を伸ばす運動は,プリズムにより視野をずらしたり外乱をあたえたりすると誤差を減らすように順応する。大脳皮質の運動野が誤差の信号を提供するという仮説が提唱された一方で,ヒトの脳機能イメージング法においては頭頂葉の連合野だけが誤差を表現すると報告されてきた。運動野は本当に誤差の信号を提供して学習を推進するのだろうか。筆者らは,サルを用いて1次運動野および運動前野が到達運動の終点の誤差の情報を表現することを確かめた。さらに,運動の直後に微小な電気刺激をあたえることにより,誤差は試行を重ねるごとに徐々に蓄積し,その残効は徐々に減少することが明らかにされた。これらの結果から,運動野から発せられる到達運動の誤差の信号は順応を推進することが明確に示された。

論文掲載ページへ

2016/06/07

大域的に伝播する波に埋め込まれた神経の瞬間的な同期活動が安静時機能結合の元になっている

論文タイトル
Transient neuronal coactivations embedded in globally propagating waves underlie resting-state functional connectivity
論文タイトル(訳)
大域的に伝播する波に埋め込まれた神経の瞬間的な同期活動が安静時機能結合の元になっている
DOI
10.1073/pnas.1521299113
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
PNAS Published online before print May 16, 2016
著者名(敬称略)
松井 鉄平 他
所属
東京大学大学院医学系研究科統合生理学教室 (著者の方の了解をいただき、所属URLは九州大学にリンクしております)

抄訳

安静時機能結合(FC)は非侵襲的な脳のネットワークの研究に広く使われるツールであり、離れた脳部位における血流信号(HemoS)の相関により測られる。機能的結合の空間的なパターンは、血流信号の背後にある神経活動の空間パターンを反映するものと考えられている。これまでの自発的神経活動の研究では、大脳皮質全体を伝播する波のような活動から、解剖学的に繋がった脳領野の瞬間的な同期発火まで、様々な時空間パターンが見つかってきた。しかしながら、これらの様々なパターンが互いにどのような関係にあるのかは良く分かっていなかった。また、これら種々の時空間パターンが機能的結合に寄与するかどうかも不明であった。我々は今回このような問題を解決するために、マウスの大脳皮質全体において、神経活動由来のカルシウム信号(CaS)と血流信号を高時空間解像度で同時記録した。我々は二つの異なって見える活動パターン(大域的に伝播する活動の波と機能的結合の高い脳部位の瞬間的な同期活動)が、実は互いに関係していることを発見した。大域的な活動伝播の中では、それぞれが強い機能的結合で結ばれているような脳部位の組み合わせのうち、異なる組み合わせが異なる瞬間において同期発火しており、このことは機能的結合の持つ空間的な情報は大域的な活動伝播の位相情報として埋め込まれていることを示唆する。更に我々は、CaSで見た同期活動の空間パターンが、そのままHemoSでの空間パターンに反映されていること、そしてこのような同期活動がHemoSで見た機能的結合の空間パターンを作るのに必要なことを示した。これらの結果は、大域的に脳を伝播する自発的神経活動の波が、どのようにして血流信号における機能的結合を生み出すかを説明する。

論文掲載ページへ